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>現状を見ると、大半の人々を犠牲にして
>最上位の一部が利益を得ていることが、
>格差拡大の主因
そんなこと前々から分かっていることじゃないか。
さっさと政策実行しろよ。
ある所からカネを取って、無いところに回せばいいだけだ。
議論はもういいから、早く実行しろ。
日本でも同じこと。
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コラム:格差是正は喫緊の課題=ローレンス・サマーズ氏(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPJAPAN-24295120111122?pageNumber=3&virtualBrandChannel=0&sp=true
ローレンス・H・サマーズ
[20日 ロイター] 欧米経済が向こう数年間に直面する根本的な問題は、需要減を背景とした生産の落ち込みだ。需要増は収入の増加や生活水準の向上、信頼感の高まりにつながることから、貧富の差を問わずすべての国民の収入押し上げには、これに勝るものはないといえる。
景気回復が今よりも加速すれば、社会全体に広がっている失望感や将来に対する懐疑的な見方が、少なくとも部分的には消えることだろう。
しかし、われわれが抱える問題は景気循環に伴うものだ、とか、マクロ経済的な手段によって解決できる、などと考えるのは大きな誤りだ。農業経済から産業経済への転換が社会に広範囲な影響を及ぼしたように、産業経済から知識経済への転換に伴う影響も、同様に大きなものになる。
現在みられる構造的なトレンドは、大恐慌以前から存在するものであり、景気回復が実現した後も長く存在し続けるだろう。なかでも最も重要なものは、全国民が受ける恩恵と比べ、特定の個人への富の集中が加速したことだ。米議会予算局の最近の調査によると、米国では、全国民の上位1%の収入は1979年から2007年の間に275%増加した(インフレ調整後)。一方、中間層(同調査では、所得分布で中央の60%と定義)の所得の伸びは40%にとどまった。雇用情勢はさらに悲惨であり、職を見つけられない人、または求職を断念した人の割合は上昇した。1965年には、25歳から54歳までの人で20人中1人が働いていなかった。循環的な景気回復が実現したとしても、2020年末までには、働いていない人の割合は、6人中1人となる見通しだ。
別の観点から見てみよう。ある調査によると、所得分布が1979─2007年に変化しなかったとすれば、上位1%の収入は今よりも59%(78万ドル)少なく、下位80%の収入は21%(1万ドル)超多かったはずだ。
こうした現状を見ても動じない人、富裕層に偏った減税やそれに伴う格差拡大を望ましいと考える人は、例えばこう主張するかもしれない。人の生涯の間、そして世代間でみてモビリティー(移動性)がある限り、「一時的な格差」は問題ではない、と。現実には、このどちらもほぼない。生涯収入の格差は、すでに、単年度の格差よりも若干小さいだけだ。さらに悲劇的なのは、米国の世代間のモビリティーは、国際的な標準でみても小さく、おそらく米史上初めて、改善の動きもとまった。
もう1つ別の統計を見てみよう。収入分布の下位4分の1の層出身の学生が大学全体に占める割合が、前世代と比べて低下する一方、富裕層出身者の割合は上昇した。リセッション(景気後退)に伴い、大学が、経済的な支援の必要な学生の受け入れを減らしたため、とされている。
上位1%が成功し、残りの国民は富を増やせないのは、何故なのか。その答えは、ハイテク化とグローバリゼーションにある。ジョージ・イーストマン氏が写真技術に革命を起こしたときには、自身も富を築いたが、同時に、事業展開には大規模な人手が必要だったため、ロチェスターの町は2世代にわたって、中間層が栄えた。一方、スティーブ・ジョブズ氏がパソコン分野に革命をもたらした際は、同氏自身と(世界中に広がる)アップルの株主は富を手にしたが、米国の中間層にはあまり恩恵が及ばなかった。生産がアウトソースされたこと、コンピューターやソフトウエアの生産にはそれほど人手が必要とされないためだ。
これと似た例だが、小規模な個人書店が中心だった時代が終わり、バーンズ・アンド・ノーブルのような大型書店、さらにはアマゾンや電子書籍が主流になったことによって、消費者はより安価に書籍を購入できるようになったが、小売りや出版、流通セクターで中間層向けの職が減少した。一方、超人気作家や、コンテンツの配信方法を変えた企業家は、大きな富を得ている。また、金融市場の発展を背景に、バリュエーションのエラーを見つけて大きな利益を得る能力を持つウォーレン・バフェット氏のような人々にとっては、富を増やすチャンスが広がった。
