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小沢一郎「消費税増税は国民に対する背信行為」 小沢×田原対談全文(前)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw148941
ニコニコニュース(オリジナル) 2011年11月20日(日)15時01分配信
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2011年11月19日 小沢一郎 × 田原総一朗 徹底討論 『日本をどうする!』
http://www.youtube.com/watch?v=5IR-0WwVoNY&feature=player_embedded
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小沢一郎元民主党代表は2011年11月19日、ニコニコ生放送に出演し、ジャーナリストの田原総一朗氏と対談した。この番組「小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』in ニコファーレ」で小沢氏は、野田佳彦総理大臣が推し進めようとしている消費税の増税について、「お金がないから消費税増税というのは国民に対しての背信行為」であるとし、反対姿勢を明確にした。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]全文書き起こし部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv70481074?po=news&ref=news#00:00:22
■野田総理のTPP対応を批判 国内外で「使い分けをしている」
角谷浩一(以下、角谷): こんばんは、コネクターの角谷浩一です。田原総一朗さんを迎えての「小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』in ニコファーレ」。今日はニコファーレに(民主党元代表の)小沢一郎さんを呼んでいます。豪腕で知られる政界の実力者と日本を代表するジャーナリストのガチ対談ということになります。遠慮もなければまったく休みもなく、徹底的に今の日本を問い続けてもらいます。強制起訴から初公判を迎えた小沢さんの裁判、これは一体どうなっていくのか。また小沢さんはどう思っているのか。支持率が低下している民主党の現在と未来、これをどういう風に考えているのか。さらに復興を目指す日本の進むべき正しい道とは一体何なのか。これを今日は2人に徹底的に討論してもらいます。僕は進行上一緒に座りますけれども、僕が静かにしていても空気だとかという風に言わないようにしていただければと思います。他では見られないトークセッションです。両雄が相まみえるのは、実に4年4カ月振りだそうでございます。(テレビ朝日の報道・政治討論番組)『サンデープロジェクト』だったと思いますけれども、4年4ヶ月振りに2人はここでガチ対談ということになります。では、登場していただくことにしましょう。まずは、田原総一朗さんです。
会場: (拍手の中、田原総一朗氏が登場)。
角谷: どうぞ今日はよろしくお願いします。田原総一朗さんです。ではお呼びしましょう。民主党衆議院議員、小沢一郎さんです。
会場: (拍手の中、小沢一郎氏が登場)。
角谷: どうぞよろしくお願いします。まずはこちらを向いていただきます。この3人でこれから討論を行いますけども、今椅子を用意しますからその間に・・・(スタッフに確認して)こっち側向くの? こっち側だって。すみません、こちらを。コロシアム方式なものですから、どこが正面か良くわかりませんけれども、これで3人で進めていきたいと思います。さて、ここはニコニコ動画の「ニコファーレ」という、いろいろなことができる多目的なステージなんですけど、小沢さんどうですか。
小沢一郎(以下、小沢): そうですね、初めてですけど。
角谷: 書き込みがこうやって流れるんです。(会場四方のモニターに視聴者からのコメントの書き込みが流れる)。
小沢: はい、はい。
角谷: インターネットを観ている人は、この文字が画面上でもっとグルグル回っているのが見えるんです。
小沢: それは素晴らしいですね。
角谷: ですから、討論会の形も変わりますし、今日は政治学などを勉強している学生さんたちにたくさん来ていただいています。皆さんからの声も後でいろいろな形で使おうと思います。LEDモニターで大変細かく。田原さんはもう2回目ですが、どうですか?
田原総一朗(以下、田原): だけど僕は目が悪いせいもあって、年寄りだから良く読めないの。
角谷: 読めない。では、それは僕が(コメントを)拾いますから、ひとつよろしくお願いします。では、椅子を用意しますから着席していただきます。椅子が上がってくるんだよね。
こういう風になります。こんなに膝を付け合せるような形でやりますけれども、(スタッフに確認しながら)マイクは3人ともこれでいいの? ハンドマイクでいくの? ハンドマイクでいく。はい、わかりました。ではさっそくいきたいと思います。こんな風にみんなに取り囲まれてやることになりますけれど、どうぞリラックスして。
小沢・田原: はい。
角谷: 休みなく1時間くらいやろうと思っていますから、どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。ただ、とにかく聞きたいこと、やらなければいけないことがたくさんあるものですから。それをどういう風にするかなんですけれども、まずは、お2人は2007年7月8日の『サンデープロジェクト』以来の対談と。7月8日の4年振りということになりますと、小沢さんは当時は民主党の・・・。
小沢: 何でしたかね。
角谷: 代表ですかね。
小沢: 代表でしょうかね。
角谷: 2007年ですから、そうですかね。
田原: 代表前かも知れませんね。
角谷: それ以来ということで、久しぶりになりますね。そんなことを言っているよりも、どんどんいきましょうかね。
田原: 僕は、今日非常に緊張しています。
角谷: 緊張している。
田原: 僕にとって、日本の政界で一番怖い人は小沢さんです。あとは大したのがいない。
角谷: 大したのがいない。
田原: ということは、日本の政治家で最も政治力があるのは小沢さんです。
角谷: なるほど。
田原: 怖いですよ。
角谷: 怖い。
田原: うん。顔でにこにこ笑っても、何考えてるかと・・・。
角谷: わかんない。
田原: そこが異様に・・・悪いけどね、怖い。緊張してます。
角谷: なるほど。久しぶりですけれども。今、日本はいろんな問題抱えてますからね。
田原: いっぱいある。
角谷: 野田(佳彦総理大臣)さんに聞くより小沢さんに聞きたいことが、まず田原さんはいっぱいある?
田原: いっぱいある、いっぱいある。そんなの野田さんに聞いたって、(自由民主党総裁の)谷垣(禎一)さんに聞いたって答えが出るはずがない。全部小沢さんに聞く。
角谷: ということで、小沢さんと田原さんの徹底討論。今日はテーマをいくつか用意しました。まずはこちらをご覧下さい。
会場: (討論テーマが表示される)。
角谷: 討論テーマをこちらで考えてみました。まずは「小沢裁判とは何なのか」ということ。それから「民主党はこれからどうなっていくのか、どうするのか」。そして「日本をどう建て直すか」と。これは大きなテーマが、続きますけどね。
田原: 民主党はどうするって、これは小沢さん次第ですよ。いや、それは余計だったな。ただ順番がこうなってますけど、私はまず小沢さんに今もう大騒ぎになっているTPP(環太平洋連携協定)、新聞でもテレビでも国会でも、むちゃくちゃになってるでしょう。あれからまずお聞きしたいと思ってます。
角谷: ではその前にちょっとこちらの事務連絡をさせていただきます。今日は時間の許す限り、お2人に徹底的に討論してもらいますけれども、ぜひ番組をご覧の皆さんも、ご意見をコメントやメール、そしてツイッターで、聞かせていただきたいと思います。メールはご覧のページの投稿ツイッターフォームから送ることができます。ツイッターのハッシュタグは「#nicofarre」という風になってます。小沢さん田原さんへの質問でも構いません。そして、会場では日本の未来を担う現役の大学生たちが、2人の討論を見守ることになっています。時間に余裕があるようでしたら、質問の場を設けるということも考えています。では、「小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』in ニコファーレ」、スタートとなります。
田原: よろしくお願いします。
小沢: はい、よろしくお願いします。
田原: この間13日に野田総理がハワイで、いわゆるTPPで参加すると言ったのか、あるいは各国の協議に参加か・・・極めて曖昧なんですね。だけど新聞は一面トップでドーンと「交渉参加」とうたった。日本が参加することがきっかけになったように、カナダもメキシコもフィリピンも、もちろんベトナムやマレーシアも参加するという方向へ行き、中国まで慌てに慌てたと。私は野田さんはもっと自信を持ってりゃいいと思うんだけど、帰ってきて国会で何を言ってんだかさっぱりわかんない。参加するんだかしないんだか曖昧だし、アメリカ側、つまりオバマさん側が言ったことを「違う」と言いながらアメリカに訂正も要求してない、訂正もしてない。何でこんなに曖昧で自信がないんだろうと。ここをちょっと小沢さんにお聞きしたい。
小沢: 今度のことで、野田さんがどうこうって個人的なことを言うわけじゃないんですが、今までと同じようないわゆる「使い分け」をしてるんですね。
田原: 使い分け?
小沢: 使い分け。官僚、特に外務官僚のね。要するにアメリカへしゃべることと国内で言うことを、ちょっと違ってしゃべってるわけですね。
田原: そうなんだ。あの人(=野田総理)元財務大臣だし・・・そうすると財務官僚に言われたままに言ってるんだ。
小沢: 外務(省)のほうでしょうね、担当するのはね。だけどもこういうやり方はずっと以前からなんですよ。
■TPP交渉参加議論「アメリカにはアメリカの思惑がある」
田原: 日本は、あるいは野田さんは・・・。
小沢: 僕がアメリカとの交渉に行った時も、この使い分けにアメリカはものすごく怒ってるわけです。目の前では皆いいようなことを言って、国内向けではいろいろ問題があるからといって、また違う言い方をするという。このやり方はアメリカからも信用をなくすし、国内的にもいま田原さん仰ったように「一体どっちなんだ」ということで国民から信用を失うし、私は本当に今までと同じようでよろしくないなと思ってます。野田さんがやるというなら、もう「やる」とはっきり言っちゃえばいいんですよね。信念として。
田原: 今までアメリカと日本を使い分けてきたのは、自民党ですよね。ずっと自民党政権。野田さんは民主党(政権)になっても自民党と同じことをやってるんですか。
小沢: だから役所なんですね。
田原: 役所がね。
小沢: 役所なんです。基本的に事なかれ(主義)ですから。そしてアメリカの言うことは聞く以外しょうがないという観念でおりますから、アメリカとの話の時にはアメリカにいいようにしゃべる、しかし日本でそのまま言うとどうも具合悪いなと思う時は変えてしゃべると。僕はこれが一番良くないと思いますね。
田原: 実は、僕はそこを野田さんのわりと近い人に聞いたの。何で曖昧なんだと。さっき小沢さんが言ったように、使い分けてるんじゃないかと。何で使い分けるんだと聞いたら、やっぱり日本では使い分けないと具合悪い、怖い人がいるって。誰と言ったら小沢さんだって。
小沢: いえいえ、そんなことないです(笑)。
田原: 要するに、もっと小沢さんの前に、日本では例えば前の農水大臣の山田(正彦)さんとか、それから今の鹿野(道彦農林水産大臣)さんたちが、特に山田さんが中心になってTPP反対運動、民主党でも100何人も運動してますね。だから山田さんや鹿野さんたち、反対の人たちを刺激するのが怖い。だから向こうではアメリカにはちゃんと言っても・・・ちゃんとかどうかわかんないけど。日本では使い分けてんだと言うんですよ。そうですか?
