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小沢一郎、石原伸晃らが動き始め、「来年解散・総選挙」が漂いはじめた永田町
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/27741
2011年11月25日(金) 長谷川 幸洋「ニュースの深層」:現代ビジネス
また「政局の季節」がめぐってきたようだ。消費税と環太平洋連携協定(TPP)をめぐって民主、自民両党で内部の意見対立が激しくなっている。永田町では「いずれにせよ来年中の解散・総選挙は間違いない」と緊張感が高まってきた。
火を付けたのは小沢一郎元民主党代表だ。
11月19日に出演したニコニコ生放送の番組で田原総一朗の質問に答え、消費税引き上げに反対する姿勢を明確にしたうえ、22日の小沢グループ会合では「消費税増税を強行すれば党運営は厳しくなる」と野田佳彦首相に警告した。
自民党の石原伸晃幹事長も22日の講演で「首相が『民主党を割ってでも消費税を10%にする』と言えば、自民党も割れ、新しい政治体制ができるかもしれない」と政界再編の可能性に言及した。
■「増税法案さえ可決すれば政権はどうなってもいい」
民主、自民の大物たちが機を同じくして、消費税引き上げをきっかけにした政変の可能性に言及したのは、けっして偶然ではない。どちらの党も執行部は増税路線を掲げているが、内部に強い反対勢力を抱えている。党内事情がそっくりなのだ。
TPPも同じである。野田首相は交渉参加の意思を決めたが、民主党内には依然として強い反対論が残っている。自民党に至っては、過半数の議員が反対と言われているが賛成意見もあり、党としての方針を決められないありさまだ。
自民党は本来、自由貿易を協力に推進する立場であったはずなのに今回、まったくの腰砕けになった。はっきりとTPP賛成を表明しているのは、1年生の小泉進次郎議員や元老格の中曽根康弘元首相くらいである。野党に転落したら「あえて火中の栗を拾って、農村票を離反させることはない」と日和ってしまったのか。
増税やTPPのような重要課題をめぐって、どちらも党内が一致結束していないので、執行部がどちらかの路線で突っ走ろうとすると、ともに党が割れる可能性に直面してしまう。首尾一貫しているのは「霞が関党」とも呼ぶべき官僚集団とそれに鋭く対立するみんなの党(あと共産党?)くらいである。
これから年末の予算編成と税制改正を控えて、この意見対立は激化しこそすれ、和らぐ見通しはない。野田政権は社会保障と税の一体改革大綱で引き上げ幅と時期をはっきり書きこもうとしている。
露払い役の五十嵐文彦財務副大臣は講演で「2013年10月以降に7%か8%を引き上げ、残りは15年4月か10月に引き上げる」と語っている。これは財務省の意向に沿った形でアドバルーンを上げたとみていいだろう。
財務省とすれば、上げ幅の数字と時期を明示した増税法案さえ可決成立すれば、後は野田政権がどうなろうとかまわない。野田首相が続投できればそれに越したことはないが、仮に総選挙で敗北し民主党が下野する場合でも、次の政権が増税路線を引き継ぐよう水面下の工作に全力を上げていくだろう。いや、もう着手しているだろう。
むしろ東京電力・福島第一原発事故の処理やTPP問題での党内分裂ぶりをみれば、民主党が次の解散・総選挙でも勝利し、野田首相が続投できる可能性は低いとみているはずだ。冷徹な財務省がそれほど楽観的になるとは思えない。財務省は実質的に政権を切り盛りしているのはいつだって自分たちなのだから、表で政権を担うのは民主党だろうが自民党だろうがどっちでもいいと思っている。
■石原発言を歓迎する財務省
そんな財務省の視点からみると、先の石原発言は歓迎するシナリオである。自民党が増税派と反増税派に分裂し、民主党も総選挙敗北で増税派と反増税派に分裂するなら、両党の増税派を合体させて「増税新党」をつくればいい。あとは残った両党の反増税派が合体して大きな勢力にならないように工作するだけになる。
もしも五十嵐が言及した「13年10月」に第一弾の引き上げを実施するとすれば、野田首相は「実施前に国民の信を問う」と言ってきたので、解散・総選挙はそれより前という話になる。常識的に考えると、たとえば半年前では「実施を織り込み済みじゃないか」という批判が出るのは避けられない。
仮に総選挙の結果、反増税政権が誕生したとしても、半年後の引き上げを中止するには、国会での引き上げ凍結法案の可決成立と、その後の事務作業が間に合わなくなる可能性があるからだ。つまり総選挙で示された「国民の意志」を反映できない形になってしまう。それが見え見えでは、かえって国民の反発を招きかねない。
そこで余裕をみて1年前なら12年10月、もっと前なら12年6月あたりに解散・総選挙という見立てになってくる。いずれにせよ来年である。
意見対立のエネルギーが党分裂を引き起こすほど高まるかどうか。そこはなんとも言えないが、ここでは2点を指摘しておきたい。一つは内閣支持率、もう一つは欧州危機だ。
内閣支持率が低くなれば「この内閣の増税路線に付き合って自分の選挙は大丈夫か」という議員心理が強くなる。とくに1年生議員が多い民主党はそうだ。議員は当選してなんぼの世界である。増税路線を真正面に掲げた野田政権と心中するつもりで総選挙を戦う気概のある議員が民主党に何人いるだろうか。
支持率が低くなればなるほど当然ながら、政権の求心力は低くなる。反対派の声は一層強くなり、賛成派から寝返る議員が出てきてもおかしくない。まして野党であればなおさらだ。公明党は一段と政権との戦闘姿勢を強めるに違いない。
■政局より深刻な欧州危機
欧州危機からも目を離せない。ギリシャに続いてイタリアも危機が深まっている。2008年のリーマン・ショックは前年の07年8月9日にフランスの大手、BNPパリバ銀行傘下のヘッジファンドが突然、新規募集と解約を凍結したのが発端だった。
今回の危機がリーマン・ショックのような世界危機に発展するかどうか予断を許さないが、イタリアの10年もの国債利回りが再び7%台に急騰し、ドイツの国債入札が調達予定額に達せず「札割れ」を起こした事態を見れば、年末までに再びパリバ・ショックのような突然死が起きても不思議ではない。すでに市場は十分、緊迫しているのだ。
危機の拡大が始まれば、消費税引き上げ論議にも大きな波乱要因になる。財務省は「欧州の二の舞を防ぐためにも増税が必要だ」と大キャンペーンを張るだろうが、永田町では「景気の先行きが不透明になったから先送りせよ」という合唱が起きるだろう。
欧州危機が本格的に世界に広がれば、もはや各国の財政出動は期待できず、金融市場では「悪影響はリーマン・ショックの比ではない」という見方でほぼ一致している。私自身は永田町の政局よりも、実はこちらのほうがはるかに心配だ。
(文中敬称略)
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