富の配分が不公平で、中間層の不満の原因となっているマーケットシステムへの対応が、先進工業国の政治にとって最も重要な課題だ。現在のところ、この問題をめぐる議論は非常に偏ったものだ。1つには、ゼロサム的な話に終始し、中間層の所得が伸びない原因を富裕層の成功に求める論調がある。この見方をする人は、アップルやグーグル、マイクロソフト、フェースブックのような企業を創業した企業家が米国で増えたほうがいいのか、減ったほうがいいのか、考えるべきだ。こうした企業家は確かに格差拡大を加速させた。米国の最高経営責任者(CEO)の報酬の水準やその伸びを憤るのは簡単だ。ただ、プライベートエクイティ(PE)などの非公開企業のCEOの収入が、公開企業のCEOを上回ることがよくあることも、留意すべきだろう。それに、さまざまな問題はあるものの、米国の国際企業はここ20年間、より平等を重視する国の企業よりも成功を収めている。多くの人の利益になるような製品やサービスを提供することで富を得ることを、中傷するのはおかしい。
一方、格差拡大への懸念を誤解だとか、階級闘争の産物だとかする議論はさらに的外れだ。収入分布の変化はあまりにも大きく、経済全体の成長率が中間層の収入の伸びを決めるという考え方は、もはや正しくない。成長のパイがどのように分配されるかが、少なくとも同じぐらい重要な要素になっている。現状を見ると、大半の人々を犠牲にして最上位の一部が利益を得ていることが、格差拡大の主因となっており、つまり、経済が好転すれば格差が解消するという考え方は正しくないということになる。実際、米国の競争力を重視するにしても、米国に主要な生産拠点を持っていない企業に減税したり、知的所有権保護を強化するのは、格差が一層拡大する原因となり、社会全体のためにならない。
では、格差拡大への適切な対処とはどのようなものなのか。政治の世界ではあまりいい案は出ていないようだが、この問題に適切に対応するのは民主主義にとって極めて重要だ。以下に、いくつかの案を挙げる。
1)政府は、富裕層に特別な利権を与えて格差を助長してはならない。政府が資産を売却したり、免許を交付したりする際には、誰もが参加できる入札を行うべきだ。政府が何らかの保証を与えるときは、特定の産業と協議の上でプレミアムを設定するのではなく、できるだけ市場実勢に沿って決定することが重要だ。コネのある資本家ではなく、資本主義を支持しているという姿勢を政府が示すことも大切なことだろう。
2)公平性を重視し、経済成長に寄与するような税制改革を実施すべきだ。一部の人が富を蓄積する一方、政府の赤字が拡大している現在は、相続税の軽減措置を続けるべきときではない。子供の数が減少し、富裕層にとって有利な投資機会が増えている今、「shirt sleeves to shirt sleeves in three generations(ある世代が築いた富がその後の世代の浪費や怠慢によって3世代で失われてしまうこと)」という格言は時代遅れで、富は確実に次世代に引き継がれる。格差時代には、市場が生み出す税引前利益のトレンドを助長する税制は適切ではない。
3)公的セクターは、根本的に最も重要な分野において、公平性を高めるよう努力すべきだ。市場経済では、一部の人が豪邸や絵画を所有し、贅沢に旅行できるということが起きる。これ以上に問題なのは、授業料の上昇や、公立大学の数の大幅な減少により、中間層の出身者がなかなか大学に入学できなくなっていることだ。同時に、全米の多くの地域において、富裕層が通う私立学校と、その他の子供が行く公立学校とで、教育の質の差が拡大している。最も憂慮すべきことは、富裕層とその他の層の平均寿命の差が、この1世代の間にほぼ倍になったことだ。
両極端な政策や、富裕層のノブレス・オブリージュ(財産や権力の保持には社会的責任が伴うという格言)では、ポスト産業経済の中間層の利益は守れない。われわれはよりよい方法を見つけなければならない。
(ローレンス・H・サマーズ氏はハーバード大教授。元米財務長官)
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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