小沢: そうだと思います。常に。
田原: 山田さんたちが怖いんですか?
小沢: いや、怖いというか。山田さんとか何とかという個人個人の政治家というよりも、その背景のいろんな利害関係の団体やらいろんなものがありますから。
田原: 農協とかね。
小沢: 農協であれ何であれですね。
田原: 医師会とかね。
小沢: そういうものに対して、反発されるのはちょっと怖いから、どっちつかずの話ということになっちゃうんですね。これは非常に良くないと思います。
田原: ところが、その良くないのはね、やっぱり本当に怖いのは山田さんや鹿野さんじゃなくて、小沢さんだっていうんですよ。
小沢: いや、はは。
田原: 小沢さんはTPPに賛成ですか、反対ですか。
小沢: TPPは表の顔と裏の顔と二面持ってるんですよ。
田原: そこ来た。うん。
小沢: 自由取引、自由貿易、これは誰も反対する人はいないし、日本はそれで利益を得てるんですからいいことなんです。ただ、このTPPというのを強く主張してきたのはアメリカでしょう? アメリカにはアメリカの思惑があるんですよ。
田原: ほう。
小沢: ですから、アメリカときちんと話さえすれば、これは解決する問題なんですよ。
田原: うん。
小沢: そこをきちんと言えないと、おたおたあたふたという話になっちゃうんで。そういう意味ではアメリカでも、農業問題でも、アメリカはアメリカで国内でもいろんなことを持ってるんですよ。
田原: 持ってますよ。
小沢: それからアメリカの自動車業界が反対したとかって伝えられてるでしょう? だからアメリカでもいろいろ議論があるんですよ。
田原: だって、もしTPPが決まって関税障壁がなくなったら、日本の自動車は関税なしでドーンと行きますからね。向こうの業者は怖いですよね。
小沢: あらゆるものがね。ですから、本当に完全にフリーにしちゃってどっちが得かということはわかんないわけです。アメリカも自分に都合の悪いところはフリーにしたくないし。そういうところはそれぞれの国が国益と国民を抱えてるんですから、事情はいろいろなんです。だから話し合いができるんですよ。
田原: ということは、使い分けていいんだということですか?
小沢: いえ、使い分けてじゃなくて・・・。
田原: 野田さんがアメリカに言うことと日本の国内に言う時は使い分けるわけですね。
小沢: いや、それはいけないと言ってるんです。
田原: どうすりゃいい?
小沢: それはきちんと正直に言えばいいですよ。アメリカと正直に議論すりゃいいんです。
田原: そう。何でできない?
小沢: だからそこがやっぱり・・・1つは官僚依存の体質がずっと続いてきてますしね。官僚は事なかれ(主義)ですし。アメリカの言う通りにしてたほうがいいという意識が強いですから。
田原: アメリカに対してはアメリカの言う通りにすればいいと。
小沢: ええ。
田原: それで日本で都合が悪ければ、言い換えればいいと。
小沢: え?
田原: いや、別のことを言えばいいと。
小沢: そうそうそうそう。
田原: 使い分ければいいと。
小沢: 日本の国内のいろいろな議論に対しては、ほどほどにうまく使い分けてしゃべればいい。
田原: ということは、官僚というのは日本の国民を馬鹿にしてるわけですね。
小沢: いや。馬鹿にしてると・・・。
田原: 国民なんて馬鹿だから、いい加減に使い分けても・・・。
小沢: だけど、それは官僚を責められないんですよ。
田原: ほう。
小沢: なぜかって言うと官僚は所詮スタッフですからね。決定する責任を持つ人じゃないんですよ。
田原: それは政治家が決定。
小沢: 政治家なんですよ。だから政治家が責任を持つということがはっきりすれば、官僚だってちゃんとしますよ。
田原: 野田さんは代表選挙に出たってことは、責任を持つ覚悟があるんじゃないですか。
小沢: ですけども往々にしてやっぱり、野田さんだけじゃないですけれども、役所に頼るという面が多くなっちゃうでしょう。それが、いろいろ今言われてるところなんですけどね。
■田原「小沢さんをはずして予算を組むなんてメチャクチャ」
田原: もう1つあります。実は、野田さんが本当に怖がっているのは、山田さんや鹿野さんだけではないと。実は野田さんは、例えば2010年代の中頃、大体(20)15年ぐらいには消費税を10%にする。あるいは東日本大震災の復旧復興のために、10.5兆、法人税と所得税を増税する。これを今年いっぱいには多分やろうとしている。これには小沢さんが反対で、それが怖いから、何とか小沢さんの気に沿わないことを言わないようにという風にやってるんだと。こういう具合に新聞記者で野田さんなんかに食い込んでる連中が言ってるんですから。
小沢: だけど野田さんは外国に行ってもどこに行っても、消費税(の増税を)やるって言ってるでしょ。
田原: 小沢さんは反対でしょ?
小沢: 僕は今やるということは反対です。
田原: そこそこ。だから、小沢さんの顔色うかがって、いい加減にごまかしごまかししやったら、小沢さんも消費税増税を呑んでくれるんじゃないかと(野田総理は)思っている。
小沢: 消費税については我々は選挙の時に何て言ったかというと、行政、財政、この抜本的改革をして無駄を省いて、それを我々の新しい政策の財源にしますと。そして4年間は消費税増税はしませんということを国民の皆さんに言って来た。
田原: 確かに当時の首相の鳩山(由紀夫)さんはそう言いました。
小沢: そして、今まだ行財政の抜本的改革というのはほとんどできていないわけですよ。それをやらないでいて、お金がないから消費税(増税)というのは国民に対しての背信行為だと。だから僕は「賛成できない」と。
田原: 確かに、鳩山さんはあの政権を取る前からマニフェストを発表しました。そのマニフェストには仰ったように4年間は増税しないと。さらに子ども手当が月に26,000円、段階的に高速道路無料化、あるいは公立の高校の無償化、さらには農業に対する個別補償の問題ということを約束しました。ただし、その時に鳩山さんは、9月16日の記者発表で、実は自民党の予算は無駄が多い、だから民主党が政権を取ったら初年度で7兆円減らすと。それで、4年間で16兆ないしは17兆円減らすと約束したんですね。初年度全然減ってないじゃないですか。
小沢: うん、ですからなぜかというんですね。
田原: そう、そこ。
小沢: 民主党政権になって、そこは僕もなかなかもどかしいところなんですが、予算編成はどうやって作られているかというと、結局今の民主党政権になっても自民党時代の時とずっと同じようにやられてるんですね。
田原: どういうことですか?
小沢: 要するに各省がそれぞれの今までの自分たちの視野の範囲内で、自分たちで全部原案を作って来るわけです。そしてそれを全部集めたのが総予算で、政府内閣・大蔵省(財務省)を主導して、枠は決めますよ。だけどこれは一律のカットなんですね。例えば100兆円なら100兆円と決めれば、全部集めると120兆円なれば20兆円削るというだけで、政策的に「この政策は生かそう」、「この政策はボツにしよう」という選択をせずに、各省から上がってきたものを全部集めて予算を作ると。だから絶対お金が足りるわけないんですよ。
田原: いや、だからね。何で鳩山さんは首相で、「7兆円減らして来ない。ダメだ、やり直せ!」って言えないんですか?
小沢: だからそこが、なかなかその通り行かなかったというところは本当に・・・。
田原: ちょっと言っちゃいけないんですが、当時小沢さんは幹事長ですね。だから小沢さんが「やんなきゃダメだ」と言えば・・・。
小沢: いや、野党の時には「国民主導・政治家主導の政治を実現するんだ」と。
田原: 言ってました。
小沢: 言いました。そのためには、まず1つの方法として、政府与党一体の仕組みを作ろうということで、僕は幹事長として、また副代表やなんかも、党の幹部もみんなシャドーキャビネット、ネクストキャビネットに入ってたんですよ。ところが政権を取った途端に、結局党の幹部は「もう入らない」と。
田原: 何?
小沢: その政府に。
田原: 政策にはタッチしない?
小沢: ということに仕切りされたんですよ。
田原: なんで? そんな馬鹿な。だって民主党で一番の政策通が小沢さんじゃないですか。小沢さんを外して、予算組むなんてむちゃくちゃじゃないですか。
小沢: いや、僕は別に。そういう方針だということですから。
田原: 誰がそんな方針決めたんですか?
小沢: それはたまたま、その時は鳩山総理でしたけども。
田原: 鳩山さんが勝手に決めたわけ?
小沢: いや、勝手というわけじゃないでしょうが。そういう方針だということだったので、僕もああそうですかということで。
田原: そんなに小沢さんって大人しい人ですか。
小沢: いや、大人しいですよ(笑)。
田原: だって本当に、日本の政治家で一番政策に詳しいんだから、キャリアも十分あるし、自民党でも幹事長もされたわけだし。そういうところは鳩山さんに言ってあげればいいと僕は思う。
小沢: ですから、そこをごちゃごちゃにして混乱させてはいけないと思いましたから。
田原: でもその結果大混乱じゃないですか。つまり「7兆円減らす」と言って減ってないと。もう今年なんて何兆円減らすかもなくなっちゃった。16兆円も17兆円もどこかいっちゃった。めちゃくちゃじゃないですか。
小沢: ですから、今までと同じやり方、同じ予算編成、予算配分の仕方をしてたら、お金が出てくるはずないんですよ。
田原: ないですよ、それは。
小沢: みんな役所が目一杯、俺のほうがいっぱい取ろういっぱい取ろうという話ですから。だからそれを取捨選択して、政策の優先順位をつけていくのが政治家の役目なんですね。
田原: だからそれは、各省で言えば大臣の役割だし、そのために小沢さんは大臣だけじゃなくて副大臣、それから政務官を置いて、役人の言う通りにしないでおこうと、ちゃんと政治家主導をやろうと。それで、大臣がいて総理大臣がいたと。何もできなかったのはどうしてなんですか?
