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野田プロセス:官僚機構が重宝する「首相の着ぐるみ」、財務省官僚お気に入り「カツの衣のような首相」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/397.html
投稿者 あっしら 日時 2011 年 11 月 16 日 12:25:53: Mo7ApAlflbQ6s
 


 今回転載した論考を書いている山崎 元氏のことは最近知り価値観や政策判断も大きく違うのだが、ものごとを見る眼のセンスは高く評価している。

 山崎氏は、TPP参加に賛成する根拠として、「TPPが貿易自由化の進展を意味する限り、特に輸入品価格が下がることによる消費者の利益が大きく、これは競合品生産者の不利益を上回る」ことを上げている。

 山崎氏の肩書きは「経済評論家」となっているが、今回の論考もそうだが、経済問題を通じて語る政治評論家という印象を抱いている。

 今回転載した理由も、野田首相と官僚機構の関係、民主党TPPプロジェクトチームの“役割”、今後すぐに大きな政治課題として立ち現れる消費税増税問題など、昨今の政治プロセスに対する一つの意味ある見方を提供したからである。

私は、「官僚機構に手を引かれるままに歩むことしかできない野田政権」というような表現しかできないが、山崎氏は、中に官僚が入って首相の顔をして言いたいことを言うための「首相の着ぐるみ」とか、野田首相がとりわけ忠義を尽くしている財務省の事務次官が勝氏であることから「カツの衣のような首相」とか、官僚たちは彼のことを「野田<使い勝手>よしひこ君」と呼びたい気分だろうとか、なかなか気が利いた、言い得て妙の表現で、首相と官僚機構の“危険な関係”を指摘している。


※ 関連投稿

山崎氏がTPP参加に賛成する根拠としてあげている輸入品価格の低下については:

「関税撤廃のTPP発効から15年後、輸入品は安く買えるのか?:TPP参加と消費税引き上げが同時進行のワケ」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/371.html

「グローバル(輸出優良)企業があれほどTPP参加に執着するワケ[その1]:輸出ではなく輸入の関税撤廃こそ利益源」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/123.html

「グローバル(輸出優良)企業がTPP参加に執着するワケ[その2]:恐いのは米国企業?それとも日本企業?」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/131.html

「グローバル(輸出優良)企業がTPP参加に執着するワケ[その3]:デフレになじみデフレを利としているグローバル企業」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/136.html

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山崎 元のマルチスコープ [ダイヤモンド・オンライン]

【第207回】 2011年11月16日  山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

TPP参加の意向表明に至った「野田プロセス」の嫌な感じ


あまりにも理想的な会見のタイミング TPPには賛成だが「違和感あり」

 野田佳彦首相は、10月12日のAPEC会合に向けて出発する前日に記者会見を行ない、日本がTPP(環太平洋連携協定)に参加したい意向を示す方針を発表した。
 予定では、前日の10日にこの発表を行なうことになっていたが、「もう1日じっくり考えたい」との首相の意向で、記者会見が一日延期され、「党内のTPP反対派に首相が配慮したものだろう」と報じられた。

 だが、結果から見ると、APECのスケジュールにはぴったり間に合っている。APECまで一日空くと、首相ないし周辺が失言したり、政治的に余計な動きが起こったりしたかも知れない。むしろ、これが理想的なスケジュールだったのだろう。
 余裕を持ちながらも、落としどころを見据えた理想的なスケジュールを組んだ事務方がいたにちがいない。

 さて、今回のTPP参加の可否を巡っては、世間的には、ピント外れなものも含めてだが、多くの議論が戦わされた。予め申し上げておくと、筆者はTPP参加に賛成の意見を持っている。

『ダイヤモンド・オンライン』でもTPPに関する論考がすでにいくつかあるので、ここで詳しくは述べないが、TPPが貿易自由化の進展を意味する限り、特に輸入品価格が下がることによる消費者の利益が大きく、これは競合品生産者の不利益を上回るので、TPP参加には賛成という点が、筆者の賛成論の主な論拠だ。

 加えて、TPPは相互的な条約なので、貿易障壁の低下は日本の輸出産業にとっても利益をもたらす。

 唯一の難点は、TPPに中国や韓国など重要な貿易相手が含まれていないことだが、何もしない現状よりは、TPPに参加した状態の方にメリットがあるし、中国、韓国とはTPP交渉と平行して、中・日・韓のFTA締結を目指す交渉を行なえばいい。TPP参加は当然だと思う。

しかし、今回の野田首相によるTPP交渉参加の意向表明に至るプロセスは、極めて後味の悪い「嫌な感じ」のものだった。「こんな調子で国の重要事項が決まってはたまらない」と思った。


プロジェクトチームは単なる勉強会?判断を首相に一任した「議論以前の決定」


 TPP参加の可否は、主として民主党のプロジェクト・チーム(座長・鉢呂吉雄衆議院議員)が議論の場となったが、賛否両論に分かれ、人数的には賛成派が優勢かに見えたが、11月9日、同プロジェクトは、TPP参加に対する慎重論が多かったことを述べた後に「政府には以上のことを十分に踏まえた上で、慎重に判断することを提言するものである」という提言をまとめた。

