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米国独善説、米国が世界に押しつける「民主化」と云う言葉が曲者だ
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2011年11月19日 世相を斬る あいば達也
昨日の「TPP対ASEANプラス6」の話をし、“キリスト教文化圏の欧米がアジアを如何に扱ってきたか、歴史に学べ!”と語ったのだが、その延長線上に政体としてのキリスト教的民主主義への強要が、その耳触りの良い「自由と民主化」を旗印に行われてる。今我々は、その最たる実例を目の当たりにしている。それがミャンマーにおける「民主化」だ。ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー女史を、欧米系キリスト教民主主義を同国に導入する手先として利用しようと云う企みにさえ見えてくる。現在、ミヤンマー政府は中国寄りの外交を展開している。ビルマ時代には軍政に至るまでにCIAのたび重なる関与があったのも事実だ。
アウン・サン・スー・チー女史そのものも、欧米系キリスト教的民主主義者である可能性は、経歴から推し量る限り相当高い。インド・英国・アメリカ・日本で働いてきた流れは、明らかにキリスト教的民主主義の傾向を持っている。今米国は外交戦略上、同女史をシンボル的に祭り上げ、ミャンマーの米国型民主化をなさんと、国際的外交に総力を挙げている。思い出せば、ハリウッドスター勢揃いで、同女史及びミヤンマーの民主化を求める行動がプロパガンダ的だった記憶がある。以下の時事通信の記事にも、その片鱗が窺われる。ただ、議長国になるのは2014年なので、今回のTPP、ASEANプラス6等の行先は殆ど決まっているだろう。
≪ ミャンマーの議長国就任決定=民主化進展受け−ASEAN首脳会議
【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)時事】インドネシア・バリ島で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議は17日、2014年の ASEAN議長国にミャンマーが就任することを決定した。長期にわたり軍事政権が続いたミャンマーの議長国就任は初めてで、今回の決定により、国際社会への本格復帰の足掛かりを得ることになる。 首脳会議後に記者会見したインドネシアのマルティ外相は「全ての首脳がミャンマーで著しい変化と進展が起きているとの見解で一致した。われわれはこの変化のプロセスが確実に続くよう努力する」と述べた。 議長国就任決定で、ミャンマー新政権が進める政治犯釈放などの「民主化」が加速し、欧米諸国による経済制裁の解除につながるかが今後の焦点となる。ミャンマー政府高官によると、テイン・セイン大統領は「素晴らしい機会であり、責任重大だ。全力を尽くしたい」と述べた。≫(時事通信)
≪ 米国務長官がミャンマー訪問へ=改革を評価、半世紀ぶり
【ヌサドゥア時事】オバマ米大統領は18日、ミャンマーの民主化機運を促進するため、クリントン国務長官をミャンマーに派遣すると発表した。長官は来月、同国を訪れる。大統領はこれに先立つ17日、ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんと電話で協議し、長官派遣を決めた。
米政府高官によると、国務長官のミャンマー訪問は約50年ぶり。米国は9月ごろからミャンマーとの対話を本格化させていたが、半世紀ぶりの長官訪問で両国関係の改善が一気に加速することも予想される。 オバマ大統領は、ミャンマー政府による政治犯釈放や政党登録法改正が「改革に向けた重要な措置」 だとして、「暗黒の時代を経て、進展の明かりがちらついている」と歓迎。クリントン長官を派遣し、「両国間に新たな一章を開くことができるかどうかを探る」と述べた。≫(時事通信)
以上のミヤンマーへのASEANの扱いなどを観察すると、アメリカの関与が成功しつつある感じだが、ASEAN諸国が一枚岩で対中経済包囲網と南沙海域の中国の軍事的行動を包囲出来るかは、同次元で扱うのは早計だろう。ミヤンマーは11年3月に軍事政権である国家発展評議会が解散し新政府が誕生したが、政府内では軍関係者が多数を占めているので、一筋縄ではいかない。ASEANプラス6の方向性とTPP双方の方向性に、中国包囲網と云う論調が存在すると云う論調が目立つが、あくまで日本のマスメディアの論調に過ぎない。筆者はASEANプラス6とTPPは異なるものであり、同化する過程においてパックス・アメリカーナが牙を剥いた時点で終わる運命にあるのだと、楽観的に考えている。先程のニュースでは、日中韓FTA交渉も本格的に論議する方向になったと伝えている。
米国覇権主義はおそらく既に崩壊しているのだが、経済的ドル基軸覇権と軍事大国覇権のアンバランスが齎す苦渋が米国に存在するのだろう。或る意味で、アメリカ国民を鼓舞する為に駆使した“アメリカアズNO1”と云うシンボリックなプロパガンダ標語を如何に穏便に降ろすべきか、降ろすわけにはいかないとなれば、軍事的覇権に頼らざるを得なくなる。この傾向は非常に危険だ。巷で言われている“第三次世界大戦”が惹起される可能性もゼロではないのだろう。
オバマ大統領自身は軍事的中国包囲網を豪州に展開し、全体の軍事予算が削られても、太平洋の防衛に抜かりはない事を明言し、米軍プレゼンスが太平洋では強化されると表明している。逆に、にも拘らず中国とは協力関係を続け、パトナーになれると、理想を語っている。キッシンジャー元国務長官と云う大物まで繰り出して、日本の隷米体制こそ、日本の為であり自由と民主主義に貢献するものだ等と時代錯誤を威厳を持って伝道している。しかし、間違いなく米国経済は終わっている。軍事力を背景にする世界戦略と覇権国家の経済力は、それこそが両輪だ。その一方の輪が壊れた以上、まともに前進するのは不可能だろう。
軍事的安全保障の枠組みと経済連携の地域協定は別物だと云う考えもあるが、あくまで論理上であろう。この二つの要素は互いに連関しあい、両輪が同時ではないが、動いているから外交が存在し、その外交の齟齬が戦争を惹き起こすわけである。野田佳彦のTPP、ASEANプラス6、そして日中韓FTA交渉への参加姿勢は、悪意にみると利害損得がいずれの協定同士がバッティングし合うわけで、無茶苦茶な方向性である。
しかし、善意で観察すると、TPPにおける交渉の前提条件を、他の協定の存在が縛りやエクスキューズを与えるわけで、外交上言い訳を用意できる。オバマ再選までの日本側の協力姿勢を堅持しながら、実質的な進展にブレーキを掛ける役割を演じるのかもしれない。オバマにしてみれば、来年11月の大統領選まで、経済成長枠組みと雇用の確保枠組みがアピール出来れば良いわけで、再選後の実効度がどの位であるか、大して興味もないだろう。
このように考えて行くと、野田佳彦は極めて高度な外交手腕を発揮している、と評価する事も可能だが、多くの人が“馬鹿言ってんじゃない”とお怒りになるだろう。筆者自身、その一人でもある。(笑)ただ、彼の“米つきバッタ”と云う政治手法が偶然にも功を奏す事はあり得るわけで、結果をみるしかないのだろう。まぁ低姿勢による政治作法にも、それなりの価値はあるのだろうが、外交では僥倖もありだが、内政の増税話には、まったく通用しそうもないので、そのシーンでは内閣は大きく揺らぐことになるだろう。そこまで馬鹿なのかどうか、年内の永田町内における多くの密議が注目される。特に、小沢一郎の意志決定が重要だ。彼が秘密裏にどのような指示を出すか、大変興味深い。
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