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危険な選択 TPP交渉 「米国」の関心事を優先
「しんぶん赤旗」 2011.11.25 8面
野田佳彦首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加表明したことで米国はかさにかかって要求受け入れを日本に迫っています。TPP交渉参加が日本国民の利益に反する危険な道であることが明らかになっています。 (山田俊英)
「国益を損ねてまで交渉に参加するつもりはない」「すべての物品、サービスを対象にするとは言っていない」
言い逃れに終始
米国ホノルルで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)から帰国後の16日、参院予算委員会で野田首相の答弁は言い逃れに終始しました。「交渉参加に向けて関係国と協議に入る」という持って回った言い方にも国民の批判から逃れようとする姑息(こそく)な態度が見られます。
対する米国の姿勢ははっきりしています。
「交渉に参加するために、日本はTPPの高い貿易自由化基準を満たし、米国にとって関心のある事項、つまり非関税障壁を含む農産物、サービス、工業製品に対する貿易障壁に関する具体的問題に対処する準備ができていなければならない」
野田首相の交渉参加表明を受けた米国通商代表部の声明です。自分たちの要求をのまなければ日本を交渉に入れないということです。
野田首相との会談でオバマ米大統領は「TPP交渉に参加するすべての国は協定の高い水準達成に向け準備する必要がある」と念を押しました。経済人との会合では「農業」を挙げて「日本がどの程度困難なプロセスをやり抜くつもりがあるのか」と、野田首相の“やる気”を問いました。
TPP交渉に新たに参加するためには現在交渉に参加している9カ国の同意が必要です。特に米国については、通商交渉の権限を持つ議会の承認が必要です。その米議会では支持基盤である大企業の意を受けた議員が具体的な対日要求実現を迫っています。
米上院財政委員会のポーカス委員長ら有力議員団は自動車、牛肉を含む農産品、保険、医療など多くの分野で日本市場に深刻な障壁があると指摘しました。
米国の厳しい態度はオバマ大統領が議長を務めるTPP交渉国首脳会合に野田首相を招かなかったことにも示されました。
野田首相はホノルル出発前の記者会見で、「オブザーバーなのかどうかわからないが、そこ(TPP首脳会合)で可能ならば、その(交渉参加の)意思をお伝えする」と述べ、協議に招かれることを期待していました。そんな甘さは通じませんでした。
他のTPP交渉参加国からも「交渉はコメを含まなければならない」(ニュージーランドのグローサー貿易相)と声が上がっています。
国民裏切る方向
日本政府は交渉参加に向けた事前協議のため、早速、省庁横断の組織立ち上げに動いています。「関係国がどういう思いを持っているか、情報収集していかなければならない」と野田首相はいいます。しかし、実際には単なる情報集めではありません。各国、特に米国の要求にどう対応するか―野田内閣は日本国民の利益を裏切る方向にさらに動いて行くことになります。 (つづく)
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危険な選択 TPP交渉 冷ややかなアジア諸国
「しんぶん赤旗」 20011.11.26 6面
「アジアの成長を取り込む」−日本の環太平洋連携協定(TPP)参加を推進する勢力のうたい文句で
す。しかしアジアからTPP交渉に参加している国はシンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアだ
け。先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)ではアジア諸国からTPFに対する冷ややかな姿勢が示されました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)で最大の人口を持つインドネシアはTPPに参加しないことを明確にしており、ASEANと日中韓、インドなど16カ国(ASEAN+6)で経済連携を進める方針です。米国は入っていません。
けん制する中国
中国の愈建華(ゆけんか)商務次官補は11日、APEC閣僚会議後の共同記者会見で「これまでTPP参加国から招待状を受け取っていない」と突き放した見方を示しました。米国のカーク通商代表がAPEC加盟国・地域にTPP参加を呼びかけたことに対する反応です。
愈次官補は「アジア地域の経済統合は透明性があり、すべてを含むものでなければならない」と米国を中心に進むTPPに不満を示しました。「日本は日中韓自由貿易協定(FTA)など他の地域統合メカニズムも促進させると言っている」とも述べ、日本がTPP参加に急速に前のめりになったことをけん制しました。
胡錦濤国家主席はAPEC出席の際、米ホノルルで行った演説で「ASEAN+日中韓、ASEAN+6、TPPなどを基礎にアジア太平洋地域の経済統合を実現することを支持する」と述べました。米国を中心とするTPPだけが突出することは支持しない立場です。
日米安保の視点
一方、オバマ米大統領はAPECと東アジア首脳会議出席を通じ、安全保障、経済両面からアジア・太平洋地域を重視する立場を強く打ち出し、その中で一地域全体の潜在的モデル」としてTPPを完成させると宣言しました。
米通商代表部(USTR)のマランティス次席代表は10月25日、米下院で行われた対中経済関係の公聴会で、知的財産権、補助金、農業政策など米国企業の利益を脅かす中国の「五つの挑戦」を挙げ、TPPは「強力なルールに基づく貿易」に中国を取り込むために有効だと指摘しました。
米政府の戦略に対し、野田首相はTPPへの参加が「安全保障面で安定した環境につながる」(15日の参院予算委員会)と従う姿勢を示しています。外交担当の首相補佐官、長島昭久氏は1日、都内での講演でTPPに関し「中国から見て『なかなか手ごわい』と思わせるような戦略的環境を整えていくことだ」「『アジア太平洋の秩序は日米でつくる』というぐらいの積極的な視点が必要だ」と日米安保の視点から意義を強調しました。
しかし、ASEANは17日に開いた首脳会議で「地域包括的経済連携のためのASEANの枠組み」に合意。ASEANが主導し、域外国と協力して開かれた経済統合を目指す原則を再確認しました。大国が主導する経済統合はこうした流れと相いれないものとなっています。 (山田俊英)
(おわり)
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