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劇薬TPP 最大の危険と怖さ
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2011/11/17 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
野田首相も知らなかった
なぜか大マスコミはほとんど報じないが、TPPで最も危険なのは関税問題などではなく、「ISD条項」だ。
政府はこの“落とし穴”を国民に説明しないまま、なし崩しで参加を決めるつもりなのか。
「ISD条項は、投資家と国家の間の紛争解決手段で、現地国の法律や規制のせいで外資の活動が規制された場合に、相手国の政府を相手取って訴訟を起こすことができるというものです。米国は当然、TPPにISD条項をねじ込むつもりで、投資の作業部会を設けて用意している。日本国内では、まだ関心が低いですが、いずれ問題になるのは間違いありません」(政府関係者)
一般庶民には関係ないと思ったら大間違い。これは、ハゲタカ外資が日本国内のルールを強引に変えることができる恐ろしい制度なのだ。
例えば保険制度。野田は「国民皆保険制度は守る」と明言したが、ISD条項が適用されれば、米国の保険会社が「日本の皆保険制度のせいで活動が制約され、不利益を被った」などと理不尽なことを訴え出ることだってできるのだ。
「その場合、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)で仲裁されることになるのですが、ICSIDの仲裁人はほとんどが米国人です。当事者国からひとりずつ参加できますが、日本人ひとりでは何もできない。多数決で米国の利益が優先されるだけです。しかも、審理は非公開で、上告もできない。あらゆる分野で、米国に都合の良いルールを押し付けられる可能性があるのです。そのうえ政府は損害賠償を請求される。これは税金で払うことになるのですよ」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
ISD条項は米韓FTAにも盛り込まれた。これは米国側だけが韓国政府を訴えることができるという一方的なものだったため、韓国では反発する大規模集会が開かれ、デモ隊が議事堂敷地内に乱入する騒ぎになるなど大荒れだ。いまだ議会で承認できない状況が続いている。米韓FTAを例に挙げて「バスに乗り遅れるな」と言ってきたTPP推進派は、韓国の現状をどう見るのか。
しかも、信じがたいことに、野田はISDの何たるかも知らずにTPPを進めようとしていたのである。
今月11日の参院予算委員会で、自民党議員からISD条項についての見解を問われた野田は、言葉に詰まった揚げ句に、「あの、ISDの話で、ちょっと私、あまり寡聞にして、そこ詳しく知らなかったんで」などと言っていた。ISD条項のリスクも知らずに協議参加を決めたのかと思うと、空恐ろしくなってくる。「国益」がどうとか言うなら、せめてISD条項くらい勉強してからにして欲しい。
決して「知らなかった」で済まされない重大な問題だ。
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