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TPP反対は日本独立運動だ 森田 実(月刊日本)
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/677.html
投稿者 元引籠り 日時 2011 年 11 月 24 日 18:29:27: dkOnWN./sADdA
 

対米従属の起点となった旧安保条約── 野田首相はTPP交渉参加へ向けて関係国と協議に入ると表明したが、TPP反対運動が日々高揚している。
森田 TPP問題は、いまや対米関係を大きく変える一大政治問題と化しつつある。TPP反対運動は、今後の展開次第では、日本の真の独立を求める運動となり、対米従属外交を終焉させる契機となるかもしれない。

改めて日本の対米従属が固まった歴史を振り返っておく必要がある。私は、対米従属の起点は日米安保条約にあると考えている。


旧日米安保条約は、戦後史におけるわが国の最大の汚点と言っていい。一九五一年九月八日、わが国はサンフランシスコで連合国側と講和条約に調印したが、同日、米国政府と日米安保条約(第一次安保)にも調印した。講話条約がオペラハウスにおいて全権代表団によって調印されたのに対して、安保条約は下士官用クラブハウスの一室で、吉田茂首相ただ一人が調印した。しかも、吉田は内閣総理大臣という肩書きなしで、安保条約に調印した。宮沢喜一氏の証言によれば、吉田は「君たちは来るな。自分だけでいく」と語った。日米安保調印が大きな汚点になることを知っていたからだ。

そして、対日講和と安保の二つの条約を「サンフランシスコ二条約」という形でセットにして批准手続きがとられ、全く国内で議論をすることなく、日米安保条約は批准されてしまったのである。講和条約はそれなりに国民的議論があったが、安保条約は全く議論されないまま、アメリカに強要される形で、秘密裏に調印されたのだ。

国際法では、占領下において占領当局が一方的に強要した条約は、講和条約発効によって独立した場合には消滅することになっている。ところが、日米安保条約は消滅されず、その条約の改定という形で六〇年安保条約が締結された。つまり非合法な旧安保条約は改定条約締結というトリックによって合法化されたのだ。こうして、ポツダム宣言で連合国が約束した日本の独立は反故にされた。そして日本は半永久的に米国の隷属下に置かれることになったのだ。六〇年安保に私たちが激しく反対した理由の一つが、旧安保条約の非合法性を蔽い隠そうとすることに対して反発し、怒ったことにあった。

── 森田さんは、全学連を率いて砂川闘争などの米軍基地に対する反対闘争を展開し、六〇年安保闘争を闘ったが、当時から旧安保の非合法性についての認識はあったのか。

森田 当時からあったが、まだ十分な資料はなかった。「インチキがあるらしい」という漠然とした疑いも持っていた。当時は、それを裏付ける資料が公開されていなかった。第一次安保は破棄すべし、と主張していた。

── 独立後の日本は、そうしたトリッキーな方法によって、アメリカの支配下に置かれ、首都東京に米軍基地が設けられるというな状況が生まれ、その延長線上で、今日までアメリカによる従属体制が続いている。

森田 その通りだ。旧安保条約が秘密裏に、非合法的に結ばれ、それを改定するトリッキーな方法で合法化し、日本を永遠に植民地化する体制を築いたのが、一九六〇年の安保改定だった。インドネシアのスカルノが言った通り、国土の一部が占領されているような状態は独立ではない。

アジア太平洋地域を分断するTPP

── TPPを推進するアメリカの狙いをどう見るか。

森田 TPPには国内的に様々な問題点があり、議論され始めているが、私が心配しているのは、それがアジア太平洋地域の分断を招くことだ。

戦後の日本が唯一、自発的、主体的に提唱した世界秩序構想が、APEC(アジア太平洋経済協力)だった。これは、戦後日本の主体的外交の立脚点であり、戦後日本の外交上の宝といってもいい。

APECは、もともと一九七八年に大平正芳首相がアジア太平洋地域の経済協力体制構想として「環太平洋連帯構想」を呼びかけたことに始まる。大平政権下では政策研究会「環太平洋連帯研究グループ」が設けられたが、一九八〇年六月の大平首相の死去により頓挫した。大平氏の後を継いだ鈴木善幸総理は、大平構想に注目しなかったが、次の中曽根康弘氏は大平構想に注目し、大平首相のブレーンを中曽根内閣のもとに再結集して大平構想の実現に意欲を示した。その結果生まれたのが、APECだったのだ。

発足した一九八九年時点の構成国は、日本、アメリカ、カナダ、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、当時のASEAN加盟六カ国で、一九九三年には中国と台湾が加盟、文字通りアジア太平洋地域を包含する経済協力機構となった。これは、わが国が誇るべき外交成果であった。

次第にAPECはアメリカ主導による貿易自由化推進の場としての色彩を強めた。ところが、アメリカはいまTPPを自ら主導し、APECを分断し、中国に対抗する経済ブロック化を推進しようとしている。

APECに加盟している中国、インドネシア、フィリピンなどは、TPPには参加していない。TPPはまさに、アメリカに追随し、中国を包囲しようとする国々中心の組織の性格がある。つまり、TPPはアジア太平洋地域を分断し、アメリカ主導の新たなブロック形成の道具になる恐れのある組織なのだ。TPP推進は、日本が自ら築き上げたアジア太平洋の全ての国々を含む平和的経済協力構想の崩壊を意味する。しかも、中国とTPP参加国を分断しておいて、アメリカは自ら中国の市場を押さえようとしている。アメリカのわがままである。

日本は、真っ先にオバマ大統領に次のように直言すべきだ。「TPPは、アジア太平洋地域全体の経済協力という、APECの立脚点に反するものだ。アジア太平洋の分断につながるからこれを推進するのは止めなさい」と。そう言ってやることが、アメリカの友好国である日本が果たすべき役割である。

ところが、菅直人前首相は、このようなアジア太平洋地域を分断する恐れのあるTPPに喜んで乗ってしまった。そして、三・一一の大震災の後、一時的にTPP交渉参加についての結論を先送りしていたが、この間アメリカ政府は日本政府に強い圧力をかけ続けた。野田総理は表面上は曖昧な態度をとり続けながら、TPP推進派に対しては、TPP推進の姿勢を示していた。菅氏と野田氏には、TPPを推進するという約束があったのではなかろうかと言われている。私は、すでに野田内閣はアメリカ政府に対して、日本政府はTPP交渉に参加すると伝えていたのではないかと推測している。野田首相は国内と海外の対応を使い分けている。

野田政権が十一月上旬のG20サミットで「大増税」を国際公約したことにも、この政権の財務省寄りの姿勢と、対米従属的性格が如実に示されている。野田政権は従米・従財務省政権である。

野田首相は十月末の国会における所信表明演説では一言も語らなかった消費税増税を、十一月三日のG20サミットにおいて国際公約をするという大フライングを犯した。消費税増税という政治の大事を日本国民には何も語らず、国権の最高機関の国会において一言も言わないまま、国際公約するとは、日本国民に対する裏切り行為にほかならない。これほどひどい首相の裏切りはほとんど例がない。

http://gekkan-nippon.com/?p=1651  

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コメント
 
01. 2011年11月24日 20:18:28: IQRNQvFPcI
なぜか、この問題では極左と極右が一致しているようだ。(両極端は一致する)

気持ちが悪い、寒気がする。

この世の中、そんな単純じゃないだろうに。

開国とか、独立とか。


02. 2011年11月24日 21:22:34: 4GxHq9ub7o
悪い物は悪いんだよ。

気持ち悪いとか寒気だけならいいが、
そのうち…になるよ。


03. 2011年11月24日 21:41:23: dxRUrDKLng
平成の開国とかほんと気持ち悪いわ

04. 2011年11月24日 23:05:07: viQGFYMgcw
>01

で、お前は実は賛成派とか言うなよ?w


05. 2011年11月25日 00:08:14: AyeKR4sSts
日本独立運動には賛成です。

この際、霞ヶ関・国会議事堂一帯のみを日本国とし、TPP適応国とする。
それ以外を新日本国とし、新たな憲法を制定する。
ついでに、国会議員並びに国家公務員の住民票所在地はTPP適応国内に設ける!


06. 2011年11月25日 00:31:55: sUpHQ8Q75g
日本人は
サンフランシスコ講和条約発効で独立したと
信じ込まされたまま半世紀以上も過ごしてきた

政府や害霧省に騙され続けていたことに
そろそろ気付いても良い頃だ
その気付きは洗脳開放の第一歩である

洗脳から開放され始めると
歴史の1コマ1コマが徐々につながってくる
すると歴史に差し込まれた嘘の数々が
不思議と浮かび上がってくる

これは支配層の最も嫌がることであろう


07. 2011年11月25日 01:56:58: z37lvO1nsg
森田 実は昔から反米保守の評論家ですね。

そう言えば、過去に本誌で小沢一郎は理念無き政治家だと。

イデオロギーと理念を取り違えてないかね?


08. 2011年11月25日 02:50:51: UoZQsVjG6Q
森田実はテレビに出てやはり、小沢一郎の「政治とカネ」で他のゴミ芸人と同じで悪口を言ってましたね。(大マスコミに出るための条件のようで)

ちょっと驚いたのは、関西テレビ・アンカーで日本が大震災などで苦しんでいる
のに経済的に「オバマ大統領を助けなきゃいけない」と言っていた。


09. 2011年11月25日 04:21:48: Xdf4NlSuzY

 日本を見守ってきた高き見地の長老は“機を見て敏”の如く動く。
 

10. 2011年11月25日 11:03:19: 8cCijdwH5U
>08
>経済的に「オバマ大統領を助けなきゃいけない」と言っていた。

森田のいうことは正解だ。世界でまあ健全といえるのは
日本だけ。経済はグローバル化しているのでどこかの国が
おかしくなれば助けなければ自国経済がおかしくなる。

森田は東北はほっとけと一言も言っていない。
おかしな発想はマスコミでないんなら止めた方がいい。



11. 千葉の漁師 2011年11月25日 11:58:13: jpuZ69eQW/9II : 6BB2sQsMvc

小沢氏をどう評価するかで評論家の価値が決まる。
今度自分が国民から評価される立場になる。

小沢氏の問題はその試金石になる。バカか利口か。
金を貰っているかいないか。権力側か国民側か。モドキもいるからな。


12. 2011年11月25日 14:09:36: DrfEnlxz8Y
法律的に、”日本は独立国家でない”と日本政府は国民に説明しないと
いけませんね。独立国家だと信じていましたが、例のペテン・ダマシでしたか。

日本の将来像、これをはっきりさせないと、日本の将来議論できません。
植民地だとすれば、こうも収奪され続けた挙句は、潜んでいた大和魂が、
出てくるかもしれません。
国家は、独立で、自立しないと未来はありません。
アメリカ人よ、今まで日本人をペテンにかけていたのか?