 この結論は、判断を首相に一任するということであり、野田氏は1日悩んでみせたものの、事実、11日にはTPP交渉参加の意向を表明する方針を発表し、12日には今回のAPEC会合の場であるハワイ州ホノルル市で参加の意向を表明した。
 そもそもこのプロジェクト・チーム自体が、与党の会合であるにもかかわらず、党自身が位置づけと権限を明確にせずに開かれた単なる勉強会に近い代物だった。TPPに参加するか否かは大きな意志決定であり、これに関して与党が党としての方針を決めないということ自体、「政治主導」の放棄だ。

 確か、前回の党総裁選後に、政調会が党の政策決定に関して権限を持つことが決まったのではなかったかと記憶しているが、今回、前原誠司政調会長は、TPP反対を「TPPお化け」に反応していると揶揄する程度の言辞を弄しただけで、なぜか政調会による方針決定を主張しなかった(彼は、問題が大きくなると逃げる傾向があるように思うが、これは筆者の気のせいだろうか?)。

 しかも、たちの悪いことに、たとえばTPP反対派の代表格であった山田正彦・前農水相は、プロジェクト・チームの提言に関して、「国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うことが必要だ」と明記されたことを捉え、「情報開示と国民的議論ができなければ、政府は交渉参加の是非を判断できない」と述べ、首相はTPP参加の判断ができないとする結論が出たのだと言い張っている。
同氏は、野田首相の対外的方針表明を受けてもなお、今回の発表は「TPPそのものへの参加表明ではなく、TPP交渉への参加の意思の表明に過ぎなかったので、安心している」などと述べている。


民主党のTPP反対派議員が真剣に反対したとは到底思えない


 はっきり言おう。民主党のTPP反対派の議員たちが、TPPに本気で反対の立場で真剣に議論し、行動しているとは、到底思えない。全てが選挙区向けだけではないかも知れないが、反対はポーズだけで、実質は「長いものに巻かれる」展開を容認しているのではないか。

 ちょうど、同党の税制調査会で、代表副幹事となった海江田万里氏が、代表選では復興財源としての増税に反対を述べたにもかかわらず、税調会合ではろくに反対論を展開せずに、もっぱら議論のとりまとめに回ったのとよく似ている(詳しくは、2011年10月2日公開の本連載第202回「海江田万里氏で考える、政治家は誰のために仕事をするのか」をご参照ください)。

 TPPの詳細は今後決まるものだし、そもそも他の参加国が容認しなければ日本がTPP交渉に参加できないのは外交手続き上当然だが、今回、APECで野田首相が日本の参加方針を表明したことで、事実上、日本の対外的な方針は決まった。
 TPP参加の是非を、国会議員が次に本当の意味で問題にすることができるのは、条約を批准するか否かの場面になるだろう。
 一連の経緯をどう解釈すべきか。与党民主党は、国論を二分するTPP問題に悩みに悩み、議論を尽くした上で党首である野田首相に結論を一任し、野田首相にあっても最後まで悩み抜いた末に、やっとTPP参加を決定したのだろうか。
 違うだろう。TPP参加は、菅前首相の頃からすでに方針として決まっていた。今回の一連の騒動は、いわゆる「ガス抜き」に過ぎず、特に、農業従事者などTPPで損失を被りかねない有権者を選挙区に抱える議員のためのパフォーマンスの場を提供したもので、曖昧な権限のまま検討会合を開き、曖昧な結論でその場をやり過ごすことも予定の筋書きだった、と考える方が、辻褄が合うのではないか。
ところで、TPPの参加は、ずっと前から決まっていたとすれば、それは、いつ、誰が決めたのだろうか? これがわからないことは、国民にとってかなり「気持ちの悪い」ことではなかろうか。

官僚にとって都合のよい「首相の着ぐるみ」 余計なことは言わない路線に転じた野田氏

 野田首相は、首相に就任後、徹底的に口が重い。今回のTPP問題でも、事前に賛否にコメントすることなく、また議論にも応じず、黙って両論を聞いて「首相の決断」だけを短く発表するという振り付けに従った。
 野田氏は、もともと演説好きで、見かけよりも口が軽い傾向があったと記憶するが、財務副大臣、財務大臣の頃から、余計なことを言わない路線に転じたものとお見受けする。

 一方、G20の会合の際に、将来の消費税率の引き上げに触れてみせるなど、官僚が言わせたいことは、それなりに言う。彼は官僚から見て、「首相の着ぐるみ」のような便利な存在だ。実質的には、中に官僚が入って、首相の立場で言いたいことを言っているようなものだ。