小沢: いっぺんでも描いた通りにできなくては、私はやっぱりそういう努力をしていかないと国民から見放されると。言ってることと、現に政権取ったらやってることと違うという話になっちゃうんで。
■「官僚も馬鹿じゃない。今までと同じでいいとは思っていない」
田原: そこなんですよ。でね、鳩山さんが(総理大臣を)辞めた。菅(直人)さんになった。また何もやってない。これは何ですか。
小沢: ですからどうしても、そこは少し経験不足の面もあると思います。やっぱり役人さんは知識もあるし、官僚機構としては強大ですしね。ついついそこにおんぶしちゃうということになっちゃってるんですね、きっと。
田原: だけど、小沢さんが一番尊敬されてらっしゃる田中角栄(元総理大臣)さんは、その官僚を使うのが実にうまかった。そういう意味では実は小沢さんも非常にうまいんだと思う。
小沢: ただ僕の主張している革命的なことというのは、行政官僚にとっては改革ですから、必ずしも賛成ではないんですよ。
田原: それは腹の中ではそうだけど、小沢さんは力が強いから「反対」って言えませんよ。
小沢: だけど官僚も馬鹿じゃないですし、今こういう難しい時代に今までと同じやり方でいいとは思ってないですよ。優秀な奴ほど。
田原: そうですか。
小沢: それは絶対そうです。もちろん自分たちの利害もありますけどね。ですから、筋道の通った政治家がきちんとした理念と見識を持って政策決定をしていけば官僚も従うんですよ。そこをどうしてもついつい・・・。
田原: 何でできないんだろう? 自民党はそれができなかった。だから国民は自民党を見放して、民主党なら小沢さんがいらっしゃるからできるんじゃないかと思って、民主党政権にしたんですよ。
小沢: だけど僕一人でできるわけじゃないですからね。
田原: だけど今も、さっきの言葉では野田さんもまた官僚任せと。困っちゃいますね。
小沢: ですからTPPの話にしても、野田さんが多少反対があろうがこれはやるんだと、その決断はそれはいいと思うんですよ。それだったら、そう言ったとか言わないとかごちゃごちゃしないで、その筋道を通してもらうのがいいと思うんですがね。
田原: だから僕は、野田さんがやっぱり小沢さんのところにやってきて「やります、よろしくお願いします」と言えばいいのに言ってないんですか?
小沢: 僕に言わなくたっていいですけど。
田原: 言えばいいじゃないですか。
小沢: アメリカにきちんと言ったら、それと同じことを日本でも言わなきゃダメですね。
田原: アメリカではすべての物品およびサービスを自由貿易のテーブルに載せると野田さんが言ったと言っている。(野田総理は)「そうは言ってない」と言いながら、アメリカは訂正をしていないし、日本も訂正を要求していない。
小沢: そうです。ですからそこが日本流の使い分けなんですね。それは絶対いけない。アメリカも、日本のことを馬鹿にして信用しなくなっちゃうんです。それで国内でも、何やってるんだとなるでしょう。
田原: うん、そうです。
小沢: どっちにとってもいいことがないんですよ。
田原: それでね、TPPもさることながら、野田さんは財務省がバックにいるせいか、2010年代の中頃には消費税を10%にすると。多分これやるつもりですよ。さらにさっき言った東日本大震災の復興・復旧のために10.5兆円、これを法人税と消費税で取ると。これに小沢さんは賛成しますか?
小沢: ですから、消費税は僕は賛成できません。
田原: 復興のほうはいい?
小沢: 特に復興のほうはいわゆる原発がありますから。これはお金がある無しの問題じゃないです。この原発、放射能の大量のウラン燃料を抱えていて日本の将来なんかは無いですよ。だからこれこそ何十兆円かかろうが完全に封じ込めて、安心した日本列島にしないと何やったってダメです。
田原: それは良くわかりました。こういうことをはっきり言う人いないんだ。
小沢: いやいや。
田原: それはいい。そうすると消費税は反対ですね。
小沢: 今やることはね。
田原: だから今やろうとしてるんですよ。
小沢: だからそれについては僕は賛成しません。
田原: だったら、野田さんも小沢さんの所へやってきて「消費税をやろうと思います、よろしくお願いします」って何で言わないんですか?
小沢: 言われても賛成できないですね。
田原: でも言わなかったらもっと賛成できないでしょう。
小沢: それはそうですけれども(笑)。
田原: どうするんだろう。小沢さんが反対すれば、きっと民主党の百何十人かは反対しますね。自民党も反対。通らないじゃないですか。
小沢: 消費税については、例えば僕の親しい人たちというだけじゃないと思います。そして消費税というのは都市も農村も無いですからね。
田原: 無いですよ。
小沢: 農村は特にひどいですけども。だから、今どの行財政改革も思い切ったことを何もやらずに、「財源はやっぱり無いそうですから消費税を上げます」というのは、僕は国民には通用しないと思いますがね。
田原: そんなことはあり得ない。
小沢: はい。
■「マスコミは客観的な報道をしないと国を潰す」
田原: ただ、もう1つ言いますと、もともと消費税は自民党時代にもっと上げなきゃいけなかったんです。消費税を上げないで来たから1,000兆円も借金、国債ができちゃったと。このまま、また消費税を上げないでいったら日本はギリシャに、イタリアになっちゃうんじゃないかと。
小沢: ですけど、僕らが言う行財政の抜本改革を本気になってやれば、一定の財源は出るんですよ。さっき言ったみたいに、例えば今の予算編成でも「補助金はちょっとしかありません」と言いますけど、政策経費を全部合わせると33兆円から34兆円あるんですよ。予算の中で各種全部合わせると。
田原: そうですか。
小沢: はい。ですからこれを、本当に無駄なものを省き、地方に任せるものは全部任せちゃって、もちろん介護だの老人医療も含みますけど、これもきちんと地方に任せれば、現実に地方はやってるんですから、そんなにお金を無駄に使わなくたってできるんですよ。
田原: 小沢さんがはっきりこう仰るのに。
小沢: 僕はそこからお金は何兆円でも出ると思いますよ。
田原: そういう風に仰るのに、何で野田さんあるいは今の財務大臣や総務大臣でもいいんですが、そういうことをちゃんと言えないんですか?
小沢: それは官僚の既得権を奪うことになりますから。
田原: クビになりますか。下手すると小沢さんみたいに、検察か何かが手を回してみたいなことになるんですかね。
小沢: いや、だからそういうことをやる。しかし、それで国家の官僚は何をするのかということをきちっと提示してやればいいんですよ。
田原: これから裁判の話にいきたいんですが、小沢さんがやられたのは、やっぱり小沢さんがそういう風に官僚に対して本当に抜本的な改革をやるべきだと言い過ぎてるからじゃないかという気もする。まあいいや。それでやっぱり小沢さんは消費税は反対ですね。
小沢: 現時点でやるのはね。抜本改革を何もしないで、ただ増税するというのは反対です。
田原: わかりました。さあ、ここで裁判に、どうぞ。
角谷: はい。では裁判のことにいきましょうか。「小沢裁判とは何なのか?」というテーマでいこうと思います。
田原: そうですね。よろしくお願いします。さて、小沢さんは今、裁判を抱えていらっしゃる。その小沢さんについて、世の中では「小沢悪人論」が強いんですよね。小沢さんは汚いとか黒いとか金権だとか。非常に強い。何でこんなに強いかと言えば、これは小沢さんが仰らなくても、僕が説明しますよ。これはやっぱり小沢さんのことを検察が盛んにマスコミにリークした。「小沢は汚い」とかいろいろなことを。これを新聞やTVがドーンとそのまま書いた。これで世の中がそう思った。こういうマスコミをどう思います?
小沢: いや、僕はマスコミにはオピニオンリーダーとして、やっぱり本当に公正な、客観的な報道をしてもらわないと、やはりまた国を潰すことになると本当に心配してます。僕個人のことじゃなくてね。
田原: うん、だけど何でマスコミはこんなに検察に弱いんですか? 小沢さんが汚いとか書いてるマスコミは裏取ってるならいいですが、裏も取らないで検察の言うままじゃないですか。
小沢: 僕は、検察との繋がりは別として、マスコミも改革の例外ではないという考え方ですから。
田原: どういうことですか?
小沢: ですから、日本のマスコミは最も旧体制の中で既得権を持ってるところですよ。
田原: なるほど。
小沢: 官僚に勝るとも劣らないくらいの既得権を持ってるところです。
田原: しかも日本の新聞はみんなTV局を持ってると。
小沢: そうそうそう。
田原: あれは免許事業だと。
小沢: 免許は本当は5年かな? ・・・ごとに更新されるはずでしょう。だから欧米では競争入札してる所もあるんですね。ところが日本では一度取れば、ずっとでしょう。それから新聞は再販制度で全部保護されているでしょう。その意味で競争が無い。非常に既得権を持ってるのはマスコミなんですね。
田原: 官僚と同じだ。
小沢: そうです。
田原: (官僚)以上かも知れない。
小沢: はい、そうかも知れない。そして批判する人がいないでしょう。
田原: なるほど。
小沢: だからその意味で、今までの体制が一番いいんですね。それを変えようとするのは、僕みたいなのはけしからんという話になってくる。
田原: やられちゃうわけだ。
小沢: はい。
田原: だけど、小沢さんのようになれば、僕はマスコミもちゃんとした記者たちはやっぱり、小沢さんとちゃんと話をすると思うんだけど。だって本当のことを知ろうと思えば小沢さんに会わなきゃどうしようもないじゃないですか。
小沢: だから最近は全然僕もやらないけれども、僕の話を聞かずに、全部僕の記事が出てるんですよね。
田原: 何ですか、それは。
小沢: 本当にわからないんですけれども。
田原: そう。例えば新聞社の名前は言いませんけど、いろいろな大新聞の大記者が小沢さんには会いに来ないですか?
小沢: だから、僕のことに関する記事でも僕が直接取材を受けるということは一切ないですね。
田原: そうですか。
小沢: はい。今は僕はそういうマスコミをあまり相手にするのも馬鹿馬鹿しいからしないんですが、しかし僕はインターネットなんかを通じてフルオープンの記者会見もちゃんとやってますし、ネットのように本当にそのまま報道してくれるんなら僕はいくらでもやるんですよ。(このことを)僕がいくら言ったってダメなんですよ。
■田原「検察審査会って何をやっているのか。さっぱり公開しない」
田原: 今、別に小沢さんに約束をしてもらおうとは思わないけど、僕の番組は本当に小沢さんの言う通りやりますよ。また申し込みますから。・・・いや、それは余計なこと。それで僕は小沢さんの問題は、初めからシロだと言っている。TVでも言ってるし、雑誌でもどこでも書いてるんです。つまり、プロ中のプロである東京地検特捜部が、小沢さんを何とかやっつけようと思って必死になったけど、ついに起訴できなかった。そうですよね。
小沢: はい。
田原: 起訴できないということはシロということですよ、やっぱり。
小沢: はい。
田原: ところがそれを検察審査会という、ちょっとよくわからない集団なんだけど、それが2度にわたって小沢さんを「起訴相当」と出した。2度にわたって起訴相当になると「強制起訴」になって、小沢さんは起訴されちゃってるんですね。
小沢: はい。
田原: よくわからないのは、検察審査会って何をどうしてるのか、さっぱり、一切公開しないんですね。これはどう思いますか。
小沢: そうなんです。それで国会議員の仲間でも、おかしいということで問い詰めて、資料要求なんかをやった人がいるんですよ。ところが一切資料を出さないんですよ。それで最初、審査会の委員の平均年齢が31歳だとか、いや、間違えました、31.何歳などということでしょう? そうすると、どうやってその人を選んでいるのか。31歳を平均年齢とすれば、ほとんど20代の人が半分以上いるということですよね。人口構成からも変だし、いろんな意味で変だと仲間の議員がいろいろ聞いたんですが、一切資料を出さないんです。
田原: 出さない?