在日米軍は、アメリカに帰ってもらいましょう。
(沖縄県民の願いでもあります。に日本の願いでもあります)
アメリカも財政難の折、滞在費も大変でしょう。
居ってもらいたくないのに居座っておられます。
思いやりの気持ちもなくなりました。
日本も財政難の折、思いやる予算は出費できません。

日本ののど元に、米軍が駐在している。
情報は全て傍受されて外交は筒抜けである。
スカルノ大統領の言われた通りです。
『国内に米軍がいてなにが独立国家だ。と、、、』
目が覚めました。

日本列島は日本自らが守ります。
東南アジアは、和で包み争いがないようにします。
争いがある場所で、貿易など考えられません。
鳩山―小沢民主政策、素晴らしかった。
自民党もできない構想だった。
菅―野田政権は、アメリカ政府そのものです。売国奴なり。


13. 2011年11月25日 16:05:37: plFS7oPPjk
いつになったら、日本が独立国になるのやら。新大日本国誕生が待ち遠しい。

14. 2011年11月25日 16:23:16: 8SBxIwlRbw
TPPについては極右も極左もないでしょうね。
我が国が独立国でいられるかどうか、そういう問題なのですから。

今回のTPPは、石原慎太郎ですら、本質を見抜いています。
>大体、小泉(純一郎 元内閣総理大臣)時代にやったんです。アメリカの市場原理主義といったら、日本に何しましたか。物事をアメリカのパターンでなぞられることで、幸せになったいい国がありますか。つまり、アメリカのグローバリズムというのはそういうことなんだ。アメリカのシステムを押しつけることなんだ。今度のTPPだってそうじゃないですか。

小泉ポチ首相の改革で、我が国民の生活はよくなったか、
アメリカの要求を呑んで製造業への非正規労働者を拡大した結果
平均給与は下がり、ワーキングプアーが生まれ、
いまや10代の7割が非正規労働者という格差社会となった。
一方で、その利益は外資と役員報酬にあてられ、1億円以上の収入のある
役員が350人(2010年)も出る様になった。

アメリカ軍は我が国に治外法権を強いてきている。
ようやく軍属を我が国裁判に任せる動きがでてきたが、
基本的に、その独立国で犯罪を犯せば、その国の裁判をうけるのが
あたりまえ、
アメリカは日米地位協定により、治外法権を維持している。
そして、今度は、関税自主権を奪い、アメリカルールに従わせるということだ。
TPPは我が国をアメリカ属国にするということがこれらからもよくわかる。

TPPに参加したら
治外法権撤廃、
関税自主権回復なんて、100年前の対アメリカ交渉がこれから、
何十年もつづくことになる。

だから、極右も極左もない。
TPP反対で、一致することが大事だ。


15. 2011年11月25日 18:57:07: VNWgmykKTs
極左しかない日本の政党政治において、国益を語ると極右と言われる。
属国の分際で、と言われるが形上独立国となっている。

TPP参加交渉は最後のチャンスだ。
対米隷属は終了させよう!
と、後ろを振り返ると、お花畑な人々がポーとしている。


16. 2011年11月25日 19:28:22: L2TUvaEcjw
森田爺さん、年をとって昔を思い出したらしい。

それにしても言うことが整合しないジジイだ。


17. 2011年11月25日 19:56:05: K7Z0LZyAEE
森田も己の損得勘定だけでしゃべっている風見鶏だ。
彼が何を言おうが、それを論評すること自体時間の浪費である。

18. 2011年11月25日 20:06:06: IQRNQvFPcI
1です。

一致するなら脱原発、福島原発封じ込めだろう。

今の日本の最優先課題だ。

石原よ、原発ではあまり民衆受けできなかったようだな。

TPPがどうのこうのと抜かしてる暇はないぞ。

おまえのところの東電にこそほざけ。


19. 2011年11月25日 20:13:09: TkYNhEDiGU
小沢さんは、まず政権を取る、次は政界再編だといってたが
その方向に向かってる。だけど誰かが小沢さんを動かさないようにしてる。

20. 2011年11月25日 22:50:16: aOuaygMue6
平成の開国だって?とんでもない。明治の開国は、攘夷論を踏まえ、止揚した開国だった。
今度の菅、野田のやってることは、列強に食い物にされた、100年前の清国の宰相と同じこと。
開国じゃなくて、売国のTPPだ。

21. 2011年11月25日 23:11:28: ZA9NtAe9so
TPPに賛成する小沢一郎
外国人参政権付与に賛成する小沢一郎

天皇を、自分の売名行為のために、中国に売った小沢一郎

小沢では、日本は滅ぶ


22. 2011年11月25日 23:35:43: A1m3yqlVVQ
21>根拠なしに小沢さんのネガデェブキヤンペーン
鳩山小沢ドクトリン支持、小沢政権願望!

23. 2011年11月26日 00:37:35: eEdDplVwaI
98%の石油を止められ、アメリカの敗戦国となった・・・日本。

リメンバー「石油禁輸98%」。

がんばれ日本は敗戦国だと言う事を忘れるな!

いつか・・・お返してやりたい。
ついでに、TPPなんか参加させない。

以上


24. 2011年11月26日 01:34:27: ZA9NtAe9so
>19
>小沢さんは、まず政権を取る、

それは無理!!

日本国民が、許さない

外国人参政権付与推進派
TPP賛成派
日本の天皇よりも、中国のほうが、大事の小沢は

日本をほろぼす


25. 2011年11月26日 01:44:47: R2n26rd8Cw
24. ZA9NtAe9so ZA9NtAe9so よ
このせんずり軍団のぱしりよ、寝ぼけた戯言を抜かすな。日本の天皇よりも、中国のほうが、大事だと。貴様は頭が抜けているのか。どこでそんな糞記事を仕入れたのだ。赤旗か? てめぇみたいな餓鬼がおるから日本が滅びるんだ。出て行けよ、北でもいきな。愛国心なきルーツの世界へ。奴隷船に早く戻れ。この洟垂れ小僧!!

26. 2011年11月26日 03:02:39: 14crGWgRJM
アメリカ石油資本は世界世紀油の98%を手中に収めた。
原発もダメ
石油は米国資本家たより
そんな日本は何処へ行く

27. 2011年11月26日 08:19:20: 0cS7QMjEKc
開国?かの坂本龍馬も英米やユダヤの
武器商人の手足となることで私服を肥やしただけの売国奴。
あの時代に売国奴が英雄に祭り上げられるor後押しされるとゆう
今へと至る諸外国に都合の良い日本のメディアシステムが
悪意を持って明確な形で築かれた。大手メディアはTPPの不味さを報じない。

28. 2011年11月26日 09:16:35: dpp0eXCVak
21(ZA9NtAe9so)よ!
TPPに賛成する小沢一郎→根本的な問題解決が先っていってるでしょ?(笑)
外国人参政権付与に賛成する小沢一郎→自民党が先なんですが(笑)
天皇を自分の売名行為のために中国に売った小沢一郎
     →中国に恩を売ったんですよ
     分かっていないなぁ!次の中国トップが天皇陛下に会えなかったら
     中国国内で何と言われるか?その人のメンツを保った!
     これこそ外交でしょ!(笑)
     宮内庁長官は政治的意図で公にしただけ!
     宮内庁長官が裏でだれと繋がっているかを調べたらいかが?(笑)

小沢では、日本は滅ぶ→菅・野田でもうすでにアメリカの植民地政策が進行中
           21が心配しなくても野田政権なら来年には
           日本は滅びますよ(笑)


29. 2011年11月26日 14:14:03: K7Z0LZyAEE
21よ!
天皇陛下をそんなに大切に思うなら、なぜノーパンしゃぶしゃぶ店に出入りした不浄の輩、しかも陛下のご健康の管理も出来ずにいる羽毛田を宮内庁長官に置いておくのだ。
彼に辞職を迫るのが先であろう。この不忠、口先男め!

30. 2011年11月26日 14:22:33: d5yv3mlljI
アメリカ人よ、今まで日本人をペテンにかけていたのか?

在日米軍は、アメリカに帰ってもらいましょう。
(沖縄県民の願いでもあります。に日本の願いでもあります)
アメリカも財政難の折、滞在費も大変でしょう。
居ってもらいたくないのに居座っておられます。
思いやりの気持ちもなくなりました。
日本も財政難の折、思いやる予算は出費できません。

日本ののど元に、米軍が駐在している。
情報は全て傍受されて外交は筒抜けである。
スカルノ大統領の言われた通りです。
『国内に米軍がいてなにが独立国家だ。と、、、』
目が覚めました。

日本列島は日本自らが守ります。

///// 賛成!  UTUBEなどの TPP 関連動画をみても


   30万人もの人が視聴して、反対が1000名以上 賛成は10人いない。


   日本人は覚醒したようです。アメリカ軍は日本の基地から撤退していい。
   日本は核を保有して、日本国民が自分で空母をもちミサイルをもち、
   空母を保有して自分で守ります。
   でも日本は戦争はしません。 日本を疑うなら 中立宣言します。

   


31. 2011年11月26日 14:56:39: S89Olq12Mo
TPPに成ると、外資の土建屋も入り込んで来ますよ。農業と同じで、巨大農業
株式会社が残るだけです。同様に地方の中小の建設会社等、あっと言う間に、
消されてしまうのですよ。例えば、昔は、電気街と言うのが有りましたが、現
在では、大手の3社位に統一されてしまう様な事が、土建屋の世界でも起こる
だけです。アホ菅と大企業は自民党よりくっついてしまって居るのが、現状で
す。景気対策よりも、大企業中心政治を止める声が、民主党も自民党も、みんな
の党からも出ない事が悲しい日本の現状です。大企業の為には、戻し税が有り
、しかも法人税率を下げると言う状態では、どんな世界でも、大手3社位しか
生き残れませんよ。 世界中でダンピング出来た商品しか売れないと言う事は、
それが出来る大企業だけが残ると言うのがTPPの世界です。 強者の大企業のみ
が生き残るのがTPPです。
TPPで残る、大手の3社は外資のみに成り、日本の資本が海外に移動するだ
けで、収益は全て米国に持って行かれて居る韓国の様に3分の2が非正規社
員に成るだけです。カナダの農業も、殆どが、米国メジャーの支配下に成り
、TPP前より、農民の収入は減って居ます。TPPの目的は簡保の宿と同じ方法
で公的病院を手に入れ、株式会社にして、医療費をごっそり米国に持って行
く事です。当然国民は高額な医療費で地獄に落ちます。