 野田氏が特に忠義を尽くしている財務省の事務次官が勝氏であることを思うと、「カツの衣のような首相」とでも呼ぶべきか。
 筆者は何人かに話を聞いただけだが、野田氏は官僚からの評判が非常にいい。以前にも書いたことがあるが、官僚たちは彼のことを「野田<使い勝手>よしひこ君」と呼びたい気分だろう。
 官僚から見て「使い物にならない首相」よりは、「官僚が使いやすい首相」の方が、あるいはまだマシなのかも知れない。しかし、これでいいとは到底思えない。


消費税増税でも発動されかねない不健全な「野田プロセス」を許すな


 重要な問題について、実質的にははっきりした権限も結論も出ない会議だけを行なって、スケジュールに合わせて「首相の判断」を出し、なし崩しに官僚の筋書き通りに物事が進む。
 付け加えると、大手メディアは、これらの経緯を、いかにも実質的な議論が行われて政治家が物事をきめているかのように協賛報道する。しかし、落としどころは、予めすっかり決められている。これが典型的な「野田プロセス」による物事の進み方だ。

 今回のTPP問題で見られた「野田プロセス」を、消費税率引き上げや、年金改革のような重要問題で、再び発動されてもいいものだろうか。
 この「野田プロセス」では、まず、実質的な決定者が隠れることで決定者と責任者とが分離する点が拙い。首相は、不都合なら降ろせばいい連続ドラマの俳優のようなものであって、実際にストーリーを決めるプロデューサーや脚本家の立場の人々は、失敗しても責任を問われない。

 また、政策が「実質的に」国会議員によって決められるなら、国民は選挙で意思表示ができる場合があるが、次に大きな問題になりそうな消費税率の引き上げについては、関係官庁と与党は選挙を経ずに今年度中に国会に法案を上げてこれを通し、実施前に次の総選挙を行なおうとしているようだ。

 古くからある「代表なくして、課税なし」の原則からしても、消費税率引き上げの法案を通す前に、この問題についてどうするのかを明示した上で総選挙をやるのが、正しい道だろう。
 外国の反対もあって結局実施されないことになったが、支援パッケージの受け入れに関して「国民投票」が実現したかも知れないギリシャが羨ましい、と言ったら言い過ぎだろうか。「野田プロセス」で何でも決めてしまうなら、日本は極めて不健全な国だ。

http://diamond.jp/articles/-/14889
 

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コメント
 
01. エテ公 2011年11月16日 19:28:13: .XQ.mNI0RTQBI : xaz3Iaw886

あっしらさん、こんばんは。

TPP賛成(おそらく消費税アップも賛成)の方が、「決定プロセス」に疑義を唱えたことに少しだけ安堵しました。

情報公開なし・議論なし・そして「実際にストーリーを決めるプロデューサーや脚本家の立場の人々は、失敗しても責任を問われない」という官僚統治システムを温存したままだと、TPPはバンザイでも、次も彼らにとってバンザイとは限りません。そのとき今回のように強行突破されて困るのは彼ら自身です。

TPP賛成派だってこの問題は深刻に受け止めてほしいです。


あっしらさんや他の方々の投稿を読みながら、最近は「TPP参加後の日本」を想像しています。

あっしらさんも言うように、コメ生産はベトナムなど諸外国で行われるかもしれませんね。そして国内では、大規模法人による野菜や果物など“単一作物”の生産に特化したプランテーションのごとき“効率主義”の農園が広がっているのでは、と背筋を寒くします。

近未来の日本人は「となりのトトロ」を観ながら望郷感を覚えつつ、「そうはいっても工業立国で貿易立国なんだから仕方ねえよな」と割り切っていそうです。

その産業力だって維持してるという見通しは低いのですが・・・(笑)


02. あっしら 2011年11月16日 19:50:37: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

エテ公さん、レスありがとうございます。

「失敗しても責任を問われない」官僚統治システムの一つの失敗が、TPP参加だと思っています。

 官僚機構がそんなことはおくびにも出しませんが、失敗というのは、官僚機構が構想していた目的が挫折してしまったという意味でです。

 経産省から出向中の中野剛志氏がTPPに激烈に反対したワケもそのへんにあるのかなと思っています。

 外務省は別として、官僚機構とりわけ経産省は、TPPではなく対米自立(親米は基礎ですが)の共同体構想を目指していました。
 微妙な表現を使うと「新・大東亜共栄圏」です。

 その構想が、米国支配層の目障りになり、それを頓挫させるためにTPPに引きずり込まれたという見方です。
 今、そのテーマで少しずつ書いていますが、別の情報も入ってくるので止まりがちです。
 たぶん、鳩山・小沢追放劇も、それによりなぜあそこまでというワケがわかるのではと思っています。


03. 2011年11月17日 06:50:24: FbJeatStSs
売国奴ノブタはオバマのケツのアナを舐め、官僚に己のケツのアナを舐めさせる自己陶酔バカ。

犬、ツキショウにも劣る非人である。


04. 2011年11月17日 09:56:11: YRyE4hspJA
野田が財務省勝の衣とはズバリだな !

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