小沢: 出さない。
田原: 一切資料出さないで、いきなり起訴されたってことに対して、小沢さんは、「こんな裁判ないじゃないか」って問題提起しないんですか?
小沢: だから僕はいま制度として検察審査会があるから、それについてどうこうじゃないです。ただ、法と証拠に基づいて運用を公正にっていうのが法治国家・民主主義国家の原則ですから。それをきちっと、少なくとも守ってやってもらいたかったと思っていますね。
田原: ところで、東京地検特捜部が最終的にやろうとしたことは虚偽記載ですよね。小沢さんの帳簿に金を入れたのは実は平成16年10月なのに、これが17年1月になっていたと。2ヶ月ですかね。これを虚偽記載であると言った。もう1つは、虚偽記載であるかどうかも問題で、そこは後で答えて欲しいが、虚偽記載をやったのは当時の秘書官の(元秘書の)石川(知裕)さんだと。ところが石川さんがやったとして、小沢さんがそれを「共謀した」と。共謀なんてことは良くないんだけれど、小沢さんが許可を与えたあるいはそれを認めたということになってるんですね。この2点はどうですか?
小沢: まず、この政治資金収支報告書というものですが、これは言わば収入と支出の家計簿みたいな話ですから、極々事務的な話なんです。
田原: なるほど。
小沢: ですから、石川はじめうちのスタッフはちゃんと記入してますと言ってますが、それが仮に間違っているとしたら、今までの例では政治資金規正法上は修正報告でみんな良しとされているわけですよ。
田原: ちょっと待ってください。仮に2ヶ月ずれたことが事実あったとしても、修正報告すればいいんですか?
小沢: 仮にそれが虚偽報告に当たるということであれば修正して、みんな今まで全部そうやって、今でもそうやってきていますよ。
田原: 話は違うんですが、税務署もそうですね。何かに使ったとして「使ってなかった」と(報告したとき)、そういう時には修正報告すればそれでいいわけですね。
小沢: ですから、それを脱税とかいろんな事実上の犯罪があれば別ですよ。
田原: だけどこれは検察が犯罪だと言ってるんだから。
小沢: いえいえ、報告書自体が違うのが犯罪だと言ってるわけですよ。そうじゃなくて、例えば僕が違法な金をもらってるとか、何か脱税してるとかそういうことがあれば別ですが、いま争われているのは、ただ単なる収支報告書の見解の相違なんです。だからこれは、従来から全部修正報告で済まされてきたものなんです。
田原: そういうものなんですか。
小沢: 全部そうですよ。だから今まで問題になった人でも全部他の実質犯罪が無い限りは、政治資金収支報告書の修正で「OK」とされてきたんです。
田原: 小沢さんの場合だけが、検察が動いて有罪かどうかとやってるわけですか。
小沢: そういうことになります。だから僕は冒頭の意見を言って良いということになりましたので、それも言いました。なぜ私だけがこんな事務的な問題で、何の証拠も無しに強制捜査になるのかと。私個人ということより、あの時はどういう状況だったかと言いますと、もう半世紀以来、初めて1対1の戦いで政権が交代するかも知れないという予測がされていた時点です。その総選挙の直前に、何の証拠も無しに野党の第1党の党首を、そのスタッフ・政治団体を強制捜査するっていうのは、これはもう民主主義の世界では考えられない。
田原: この事件とは直接関係なかったけれども、(同じく元秘書の)大久保(隆規)さんを逮捕しちゃいましたね。
小沢: だからあれも何の証拠も無しに。
田原: あれはまさに、いつ選挙が行われてもおかしくなかった。
小沢: そういう時期ですよ。確証無しに逮捕した。
田原: まあそれはともかく。もう1つ、特に今度の裁判では小沢さんが共謀だと、つまり石川さんにそうしようと言った、あるいはそれを認めたと。この点はどうですか?
小沢: だから今言ったように、これはまったくの事務的な問題なんですね。国会議員で収支報告書を見てる人なんかいないですよ。
田原: そうですか。
小沢: そうですよ。今言ったように、収入と支出を書いて出せばいいだけの話ですから。極々事務的な話なんです。ですからその意味ではスタッフ・秘書が全部それは責任をもってやるのはどこの事務所でも同じなんですよ。
田原: ただ、これは世の中に言いふらしてるんですが、検察は4億円もの金を虚偽記載する、そんなことを秘書が勝手にやれるはずがないと。当然小沢さんに相談しているはずだと、今はこうなっています。世の中の人も相当それを信じています。この点はどうですか?
小沢: ですから、そのお金は私自身の私的なお金ですし、それを出したことは間違いない。だけど後は、どういう事務的手続きをするかというのは、僕がかむ話じゃない。
角谷: メールが来ています。「山の神様」、神奈川の女性です。「小沢さんがなぜ4億円ものお金を現金で持っていたのかに興味があるだけで、その説明がなされれば、この騒動は終わるのではないか。みんなの興味はこの1点だ」と。
田原: ちょっとそれは違うよ。みんなの興味がその1点で、検察もそれに興味を持ってるんだけど、少なくとも今度の裁判は虚偽記載であり、それに小沢さんが共謀しているかどうかの1点で、4億円がどうかということはまったくどうでも良い。
角谷: その原資がどこにあるかは問題ではない?
田原: まったく問うていない。
小沢: この問題について、そういう様な疑問とかがいっぱいあるんですが。この一連のことで政治団体や秘書は逮捕されたり強制捜査を受けましたね。僕の場合は逮捕されずに任意で事情を聴かれただけですが、しかし僕も3回も聴かれているわけです。それからいまお金の話しましたけれど、私の個人資産、女房の個人資産、これはすべて検察が事実上の強制捜査をして知っているんですよ。それでも何も問題なしになったから起訴されなかった。
■「マスコミは円高のメリットを言わず、大変だとばかり言う」
田原: ということは、そこに問題はなかったと検察が判断したってことだ。ところが、9月に石川さんはじめ大久保さんたち3人の秘書の1審の判決がありました。1審の判決で3人とも有罪になった。これは問題で、例えば少なくともこの1審の判決では「虚偽記載はあった」ということを断定しているわけですね。皆さんわかると思うんだけど、この1審で一番問題なのは、例の大問題になった水谷建設の元トップが、大久保さんと石川さんに5千万円ずつ献金したと、言ってみれば裏献金ですね。検察がそのことで2人をぎゅうぎゅうやった。ところが2人はこれを「無い」とまったく認めなかった、元トップはいろいろ言ってるようですが、これの証拠らしいものは客観的な物的証拠は何にもない。僕はこの水谷建設に東京地検特捜部がはまりこんだのが失敗だったと思ってるんですが、なんと今度の1審の判決では「もらった」と断定して有罪になっている。これはどう思いますか?
小沢: 本当にびっくりしましたね。言ってみれば「自分はたぶんもらったんじゃないかと思う」という類の判決ですよね。裁判所は法と証拠に基づいてきちんとした公正な場所であると皆思っているわけですよね。そこでそういう風に、多分そうだろう、俺はどうももらったんじゃないかと考えると。その前提があって初めて彼らは有罪ということになっちゃったんですよね。ですから、その意味では本当に私は驚きましたね。
田原: さらに僕が驚いているのは、検察がそういうことで有罪だと求刑するのはわかるが、裁判所、裁判官が認めちゃったと。裁判所が少なくともこういう形で露骨に検察に荷担することは無いと思ってたんだけど、どう思いますか。
小沢: 本当にただ驚いたということで、たぶん前代未聞の判決だと思います。
田原: だからね、そこで僕は心配になってきた。僕は小沢さんは無罪だと思っていますよ。でもこの判決に倣って、もし今回の小沢さんの裁判の検察役をやってる弁護士や裁判官が、この9月の判決があって、推認で有罪になって。小沢さんが有罪になる可能性ありますよ。
小沢: だけど今言ったように、あの2人の有罪の前提は金をもらったに違いないということでしょう。
田原: だって2人とも「もらった」と言ってない、証拠がない。
小沢: 事実上もらってないし、仰るように何の証拠もないわけですよ。それを「たぶんもらったに違いない」と裁判所にそう認定されたんじゃ、これはみんな罪人になっちゃいますよ。
田原: 繰り返しますが、虚偽記載があったとやっぱり断定してるんですね。だから石川さんはこれで有罪ですよね。
小沢: そうそう、そうですよ。1審は有罪の判決を受けたわけです。
田原: ということは、こんな4億円近い金を、石川が秘書が勝手にやるはずがないと。これは小沢さんがかんでるに違いないという想定というか常識、推認ですよ。
小沢: ですから、かんでいるという意味は、僕が僕の金を渡したんだから、その意味ではかんでいるんですよ。だけど後は何回も言うように事務的処理の話ですから、それをどう使うか、どう報告するかというのは・・・。
田原: 小沢さんの話は良くわかってるんだけれど、この1審の判決みたいに推認、推認、断定となると、これはちょっとね。
小沢: そうですね、そういうことが起こったとしたらね。だから後は国民の皆さんの判断じゃないですかね。
田原: 国民の皆さんもあまり信用できないけれども(笑)。そんなことはないことをもちろん祈るし、ないでしょう。ところでもう1つお聞きしたい。当然ながら僕は無罪になると思いますが、今はお休みされていて民主党からもはずれている。もし無罪になったら小沢さんは当然復党ですか?
小沢: 復党って(現在も)党員ではありますけどね。
田原: だから、党員としてきちんと活動することになりますか?
小沢: もちろん、僕はそうしたいと思っています。
田原: 党員としてきちんと活動するということは、さっきも仰った今は例えば野田さんたちが曖昧なことを言って使い分けやってるけど、小沢さんはあんまり仰らないけれど、こういうことは当然きちんと言うようになるわけですね。
小沢: そうですね。言ってもマスコミからいろんなことを言われないで済むようになりますから。
田原: 僕は野暮なことは聴きません。例えばまた代表選挙に出るかなんて聴きませんが、当然やっぱり現役として活動をされるわけですね。
小沢: それは状況が非常に僕は深刻だと思ってるんですよ。日本の国内では震災、原発があり、それから今ユーロが危ないですよ。非常に危ない。
田原: 破綻する可能性がある。
小沢: 僕はそう思ってます。行くとこまで行くんじゃないかと。すると世界恐慌的になっちゃいますよ。
田原: そんな話へ移ります。
角谷: 次はですね。「民主党をどうする?」ということを軸にお願いします。
田原: 今日本の国民が一番悩んでいる、困っているのは円高ですよね。金曜日(2011年11月18日)現在が確か76円ですか。元々は小沢さんが政治家になられた頃は1ドル360円でしたね。それが今は76円。小沢さんも専門家で釈迦に説法ですが、やっぱりせいぜい日本がまともな経済活動ができるのは100円とか90円ですよね。これが76円になったら、こりゃ大変ですよね。もう1つ、ここが一番お聞きしたい。76円という円高だということは、つまり日本が強いと見られているんだけど、本当は強くないことが問題。日本が強いということは日本の経済界が強い、日本の産業界が強いということで、ならば株価も上がらなきゃいけないが、株価が8400円と最低じゃないですか。つまり日本の企業が、産業がまったく信用されていないのに、何で円だけ上がるんですか?