32. 2011年11月26日 18:39:58: N6ylYYDdgA
法的に、公式に、治外法権を認めろというほうも言うほうだし、
はい、そうですか、治外法権のある自由貿易の条約ですね、はい考えてみます、なんて言うほうも言うほうだ。あきれかえり度500パーセントだ!この分岐点でのベクトルの違いは、極端なコントラストを見せている。

ばかやろう冗談じゃねえ、人様の国に何を言うかという怒りを持つ人はまとも。
でもまともな人多いけれど、もっと多いと思っていたよ。
実質さまざまなところでは、内政干渉を受けているが、肝心の法律では、日本は独立国を少しも誰にも譲ってはいないんだよ。

この治外法権と、自主性の喪失と、それが奴隷であることが、頭の中で一致しない日本人が、いっぱいいて、びっくりだ!
おいおい、もしそうなったら、あとで子供みたいに泣き面をするということなのか?
この国に生まれて、自分に一番関係のあることだ。
いい大人が、全く分かっていない今の日本に失望だ。
よくここをはずしてtppなんか語れるね。
独立国の独立の意味をどうしてそんなに知らないの?
そこまで無関心になれる国民は、日本に繋がっていて、恥ずかしいとは思わないか?

そして、そんな日本だけれども、きっとよくなると信じる。


33. 2011年11月26日 18:50:27: HCF3LmPLDo

 *** 愛の愛は愛の TPP大賛成 ***


 別の切り口もあるんじゃ〜〜〜ね〜〜の

 低学歴 低所得 : 圧倒的多数がTPP反対

 低学歴 低所得に 媚をうる評論家 : TPPに反対

 低学歴 低所得 利権団体に 票を依存する政治家 : 恰好だけTPP反対

 ===

 アメリカに 媚する外務省 : TPP賛成

 アメリカなんて怖くない官僚 : TPP大賛成

 金持ち 高学歴 : TPPなんて怖くない

 経済界 : TPP推進

 ===

 自民党 : TPP分裂(細胞分裂の一種)

 共産党 : TPP火災(いつでも炎上する)

 みんなの党 : TPP賛成

 ===

 愛は 高学歴 高収入 : TPPなんて怖くない 大賛成 だけど〜〜

 ===

 みなさんは まさか百姓してるわけでもないし どのカテゴリー ?? 
  


34. 2011年11月26日 21:26:39: 5yzUVHZwbY
>低学歴 低所得 : 圧倒的多数がTPP反対

そうは思えんな。ミンスガーでとにかく反対しているウヨもいるが、
小泉竹中の頃と同じアメポチ精神で、TPP賛成しているクズも多い

ノウキョウガーという人種で農民憎しで、TPP賛成している単細胞もいる
イシカイガーという人種で農民憎しで、TPP賛成している単細胞もいる


【正解】低学歴 低所得 : 結構な数がTPP賛成

理由)ネットウヨ(小泉シンパ)は賛成している
理由)情報弱者(小泉を今でも評価している)は、輸入品が安くなるので、
いいことだとのメディア誘導に釣られて賛成している


35. 2011年11月26日 22:22:19: HCF3LmPLDo

 *** 愛の愛は愛の ほほう ***


 日本には 【正解】低学歴 低所得 : 結構な数がTPP賛成

 が2割で

 高学歴 高収入が 8割ですか〜〜〜

 ===

 日本は ブータンより 幸福な国だな〜〜〜

 TPP反対は それをしめしている
 


36. 2011年11月27日 00:33:49: aI8Qkyt1wM
あほの某都知事大阪行って応援してんじゃねぇよ。
しっかりせぇよ。
情けない。

37. 2011年11月27日 01:26:01: QsrQdo37W2
 TPP誘導論議の無視は可能です。急いては事(=国)を仕損じる。
 ゆっくり一からやれば良い。 焦るとオバケに憑かれる。

38. 2011年11月27日 05:56:44: tGnka4KMqU

地方公務員56歳平職員としての意見を聞いてもらいたい。

ダメリカの狙いは、郵便貯金残高300兆円にある。

これだけ、まとまっていて、抵当のない金「お金」は、

他にないのである。仮に「ケイマン諸島」にもさ!!

TPPっていうのは、そういうことさ!

この国は、敗戦国であるから、仕方がないのかもしれないけれども、

いつまで、戦勝国ダメリカCIA,電通に「しゃぶられ」続けらねば

ならないのでしょうか?

沖縄は頑張れ!、沖縄は、日本国から独立するべき・・・と思う。

56歳、現役地方公務員の意見です。


39. 2011年11月27日 09:09:50: TmrAe1X1is
>31
>強者の大企業のみが生き残るのがTPPです。

条件が同じなら大規模なところが強いのは当たり前。
だったら小さいところをまとめて大規模になればいい。

>当然国民は高額な医療費で地獄に落ちます。

医療費が高騰すれば、医療をうけられない奴も出てくる。
日本の平均寿命が急激に短くなる。世界水準になっていいんじゃない。


40. 2011年11月27日 10:32:54: aUtiNLI6EI
TPPでは日本は手かせ足かせをはめられる。
日本の独立自尊は、大いに願うところだが
アメリカに正面きって対立すべきではない。
右翼と左翼は信じるな。

柔よく剛を征するとは、日本知恵だ。


41. 2011年11月27日 13:57:38: 3CYVeKWHaA

米国の奴隷になります。YES! 奴隷には見せない「国民身売りTPP英文契約書」にサインってか?

奴隷商人は契約書を全部読んで理解してない。金が入れば全てOKなんだだろ?

笑って売国するノダは、19世紀の奴隷商人?

どこで習った?その手口。


42. 2011年11月27日 15:47:18: bnA7N3Y9wY
日本のベース関心派と、好戦的態度終始のからっぽ混ぜっかえし派の混在がここでも見える。良識派は、良識派に対するメッセージはしっかり通じている。今日、国に関しての建設的な意見交換は極めて重要だ。この歩みは決してゆるめてはならない。これは本当に大切なことなのだ。江戸時代の開国もはじめに将来の見通しを立てた人間達はわずか数人だったそうだ。今崩壊中の世界の中での、崩壊中の日本の立て直しは急務。大人の最高の知恵を出し合い、有志の間で対抗策を追究することより優れた解決はない。相互に良い影響、刺激を与えあう中では、日本の国の歴史の記憶の倉庫から学び活かすべき知恵も引き出されてこよう。こうした価値共有は高い精神の持ち主にのみ可能なコミュニケーションだ。相互にしっかりした骨格の建設的思考がある態度の大きな賢者の集いは、今日のように混沌とした状況の中では、関心の薄い人々の価値観をさえ変えてしまう可能性がある。そういう重要度を基準としてみると、人間の良識の基礎から欠損している混ぜっ返しは、うるさい蠅みたいなものだ。おなじ人間だが、大きな山と、やはり蠅くらいの大きさの違いがある。

43. 2011年11月27日 16:11:56: Y8SOa4asz6
全く、日本の叩き売り状態ですね。

本格的にTPP参加する年、来年あたりですが
国内で何かありそうですね。

TPPに参加して、生き残れる地方ってあるんでしょうか?
特に、北海道。

日本が道州制になって、TPP参加・不参加に分裂しないか心配です。
ま・・そこまで落ちぶれたら、日本は本当に食われるかも。

特に政府がダメダメなんで、TPPの交渉(品目など)ができるのでしょうか?
私の目には、アメリカの言いなりになる様にしか見えない。

TPPの全品目・・て、どういう事になるのか?
皆さん、想像できますか?

公務員でさえ危ないという話も聞きました。
どうして危ないのかは分からないのですが、相当気を付けた方が良いと思います。


44. 2011年11月27日 16:39:23: 5y33NEKSuQ
〜〜愛は愛のティーピッピ〜〜

ティーピッピは〜〜市場を〜活発にしたい〜アメリカのため〜行われる〜


新しい〜バブルで〜株式を〜所有している〜投資家や〜会社が〜〜エライ儲かりそうで〜ワクワクして〜ます〜


でも〜儲かるのは〜一握りの〜金持ち〜だけ


ほとんどの〜〜国民は〜〜エライ損します〜ー〜!

そして〜日本が〜アメちゃんに〜〜貸してた〜莫大な〜金も〜いつの〜まにか〜チャラ〜〜〜〜〜になる〜〜〜〜


45. 2011年11月27日 18:50:04: HCF3LmPLDo

 *** 愛の愛は愛の 現物 ***
 

 >株式を〜所有している〜投資家や〜会社が〜〜エライ儲かりそうで〜
 >ワクワクして〜ます〜

 
 まったくその通りですね 愛は 無借金の会社の株を買い足そうと思っています

 その会社がつぶれれば ま〜〜悪い夢を見たと思えばよいが

 その会社が生き残れば たいへんな財産になりますね〜〜

 ま〜〜 皆さんには 縁のない話でしょうけど

 ===
 
 >莫大な〜金も〜いつの〜まにか〜チャラ〜〜〜〜〜になる〜〜〜〜

 これは 今でも 絶対に帰ってこない金ですが オバマはこの借金1000兆円を

 日本が放棄すると 発表するように 野田に難題を迫っていて 

 野田は 困っているノダ〜〜

 ===

 いずれにしろ アメリカは破綻するのだけど ユーロに先に破たんしてもらおうと

 画策してるのです ユーロは 来年1月が危ないといわれていて それをしのいでも

 来年3月には次の山が来るそうです どうなるのでしょうかね〜〜
 
 
 ま〜〜 明らかにTPPよりも 大きな山が先に来ることだけは間違いない

 ===

 一説には ユーロが一つの国になる というのがあって そうなれば

 アメリカは完全敗北になり ユーロは甦ることもありだそうです

 ===

 >生き残れる地方ってあるんでしょうか? 特に、北海道


 このような心配は不要ですね 何が問題かというと ユーロでは 通貨はユーロで共通だが

 政府がたくさんあるのが問題なのです 政府がなくなれば ギリシャだって

 イタリアだって 甦る可能性はありますよね〜〜〜
 
 ===

 北海道は日本の一部なので 日本というくくりで考えるべきで

 北海道単独で悩む必要はないでしょう
 


46. 2011年11月28日 02:41:24: gLODyarejs

 内閣官房の資料は、「TPPがアジア太平洋の新たな地域経済統合の枠組みとして発展していく可能性」があり、「TPPの下での貿易投資に関する先進的ルールが、今後、同地域の実質的基本ルールになる可能性」があると指摘しています。
 しかし、その可能性はかなり低いと言わざるを得ません。なぜなら、中国と韓国がTPPには参加しそうにないからです。その上、もし日本が参加しなければ、日中韓が参加しない貿易協定となります。それでは、アジア太平洋の新たな地域経済統合としての枠組みには発展せず、同地域での実質的基本ルールにもなり得ないでしょう。

