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●「ナベツネは『日本のドン』である」(EJ第3188号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/236851967.html
2011年11月25日 Electronic Journal
ナベツネ問題が世間を騒がせていますが、渡邉恒雄氏は「読売
のドン」どころか、「日本のドン」なのです。時の政権が渡邊氏
にひれ伏している感があります。
渡邊氏は菅降ろしが公然といわれるようになった頃から、「次
は野田君だ」と公言していたようです。渡邊氏は「なぜ野田なの
か」と親しい政界関係者に聞かれて次のように答えています。
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彼のお父さんは自衛官だし、彼も苦労人だろう。タンゴやカツ
も野田は素晴らしいと評価している。 ──渡邊恒雄氏
「週刊ポスト」12/2より
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ここでいう「タンゴ」は読売新聞社の社外監査役になった丹呉
前財務事務次官、「カツ」はいうまでもなく勝栄二郎財務事務次
官のことです。渡邊氏は2人をまとめて「タンゴやカツ」といっ
ているのですから驚きです。いかに財務省が読売新聞と密接に結
びついているかがわかります。
渡邊氏は、「山里会」という政治家との交流会合を主宰してい
ます。「山里」というのは、ホテルオークラの料亭の名前です。
10月21日の夜、その山里会が開かれています。その日の会合
には、渡邊氏のほか、橋本五郎(読売)、芹川洋一(日経)、岩
見隆夫(毎日)、早野透(元朝日)らのマスコミの重鎮が顔を揃
えていたのです。その山里会に野田首相が招待されたのです。
10月21日といえば、TPP交渉参加問題で首相は多忙を極
めていたはずですが、野田首相は約3時間もそこに滞在している
のです。「山里会に招待する」といえば聞こえがよいですが、野
田氏は呼び付けられたに等しいのです。
その後官邸に戻った首相に記者が「会合は有意義だったか」と
尋ねると、野田首相は「おかげさまです」と答えたそうです。い
かにもへりくだった表現に聞こえてしまいます。山里会のような
席に呼ばれ、マスコミの重鎮から持ち上げられると、やはり舞い
上がってしまうのでしょう。こういう人たちから、TPPの推進
要望や増税容認の意見を出されると、国民のことなど忘れてしま
い、何とか彼らの支持を失わないように努めようとしてしまうも
のです。「おかげさまです」の言葉によくそれがあらわれている
と思います。こういうところに民主党の若手政治家の脆さがよく
出ています。
しかし、渡邊恒雄氏の政治への関与はこんなものではないので
す。「週刊ポスト」12/2日号は、長谷川幸洋・東京新聞論説
副主幹の話として次の情報を明らかにしています。長谷川幸洋氏
は、テレビでの話やコラムなどを見る限り、まともなジャーナリ
ストであると私は考えています。
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かつて長谷川氏が首相経験者と会食した際のこと。元首相は同
席していた当時の政権幹部に向かって「官房長官はナベツネさ
んのところに行ってる?」と尋ねた。政権幹部が「何のことで
しょうか」と首をひねると、元首相はこういった。「首相は月
に1回、天皇に政情報告をする。同じように月1回、官房長官
が政情報告をする相手がナベツネなんだよ。これは代々の引き
継ぎ事項になっている」。政権幹部は「そうなんですか、知り
ませんでした。早速官房長官にいっておきます」と慌てた。
──「週刊ポスト」12/2より
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長谷川幸洋氏は、さらに大臣が所管事項で官僚の反対が予想さ
れるような局面では、大臣自らが読売新聞社の渡邊氏のところに
出向き、それについて協力を求めることも少なくないというので
す。まさにナベツネは「日本のドン」になっているのです。
さて財務省は、4人の財務大臣に対して何年もかかって消費増
税を説得し、何とか実現させようとしています。これは大変な努
力であり、それだけ日本にとって財政再建が重要であることを時
の政権に働きかけてきているといえます。
本当に国のことを考えて消費増税を勧めているのであれば、そ
れは立派なことであり、その努力は称えられるべきです。しかし
財務省の本心は財政再建ではないのです。少なくとも財政再建は
二の次三の次です。
官僚は国のために奉仕する存在のはずです。まして財務官僚は
官僚の中の官僚といわれる中心的存在であり、国のことを何より
も優先的に考えて仕事をするはずである──普通はこのように考
えます。しかし、そうではないようです。植草一秀氏によると、
大蔵省(財務省)のキャリアは、自分の省庁のことを「わが社」
というそうです。
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いわゆるキャリア職員と呼ばれる第一種国家公務員試験に合格
し、大蔵省で採用された幹部候補生職員のなかで、彼らの心情
を率直に表現する者は、大蔵省、財務省のことを、「わが社」
と表現する。自分が勤める組織だから「わが社」と呼んでいる
だけではない。大蔵省、財務省も民間企業と同様に、自らの組
織の利益最大化、利潤を追求する存在であることを明確にする
ために、「わが社」との表現を用いるのである。
──植草一秀著/青志社刊
『日本の再生/機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却』
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このことを前提として考えると、財務省のキャリアは、消費増
税についても「それは『わが社』の利益になるかどうか」と考え
ることになります。そこには国にとってどうなのかという視点は
残念ながらないのです。
国の政策を考えるとき、あくまでも財務省の利害得失を何より
も優先し、国の浮沈や国民生活への影響などは考慮の断片にすら
含まれることはないと植草氏はいっています。来週も消費増税の
不当さについて考えます。 ── [財務省の正体/14]
≪画像および関連情報≫
●長谷川幸洋氏/古賀茂明氏とインタビュー
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9月28日のニコニコ生放送「衝撃告白!古賀茂明、経産省
を辞職へ〜一体なぜ辞めることにしたのか?」では、そんな
古賀氏をゲストに招き、東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏
が話を聞いた。古賀氏の「皆は役所のルールがあるからでき
ないよ、という世界にいるが、僕はできないよと思うことを
やるのが面白い」という信条には、官僚のみならずサラリー
マンも考えさせられるものがあるのではと長谷川氏はいう。
以下、番組を全文書き起こして紹介する。
http://blog.livedoor.jp/s_koga_unofficial/archives/66918768.html
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