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地熱発電こそが日本の将来を明るいものにする 自然エネルギーの必要が盛んに言われていますが、太陽光、太陽熱、風力などは非常にコストが高いのです。太陽光は3キロワットほどの設備を家庭の屋根に取り付けるために最低限100万円以上の投資が必要になります。そして、そういったそれぞれの発電設備そのもののコスト高以外に、天候により発電量が左右されるため、バックアップ電源が必要になるのです。普通、火力発電がバックアップ電源として利用され、これらのコストは太陽光や風力発電のコストに含まれていません。原発も13ヵ月に数か月の定期点検や事故などの停止時のために非常に大規模にバックアップのための火力発電施設を持っていて、これらのコストは原発の発電コストに含まれていません。 ところが、地熱は天候に左右されずに安定した発電ができるのです。ダムを利用した大規模水力や用水路を利用したマイクロ水力も比較的安定した発電が可能ですが、それ以上に地熱はいい面があります。そのため、世界の地熱資源国では今急激に地熱開発が進んでいます。 しかし、日本では地熱開発が1997年以来実質的に止まってしまっています。 自分の知る限り、この5年ぐらいの期間、テレビの全国放送で地熱に焦点を当てて取り上げたのは2回しかありません。一回は2007年3月のTBSのニュース23の特集でした。アイスランドが地熱発電を大規模に取り入れ、化石燃料の輸入をやめることが出来、以前の最貧国から世界で最も豊かで暮らしやすい国へ転換していると、確か15分ぐらいに渡って報道したものです。二回目は2009年4月15日、NHKの「クローズアップ現代」で取り上げられました。ただし、こちらは地熱発電がコスト高だと言う間違った宣伝をしたようなもので、日本の実情を無視したものでした。 日本の場合、地熱開発がまだまだ進んでいないので、地熱発電所ごとにアクセス道路や送電線を作る必要があり、それを含んだコストがクローズアップ現代で報道されたのです。しかし、開発が進めば先に作られた道路や送電網を利用することで大幅にコストが低下します。また、地熱開発が盛んになれば、業者の設備機器や人の稼働率が上がりそれもコスト低下をもたらします。 更に、地熱発電は地域へ温水などの形で熱供給が出来、それが地域再開発へつながるのです。未来型の低炭素消費社会が地熱によって実現されるのです。 また、安価で安定した温熱供給により東北や北海道などの寒冷地では冬場の農業が可能になります。こちらはそれこそ食料自給率の向上や地域の産業開発に欠かせない要素です。道路の融雪にも利用できます。 地熱井戸は、温泉が普通数百mの深度からお湯をくみ上げているのとは異なり、1000m以上、通常は2000mほどの深さになり、泉源深度が温泉とはまったく異なるので温泉への影響はありません。そればかりか、温泉の場合お湯のくみ上げすぎで泉源が枯れることがあるのに対し、地熱発電はくみ上げた熱水を全て地下へ戻す方式が完成しています。また、幾つかの地熱発電所ではくみ上げた熱水の一部を近くの温泉へ配湯している場合さえあります。 日本においては、地熱発電が温泉へ悪影響を与えるという評価が非常に広く定着していますが、少なくとも現在の地熱技術ではこれは明確な誤解であり、後ほど述べるように日本において地熱開発をやらせないために故意に広められたものでしょう。 地震国日本にとり、地熱はもう一ついい面があります。2000m級の井戸が地下の観察に役立つのです。地下水水位や地下の温度の変化の観測が可能になり、それがより正確な地震予知につながります。地熱開発を進めるに際していろいろな場所を試掘するため、その井戸を地下観測に利用できるのです。 では、なぜ日本で地熱発電がストップしているのでしょうか。これには二つの理由があります。一つは地熱により日本が化石燃料を高い価格で輸入することを止めてしまうためです。もう一つは地熱開発で原発を廃止できてしまうことです。 実を言うと、日本の電気代はずっとアメリカの2倍、韓国の3倍程度も高かったのです。理由は総括原価方式という電気代の決め方にありました。電力会社はかかった費用の総額に現在は3%の利益率をかけて電気代を決めることが出来るのです。つまり、テレビコマーシャルの費用や人件費、そしてなによりも大きいのが燃料費ですが、費用をかければかけるほど電気代を高く設定でき、電力会社の利益が多くなるのです。例えば石油やLNG、石炭、ウラン燃料などを100億円で買うより200億円で買ったほうが電力会社はその分の3%、3億円利益が多くなるのです。2008年度は化石燃料の輸入に23兆円かかったと言いますから、仮に10兆円分が発電に使われたとして、電力会社は3000億円の利益を化石燃料の輸入のみで上げたことになります。本来、地域独占でテレビコマーシャルの必要がない電力会社が広告を打つのはより多く費用をかけて自らが利益をあげるためでもあったのです。そして、電力会社は石油や石炭、LNGが幾ら高くてもかまわず、却って高い方が有利なので、国際資本の言い値で買ってきたのです。石油や石炭、LNGを売る方から見たらこれほどいい客はいません。このため、化石燃料を買い続けろと言う国際的な圧力が日本全体にかけられているのです。これが地熱発電が広まらない一つ目の理由です。 しかし、今後、高齢化がより進み、社会保障費が年々1兆円以上ずつ高騰する日本社会に数十兆円という化石燃料の購入ができるはずがありません。 地熱発電は天候に関わらず安定的に発電ができます。