 内閣官房の資料は、「TPP交渉への参画を通じ、できるだけ我が国に有利なルールを作り」と指摘しています。確かに、ゲームに参加しなければ、ルール作りもさせてはもらえないでしょう。しかし、日本がTPPに参加して自国に有利になるようにルール作りを主導できる可能性は、ほとんどありません。それは、TPP交渉参加国の顔ぶれを見ればわかります。2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国による経済連携協定(通称「P4」協定)が発行され、現在はこれにアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが加わり、9か国で交渉が行われています。

 そもそも、国際ルールの策定の場では、利害や国内事情を共有する国と連携しなければ、交渉を有利に進められません。多数派工作は、外交戦略の初歩です。ところが、TPP交渉参加国の中には、日本と同じような利害や国内事情を有する国はなく、連携できそうな相手がまったく見当たらないのです。

 まず、アメリカ以外の参加国は、日本と違い、外需依存度が極めて高い「小国」ばかりです。しかも、アメリカも輸出の拡大を望んでおり、これ以上、輸入を増やすつもりはありませんし、そうするための政策手段も持っています。つまり、TPP交渉参加国すべてが、今や、輸出依存国なのです。

 また、特異な通商国家であるシンガポールを除くすべての国が、一次産品(鉱物資源や農産品)輸出国です。マレーシア、ベトナム、チリなど、低賃金の労働力を武器にできる発展途上国も少なくありません。

 こうした中で、日本だけが一時産品輸出国ではなく、工業製品輸出国です。また、国内市場の大きい先進国として、他の参加国から労働力や農産品の輸入を期待されています。しかし、日本は深刻なデフレ不況にあるため、低賃金の外国人労働者を受け入れるメリットはありません。そんなことをしたら、賃金がさらに下落し、デフレが悪化し、失業者は増えてしまいます。そして農業については国際競争力が脆弱であるのは言うまでもありません。日本の置かれている経済状況だけが、TPP交渉に参加している国々とは際立って異なるのです。それどころか、むしろ、利害は相反すると言ってもいいでしょう。

 さて、日本は、いったいどの国と連携して多数派を形成し、自国に有利なTPPのルール作りを誘導することができるというのでしょうか。できるわけがありません。

 しかも、TPPのルールは、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイによるP4がベースとなるものと考えられます。つまり、P4が今後のルール作りを制約するのであり、白地から策定されるわけではありません。そのようなハンディキャップを背負って、外需依存度の高い小国と一時産品輸出国を相手に、日本に有利なルールを作ろうというのは、あまりにも無謀というものです。

 TPPは、GDPのシェアで見ると実質的に日米FTAです。日本とアメリカ以外のGDPは、ごくわずかです。しかし、国際的なルール作りにおける一国の発言権は、経済力の大きさを必ずしも反映しません。ブルネイもチリもベトナムも、一国としての発言権を有しています。そして、TPPのルールが、自国の利益になるように働きかけます。これらの国々は、アメリカと声をそろえて農産品の市場の開放を求める一方で、自国の国内市場も開きはしますが、その市場規模は極めて小さいのです。

 TPP交渉参加国の実質的な輸出先は、アメリカと日本しかありません。そしてアメリカの輸出先は、ほぼ日本だけであり、日本の輸出先も、ほぼアメリカだけです。しかし、そのアメリカには、輸入を増やす気は毛頭ないのです。

 このような関係から次のような状況が生まれ易くなると想像できます。まず、アメリカ以外の交渉参加国は、アメリカとの交渉が難航した場合、代わりに日本への輸出の拡大を目指すことになるでしょう。そしてアメリカの狙いも日本市場です。アメリカがごねれば、その時点で、全ての交渉参加国が日本市場をターゲットにするのです。

 ですから、私がアメリカなら、他の交渉参加国に対してさんざんごねた後で、こうもちかけるでしょう。「我々との交渉では譲歩してくれ。その代わりに、我々が日本市場をこじ開けるから、一緒にやらないか」。こうして、アメリカ主導の下、全交渉参加国が、日本に不利なルール作りを支持することになるのです。要するに、TPPのルール作りは、参加各国の経済構造から生まれた政治力学によって、アメリカ主導で進むように仕組まれているということなのです。

 TPPの交渉に参加したとたん、日本は、アメリカが主導する外需依存国・一時産品輸出国の連合軍に、完全に包囲されるでしょう。日本と同様に工業品輸出国である韓国は、それが分かっているからこそ、TPPではなく、アメリカとの二国間の交渉で勝負できる米韓FTAを選択しているのです。

 内閣官房の資料は、「逆にTPPに参加しなければ、日本抜きでアジア太平洋の実質的な貿易・投資のルール作りが進む可能性」などと書いて、危機感を煽っています。しかし、繰り返しますが日本だけではなく、中国も韓国も「抜き」なのです。

 逆に、中国と韓国がTPPに参加してから、その後で日本が参加した方が、日本に有利なルール作りが進む可能性がより高くなるというものです。中国は例によって、強力な外交力を発揮して、TPPに数々の例外措置を設けさせ、TPPのルールをよく言えば柔軟に、悪く言えば骨抜きにしてしまうでしょう。そうなれば、日本に有利なルール作りの余地も出てくるかもしれません。さらに韓国は、同じ工業品輸出国として、日本と連携してくれる可能性がないとも限りません。

 いずれにせよ、日本だけで、アメリカを先頭にした多くの農産品輸出国を相手にするよりは、中国と韓国がいてくれた方が、形勢が少しはましになるでしょう。TPPに早期に参加しない方が、かえってルールが有利になる可能性が出てくるということです。

 内閣官房の資料は、「アジア太平洋の地域経済統合枠組み作りを日米が主導する政治的意義大」などと掲げております。しかし、TPPにおいて、日本がアメリカとともに、経済統合枠組み作りを主導することなど、できはしません。TPP交渉を主導するのは、間違いなく最大の大国アメリカです。

 アメリカは農産品輸出国であり、日本の農業市場の開放を望んでいますが、日本からの輸入の増加は望んでいません。日本が自国の農業市場を保護しようとする限り、日米の利害は相反しているのです。ですから、日本がTPP交渉において、自国に有利なルールを作ろうとしたら、アメリカと対立することは避けられません。しかし、今の日本は、アメリカに妥協せずに主張を押し通せるようなポジションにはないのです。

 日本の対米隷属はいつものことですが、最近、その傾向はより顕著にならざるを得なくなっています。なぜなら、尖閣沖における中国漁船の事件や、ロシア大統領の北方領土問題など、領土問題が深刻化しているからです。

 戦後の日本は、しばしば、安全保障問題を人質にとられて、通商問題でアメリカに対する妥協を強いられてきました。古くは、1960年代の日米の繊維交渉があります。日本からの輸出によって繊維産業が打撃を受けたアメリカは、日本に輸出規制をするよう求め、交渉の結果、1972年の沖縄返還の見返りとして、日本は繊維の輸出を自主規制することになりました。この交渉結果は、当時、「糸を売って縄を買った」と揶揄されました。その後の日米の貿易摩擦においても、陰に陽にと、安全保障の問題がからめられました。そして今もまさに、尖閣沖や北方領土において安全保障上の問題が発生するという事態に直面している中で、軌を一にして、TPP交渉参加問題が持ち上がっているのです。

 日本は、普天間基地移設問題でアメリカに借りを作っている上に、領土問題に対処するために、これまで以上に、アメリカに助けてもらわなくてはならない立場にあります。そして、そのような中で、弱腰外交が基本の日本があのアメリカに妥協せずに、自国に有利なルールを作ることができるなどと考える根拠がわかりません。

 内閣官房の資料は、TPP参加の意義として、「アジア太平洋地域の貿易・投資分野のルール作りにおいて主導的役割を果たすことにより、国際的な貿易・投資分野の交渉や、ルール作りにおける影響力を高め、交渉力の強化に貢献」することを挙げています。

 日本がTPPに参加して、「アジア太平洋地域の貿易・投資分野のルール作りにおいて主導的役割を果たす」ことは、ほぼ不可能ですので、TPPで、日本の国際的な影響力や交渉力は、まったく強化されないでしょう。

 それどころか、TPPに拘束されることによって、日本の国際的な影響力や交渉力は著しく低下する恐れがあります。それを的確に指摘するのは、田代洋一・大妻女子大学教授です。

 田代教授は、TPP交渉参加によって、すべての品目を自由化交渉対象とすることは、WTO交渉や、EPA/FTA交渉に影響を与えると主張しています。 

 WTO交渉では、食糧安全保障など、貿易以外の重要事項において配慮することが可能であり、日本はWTO交渉において「多様な農業の共存」を主張してきました。また、EPA/FTA交渉においては、自由化の例外品目を設けることが可能です。しかし、全品目を例外なく関税撤廃交渉の対象にするTPPの協議に参加していると、WTO交渉において非貿易関心事項への配慮を主張したり、EPA/FTA交渉において例外的措置を主張した時に、TPPにおける立場との矛盾が生じてしまいます。そのため、日本は、交渉上、不利な立場に追い込まれてしまうのです。つまり、TPPへの参加は、TPP以外の貿易交渉においても、日本が泳げる範囲を狭め、選べる選択肢を極端に減らしてしまうということです。

 「そのような立場に追い込まれても、まったく問題ない」と言えるのは、「あらゆる国との貿易関係においても、例外なき関税の即時撤廃が望ましい」という場合に限られます。つまり、原理主義的な自由貿易論者が正しい場合です。しかし、完全な自由貿易が望ましいなどということは、現実の世界ではありません。