小沢: それは他(の国)がもっと悪いということもあって、円に資金が集まるということだと思います。
田原: さっき仰ったユーロがガタガタ。
小沢: アメリカも良くないと。そうすると日本に投資した方が無難だろうという形で円が上がって、日本がうんと評価されてるっていうよりも、他の国が今異常に大変だから、相対的に日本の円が上がっていると。ただ僕は、それと違うようなことを言いますが、円高っていうのは悪いことばかりじゃないですね。
田原: なるほど。
小沢: ですから、円高に対応できる国内の体制・産業であれ何であれを作ると同時に、この円高のメリットを活用しないといけないと僕は思っています。
田原: 例えば日本は電力なんかのエネルギー、石油、石炭、ガス、みんな輸入ですよね。
小沢: そうです。
田原: 輸入するものは、円高は大変いいわけですね。
小沢: そうです。
田原: だから電力会社は原発で大変だろうけど、本当は儲かっているわけですね。
小沢: 電力だけじゃなくて、日本はあらゆる資源が何もないわけですね。
田原: 食料にしても。
小沢: 何もないわけですよ。
田原: 鉄鋼にしても。
小沢: ですから、その意味ではこの円高というのはものすごいメリットなんです。
田原: この辺もマスコミは問題で、円高のメリットを言わないで「大変だ大変だ」とばっかり言っている。
小沢: 円高で中小零細企業の皆さんを結局大手(企業)が買い叩きますから、大変なことは間違いないです。そのための対策を講じなければならないことは当然ですけれども、ただ「大変だ大変だ」だけじゃなくて、もっと前向きな、積極的な政策を、対外的にも国内的にも打ち出していくべきだと思いますね。
・田原総一朗「国を変えるには小沢一郎が総理になるしかない」 小沢×田原対談全文(後)
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◇
田原総一朗「国を変えるには小沢一郎が総理になるしかない」 小沢×田原対談全文(後)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw149018
ニコニコニュース(オリジナル) 2011年11月20日(日)19時03分配信
東京・六本木のニコファーレで2011年11月19日、小沢一郎元民主党代表とジャーナリスト田原総一朗氏の対談があり、ニコニコ生放送「小沢一郎×田原総一朗 徹底生討論 『日本をどうする!』in ニコファーレ」として中継された。対談で「国民の自立」を訴えた小沢氏は、新党立ち上げの意志があるかとの質問に対し「民主党で皆さんの信頼を回復したい」と、これを否定。一方の田原氏は、民主党政権になってすでに3人首相が代わっていることなどを挙げ、「この国を変えるためには小沢さんが総理大臣になるしかない」と語った。
■「ただ安いからといって闇雲に"海外"というのは考えもの」
田原総一朗(以下、田原): そこで、今日一番お聞きしたいことはこの次なんです。これも釈迦に説法ですけれども、日本は法人税が40%と高い。こんな国は先進国では無いですね。中国で25%、韓国25%、シンガポール17%、ヨーロッパはみんな30%と高い。法人税が高い、しかも円高。企業はどんどん海外へ出ていきますよね。これからどんどん中小企業も出ていくでしょう。出ていったら、日本は産業が空洞化するじゃないかと。ここが一番の問題だと思うんですよ。ところが民主党も自民党もこういうことを国会でまったく論議しない。どうすればいい?
小沢一郎 (以下、小沢): 法人税本体が高いことは間違いないんですが、社会保障関係の経費なんかを入れますと、必ずしも日本の企業が高いというわけではないですね。
田原: そうですか。
小沢: そうなんです。GM(ゼネラル・モーターズ)などが潰れそうになったでしょう。向こうは年金など負担が猛烈に高いものですから、あの時はそれで大変になったんですよ。
田原: 日本は厚生年金、つまり会社に勤めている人たちの年金ですね、これは自分が払う分と会社負担があるんだけど、日本は会社負担が多くない。アメリカ、ヨーロッパは・・・。
小沢: (日本は)ほかに比べればね。
田原: だからアメリカやヨーロッパで会社をやったほうがもっとドーンと高いと。
小沢: そうです。ですからそれを含めると、必ずしも法人税のトータルが日本の方ほうが高いというわけではないんですよ。法人税本体は高いですけどね。
田原: いずれにしても今どんどん企業が(海外に)出ている。産業空洞化が起きて就職ができない。2〜3日前の新聞でも、大学生の就職率が50%、高校生はもっと低いと・・・。
小沢: そうですね。
田原: 就職ができないということになって深刻なんですが、この産業の空洞化問題はどうすればいいですか。
小沢: やっぱり1つは輸出にばかり頼る経済ということから、成長率が低くてもある程度内需でやっていける、内需で回せるような体質に転換する必要が僕はあると思いますね。
田原: これもご存知じゃない方が多いと思いますが、1980年代後半から90年代初めに日米経済摩擦というのがあった。当時小沢さんは自民党で幹事長もやっていらした。この時にアメリカは、「アメリカに輸出ばっかりしないで内需拡大をやれよ」と盛んに言った。あれで内需拡大はできたんですか?
小沢: もちろん、それでいわゆる財政出動したりしました。だけど財政の出動をずっと続けるわけにはいきませんから、産業そのものをもっと国内需要でもってやりくりできる産業にしていかなければならないと。
田原: トヨタにしても、ホンダにしても、日産にしても、全部輸出でもっているんですよね。
小沢: そうです。
田原: どうすればいいんですか。国内で車を売ろうといったって、そんなに売れないじゃないですか。
小沢: それはそうです。だけど基本的に海外で輸出ということももちろん必要ですけれども、最低限の国内需要というものをきちんと抱えておれば、そんなに海外が悪くなったからといって、すぐバタッと影響が起きるということは無くて済みますから。今、タイの洪水で大変になっちゃっているでしょう。
田原: これもまた面白いですね。今、中小企業の部品屋さんがみんなこれで潤っているんですよ。大企業はタイで駄目になってしょうがないから、国内の中小企業に発注しているというね。
小沢: だから大企業自身も、ただ安いからといって闇雲に「海外、海外」というのも考えものだと思いますよ。
田原: 僕は小沢さんを除いて、政治家はその辺を言えないと思うんですよ。やっぱりいくら資本主義といったって、儲かればいいというもんじゃないでしょう。
小沢: そう思います。
田原: どうですか。
小沢: 今、政治家のモラルだけ問われますけど、経済人にもきちんとそれなりの、商売人として一国民として、また国内の企業としてのモラルはきちんと持っててもらわないといけない。
田原: どこが欠けていますか。
小沢: 要するに当面、何でもいいから儲かればいいという、あの感覚は僕はやっぱり・・・。
田原: 何でそうなっちゃったんですかね。
小沢: ある意味、日本社会全体の戦後の風潮でしょうかね。そう思います。
田原: でも戦後のそういう風潮がそうなったとしたら、やっぱり小沢さんもいた自民党が悪いんですよね。
小沢: そうです、そうです。
田原: そういう風潮を作っちゃった。
小沢: そうです。やっぱり戦後政治の一番の問題点です。
田原: どこが戦後政治の一番の問題点だった?
小沢: 戦後政治の問題点は、1つは政治行政を全部官僚に任せちゃったということ。
田原: それはある。さっきから仰っている。
小沢: 任せたけれども、任せていい時代だったんですね。
田原: 高度成長で。
小沢: 高度成長、右肩上がりで。余計なことを政治家は言わんほうがいいというような。
田原: 明日の生活は今日より豊かになる、明後日はもっと豊かになる。みんながそう思っていた。
小沢: はい。だから、そういう時代で官僚に任せ過ぎちゃったというのが、1つの大きな日本のあれ(戦後政治の問題点)だと思います。
田原: そうか、官僚がいる。
小沢: それからこれはよく言われますけれども、やっぱり高度成長の中で物質万能の価値観が国民・社会の間に根付いてしまったというのも大きいと思いますね。
田原: そこで、僕は小沢さんに申し上げたい。つまり、高度成長があって、バブルがあった。バブルが弾けたのは宮沢(喜一)内閣の時です。まさにこの時に小沢さんたちは自民党に愛想を尽かして出ていかれて、細川(護熙)連立政権をお作りになった。これは100%小沢さんのせいだと思いますよ。
小沢: (笑)。
田原: まあ、いいや。ところが細川連立政権を作ってからそれ以後ずっと、やっぱり日本の体質は変わっていないじゃないですか。
小沢: 変わってない?
田原: 変わってない。これは何ですか。
小沢: やっぱり日本人の意識が変わってないんでしょうね。
田原: それをやっぱり政治家が何とかしなければいけない。
小沢: 政治家の責任ですけどね。もちろんその通りですが、やっぱり国民自らが(何とかするのが)民主主義社会ですから。国民以上の政治家が出ないとよく言われるんですよ。だから、国民がやっぱり賢明にならないと。
田原: 賢明になるというのはどうすればいい?
小沢: 自分自身で考えることです。自分自身で考え、自分自身で努力し自分自身で決断して、行動するということです。
田原: いやそう仰るけど、これは極めて難しいですよ。
小沢: ええ、難しいです。
■米軍基地の辺野古への移転は「できないでしょうね」
田原: 今の日本がどうすればいいかというのを、自分で考えろと言ったって難しいですよ。
小沢: 例えば選挙で誰を選ぶか、どうするか。それをマスコミがこう言うからとか、そういう話じゃなくて、自分自身でちゃんと検討して、こいつは政治家に値するかどうか、そういうことを自分でいいです。自分なりの判断できちんとやらないとダメですね。
田原: 僕は選挙にかけては小沢さんは大天才だと思う。日本でずば抜けている。だって、小沢さんが選挙をやったら全部勝つじゃない。
小沢: いやいや、そんなんじゃないですけど。
田原: だって、(元総理大臣の)安倍(晋三)さんの時の参議院選挙も小沢さんが勝ったし、それでまた衆議院選挙も小沢さんが勝った。小沢さんがいなくなったら、菅(直人)さんは参議院選挙でボロ負けに負けた。小沢さんは天才だと思う。だけど、小沢さんが当選させた連中は日本を変えてないじゃないですか。
小沢: うーん。やっぱり僕はいつも常に国民の中に大衆の中に入れと若い人らに言うんです。やっぱりそこで一言でも二言でも言葉を交わし、話を聞いて、触れて、それで初めて政治の何たるかというものがわかってくるんだからと言うんですがね。やっぱりそこのところが、政治家にも国民のサイドにもちょっと欠けているんじゃないですかね。
田原: 僕は小沢さんにも欠けていると思う。
小沢: うーん。
田原: そういうことを言っているんじゃダメだと思う。
小沢: そうですかね。
田原: もっと具体的に、まるで新人の議員、あるいは議員になりたい人を指導するように、もっと心を込めて・・・。
小沢: いや、だから僕は屁理屈ばっかり言ってたってダメだと。ちゃんと「国民の中へ入って、国民皆さんと話をして、それでこそ初めて政治家だ」と。そう言ってるんですよ。
田原: ところが、例えば僕はこのあいだ北海道で講演したんですが、北海道はTPP皆反対なんですよね。北海道選出の自民党議員も民主党議員も北海道へ行くとTPP反対と言ってる。世論迎合なんですよ。
小沢: そうそう。
田原: 困ったもんですね。
小沢: だからそれは政治家が有権者と本当の意思疎通ができてないんですよ。
田原: そう、そこなの。
小沢: 口幅ったい言い方ですけど、僕はもう20数年選挙区にも帰ってないですよ。
田原: 帰ってないんですか?
