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●「消費税増税までの財務省の布石」(EJ第3187号)
2011年11月24日 :{Electronic Journal}
消費税の増税に財務省は実に周到です。がんじがらめというか何年にもわたって時の財務大臣を説得しているのです。麻生内閣から菅内閣までの財務大臣4人を列挙してみます。
◎与謝野 馨 ・・・ 麻生内閣/第11代財務大臣
2009. 2.17 〜 2009.9.16
◎藤井 裕久 ・・・ 鳩山内閣/第12代財務大臣
2009. 9.16 〜 2010. 1. 7
◎菅 直人 ・・・ 鳩山内閣/第13代財務大臣
2010. 1. 7 〜 2010. 6. 8
◎野田 佳彦 ・・・ 菅 内閣/第14代財務大臣
2010. 6. 8 〜 2011.09.02
消費税の増税──「社会保障と税の一体改革」は、第11代財務大臣である与謝野馨氏から藤井、菅、野田という4人の財務大臣に受け継がれ、着実に実現に向けて進められてきたのです。これまでの流れを振り返ってみることにします。
そもそもの発端は、麻生内閣において与謝野氏が兼務で第11代財務大臣になったときに始るのです。与謝野氏は財務省親派であり、かねてから消費税の増税の必要性を説いていたのです。そのせいもあって、財務省が信頼する政治家の一人です。
その与謝野氏が中川昭一財務相の突然の辞任によって、兼務とはいえ財務大臣に就任したのです。与謝野財務相はかねてからの持論である消費税増税を「社会保障と税の一体改革」として成案化させようとして、財務省と成案づくりに着手したのです。
ところが、麻生内閣は2009年8月の衆院選で民主党に惨敗し政権交代が起きたのです。しかし、政権交代が起きても財務省の官僚はそのままです。財務省にとって幸いだったのは、大蔵官僚出身の藤井裕久氏が鳩山内閣の財務相に就任したことです。
当時藤井氏は民主党の実力者小沢幹事長との関係がうまくいかず、4ヵ月足らずで健康上の理由で辞任してしまうのです。しかし、藤井氏は主要ポストに就いていなかった野田氏を財務副大臣に就任させ、財務省とともに消費税増税の重要性を野田氏に対して説き続けたのです。消費税の増税教育は既にこの時点で始っていたのです。
藤井氏の辞任で菅氏が財務相に就任したのですが、菅氏は当初財務省に対して極めて頑なであったのです。そこで財務省は、菅氏が金融・経済の基礎知識に弱いことに目をつけ、質問に立つことになっていた自民党の林芳正氏(元経済財政担当相)に情報を提供し、参院予算委員会で「乗数効果」について質問させたのです。菅氏が乗数効果について勘違いしていることを知っていた財務官僚の仕掛けた罠です。そのため、菅氏の答弁は二転三転して混乱し、立ち往生してしまったのです。財務省がいうことを聞かない大臣を懲らしめる一種の洗礼なのです。2010年1月26日のことです。
これに懲りた菅財務相はすっかりおとなしくなり、財務省のいうことを何でも聞くようになったのです。そして鳩山氏の辞任の後を受けて首相に就任します。この頃になると、菅首相は完全に財務省に洗脳され、参院選では財務省の意向を汲んで消費税10%を掲げて選挙戦を戦い、惨敗します。その結果、衆参のねじれを作ってしまったのです。
しかし、菅氏は総裁選に勝って、第2次菅改造内閣を発足させます。その頃から財務省はたちあがれ日本の与謝野氏を閣内に迎えるよう菅首相に進言していたのです。2010年12月に民主党は、たちあがれ日本に連立参加を求めたのですが、与謝野氏以外は反対し、与謝野氏は党内で孤立。そこで与謝野氏は2011年1月13日にたちあがれ日本を離党、菅再改造内閣にて経済財政政策担当大臣に就任したのです。与謝野氏は無所属議員として衆議院会派「民主党・無所属クラブ」に入会し、再び与党議員に返り咲いたわけです。
ここまでは、すべて財務省の筋書き通りなのです。与謝野氏は経済財政政策担当大臣として「社会保障と税の一体改革」に取り組み、何事も遅れがちな菅政権の中にあって、この事案だけは順調に成案づくりが進んだのです。
しかし、2011年3月11日に東日本大震災が発生します。
これに危機感を持ったのは与謝野大臣と財務省なのです。大震災となると、復旧・復興の青写真づくりと財源の確保が急務となり消費税増税が吹き飛びかねないと考えたからです。そこで財務省は大震災を増税に利用し、日本の財税の現状が危機的であることを訴えようとしたのです。復興増税が出てきた理由です。
2011年5月30日に内閣府と財務省はある報告書を提出したのです。これを受けて「社会保障と税の一体改革」を検討する政府の集中検討会議は審議を本格化させたのです。このように、大震災の復旧・復興や福島原発事故を置き去りにして、この問題だけは何よりも優先させて検討が進められたフシがあります。
問題はこの報告書の内容なのです。これについて、高橋洋一氏は次のように批判しています。
この内開府と財務省の報告書の内容がインチキ極まりない。報告書では、消費税の増税は必ずしも景気後退を招かない、社会保障目的税にすれば将来不安の払拭につながる、としている。 つまり、社会不安が減じるので、国民はいまより積極的に消費をするようになり、景気は悪くならないというのだ。1997年に消費税率を3パーセントから五パーセントに引き上げたときに景気が悪化したが、これも消費税増税が主因ではなく、アジア通貨危機や金融危機の影響が大きかったと分析している。
高橋洋一著『財務省の隠す650兆円の国民資産』/講談社刊
── [財務省の正体/13]
≪画像および関連情報≫
●社会保障・税一体改革「2つのアプローチ」/東京財団
2011年6月2日、社会保障改革案が公表され、15年度までに段階的に消費税率を10%まで引き上げることが示された。今後この案をベースに、6月下旬ともいわれている社会保障・税の一体改革の成案作りに向けての検討が行われる予定である。
これまでの政権が、なかなか具体案を出せなかった中で、曲がりなりにも議論のたたき台となる案を公表したことについては、率直に評価したい。
そもそも社会保障・税の一体改革を考えるには、2つのアプローチがある。一つは、「赤字補填アプローチ」である。現在国の消費税収は、すべて医療・介護・年金の高齢者3経費に充てられることになっている。3経費と国の消費税収の間には、10兆円のギャップ(平成23年度予算ベース)がある。
毎年自然増が見込まれるので、2015年時点でそのギャップは13兆円弱に膨れ上がる。これは、消費税率でいえば5%分である。そこで、これを増税の根拠とするアプローチである。
しかし、国民の立場からは、今の社会保障にはさまざまな非効率があり、生活保護ビジネスの横行などの恥部も見え隠れする。現行制度の表面づらを化粧直しして、財源がこれだけ足りない増税を、というのでは、納得できないということになる。
歴代の財務大臣4人
元記事リンク:http://electronic-journal.seesaa.net/article/236680262.html
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