政府は、どうして無理な理屈を積み重ねてまで、TPP交渉への参加を急いだのでしょうか。

 その理由を示すヒントが、内閣官房の資料にあります。そこには、TPP参加の意義のひとつとして、2010年11月の「横浜におけるAPEC首脳会議の主要な成果」という文言があります。これがTPPの議論を急いだ理由なのです。

 おそらく政府は、2010年11月のAPECを前にして、めぼしい成果を見つけることができなかったのでしょう。何の成果もなく、何のメッセージも発しないで、単に各国首脳が集まっただけに終わった国際会議が、世論の批判を浴びるのは確実です。ただでさえ、「日本は海外に明確なメッセージを発信できない」とか、「日本は外交力がなく、国際会議での存在感がない」というのが、国際会議終了後のマス・メディアのお決まりの論評です。

 その上、2010年11月のAPECを前にして、尖閣沖や北方領土で領土問題が顕在化し、菅前政権の外交力が批判にさらされ、内閣支持率は急落していました。2010年11月のAPECをどういうオチにするのか。政府が焦っていたのは想像に難くありません。

 政府は、おそらく、2010年11月のAPEC開催地の横浜にちなんで「開国」をメッセージにしようと考えていたと思います。それは、幕末・維新のイメージを好む菅前首相の趣味にも合っていました。しかし、日本の関税率はすでに相当低いですし、10年以上にわたる構造改革のおかげで、関税以外の参入規制も、めぼしいものはほとんど残っていませんでした。そうなると、何をもって「開国」の実を示せばよいのでしょうか。おそらく、このような感じで悩んでいるところに、TPPという話が持ち込まれ、政府は「願ったりかなったり」とばかりに、これに飛びついた。そういうことではないでしょうか。

 こうして、TPPを「2010年11月の横浜におけるAPEC首脳会議の主要な成果」とすることそれ自体が、TPPの目的になってしまいました。TPPは、国際会議が成功したという形式を整えるために持ち出されたのです。もちろん、そんな目的を掲げるわけにはいかないので、「アジア太平洋の成長を取り込む」だの「国を開くというメッセージ効果」だの「アジア太平洋の地域経済統合の枠組みになる可能性」だのといった、強引な理屈が並べられたのでしょう。結論ありきで理由を後から付けるのでは、論理が苦しくなるのも当然です。

 結局、政府は、2010年11月のAPECでは、TPPについて明確な方針を打ち出せず、「情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」とするにとどまりました。さすがに1カ月では決められなかったのです。TPP交渉参加の最終的な方針は、当時、2011年6月をめどに出されることになりました。

 しかし、政府が、2011年6月に向けてTPP参加の是非をめぐる十分な議論を進めようとする様子はまったくありませんでした。政府が精力的に進めようとしている議論は、「どうやって反対派を黙らせて、TPP交渉参加という結論に持ち込むか」という戦術論だけです。政府は、「情報収集を進めながら対応」と言ってはいますが、結論に都合のよい情報しか、集めようとしないのは、目に見えていました。

 政府は、TPP交渉参加という結論ありきで、その結論に向かって、止まらなくなっていたのです。マス・メディアにおいても、TPP反対論は、農業関係者以外ではほとんど見当たりません。TPPには農業だけでなく、金融、サービス、人の移動など、危険な問題が山積しているのに、「自由貿易」「開国」といったムードだけで、話が進もうとしています。政府は、「政治のリーダーシップ」「政治の決断」の美名の下に、TPP交渉への参加を強引に決めてしまったのです。


47. 2011年11月28日 02:45:59: gLODyarejs

 国内の足元が危なくなったオバマ政権は、雇用を増やすため、そして支持をつなぎとめるために、なりふりかまわなくなっています。そして、TPPは、そのための手段のひとつなのです。アメリカには、TPPをアジア太平洋諸国にとって互恵的な「新たな地域経済統合の枠組み」の基礎にするつもりなど、毛頭ありません。そのことを確認するために、2011年1月25日夜(日本時間26日午前)の大統領一般教書演説を参照してみましょう。

 まず、一般教書演説の中には、「自由貿易」という言葉はひとつも出てきません。アメリカは、かつてのような互恵的な世界自由貿易体制の守護神をもはや自任してすらいないのです。そして貿易政策については、次のように述べています。

 企業がもっと海外に製品を売るのを助けるため、我々は2014年までにアメリカの雇用をを2倍にする目標を設定している。なぜなら、我々がより多く輸出すれば、この国でもっと雇用を増やせるからだ。すでに我々の輸出は増えている。最近、我々はインドと中国との合意に署名したが、それは合衆国の25万人以上の雇用を支えることだろう。そして先月、我々は韓国との貿易協定に合意したが、それは少なくとも7万人のアメリカ人の雇用を支えるだろう。この協定は、産業界と労働者、民主党と共和党から前例のない支持を得ている。そして私は、議会に対し、これを可及的速やかに通すことを要請する。私は就任前、貿易協定を強化すること、そして、アメリカの労働者を裏切らず、アメリカの雇用を促進するような協定にのみ署名することを明言した。それこそが韓国との協定であり、パナマやコロンビアとの協定交渉やアジア太平洋そしてグローバルな貿易交渉の継続の中で私がやろうとしていることである。

 
 貿易政策については、これで全部です。まず、オバマ大統領は、貿易協定が、アメリカの雇用を増やすための輸出倍増戦略の一環であることを重ねて強調しています。そして、アジア太平洋との貿易交渉も、その中に位置付けています。オバマ大統領の視線は国内にしか向いていません。完全に内向きなのです。

 逆に言えば、オバマ大統領の施政方針を示す一般教書演説の中で、TPPは、この程度の扱いなのです。もしアメリカが、国際的なリーダーシップを発揮して、TPPを「アジア太平洋の新たな地域経済統合の枠組み」として発展させるようなグランド・ストラテジーを持っているのだとしたら、このような貧相かつ内向きな言い方をするはずがありません。もっとも、衰えたりとはいえアメリカ合衆国の大統領たる者が、世界中の人々が聞いている一般教書演説の中で、さすがに、利己的に他国の市場を収奪する戦略を高らかに宣言するわけにもいかないから、TPPを含む貿易政策については、この程度の小さな扱いにとどめたのでしょう。

 TPPは、所詮は、アメリカの、アメリカによる、アメリカのための貿易協定に過ぎないのです。アジア太平洋の地域経済統合とか、貿易・投資に関する先進的ルールとか、日米同盟の強化とか、中国包囲網とか、そんな大げさな話では全くありません。勝手に日本国内だけで、そんなふうに大騒ぎしているだけなのです。

 日本が加わった場合のTPPは、GDPにして日米が9割以上を占めます。TPPは、実質的に日米FTAなのです。アジアはほとんど関係がありません。

 TPPにおいて、アメリカが期待できる輸出先は、実質的に日本しかありません。逆に、日本が期待できる輸出先は、実質的にアメリカしかありません。

 ところが、アメリカの国際経済戦略の基本は、経常収支赤字の削減なのです。アメリカは、輸出を飛躍的に増やしたいと切望しているのですが、輸入を増やすつもりは毛頭ありません。これをTPPに置いて考えれば、アメリカは日本への輸出を格段に伸ばす一方で、日本からの輸入は阻止したいと考えているということです。

 では、アメリカは、どうやってTPPによって、日本への輸出を伸ばし、日本からの輸入を阻止しようとしているのでしょうか。

 一見すると、TPPによって日米両国の関税が同じように引き下げられた場合、自由貿易の結果、日本のほうが貿易黒字になり、アメリカは赤字になってしまうようにも思えます。しかし、戦後のGATT/WTOの交渉で、関税がかなり引き下げられている今日では、関税は、もはや、国内市場を保護する主な手段ではなくなっているのです。

 グローバル化した今日の世界において、国内市場を保護するための最も強力な手段は、関税ではありません。為替なのです。

 アメリカは、経常収支赤字の削減という、リーマン・ショック以後の経済戦略の大命題のために、ドル安を志向するようになっています。また、今回の不況が大規模かつ長期化の様相を呈しているため、アメリカは当面、金融緩和策を取らざるを得ず、その点からも、ドル安が基調としてしばらく続くことが見込まれます。このドル安は、日本企業の国際競争力を奪う強力な手段です。

 また、ドル安は、国際競争力で不利になりたくない日本の製造業に対し、アメリカにおける現地生産比率を高めるように仕向けることができます。ドルが安いだけではなく、安定しないリスクだけでも、日本企業が海外生産比率を高めるのに十分な効果を発揮します。

 すでに日本の製造業の現地生産は進展しています。日本の自動車メーカーは、アメリカでの新車販売台数の6割以上を、現地生産車としています。報道によれば、ホンダの2009年のアメリカでの現地生産比率は、8割を超えているそうです。日本の輸出産業は、為替リスクの回避のために、すでに海外生産比率を高めてきているのです。言い換えれば、海外生産の進展によって、関税の有無は、もはや輸出の増減と関係なくなりつつあるということです。ドル安が続く限り、この傾向はさらに進むのは想像に難くありません。

 アメリカでの現地生産が進むのであれば、仮に日本がTPPに参加し、アメリカに関税を全廃してもらったとしても、もはや関税撤廃と輸出競争力の強化とは何の関係もないことになってしまいます。TPPに参加して日本の輸出を伸ばそうという目論見は、ドル安によって潰されるのです。

 その一方で、ドル安でさらに安くなった輸入農作物は、関税の防波堤を失った日本の農業市場に殺到し、日本の農業に壊滅的な打撃を与えるのは、ほぼ間違いありません。グローバルに活動する製造業であれば、海外生産によって為替リスクも関税も回避して生き残れますが、大地に根を下ろして営まれている日本の農業は逃げられません。

 仮に将来、アメリカが経常収支赤字の削減に成功し、あるいは不況脱出に成功して、ドル安が終了したとしても、いったん失われた日本の農業を関税なしで復活させることは、ほぼ不可能でしょう。食糧のアメリカ依存、すなわちアメリカによる日本の農業市場の支配が深まることは確実です。


48. 2011年11月28日 02:49:56: gLODyarejs

 アメリカのTPPにおける狙いの一つは、次のようなものです。

 まず、日本をTPPに誘い込みます。TPP交渉は、その参加国がアメリカの味方になるようになっており、アメリカ主導でルールが形成できる場です。アメリカは、そのTPPに日本を誘い込んだ上で、多数派工作をして日本を包囲します。