小沢: 帰ってないです。選挙の時も1日も帰らないです。そして僕は自分の主張を曲げないです。それでもみんな付いて来てくれている。僕は感謝してますが、やっぱりそういう信頼関係が無いと、その時その時で右往左往しちゃうんですよ。だから僕が選挙活動、日常活動が大事だというのはそこなんですよ。政治家が選挙に強ければ何も怖くないですよ。
田原: そりゃそうだ。最後に時間もありませんが、ちょっと質問の前にもう1つ聞きたい。最後の質問なんですが、普天間です。
小沢: はい。
田原: 沖縄の米軍基地ですね。鳩山さんの時に、問題があるんだけど、鳩山さんは最低でも普天間の基地を県外に移すと言っていた。言いながら、結局去年の5月末に沖縄を騙す形で、本人は騙すつもりは無かったかも知れないけど、アメリカと辺野古にするという協定を結んじゃった。それで今も(総理大臣の)野田(佳彦)さんが辺野古だ、辺野古だと言っています。これはできますか?
小沢: できないでしょうね。だって地元が反対してるんですから。
田原: だからどうします?
小沢: ですから、僕は鳩山さんも本気で一生懸命努力されたと思いますよ。その努力をやっぱりもう少しアメリカと率直にやることですね。
田原: 誰が?
小沢: 為政者が、トップの人が。
田原: 野田さんが?
小沢: 野田さんであれ、誰であれですけれども。
田原: でも野田政権は、やっぱり未だに辺野古でいこうとしてますよね。
小沢: そうそうそう。僕はあまり賛成じゃないですね。
田原: どうすりゃいい?
小沢: みんな日米同盟と世界戦略のあれとちょっと混同して勘違いしてるんですが、アメリカはいま最前線に大きな兵力を置く必要はないという世界戦略に変わりつつあるんですよ。
田原: だから現にオーストラリア・・・。
小沢: いや、オーストラリアはまた別なんですが。ドイツやヨーロッパから5万、6万の兵を引き揚げてます。沖縄の海兵隊もほとんど事実上8千人なんかいないんですよ。残ってるのはもう千人か2千人なんですよ。ですからいざという時に緊急出動出来る体制さえ取っていれば、アメリカの戦略は後方に実戦部隊を置いておくというのに変わってるんですよ。
田原: そうすると普天間の基地は無くてもいい?
小沢: ただ、沖縄は日本の領土であり近辺は領海です。日本自身が守らなきゃいけないんですよ。
田原: 本当なら自衛隊が守らなきゃいけない、そこなんですよ。
小沢: だからアメリカがいることによって、アメリカのプレゼンス(存在)が極東の平和を守っている1つの要因であるということも事実です。アメリカが後退すれば、ある程度の空白ができることも事実です。それは日本の領土であり日本の平和のためなんだから、日本がやりゃいいんです。
田原: だから鳩山さんが総理になった頃、あるいはなる前かな、「常時駐留なき安保」と言ってましたね。沖縄に米軍がいつもいることはないと。どうですか?
小沢: だけど、いざという時の緊急体制のシステムだけは無きゃいかんでしょうね。
田原: だけど、そんな日本の勝手は・・・。
小沢: だけどアメリカも実戦部隊を前線にへばり付けておこうという気はもう無いんですから。
田原: 無い?
小沢: 無いですよ、だからみんな引き揚げてるんですよ。緊急の時にだけ来られるようにしている。
田原: じゃあ本当は普天間にはもう基地が無くてもいい?
小沢: 軍事的にはもっとしゃべらなきゃわからないですけど、僕は可能だと思っています。
田原: ということは、野田さんはむしろその線で行けばいい?
小沢: アメリカと話すことですね。
田原: それまったくやってないね。
小沢: アメリカにそんなに遠慮することないんですが。なぜ今まで日本の政治家が、野田さん云々じゃなくて、それをアメリカに言えないかというと、じゃあ「お前がその分の責任を持て」と言われるからですよ。それが嫌なんですよ。
田原: 責任持つのがね。
小沢: 責任持つのが。
田原: 特に安全保障で。
小沢: そうそう。だからアメリカはいないほうがいい、でも責任は持たない。じゃあどうするんだと言う話になっちゃう。
■米軍基地問題「米軍が引いてできた空白は日本が担えばいい」
田原: 悪い言葉で言いますと、日本はアメリカに守ってもらって、中はドリームランドになっている。
小沢: だから自分は何もしないで、必要な時に金だけ出して、それで済めばいいなということですから、アメリカ人からものすごく軽蔑されている。
田原: そうなんですよ。だからどうすりゃいい?
小沢: だから極東の平和、日本の平和と安全のために、米軍が後方へ引いてできた空白は日本が可能な限り担えばいいんですよ。
田原: 小沢さん、この安全保障論、また改めてやりましょう。
小沢: いいですよ。
田原: (司会の角谷氏に向かい)どうぞ。
角谷浩一(以下、角谷): この後は日本をどう立て直すかというテーマに変わっていきますけど、その前に、最後でもいいんですけどここで(質問を)扱いましょう。愛知県の「ステイメン」さんからです。「09マニフェストを事実上破棄したのに続いて、消費税増税やTPP協議参加など、今の民主党は国民の生活が第一という理念を完全にドブに捨てている。そして民主党に期待した国民も、そんな民主党を見限っている。今、国民の多くが小沢さんの新党立ち上げに期待しているのではないか。小沢さんの真意はいかがか」と。
田原: どうですか?
小沢: 僕は後から民主党に合流した者ですが、それでも自分が先頭に立って政権交代を実現させてもらいました。だからできれば新党云々ではなくて、民主党が本来の原点に立ち戻って、国民の皆さんの信頼をもう一度回復できるようにしたいというのが私の最大の・・・。
田原: 立ち戻らないでしょう?
小沢: いや戻れますよ。
田原: 鳩山さん、菅さん、野田さんとね、3代続いて立ち戻らないのにどうして立ち戻れますか?
小沢: やればできますよ。
田原: ということは、小沢さんに言わないでおこうと思ったけど、やっぱ小沢さんが代表にならなきゃダメなんだ。
小沢: いやいや(笑) それはまた別問題ですけど。
角谷: 次のテーマにいきます。日本をどう立て直すかというこれからの話をします。
田原: それはさっき言ったでしょ?
角谷: でももう少し広いテーマでいきましょう。
田原: 今、円高不況と、さっき仰った安全保障もいい加減、そういう日本をこれからどうすりゃいいんですか?
小沢: 僕が本に書いたり、あっちこっちでしゃべってるのは、さっきも言いましたけど、やっぱり日本人の自立ですよ。
田原: 自立ってどういうことですか?
小沢: 自分で考え、自分で判断するという習性を付けないと、とにかくその時その時で、マスコミだなんだかんだに影響されてフラフラするというのでは、本当に日本を立て直すことは僕は出来ないと思いますね。
田原: 「自立」というと、真ん中より右の方が2つのことを言うんです。「日本も核兵器を持つべきだ」と。これはどうですか? アメリカも中国もロシアもイギリスもフランスもみんな持ってると。最近はインドもパキスタンも持ってる、北朝鮮まで持ってると。やっぱり持つべきじゃないかと。
小沢: 核兵器の保有は軍事的にも政治的にもあまり意味は無いです。
田原: 意味無い?
小沢: 意味無いです。
田原: だって北朝鮮はあんな国なのに持ってるじゃないですか。
小沢: いやだけど、そのために日米安保(日米安全保障条約)があるんですから、日本が核を持つ政治的軍事的意味は薄いです。
田原: 薄い?
小沢: だから僕は賛成ではありません。
田原: 小沢さんが言い切られたのはいい。亡くなられたけど、実は(経産大臣、財務大臣などを歴任した自民党の)中川昭一さんが、核兵器を持つかどうかはともかく、持つかどうかという論議はすべきだっていうことを盛んに言ってましたね。
小沢: 論議はいいですよ。だけど今言ったように、僕の論理では軍事的にも政治的にも核兵器を持つということにはあまり意味は無い。
田原: もう1つ、「憲法を改正すべきだ」と。今の憲法9条が専守防衛だと。やっぱり日本もちゃんと爆撃機を持てるように、例えば今よく言われているのは、北朝鮮のノドン200基が日本に向いていて、いつでも撃てるようになっている。でも日本はどうしようもない。本気で向こうが撃つ、あるいは撃とうとする、それをどうやって判断するんだと専門家に聞いたら、その判断はアメリカに任せてるんだと言うんです。日本じゃ判断できない。もし向こうが撃とうとしたり、撃って来たらどうするんだということもアメリカにお任せしていると。こんな安全保障ってあるんですか?
小沢: 即核兵器や核兵器搭載の弾道弾を持つという話ではなくて、今の科学ですと、北朝鮮からどこを狙って発射したかというのは即座にわかるわけですから。そういう意味の防衛の体制というのは当然作っておくべきだと思います。
田原: 迎撃するミサイルは持つべき?
小沢: それはそうです。防衛のための迎撃ミサイルは持たなくちゃ。
田原: 例えば、北朝鮮がミサイルを撃った。その基地はやっぱり日本は攻撃しちゃダメですか?
