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ISD条項とは?他国とのISD条項との違いは?疑問と反論(すべては「気づき」日本を危機から救おうプロジェクト)
TPPに盛り込まれている、ISD条項。これへの疑問や反論もあり、それらのISD条項とどう違うのかも書いてみます。
また、「TPPって何?」という方には、以下にわかりやすく解説しているのが下記サイトです。中学生でもわかる内容です。TPPやこのISD条項が、具体的に及ぼす影響や危険も、初めての方にも簡単でわかりやすくなっています。
サルでもわかるTPP
ISD条項とは
ISDとはInvestor-State Dispute の略で、「投資家vs国家間の紛争」。
その名のとおり、国家に対する投資家(企業)のための規定です。
「ISD条項」の代わりに、ISDSと呼ぶこともあります。これはISD Settlementの略。
(Settlement=条項)野田首相が国会で言ったのはこのISDSですね。
このISD条項、またはISDSが、TPPには盛り込まれているのです。
TPPでは、今回アメリカが日本に対して「非関税障壁の撤廃」を強く求めています。
下記の記事に記載したとおりです。
TPP 日本政府は米声明否定、米は正当発言として維持
この非関税障壁は、関税のかかる物以外、サービス、保険、医療などすべてが対象となります。よって「国民皆保険制度」が非関税障壁とみなされれば撤廃が求められます。
「国民皆保険制度」がなくなり、医療費を自費で数百万払わなければならなくなる、と
言われているのは、この非関税障壁の撤廃が理由です。
そしてもし、日本側が拒否をしたとすると、撤廃するべきを撤廃せず、そのために外資保険企業が損害を被った、と判断すれば、日本政府をこのISD条項に基づいて訴えることができます。
よって、国民皆保険制度が撤廃されるか、または多額の賠償金を支払うこととなります。TPPには「非関税障壁の撤廃」が原則として例外なく盛り込まれています。
ここでは国民皆保険制度を例にしていますが、他の分野でも同じことが起こり得るということなんです。医療制度だって変えられる可能性もあるし、雇用制度やその他、日本語でさえ非関税障壁とみなされる可能性だってあります。
TPP、日本の公用語が英語になる日が来る?
そんな馬鹿なと思われるかもしれませんが、ありえない話ではないのです。いきなり日本語をやめて英語を話せということは現実できないし、それはないとしても、たとえば運転免許証や公式文章に使われる日本語は非関税障壁だから、とみなされれば英語併記が義務になるでしょう。
また今までは日本の英語教育に問題がある点もあり、日本における英語力は厳しいものでしたが、TPPでアメリカからどっと教師が流入して、いずれ授業も英語で行うことに・・・ということだってありえないわけではありません。雇用の国境の壁がなくなり、海外から労働者がどっと押し寄せることになるのも、このTPPで容易に予想されること。
上記にも書きましたが、フィリピンは母国語がありながら英語が公用語とされています。街では看板や表示、掲示は英語が義務付けられていますので、すべて英語です。当然、学校の授業も英語でされます。しっかりした教育を受けてない人などは英語なんて読めませんが、もちろんそんなのおかまいなし。こういう例があるだけに、「絶対ありえない」ことではないと思っています。
ISD条項、そして非関税障壁の撤廃については、類似の内容を過去記事にも書いていますので、ご参照いただければと思います。
TPPの危険 日本の制度・法が外資に潰される
TPP関連記事の一覧はこちら
まとめると、ISD条項というのは、外資企業が損害を被ったと判断した時に、相手国
(日本政府)を訴えることができるという条項です。
ネットで見かけたISD条項への疑問や反論についての見解
このISD条項について、ネットでいくつか疑問や反論を見かけているので、そのことについて書いてみようと思います。
疑問と反論より
◆ISD条項により、アメリカ企業が日本政府を訴えるだけでなく、日本企業が進出してアメリカ政府を訴えることもできるのでは?
⇒論理上は可能であるものの、巨大ショッピングモールに対して、小さな個人商店がショッピングモールにやってきて戦いを挑むようなもの。力関係の点においても、アメリカ外資の規模を見ても、そしてまた日本の多くの企業の株主の多くが外資であることを考えても、非関税障壁が理由で訴えを起こされるのは日本という図式。
◆既に日本は25カ国以上とISD条項を結んでいるし、今まで何の問題もなかったのに、
今さら騒ぐなどおかしい
⇒ISD条項を結んでいる相手の立場が、日本から見てまったく異なります。「利害関係」「国の力関係」というものをまったく考慮に入れていない反論。事実上の日米EPAと言われるよう、事実上、対アメリカという形でISD条項を結ぶことが問題なのです。
日本と、これまでISD条項を結んでいるアジアは利害関係で対立しないし、利益もぶつかりにくい。アジアの企業が日本を訴えても彼らの利にならないし、失うものの方が多い。
これらの国々とのISD条項と、米国が絡むISD条項の意味合いはまったく異なります。
これまで日本側がショッピングモール側であり、個人商店を相手にISD条項を結んできました。今度は立場が逆になるのです。現実的な力関係を考慮する必要があります。
付け加えれば、今まで結んでいるISD条項の相手先の国々は、アメリカのようイチャモンをつけて訴えるような訴訟大国でもありません。
このあたりはISD条項もさながら、アメリカという国や外資の規模、日本との現実的な力関係、訴訟大国である実態を知っていれば容易に想像できます。
さらには、過去にアメリカとはISD条項を結んだことはありません。
他の国々と結んでいて今まで何の問題もないから、これからも何の問題もないとなぜ断言できるのでしょうか。国も状況も異なるわけで、過去の実績は何の役にも立ちません。