 そして、アメリカは、日本の関税の引き下げと同時に、自国の関税を引き下げてみせはします。しかし、ドル安に誘導することによって、日本企業の輸出競争力を奪い、あるいは日本企業のアメリカでの現地生産を促し、自国の雇用を守ります。アメリカにとって関税とは、国内市場を保護するためのディフェンスではなく、日本の農業関税というディフェンスを突破するためのフェイントに過ぎないのです。

 こうしてアメリカは、日本に輸出の恩恵を与えず、国内の雇用も失わずして、日本の農産品市場を一方的に収奪することができます。これがアメリカの狙いです。突如浮上したかに見えるTPPとは、実は、アメリカの輸出倍増戦略の一端として、周到に準備された計略だったのです。

 日本では、「日米FTAを結べない後れをTPPで挽回すべきだ」という議論があります。アメリカは日米FTAには関心がありませんが、TPPであれば前向きなのです。しかしそれはまさに日米FTAよりもTPPのほうがアメリカに有利な方向に進められると判断しているからにほかなりません。

 西洋には、「トロイが木馬を受け取って以来、外国からの贈り物には気を付けた方がよい」という警句があります。オバマ大統領が「環太平洋で連携しましょうよ、カモーン」と言って、差し出してきたTPPという贈り物は、実は、日本の農業市場の防壁を中から打ち破るための「トロイの木馬」なのです。

 経済産業省の試算は、「日本がTPP、EUと中国とのEPA(経済連携協定)いずれも締結せず、韓国が米国・中国・EUとFTA(自由貿易協定)を締結した場合」という前提が置かれています。ここから分かるように、経済産業省の基本的な関心は、欧米中の市場において、韓国との競争に勝ち残るということ、この一点に集中しています。TPPは、韓国との国際競争に勝つための手段なのです。

 内閣官房の資料によればアメリカとEUにおける主な高関税品目は次の通りです。

@アメリカにおける主な高関税品目
  乗用車2.5%、トラック25%、ベアリング9%、ポリスチレン・ポリエステル6.5%、LCDモニター・カラーTV・DTV5%、電気アンプ・スピーカー4.9%

AEUにおける主な高関税品目
  乗用車10%、薄型TV14%、液晶ディスプレイモニター14%、複合機6%、電子レンジ5%

 これらの関税が、韓国については、EUとはFTA発効後5年以内、アメリカとは FTA発効後10年以内に、全廃されます。そうなると、日本企業は、EUとアメリカにおいて、韓国企業に対し、関税の面で不利な状況に置かれます。経済産業省は、これを避けたいと強く思っているようです。

 近年、韓国企業の国際競争力が日本企業を脅かしていると言われています。経済産業省は、韓国企業によって世界市場における日本企業のシェアが、韓国のFTAによってさらに奪われるのを恐れています。そして、日本の経済成長のためには、日本の輸出企業が韓国企業に負けない国際競争力をもつことが不可欠だと考えているのです。 

 ですから、経済産業省にとって、TPP参加の意義とは、韓国との国際競争に勝って、日本経済を成長させることに尽きると言っても過言ではありません。

グローバル化した世界においては、国際競争力には、「関税」よりも「通貨=為替」の影響のほうが大きいのです。

 最近、韓国企業の国際競争力は、確かに著しく強くなっており、日本企業が韓国企業の後塵を拝するようなケースが目立っています。これについては、「韓国はトップの決断力が早いが、日本の意思決定は遅い」だとか「韓国企業は選択と集中を進めているが、日本はそれができていない」だとか、さまざまな説明がなされています。

 しかし、韓国企業の国際競争力の原因は、そんなもっともらしい経営学の話を持ち出さなくても、「通貨=為替」で十分説明できます。というのも、2010年11月は、2006年と比較して46%も円高・ウォン安となっているからです。この4年間で、ウォンの価値は円の半分程度にまで下落しているのですから、これでは、日本に対する韓国の国際競争力が強くなるのは当たり前です。韓国と日本の国際競争は、関税の有無以前に、為替レートで勝負が決まっているのです。ですから、仮に日本が欧米の関税を韓国同様にゼロにしてもらったとしても、ウォンがもしさらに20%下落したら、その効果は相殺されてしまいます。

 逆に、日本に対する関税の引き下げがなくとも、20%の円安ウォン高となれば、関税の存在は問題がなくなります。しかも、為替レートは、理論上は、貿易黒字が増えると高くなります。韓国の輸出の好調が続き、貿易黒字をため込んでいけば、少なくとも理論上は、ウォンは高くなる方向へと圧力がかかるのです。

 もちろん、為替レートが一定という条件の下で試算すれば、関税における日韓の違いは、両国の競争力に影響を与えることになるでしょう。しかし、グローバル化した世界では、「関税」より「通貨=為替」の影響がはるかに大きいのです。例えば、仮にEU市場やアメリカ市場において、日韓で差別的な関税の取り扱いをされたとしても、ユーロ安やドル安は、日本企業をして現地生産比率を高める方向へと動かすので、関税の有無は、そもそも関係がなくなってしまうのです。そして、世界不況で各国が自国通貨安を望み、EUもアメリカも不況の深刻化・長期化で金融緩和が続くことを考えると、ユーロ安とドル安は、当分続くと見込まれます。

 もっと問題なのは、EUとアメリカの不況の深刻化・長期化です。すでにEUもアメリカも、高い失業率や需要の縮小に悩んでいます。このように深刻な不況の長期化が予想され、需要が縮小している先進国の市場に向けて、輸出を伸ばすことがどうしてできるのでしょうか。経済産業省は、韓国との競争の勝ち負けにばかり関心が向いていますが、日韓ともに、欧米市場で輸出を伸ばせないという可能性も十分にあるのです。

 このような厳しい世界市場の情勢の中で、それでも韓国が輸出を伸ばそうと努力しているのは、韓国がGDPの4割以上を輸出に依存する外需依存国だからです。外需依存度の高い国は、世界市場へのアクセスを維持・拡大するしか、生き残る道がないのです。

 これに対して、日本は、GDPに占める輸出の比率は2割にも満たないという内需大国であり、韓国とは事情が違います。逆に言えば、日本が韓国との競争に勝って輸出を多少伸ばしたとしても、全体の2割しかない輸出で、日本経済全体を引っ張るのは至難の業です。しかも、円高が続くと見込まれる状況下において、それを実現するには、およそ現実には考えられないほど強力な国際競争力を身に付けなければならないでしょう。

 仮に日本が、そのような恐るべき国際競争力を身に付け、輸出を拡大し、貿易黒字を増したとしても、変動相場制の下では、貿易黒字が増えると円の価値は上昇してしまいます。そして、円高は、せっかく苦労して強化した国際競争力をあっさり減殺していくのです。「お疲れ様でした」と言うほかありません。

 経済産業省の試算は、TPP参加の効果に関するものであるのに、なぜEUが計算の中に出てくるのでしょうか。それは、経済産業省の主たる狙いが、TPPそれ自体というよりはむしろ、EUとのFTAの締結にあるからだと思われます。

 TPPは、実質的に日米FTAです。しかし、主要品目に対するアメリカの関税は、トラック以外はそれほど高くないので、日本がアメリカの関税撤廃によって輸出を増やせる余地は、たいしてありません。経済産業省も、TPPによる経済効果を計算してみて、関税引き下げによるプラスの効果があったとしても小さいということに気づいているはずです。

 むしろ、主要輸出品目に対する関税が高いのは、EUの方です。したがって、EUの関税撤廃の効果は、TPPよりも大きく出るものと思われます。しかも、ライバルの韓国は、日本より先にEUとのFTAを署名済みです。経済産業省にとっての本丸は、EUとのFTAなのです。しかし、日本は、依然として、EUとFTA交渉をさせてもらえていません。

 ところで、経済産業省は、なぜ、アジア太平洋地域の話であるTPPの経済効果の試算の中に、日欧FTAの話を持ち込んでいるのでしょうか。それは、内閣官房作成の資料「包括的経済連携に関する検討状況」の「資料4 経済産業省試算(補足資料)」の最終ページを見ると分かります。そこには「EPAの政治力学」というタイトルで、次のような図が描かれています(一部略)。

 EPAには反射的不利益を受ける第三国が反応→TPP参加で、交渉力が強化し、交渉の自由度が拡大→全方位で「国を開く」覚悟を示して初めて相手を動かせる

 ちなみに、「EPAには反射的不利益を受ける第三国が反応」とは、日本がTPPに参加すれば、EUが日本とのFTAに関心を示すであろうという意味です。

 この資料では、「EUは米国のアジアでの動きに追随」していると指摘しています。その例として、アメリカのAPEC主催の翌年のアジア欧州会合(ASEM)構想の提唱や、米韓FTA交渉妥結の1カ月後のマレーシアとEUのFTA交渉の開始が挙げられています。

 つまり、経済産業省の見立てによれば、日本がTPPへの参加を表明すれば、念願のEUとのFTA交渉への道が開けるというのです。TPPは、いわばEUとのFTA交渉のための手段に過ぎないということです。

 この「EPAの政治力学」という資料は、めまいがするほどのものです。

 確かにアジアでの経済連携の動きに対して、EUが反応している例はあります。しかし、アメリカのAPEC主催、韓国のアメリカとのFTA署名、マレーシアのTPP参加表明などは、それぞれ各国が自国の国益を計算して決めたことであって、EUの反応はその副次的効果に過ぎません。ですから、TPPに関して言えば、まずは、TPPへの参加それ自体が国益にとってプラスであるかどうかを確認するのが大原則でしょう。そうしないと、もし日本がTPPに参加して不利益を被り、かつEUが無反応だったら、大変なことになってしまいます。

 しかも、アジアでの経済連携の動きにEUが反応したという過去があったからといって、TPPに日本が参加すれば、EUが日本とのFTAに積極的になってくれるという保証はありません。それどころか、もしTPPが経済効果に乏しいものだったとしたら、EUは関心を示さないでしょう。EUは、日本とのFTAのメリットを計算した上で、プラスと判断すればFTA交渉に応じるだけの話であって、単に日本がTPPに参加したからという理由で、条件反射的に日本とのFTAに前向きになるわけではありません。

 「バスに乗り遅れるな」「長いものには巻かれろ」といった調子の論理が通用するのは日本国内だけです。そんな理屈は、世界では全く通用しません。「みんながやっているから、お前もやれよ」と言って動かせるのは日本人だけで、ヨーロッパ人はそうではないのです。