小沢: だからそれは、世界状況全般、あるいは日本のその時の状況全般によりますけれども、いわゆるそうすると、だんだんエスカレートしちゃいます。
田原: だからそこなんです。
小沢: それでは「先制攻撃がいいんだ」という話になっていっちゃうんですよ。そうすると、ゴタゴタの元の木阿弥になっちゃいますから。僕は多少不利であっても、先制攻撃の論理は取るべきじゃないと思います。
田原: 僕は、小沢さんが海部(俊樹)内閣の時に、イラクがイランに侵入した湾岸戦争が起きた。あの時に小沢さんは確か、やっぱり湾岸戦争には自衛隊は参加すべきだと仰った。
小沢: そうです。
田原: ところが自民党の反対もあってできなかった。そこなんです。だから本当は、小沢さんは民主党の中で、今の日本がああいうものに自衛隊が参加すべきだという論議を国民的に巻き起こすべきだと思う。
小沢: だから僕はあの時も、自民党と言うよりも内閣が決断できなかったんです。
田原: できなかった。そうです。
■平和は「金で買える話じゃない」
小沢: 僕はとにかく難民を運ぶための飛行機とか、エジプトに了解を取ったり、いろんなことをしてゴーサインが出ればやれたんです。だけども結局、問題は内閣なんです。
田原: 海部さん?
小沢: 党うんぬんというんじゃないです。
田原: 海部さんだ。
小沢: あの当時は海部さんでした。
田原: でも海部さんなんて、小沢さんがどうにでもできたんじゃない?
小沢: いえいえ、そうじゃないです。やっぱり行政というのは、その指揮命令系統で動きますから。総理大臣なり国務大臣が命令しなきゃ動きませんから。
田原: では、やっぱりこの国を変えるためには、小沢さんが総理大臣になるしかないじゃないですか。
小沢: ははは(笑)。
田原: だって本当に、幹事長がダメだと言うんだから。
小沢: あの時も驚くべきは、誰が反対したかと言ったら、海部さんもそうですけど、外務省、防衛庁、この2つが一番反対したんです。
田原: 大体そうなんです。
小沢: 後になってから、ワアワア言い出しましたけど。
田原: だから、あの後にせっかく金丸(信)さんが小沢さんに「お前、総理になれ」って言った時、何で断ったんですか。
小沢: ははは(笑)。それはまた別問題。
田原: あれ断るべきじゃない。だから宮沢(喜一)さん(が総理大臣)になっちゃった。
小沢: とにかくそういう問題も、憲法の問題も、憲法改正と言うとギャアギャア感情的議論になっちゃうんです。「右だ左だ」と言ってね。
田原: またエスカレートするから。
小沢: そうじゃないんですよ。他の国はその都度変えていますから。
田原: 変えています。ドイツなんて何度も変えている。憲法を作らなかったですね。
小沢: 憲法は、日本の国民が安心して安定した生活をできるためのルールですから、状況が変われば変えていいんです。
田原: 小沢さんは憲法改正は賛成。
小沢: 僕は賛成ですよ。
田原: 賛成ですか。
小沢: すべきところは(改正)した方がいいと思う。
田原: (日本国憲法)9条は?
小沢: 僕は、9条の精神を変える必要はないと思う。ただ、国連の活動について、あるいは自衛権について曖昧なところがありますから、そこは補足したほうがいいと思います。
田原: 小沢さんは前から仰っている。「国連軍」というものができれば、日本はそれに参加すべきだと仰っている。
小沢: 今でもそう思います。
田原: 湾岸戦争は、残念ながら国連軍ではなかった。
小沢: いや、だけど国連が了解、了承した、認めた多国籍軍ですから。
田原: あれは参加すべきだと。
小沢: すべきです。
田原: 今後起きたら?
小沢: ただ、僕がそう言うと、あいつはすぐなんだかんだと言われますが、あの時だって「実戦部隊に参加しろ」と言ったんじゃなかったんです。例えば、物資を輸送してくれ、あるいは赤十字の役割を後方でやってくれとか。そういう類いの話なんですよ。自衛隊は実戦の経験がないですから、行ったら邪魔なんです。主として、そういった補完的な役割でいいからやってくれというのがアメリカの要求だったんです。
あの時に補給船をやろうと、あるいは飛行機を飛ばそうと(言ったら)皆、民間会社から拒否されたんです。その時に僕はアメリカの人から、「日本というのは本当に身勝手な国だ」と(言われた)。あの時ペルシャ湾に「日本のタンカーが20何隻いる」と言われたんです。それなのに「何でそれを守るための作戦に参加できないのか、おかしいじゃないか」と本当に言われました。
田原: なるほど。おかしい。
小沢: それから、戦争が終わってから掃海艇が行きましたよね。
田原: 掃海艇が行きました。
小沢: あの時、帰ってきた人に聞いたんだけど、「日本のいろいろな事情で、戦争が終わっちゃってから来て申しわけない。ただ、日本は国民1人当たり1万円、1兆何千億円・・・もっと出しました」と言ったら、相手のアメリカ軍の司令官が、その時で1人100ドルずつなんですね。「じゃあ僕はあなたに100ドルやる。俺の代わりに戦ってくれ」と。
田原: 言われた。
小沢: 言われて、ぐうの音も出なかった。
田原: そうですね、そこですね。
小沢: 金で買える話じゃないんです。「自分たちと平和を守るために足並みを揃えてくれ」という話なんです。
田原: あの後に、アメリカで「日本はNATOだ」という話があった。「No Action token」というのは、つまりアメリカの地下鉄の金、小銭なんです。「Token Only」と。日本は大変な金を出したにも関わらず、アメリカは「ちょっと金を出した」と(言った)。
小沢: そうそう。それでクウェートからは戦後、感謝されないんです。
田原: 感謝されないんだから。
小沢: 日本はそういう国になっちゃっているんですよ。
田原: そこを直すためには小沢さんが総理にならなきゃ。
小沢: そのためには国民皆さんが、きちっとした日本人としてのプライドを持った意識を持たなければいけないです。
■「若い人たちには夢、志を持ってほしい」
田原: (司会の角谷氏へ)はい、どうぞ。
角谷: 会場にいる方々から、アンケートを事前に取りましたのでそれを少しご紹介します。ご質問をいただいています。早稲田大学の「サナエ」君、2年生の方です。(会場内に呼びかけて)サナエ君、いる? 「今後の日本を建て直すにあたって若者、大人、それぞれに必要なこと、何を成すべきと小沢さんは思いますか」と。
小沢: それは何度も言うように、自立心を持ってもらいたい。自分自身で考えて、いろいろな人の意見を聞くのはいいんですよ。だけど最終の判断は自分でやる。自分の責任で決断し行動するという習性を身につけてもらいたいというのが基本。それからもう1つは、夢を持ってほしいね。
角谷: 夢。
小沢: うん。「志」と言ってもいいけど。そういった今の若い人たちに、とんでもない夢でも何でもいいんです。自分がこういう夢を追うと、努力しないとダメですよ。遊んでいちゃダメだけど、その夢を追って努力するという。若い人たちはもう無限の可能性があるわけですから。もう我々になると、どうもダメですけど。
田原: ちょっと小沢さん、そこの問題ね。今の若者は夢を持てないんですよ。どういう夢があるのかわからない。
小沢: どういう夢だっていいんですよ。だから自分で考えて、自分の思う夢を追求すべきですよ。
田原: 良くわからないと思う。ピンと来ないと思う。
小沢: そうかしら。
田原: うん。
小沢: だからこの間、柔ちゃん(=谷亮子議員)とね・・・。
田原: あれは天才だから。
小沢: いやいや、天才だけど、その夢に向かった、目標に向かった努力というのは大変なことなんですよ。それでその目標を達したら、次の夢に向かってと。彼女は7歳の時から柔道をやっていたそうですから。やっぱりその時から、自分の行く道をちゃんと持っていた。(若い人たちは)どんな夢でもいいです、志を持つべきだと思う。
田原: ここでまたマスコミに注文したい。新聞やテレビが、もっと夢を持った、夢を実現した人間の紹介をしてほしい。なんか悲観的なものばかりやっている。これが悪い、あれが悪いとね。そうでしょう?
角谷: そうですね。でも、今ここに来ている学生さんたちは、もちろん将来、就職活動のことを考えている。もちろん就職だけが夢ではないし、就職とは関係なく夢を持つことは大切だと思いますけれども、一方で社会に出る前に、社会の魅力だとか日本の魅力を感じさせるようなことがなくて、田原さんが言うように考えられなくなっているところがあるんじゃないかと。
小沢: だからそういった環境をきちんと作るということは、大人の責任ですよ。それはその通りだけど、やっぱり「世の中が悪い、だから・・・」というのでは若者ではない。人のせいにするなと僕は言いたいんですよ。自分自身で夢を描いて、その夢に向かって努力すると。どんな夢でもいい。僕はそう思いますね。
田原: ちょっと言うと、小沢さんが最初にお書きになった本はやっぱり自己責任ということを盛んに仰った。最近、民主党に来てから、自己責任とあまり仰らなくなった。
小沢: いやいや、そんなことは(笑)。
田原: さっきの子ども手当にしても、なんとなく小沢さんは前向きになったなと。自己責任だったら、そんなこと言わないんじゃないかと。
小沢: そんなことない。
田原: 子ども手当を出せとか、無償化にしろとかね。
小沢: 僕は子ども手当は本気で(必要だと)思っている。だって田原さん、子ども手当はフランス、ドイツでも10年以上前から出しているんです。日本は今、人口が減ってるでしょう? フランスはもう2、3年前に、出生率が2(人)になった。
田原: 2(人)を超えた。
小沢: それは金だけの話じゃないけども、やっぱり子どもたちを次の世代の民族を育てようという大事なことだと僕は思う。
田原: そこ最後に聞きたい。フランスも一時は1.37(人)くらいまで落ちるんです。
小沢: そうそう。
田原: これが2を越える。日本は超えない。いまだに1.37(人)とか。日本とフランスとどこが違う?
小沢: 金だけではないですよ。子ども手当を出したから2を超えたと(しても)、それがすべてだとは思いません。だけれども、それも1つです。だから20代、30代のお母さんたちだけに調査したら、圧倒的に子ども手当を喜んでますよ。それと関係なくなった人はどうでもいいって言うけれども。それともう1つは、やっぱりさっき言った大人の責任だと思うけれども、子どもを産める環境、育てる環境。そういったものを社会が政治が作ることでしょうね。
田原: それと子どもたちが夢を持つためには、親の教育も大事なんですよね。
小沢: 親のね。
田原: 親の教育。
小沢: そうです。
田原: 親が夢を持てと。やれよ、頑張れよと言わなきゃ。親はちょっと甘やかしすぎじゃないかな。
小沢: やっぱりこれも戦後の・・・特にお母さんかな。一生懸命勉強して、いい会社に入れとか言って。そういう思考方法というのはちょっとね。
田原: 今、一番僕が言いたいのは、いい会社に入ることが目標になっているんですよ。こんなものは目標じゃないでしょう? そこからがむしろ勝負なんでね。ところがいい大学に入っていい会社に入ったら、目標達成だと思っちゃうんです。
小沢: だから、そのこと事態が悪いとは言わないけれども、その会社に入って、自分の能力をどうやって生かして、それでどうしたいのかという意味で皆が思っていればいいと思いますよ。
角谷: はい。もう少しメールをいきます。「バカボンパパ」さん、埼玉の方です。「半世紀に渡り、政治の中心にいた小沢さんですが、理想実現にはあと一歩及ばなかったように思います。ではそれはなぜかと。初めは国や国民という大きなスケールで活動していたものが、権力が近付くにつれ、同志や盟友とこじんまりしたスケールに矮小化し、彼らとの友情を重視したからではないか。理念、信念が自由党や民主党などの同志や盟友への情に負けてしまう。それが小沢さんの政治がいつもあと一歩で失敗してしまう原因だと思う。小沢さんは周囲の人に優しすぎるんですよ」というメールをいただきました。どうですか?