そのため稼働率が他の自然エネルギーに比べて格段にいいのです。80%以上の稼働率があるとされます。また発電コストも1キロワット一時間当たり8円から20円程度とされています。 太陽光発電は1キロワット一時間で40円から50円程度のコストがかかり、稼働率は12%程度。風力は同9円から24円程度で稼働率は20%程度とされています。太陽光も風力も稼働率が低いため、バックアップ電源が必要になります。大規模なバッテリーが必要になったり、火力発電施設がバックアップ用に余分に作られているのです。これらのコストはそれぞれの発電コストに含まれていません。 原子力も同様で、事故や定期点検時のバックアップ用の発電施設が大規模に必要です。そして、原発はその発電規模の巨大さから別の意味でコストがかかるのです。原発は出力調節が難しく、常に同じ出力で運転しています。つまり、昼間の需要量に合わせると夜間の出力が余ってしまうのです。そのため、夜間に電気を有効利用するため揚水発電所が日本全国に約40作られています。オール電化住宅も、原発対策として、真夜中も一定程度の電力消費を促すために取り上げられているものです。 このように原発は安定的な電力供給が出来る反面、コスト高であり、更に事故時の危険性は他の発電方法の比ではありません。 10月25日に原発が事故を起こした場合のコスト計算の結果が発表されましたが、これは故意にコストを低く見積もっています。まず事故の発生確率の計算に3月11日の大地震発生以前のデータを使っています。しかし、311の大地震以降日本各地でマグニチュード6から7以上の地震発生確率は以前に比べて比較にならないほど高くなっているのです。次に、損害の見積もりに福島第一原発での被害額を使っていますが、福島第一原発は常に西風が吹く日本の東端にあり、漏れた放射性物質の大部分が太平洋上へ流れたため、あの規模の原発事故としては奇跡的と言っていいほどその被害は軽く済んだのです。もし、関東地方の西に隣接する浜岡原発や日本列島の西端に位置する川内原発や玄海原発で事故が起これば、日本壊滅となるほどの被害になってしまいます。 これほど危険な原発ですから福島第一原発事故が起こった現在、日本中で原発廃止が実現できていなければいけないはずです。ところがそうなっていません。これには日本が持っている米国債が絡んでくるのです。 日本政府は日本がどの程度米国債を保有しているかを公表していません。代わりにアメリカ政府が、日本は中国と同程度のだいたい70兆円ほどの米国債を持っていると言っています。しかし、非常に不合理です。日本は昭和の40年代から大規模に米国債を買ってきました。一時期は日本一国で米国債の年間発行額の半分を買っていたのです。それだけ大規模に日本からアメリカへ輸出がされたためでした。中国は、しかし、対米貿易が盛んになったのはこの10年ほどです。幾ら中国でも日本とは対米貿易の歴史が違い過ぎるのです。更に、日本の多くの著名人が日本は少なくとも200兆円は米国債を持っていると言っています。 そして、もし日本で原発事故が起こり、国土の大部分が居住不可能になった場合、アメリカが数千万人規模の移民受け入れを表明するでしょう。そして、同時に「日本は消滅した。だから日本が持っていた米国債、返す必要はないですね」と言うのです。 日本政府が自国が持っている米国債の金額を言えない理由、そして、日本が持っている米国債の額についてアメリカ政府が明らかに不合理な数値を言う理由はここにあります。 そして、だからこそ、日本は原発保有を止めることが出来ないのです。 更に、原発には使用済み核燃料の問題があります。アメリカでは100万年の保存が義務付けられています。ほかの多くの国でも数十万年の保管が安全のためには必要だとされているのです。しかし、日本のように地震が多く起こる国で数十万年もの地下保管ができるはずがありません。ちなみに現在の人類の祖先が地球上に出現したのが40万年から50万年前とされています。人類史の二倍以上の期間、どうやって保管できるのでしょうか?この意味でも、原発は即刻廃止する必要があるのです。 今の状態は、アメリカ金融資本の強欲が世界中を滅ぼしていて、最終的にはアメリカ社会そのものも壊滅するのです。現在の強欲資本主義は決して長続きするものではありません。そのことをきちんと主張し、アメリカの支配層を説得するのです。正しさこそが本来の力なのです。破滅が既に目前に迫っているとき、何が本来の姿なのか、誰もが分かるはずです。福島第一原発事故は起こりました。だからこそ、次の原発事故を回避することが出来るのです。日本の現状はまるで福島第一原発事故が起こったから次の原発事故を許容しようとしているかのように見えます。繰り返します。福島第一原発事故が起こったからこそ、日本は原発廃止に踏み込むべきであり、その明確な説明もできるのです。そして、それこそが日本にとってもアメリカにとっても、世界中の国々にとって良いことなのです。 アイスランドは一時期金融立国に走りそのため実質的に財政破綻しました。しかし、今また地熱開発を軸に新たな歩みを始めています。 地熱発電の設備シェアトップは日本企業が持っています。地熱開発のために、日本は技術も環境もあるのです。次なる原発震災を回避し、財政破綻を防ぐには地熱開発しかありません。このことを一人でも多くの方が理解され、より多くの方たちへ伝えていくことが今必要です。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<853>>
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