 経済産業省は、「全方位で「国を開く」覚悟を示して初めて相手を動かせる」などと言っていますが、どうしてそういう結論になるのか、全くわかりません。自分がゲームから降りたら、相手も降りるとは限らないでしょう。

 もっと言えば、WTO交渉は、各国一律の貿易自由化を進めるもので、各国全てに「全方位で「国を開く」覚悟」を示すことを求めるものです。ですが、全方位のWTO交渉では動かないと分かったら、FTAやEPAという全方位ではない方法が選択されるようになったのではなかったのですか。それなのに、何を今更、しかも日本だけが「全方位で「国を開く」覚悟」を示したら、相手が動くなどと言えるのか、全く意味不明です。

 そもそも、現在でも日本の平均関税率は相当に低く、すでに全方位で国が開かれています。しかし、だからと言って、他国も日本と同じレベルで関税を引き下げるように動いていないではありませんか。

 TPPの参加それ自体にメリットがあるかどうかも分からないのに、過去の三つの前例以外に何の保証もないEUの反応を期待して、TPPに参加し、それでもし、EUが日本とのFTAに前向きになってくれなかったら、一体、どうするつもりなのでしょう。

 仮に百歩譲って、日米連携の動きが、EUを日本とのFTAへと動かすのだとしましょう。確かに、韓国の場合は、米韓FTAへの動きが韓EUのFTAへの動きにつながりました。それなら、日本は韓国と同様、アメリカとのFTA交渉に入ればよいだけの話です。それよりもハードルの高いTPPに参加しなければならない理由にはなりません。

 日本のTPP参加に対してEUが反応するとしたら、次のような場合しか考えられません。それは、自国にとってのデメリットも計算できずにTPPに参加した外交音痴の日本を見て、EUが「こんなお人好しの日本が相手なら、交渉はこっちに有利なように進められる」と算段する場合です。

 つまりアメリカが、自国の市場を奪われることなく、日本の農業市場を奪ったのを見て、EUも同じことを狙うだろうということです。

 しかも、関税撤廃の例外品目のないTPPに参加した場合の日本は、EUとのFTA交渉においても、例外品目を主張しにくくなる可能性があります。TPPにおける立場と矛盾するからです。TPP参加によって日本の交渉の自由度が狭まったのを見たら、EUは確かに日本との交渉に興味を持つかもしれません。しかし、そんな状態で結んだEUとのFTA協定が、日本にとって有益な内容になっているとは、とても想像できません。

 経済産業省が頭の中で描いているシナリオは、次のような不思議なものであります。
 まず、日本が、国内農業を犠牲にしてでも、プラスの経済効果のほとんどないTPPへの参加を表明する。そうすると、過去の前例に従って条件反射的に反応したEUが、とにかく日本とのFTAの交渉に応じてくれる。

 やけに親日的なEUとの交渉の結果、EUの主要品目の関税が全廃されるが、日本は、関税撤廃の例外措置を堅持するなど、有利な交渉結果に持ち込むことができる。

 ユーロ安とグローバル化で有効性を失った関税が撤廃され、韓国との競争条件は形式的には平等になったので、ウォン安がどうであれ、日本は韓国と対等に戦えるようになる。それだけのことで、日本の製造業は、大不況で消費マインドが極度に低迷しているヨーロッパ市場で、円高・ユーロ安にもかかわらず、なぜか輸出を伸ばすことができる。

 GDPの2割にも満たない輸出が拡大することで、日本経済全体が、TPPやEUとのFTAによる損害を補って余りあるペースで成長するという奇跡が起きる。その間、変動相場制にもかかわらず、輸出拡大による円高の影響はない。

 何という恐るべきシナリオでしょうか。「風が吹けば桶屋が儲かる」とはこのことです。このような乱暴な作戦に基づいて、大不況で殺気立っている世界各国を相手にしていこうというのでしょうか。

 経済産業省がそこまで無体だとは思いませんし、思いたくもありません。にもかかわらず、このようなシナリオを提示しているのは、おそらく、TPPへの参加という結果ありきで、それを正当化するロジックを無理に組み立てたり、経済効果が大きいと見せかけたりせざるを得なかったという事情があるのではないのでしょうか。これだけ苦しいロジックを並べているのを見ると、そう思わざるを得ません。


49. 2011年11月28日 02:52:08: gLODyarejs

 「自由貿易が国民経済に利益をもたらす」というのは、どんな時でも正しい原理原則というわけではないのです。貿易自由化は、デフレ下では、むしろやってはいけません。

 しかし、このように言うと、次のように反論する人が少なくないと思います。「何を馬鹿なことを言っているのか。歴史を知らないのか。1929年以降の世界恐慌はひどいデフレだったが、その世界恐慌を悪化させた主な原因は、各国が連鎖的に保護主義に走ったことではないか。現在のような不況の時も、警戒すべきは保護主義が台頭することだ。だから、TPPのような枠組みも提案されているのではないか」。

 確かに、かつての世界恐慌の時期には、保護主義が台頭していました。そして戦後長い間、保護主義が世界恐慌を深刻化させたと信じられてきました。しかし、近年、この説は、有力な経済学者や経済史家によって否定されているのです。

 例えば、ルディガー・ドーンブッシュとスタンリー・フィッシャーは、1929年から1931年の2年間の景気後退の要因を分析した結果、保護主義による要因は小さなものであったと推計しています。また、バリー・アイケングリーンは、1929年のアメリカの保護関税がアメリカ経済にもたらした効果は、保護主義の連鎖による世界貿易の縮小を考慮したとしても、プラスであったとすら推計しています。ピーター・テミンもまた、「大恐慌の教訓」の中で、保護主義が世界恐慌を深刻化させた主たる要因であるという説を否定しています。各国が保護主義に走ると確かに外需は減りますが、他方で内需が拡大するので、トータルの需要はそれほど大きく減らないからです。テミンは、世界恐慌を深刻化させたのは保護貿易ではなく、各国の指導者や政策担当者たちが断行した緊縮財政と高金利政策であると結論しています。

 ですから、「保護貿易はやってはいけないというのが、世界恐慌という歴史の教訓だ」という話は、正しくないのです。

 さらに、経済史の権威であるポール・ベロックは、19世紀後半のヨーロッパにおける貿易と経済成長の関係を調べ、保護主義の強化が、むしろ貿易の急速な拡大をもたらしているという事実を見出しました。特に、最も保護主義的な措置を取ったヨーロッパ諸国が、最も急速に貿易を拡大しており、しかも保護貿易を採用してから20年後には、さらに高い成長率を享受していました。逆に、自由貿易政策を採用していたイギリスは、この時期、成長率を著しく下げ、停滞に苦しんだのです。

 なぜ、保護主義的な国々の間で、貿易がより拡大するという逆説的なことが起きたのでしょうか。それは、保護関税がデフレを阻止し、内需を拡大し、その結果、経済が成長したので、輸入がかえって増えたためだと考えられます。

 同じような視点から、フランスの著名な人類学者であるエマニュエル・トッドも、次のように論じています。

 戦後、貿易自由化が進められてきたが、OECD諸国の成長年率は、1960年代には5.2%であったのに、1970年代に3.9%、1980年代に2.6%、1990年から1996年には2.1%までにまで下がっている。世界で毎年生産される1000人当たりの乗用車台数も、25年前から下がり続けている。また、アメリカ経済においては、輸入係数の上昇と、実質賃金の低下及び不平等の深化は、時期的に一致している。これは自由貿易による競争の激化が、国内の労働者の所得と賃金の上昇を抑制し、経済成長を鈍化させるからである。

 トッドは、このように主張し、保護主義を擁護するのです。

 主流派の経済学者をはじめ多くの人が、自由貿易は貿易を拡大させ、経済成長をもたらすものと信じています。しかし、貿易の拡大と経済成長については、どちらが原因で、どちらが結果なのか、その関係に注意が必要です。

 経済成長が貿易を拡大するというのは、おそらく正しいでしょう。経済が成長して、国民所得が増え、購買力が高まれば、貿易量が増えるのはほぼ確実です。しかし、その反対に、貿易が拡大することで経済が成長するものかどうかは、実は、はっきりとは分かっていません。ベロックのように、貿易自由化が経済成長をもたらさなかったという史実や実証結果を示している研究者もおり、論争に決着がついていないのです。

 このように自由貿易の意義については、疑う余地のない原理原則というわけではまったくありません。しかも、少なくとも次の二つのことは、ほぼ確実に言えると思います。

 第一に、貿易自由化は、より安い製品の輸入を促進し、物価を下げる効果を持つということです。これは自由貿易論者ですら認めていることです。

 そして第二に、デフレの時に、さらに物価が下がるのはよくないということです。

 この二つの事実を認めるならば、デフレの時に貿易自由化を進めるのは望ましいことではないという結論になるのは明らかではないでしょうか。


50. 2011年11月28日 02:55:19: gLODyarejs

 TPP交渉参加に関する論議が、世論のレベルでは「開国か、鎖国か」といった単純極まりない図式の中で進められていたのには、恐怖感すら感じました。

 まず、そもそも現在の日本は、鎖国などしていないのです。

 例えば全品目の平均関税率について見ると、日本は韓国はもちろんアメリカよりも低いのです。それどころか、農産物に限定しても、日本は韓国やEUより関税率が低い。もっとも、農産物の関税率の試算方法には複数あるので、一概には言えないようですが、それでも日本だけが世界の中で突出して高いと言うことはできません。

 それどころか、日本の食糧自給率(カロリー・ベース)は4割程度しかなく、小麦、大豆、トウモロコシはほとんど輸入に頼っているのですから、日本の農業市場は閉鎖的どころか、あけっぴろげに開かれてしまっています。むしろ、農業の関税が低すぎるという議論すらあってもおかしくないのです。

 そして、日本は言うまでもなくWTOに加盟しています。他国よりも多少遅れているとはいえ、EPA/FTAについてもペルーとの締結も果たし、その数は13の国と地域に達しました。これのどこが鎖国なのでしょうか。

日本・シンガポール新時代経済連携協定:2002年11月30日発効
日本・メキシコ経済連携協定:2005年4月1日発効
日本・マレーシア経済連携協定:2006年7月13日発効
日本・チリ経済連携協定:2007年9月3日発効
日本・タイ経済連携協定:2007年11月1日発効
日本・インドネシア経済連携協定:2008年7月1日発効
日本・ブルネイ経済連携協定:2008年7月31日発効
日本・ASEAN包括的経済連携協定:2008年12月1日より順次発効
日本・フィリピン経済連携協定:2008年12月11日発効
日本・スイス経済連携協定:2009年9月1日発効
日本・ベトナム経済連携協定:2009年10月1日発効
日本・インド経済連携協定:2011年8月1日発効
日本・ペルー経済連携協定:2011年5月締結、発効待ち