小沢: 僕は理(ことわり)ということ、合理性、論理性、それを非常に必要だと思っていますし、政治は絶対情緒でもって判断しちゃいかんと思っていますけれども。ただ、所詮僕も日本人だから、今仰られるような浪花節みたいなところもありまして・・・だけど、自分自身としてはそういうものに負けちゃいかんと常に言い聞かせています。
田原: 小沢さんだから、もう少しあえて言いたい。どうも小沢さんは優しいと思う。小沢さんと組んだ首相が、あまりだらしよくない。細川(護熙)さんでしょ、鳩山(由紀夫)さんでしょ、まあ菅(直人)さんはちょっと・・・皆甘えている。
小沢: 首相?
田原: 首相。厳しいのがいないじゃない。
小沢: ですけど、それは、皆が選んだんだから。
田原: いや、そう言わないで。小沢さんはやっぱり。
小沢: 俺一人で決めたわけじゃない。
田原: 大政治家だから。
■「原発は過渡的なエネルギーだと言ってきた」
角谷: はい。スタジオにいます「オカムラシザワ」さんという、法政大学の学生さんです。「小沢さん自身が先頭に立って、被災地支援に打って出るという考えはないのですか」ということです。
田原: 何?
角谷: 被災地に、先頭に立って行くということはないのか。
小沢: 僕がいつも言うのは、先頭に立ってという意味なんですね。だから特に僕の立場では、何をすべきなのかと。今でも第三次補正(予算)なんて言っていますけど、今のやり方では有効に金が生きないという声が地方から一生懸命来るんですよ。今までの官僚主導の仕組みでは、どうしようもないです。だからそれを被災地のためにより有効にするためには、その仕組みを変える以外にないです。この震災だから、本当は今がチャンスなんです。「暫定的」と言ってもいいんです。だけど、そこがなかなかできないで、結局お金の額ほど、本当の意味で被災者の皆さんのために有効に使われてないということは事実だと思いますから、僕の役割は、そういう仕組みを変えて、本当に被災者の皆さんに、あるいは国民一般の皆さんに役に立つお金の使い方をできる仕組みに変えることが僕の仕事だと思う。
角谷: 政治家が先頭に立っていかなくても、それぞれの役割があるはずだという(視聴者コメントの)書き込みも、今来ているようですね。(何か)ありますか、田原さん。
田原: うん。ただ、小沢さんはそう仰るけど、民主党の幹部たちは、地方がだらしないと(言っている)。岩手も宮城も福島もやるべきことをやらないで、ただ国に「何とかしてくれ、何とかしてくれ」と言うと。地方に行くと「国が何もしていない」と(言う)。お互いに「相手の責任だ」となって喧嘩になっていることが問題。どうすればいいと思う?
小沢: だから、僕らの主張は、霞が関(=中央官庁)でお金を分配する、この仕組みを変えようと言っているわけです。変えようと言ったわけです。
田原: 変えるとは、どうする?
小沢: 地元の身の回りのことは、お金も権限も地元に任せちゃおうと。
田原: 権限もね。
小沢: そうすると「中央は何もやってくれない」なんて地方は言えなくなるし、中央は余計な干渉をしなくなる。だからこれが、国民主導政治の根本なんです。
田原: 一番問題は、民主党は「地方主権」と言ったと。
小沢: そうそう。
田原: 何もやってないじゃないかと。
小沢: だからそこを変えていないからダメなんですよ。
田原: なんで変えないの?
小沢: まあ、難しいんですけどね。
田原: いや、そう言わないで。小沢さんは大政治家なんだ。菅が悪いとか鳩山が悪いとかで済む話じゃない。
小沢: ですから、必ず何とか実現したいと思っています。
角谷: もう1ついきます。こちらはニコニコネーム「ポン」さんです。「小沢さんの原発についての意見を聞かせてください」というお願いが来ています。
小沢: 40年近く前ですが、ちょうど僕が科学技術政務次官をやったんですよね。原発(問題)は、その時からボチボチ始まっていたんですが、これは日本だけではないんですが、最終の高レベルの廃棄物の処理方法というのは無いんですよ。
田原: 世界中、無い。
小沢: 無いです。ですから、この処理方法が見つからない限りは、原発にずっとおんぶしていくということは不可能なんです。だから私は最初から「原発は過渡的なエネルギーだ」と言ってきたんですが、そうやっているうちに、原発の依存度がどんどん高くなった。新エネルギー開発が十分でなかったという点については反省していますが、僕はやはり処分の技術ができない限りは、原発は過渡的なエネルギーとして新しいエネルギーに変えていくべきだと思います。
田原: でも、そうは言っても、アメリカもフランスもイギリスもロシアも、それから中国も皆、原発をどんどんやっているじゃないですか。
小沢: やっています。
田原: これは何。彼らはバカ者だってこと?
小沢: いや、だから原発のほうが・・・彼らは軍備、軍事力とも結びついてますからね。だからそれは離すことはないんでしょうけれども。それから安全でいる限りは最も安上がりでいいんですけど。
田原: 事故が起きなきゃね。
小沢: 事故が起きなきゃ。それで「安い」と言われてきたんですけど、今度のことで・・・。
田原: 高くなった。
小沢: これほど高いものはないってことになっちゃったわけです。だからその意味では日本の福島の問題は、世界中に大きなあれを投げかけているんじゃないでしょうかね。
田原: だけど福島の(原発事故)が起きて(原発を)やめようと言ったのはドイツだけなんですよね。イタリアはその前からやめていますけども、他はやめないじゃないですか。
小沢: やめない。
田原: ベトナムなんて、そういう日本から原発が欲しいと言っている。
小沢: ですから後進国であれ先進国であれ、事故がない限りは原発が一番安上がりでいいということでしょう。
田原: 彼らは、そういう意味では間違った方向に向いていると。アメリカやイギリスやフランスや中国やロシア。
小沢: 僕はいずれやめることになると思います。ロシアみたいに広いところは、そこら辺に捨ててもいいのかもしれませんけど。
田原: チェルノブイリ(原発事故)が起きたって、まあいいじゃないかと。
小沢: 今は(原発から半径)30キロは誰も行かなければいいんだという話かもしれません。だけど、そう言っていられない時が来るんじゃないでしょうかね。
■岩手出身の小沢氏はこれからの東北をどう見る
田原: なるほど。そろそろ終わりましょうか。
角谷: はい、22時の約束(の時間)になりましたけど、あとちょっとメールを読んで終わりにしたいと思います。「放射能、TPPと問題山積の農業です。特に東北地方は大きなターニングポイントに来ていると思います。岩手出身の小沢さんは、今東北の農業が復興するには何が必要だと思いますか」。
小沢: 農業は東北とかなんとかという問題よりも、日本の農業、そして日本人の自給体制、これをどうやって作るかということです。当面の震災の問題は、何度も言いますけど原発です。これはチェルノブイリの何十倍の燃料があそこにあるんです。冷温停止、水をぶっ掛けていて「爆発の危険は当分ありません」と言っていますけど、ウランはずっとあそこ(福島第1原発)にあるんですから。どこへどう処理するんだと。だから本当に知恵を集めてあそこを完全に封じ込めない限り、これは未来永劫続いちゃいますよ。
田原: 封じ込めるには、少なくとも30年かかると言っています。例えば、今東電の福島(第1原発)の1号(機)から4号(機)を廃炉にして、きちんとこの中にある燃料棒、あるいは使用済み核燃料もいっぱいあるわけだから。
小沢: いっぱいあります。
田原: これをやるのは大変なことですよね。
小沢: 持って行きようがないです。どこへ持って行くんですかという話です。ですから第一義的に責任者は東電ですが、こんな事態になったら一企業でやれないです。だから僕は国家が政府が正面に出て、政府の責任で建て直しをやるべきだと。
田原: だけど、どっちかと言うと政府は、東電を悪者にしてその責任にしようとしている。
小沢: だから、もう東電どうのこうのの問題じゃないです。
田原: ない。
小沢: それで、今の知恵でもいろいろ聞きますと、あれ(福島第1原発)を封じ込めるのはやれないことはないという。ただ莫大な金が掛かる。だけど、もう金の問題でもないんです。
田原: 安全の問題だからね。
小沢: そうですよ。将来ずっとですから。ですから僕は、政府が腹を決めて国民にもちゃんと説明をして、これに何十兆円掛かってもやるということで対応しないとダメだと思いますね。
田原: そうですね。
角谷: 最後の質問になります。これは僕も興味があるんですけれども、ニコニコネーム「ドタドタドタ」さんからです。「小沢さん、尿管結石はもう大丈夫なんでしょうか?」というメールが来ていますけど。
小沢: 今月の始め頃、また検診でCTスキャンをやったら消えて無くなっていたそうで。
田原: 良かった。
角谷: いつの間にか、もう出ちゃったということですかね。
小沢: なんかそうらしいです。
角谷: なるほど。いいですか田原さん、その件に関して。
田原: ありがとうございました。
角谷: はい、ありがとうございました。
小沢: ありがとうございました。
田原: 聞きたいように聞いてすみませんでした。
角谷: いろいろ話をしてきましたけれども、もともとTPPの話から憲法の問題から民主党の将来から・・・。
田原: 大体聞きたいことは全部聞きました。
角谷: 大体のことはうかがいました。
田原: 安全保障をやりましょう。
小沢: やりましょう。
田原: 別にね。
角谷: 改めてその問題をこってりまたやるということも含めて、ニコニコ動画でもまたよろしくお願いしたいと思います。
小沢: ありがとうございました。
角谷: このままこちらに、田原さんも小沢さんも立っていただいて。最後に・・・こっちのカメラですかね?
小沢: 下へ降りるの?
角谷: いや、これで結構です。ということで、この様な番組をまた企画させていただきたいと思います。パソコンの前でご覧になった皆さん、いかがだったでしょうか。また感想などもいただければと思っております。小沢さん、田原さんに皆さん盛大な拍手をお願いします。どうもありがとうございました。
小沢・田原: ありがとうございました。
(了)
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http://live.nicovideo.jp/watch/lv70481074?po=news&ref=news#00:51:48
・小沢一郎「消費税増税は国民に対する背信行為」 小沢×田原対談全文(前)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw148941
(協力・書き起こし.com)
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