「今まで10m超の津波なんか来たことありません。壊れたこともありませんし、電源喪失なんて起こりえませんから、巨大津波が来ても大丈夫です」
・・・はい、そうですね。過去から今まで、確かに大丈夫でしたが、見事に壊れました。
ISD条項そのものより、相手がアメリカであるからこそ問題なんです。訴訟大国で何でも訴えるアメリカのルールが押し付けられるからこそ問題なのであって、過去に結んだ他の国々とのISD条項とは比較になりません。
アメリカには、たとえば政府と癒着したモンサント社が控えています。モンサント社は過去にもカナダの農家を訴えたりしています。モンサント社の損害になるから、と遺伝子組換え食品の表示を撤廃しろと言われたらそうせざるを得なくなります。ただでさえ放射能汚染問題があるのに、遺伝子組換え食品で食の安全が失われます。
日本がISD条項を結んでいる国々は、日本がそれらの国々の属国になっているわけではありません、利害関係の上でも一致、力関係においても日本の方が大きいです。
対してアメリカにとって、日本は事実上の属国です。日本に米軍基地が全部でいくつあることでしょう。現実的な力関係を無視し、そして要求をつきつけてきているのはアメリカだという事実を無視した反論です。
過去ISD条項を結んだ国との間では、以上の理由からも、たまたまそのようなことがなかっただけです。
たとえるなら、たまたま津波の規模が小さかったんで、壊れなかったんです。「これらの国々とのISD条項が締結されてるが問題ない」というのは、10m級の津波が襲おうという予測があるのに、過去大丈夫だったから、これからも大丈夫と言ってるようなものです。
オーストラリアはEPAにおいて、アメリカとISD条項を締結することを拒否しました。またフィリピンも日本とISD条項を締結することを拒否しました。害がないなら、締結を拒否する必要などないのです。でも、拒否をしているわけです。相手を見ているからです。
東京新聞もISD条項のリスクを報じています
TPPの論点 ISD条項/首相「知らない」/米のルール押し付け懸念(東京新聞)
首相があっけらかんと無知を吐露した「ISD条項」とは何なのか。
この条項は条項の保護を受ける海外の投資家らが投資先の国との間で紛争が起きた場合、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターなどへ仲裁を申し立てることが可能と定めている。TPPの対象である投資分野で最大の論点とされている。
日本がシンガポールやマレーシアなどと結ぶ経済連携協定(EPA)にも盛り込まれている。ただ、これまで日本が訴えられた例はない。
だが、佐藤議員は「日本とアジアは部品製造などでどで利益がぶつかりにくい。アジアの企業が日本を訴えても失うものの方が多いが、米国は違う」と指摘する。
慶応大の金子勝教授(財政学)も「米国は紛争解決が肥大化している。何でも訴える米国のルールが押しつけられる」と懸念する。
実際、米国がカナダやメキシコと結ぷ北米自由貿易協定(NAFTA)では、ISD条項に基づく紛争が絶えない。
国連機関に持ち込まれた仲裁例では、メキシコの自治体が米国企業による有機廃棄物の埋め立て許可を取り消したケースがある。投資した米企業の訴えで、メキシコ政府は約千六百七十万jの賠償を負わされた。
自治体が住民の安全や環境を守ろうとしても、私企業の利益が優先されるのが実情だ。このため、オーストラリアは米国とのEPAでISD条項をかたくなに拒否。
野田首相が「日本は周回遅れ」と焦る韓国でも、米韓自由貿易協定(FTA)に含まれるこの規定を野党などが「毒素条項」と非難、紛糾している。
金子教授は「米国が絡むISD条項には各国が警戒している。訴訟を通して国内ルールが反故(ほご)にされ、変質を迫られる危険がある」と語る。
佐藤議員も「水源近くの土地を守る規制をしても、その規制が『差別』と訴えられる可能性がある。最終的にISD条項に従って、国内法を曲げるしかない」と危ぶむ。
まったくもって、ここに書かれているとおり。
まとめ
見解をまとめてみました。
◆「日本はすでに過去に25ヶ国以上とISD条項を締結しているが、訴えられた例はない」というのは、イコールこれからも訴えられることはない、という確約にはなりえないということ。
◆すでにISD条項を結んでいる国と日本とでは利害が対立せず、日本を訴えてもその国の利益にならないし、失うものの方が多い。
◆すでにISD条項を結んでいる国にとって、日本の方が力関係において上である
◆これまでにアメリカとISD条項を結んだことはない。
◆アメリカがISD条項に基づき日本を訴えることで、アメリカの利益になる機会多数
(外資保険、モンサント他)
◆アメリカと日本では、アメリカの方が力関係において上である
◆アメリカは訴訟大国である
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よって、過去これまでに締結されているISD条項は比較対象ともならないし、これらが過去問題ないから今後も問題ないと言うことなどできない。
慶応大の金子教授も「米国が絡むISD条項には各国が警戒している」と指摘しているとおり、問題なのはアメリカが絡んでいることなのです。
今まで津波で壊れたことがない原発でも、10m級の津波が来れば壊れてしまうのです。10m級の津波というのは、ここで言うアメリカのこと。
推進派の「ISD条項は現在も多数国と結んでるし、今回が初めてじゃない。今まで何の問題もなかった」というもっともらしい言い訳には騙されないようにするべきです。過去は過去、そして締結国も状況も利害関係も違うのです。
http://sekaitabi.com/isds.html
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