 しかも、TPPの交渉参加国と言えば、アメリカ以外は小国ばかりです。2011年7月現在、TPPにはシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9カ国が交渉に参加しています。TPPにはヨーロッパはもちろん、中国も韓国も交渉に参加していません。

 世界第3位のGDP(国内総生産)をもつ経済大国であり、WTOに加盟し、13の国や地域とEPA/FTAを結んでいる日本が、どうしてTPPに参加しないと「世界の孤児」になるというのでしょうか。

 アジアは今後の成長センターであり、アジアの成長ををいかに取り込むかが、日本の成長戦略のカギである。政府、財界、そして多くの経済学者やコメンテーターたちが、このように論じてきました。

 この場合、成長するアジアとして重要なのは、何と言っても中国であり、ついでインド、あるいは韓国といった国々でしょう。しかし、TPPには、この3つの国のいずれも入っていません。

 試しに、現在、TPP交渉に参加している9カ国に日本を加え、これら10カ国のGDPのシェアを計算してみましょう。するとアメリカが約67%を占め、次いで日本が約24%、そしてオーストラリアが約4%、残り7カ国合わせても約4%にしかなりません。

 つまり、日米で約90%を占めるのです。アジアなど、ほとんど誤差に過ぎないような小さなシェアです。これでは、TPPによってアジアの成長を取り込むなどというのは、まったくの誇大妄想としか言いようがありません。

 要するに、日本が参加した場合のTPPとは、実質的な日米FTAなのです。「アジア太平洋」というのは名前だけだと言っても過言ではありません。

 しかも、TPP交渉参加国には、GDPに占める輸出額の割合が高く、国内市場の小さい国が非常に多いのです。外需依存度が日本より小さい国は、アメリカしかありません。シンガポールやマレーシアに至っては、GDPより輸出の規模の方が大きいほどです。

 つまり、TPP交渉参加国に日本を加えた10カ国の中で、日本が輸出できる市場は、実質的にアメリカだけなのです。そして、この10カ国の中のほとんどのアジア太平洋諸国の成長は、輸出に大きく依存しています。しかも、TPP交渉に参加しているアジア太平洋諸国にとって、この10カ国の中における有力な輸出先は、アメリカと日本なのです。

 TPPによって「日本がアジア太平洋の成長を取り込む」などというのは、悪い冗談です。実態は、その反対に、アジア太平洋諸国の方が、日本の市場を取り込みたいという話なのです。

 もし将来、中国と韓国がTPPに参加したら、日本はTPPに参加することでアジア太平洋の成長を取り込むことができるようになるのでしょうか。私は、この2国の参加の可能性はかなり低いと思います。

 まず中国から見てみましょう。中国はリーマン・ショックに端を発した世界不況以降、人民元を安く維持し、輸出を拡大することで成長しようとしてきました。このため、アメリカは、中国の為替操作を激しく非難し、人民元の切り上げを求めています。

 しかし、そうすると外需依存度の高い中国の景気に悪影響が及ぶので、中国はアメリカの要求を拒否しています。このいわゆる人民元問題は、米中両国間で大きな懸案となっています。

 つまり、中国は自国の輸出に有利になるように為替を操作している国なのです。ですから、FTA(自由貿易協定)以前の段階で、米中関係はつかえてしまっているのです。自国の利益を利己的に追及するために為替を操作している国が、高度に進んだ自由貿易のルールであるTPPに参加するとは、とても思えません。実際、内閣官房の資料を見ても、中国がFTAを締結している国は少なく、しかもASEANのうちの1カ国のタイと、ニュージーランド、チリ、ペルーといった小国ばかりなのです。

 では、韓国については、どうでしょう。韓国はアメリカとのFTAに合意しています。韓国は、複数国間による急進的な自由貿易協定であるTPPよりも、2国間で交渉するFTAの方が有利であると考えており、それゆえ、TPPではなく、米韓FTAを選択しているのです。ですから、韓国もTPPには参加しそうにないと考えてよいでしょう。もっとも、仮に韓国がTPPへの参加を決めたとしても、それは韓国が大きな戦略ミスをしたというにすぎず、日本が追従しなくてはならない理由にはなりませんが。

 中国と韓国がTPPに参加しそうにないということは、実は、政府もうすうす分かっているようです。それは、内閣官房の資料にある「経済産業省試算」を見ると分かります。この試算では、「日本がTPP、EUと中国とのEPAいずれも締結せず、韓国が米国・中国・EUとFTAを締結した場合」の経済損失を計算しています。

 しかし、これはいかにも不自然ではないでしょうか。経済産業省は、なぜ日本についてはTPP、韓国についてはFTAで計算しているのでしょうか。

 普通は、「日本がTPPを締結せず、韓国がTPPを締結した場合」、あるいは「日本がFTAを締結せず、韓国がFTAを締結した場合」というように、日韓で条件を揃えて、試算を行いそうなものです。けれども、そうはしていません。その理由は明らかです。政府も、韓国がFTAを選択し、TPPを選択しないであろうと見込んでいるということなのです。

 中国と韓国が参加しそうになく、日米でほとんどのシェアを占めるTPPにおいて、日本はどうやってアジア太平洋の成長を取り込むというのでしょうか。

 内閣官房の資料によれば、TPP参加の意義の一番目がGDPの増加となっていますが、次に挙げているのが、「国を開く」という強いメッセージ効果であり、それによって、「日本に対する国際的な信用及び関心の高まり」があるとしています。

 こんなせこい理由が、二番目に来ているのには驚きました。この程度のメッセージ効果のために、TPPに参加するというのでは、犠牲になるかもしれない農家の方々にとっては、たまったものではありません。

 しかも、もっと本質的な問題なのは、「国を開く」というメッセージは、日本のイメージをよくするどころか、逆に悪くし、日本の交渉上のポジションも悪化させるということです。なぜなら日本の平均関税率は諸外国と比べても低い方であり、その意味で、国はすでに開かれているからです。

 それにもかかわらず、日本が「これから、国を開きます」と自分から宣言するとしたら、世界の国々はどう思うでしょうか。「何をわけの分からないことを言っているのだろう」と首をかしげるでしょう。あるいは、「そうか、日本はこれまで国が開かれていなかったのか。高関税で守られた保護主義的な国だったのか」という印象を抱く、あるいは抱いたフリをするでしょう。つまり、日本のイメージが不当に歪められてしまうのです。

 しかも、日本が保護主義的な国だという印象をいったん外国に抱かれてしまうと、今度は、TPP交渉において、相当譲歩しなければ、この閉鎖的という印象は払拭できません。さらに、TPPがどんなに不利なルールになろうとも、「日本は閉鎖的な国である」というメッセージ効果を恐れる日本は、交渉から離脱できなくなってしまうでしょう。

 さらにまずいのは、関税率が低いのに「国を開きます」と宣言すれば、日本が開放すべき関税以外のもの、すなわち非関税障壁だということになるだろうということです。非関税障壁には、社会的規制、安全規制、取引慣行、果ては言語や文化まで、外国企業が日本市場に参入する際に面倒だと思うものすべてが含まれます。食に関する安全規制、環境規制、あるいは労働規制が厳しすぎるだとか、保険制度や医療制度がアメリカとは違うだとか、外資による参入が少ないのは取引慣行が不透明だからだとか、挙句の果てには、使用言語が英語ではないのが障壁だとか、ありとあらゆる因縁をつけられかねません。しかし、関税が既に十分低いのに、自ら「国を開きます」と言った以上は、必ず、非関税障壁の撤廃という形で落とし前をつけさせられることになるでしょう。我が国の安全上必要な規制や固有の慣習や文化まで放棄することを迫られるかもしれないのです。いや、下手をすると、日本政府は自分から言い出した「開国」の実を示すために、外圧がなくとも、自国の規制や文化を自ら進んで放棄しようとすらしかねません。

 そのような理不尽な市場開放で最もありそうなのが、対内直接投資に関する規制緩和です。日本の対内直接投資残高対GDP比率は4%程度であり、他の先進国と比べても低い数値です。もっとも、日本は世界最大の対外純資産国である以上、今はデフレで資金需要がなく、カネ余り状態にあるので、そもそも対内直接投資を促進する必要などありません。にもかかわらず、この対内直接投資の少なさが市場の閉鎖性を示す証拠として喧伝され、資本市場の規制緩和が進められる可能性があるのです。

 世界金融危機を経験したばかりだというのに、国際的な資本移動を規制するのではなく、それを促進しようなどというのは、まったく性懲りもない愚かな所業です。しかし、TPPに参加した日本がそのような方向に進むのを心配するのは、あながち杞憂とも言い切れないのです。2011年1月、ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツら257人の経済学者が連名で、アメリカのクリントン国務長官やガイトナー財務長官らに宛てて、ある意見書を提出しました。それは、アメリカが投資・貿易協定進めている資本移動の自由化が、金融危機を防ぐための政府の権限を弱めるものであることに対して懸念を表明するものでした。

 TPPが、国際的な資本移動を過度に自由化してしまう可能性は、現実のものとしてあるのです。日本の「開国」宣言は、そのお先棒を担ぐものとなりかねません。

 要するに、「国を開く」というメッセージをアピールすることは、TPP交渉における日本の選択の幅を著しく狭めてしまうことになるのです。ゲームが始める前から、自分の立場を不利にするメッセージを発することは、外交戦略上、極めて愚かな行為と言わざるを得ません。


51. 2011年11月28日 13:26:35: CGaB34XTl
>14. 2011年11月25日 16:23:16: 8SBxIwlRbw さん
>TPPに参加したら
>治外法権撤廃

言っている意味が分りません。
治外法権ってなんだか分かって言ってるの?
それとも書き間違ったの?


52. 2011年11月30日 11:30:51: Dis8PhjxMQ
TPPも国力を背景にした経済戦争だと考えれば安全保障の問題も議論しないと意味がない。アメリカは日本を守る気がないのは、領土問題で明白。自衛隊は国際貢献なんてしなくていいから、自国を守る(原発災害を含めた)強固な体制を作れ。TPP推進の切り札が、日米同盟の深化をいうなら、米軍が竹島や北方領土に侵攻して、ロシア、韓国を追い出してから言え。

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