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APECで発表されたTPP参加9カ国の大枠合意内容の概要が日経新聞に掲載された。
●「参加国は互いに野心的でバランスが取れた透明性の高い『市場アクセス』を提示しあうことを確認した」
これは、物品やサービスに関する具体的な取り決めが、TPPの“思想”を基礎に、多国間ではなく二国間で行われることを意味する。
●「各国が市場を開放したくない項目を挙げて他国と交渉する「ネガティブリスト」方式で調整している」
これは、「特定のサービス分野で例外について交渉することを認める」というものを受けてのものである。
医療・金融・通信などサービス分野では例外が設定できるようだが、野田政権は、混合診療解禁派であり、市場原理自由主義者の集まりでもあるから、彼らと同一基盤に立つ官僚が交渉している限り、渡りに船で、「混合診療」や「ゆうちょ・かんぽの“民営化”」を受け容れる可能性が高い。
●「9カ国は高い基準を適用することで合意。途上国が直面する敏感な問題や独特の困難について適切に対応する必要がある。」
ベトナム、マレーシア、ペルーに加え、ブルネイやチリあたりまで途上国として扱われる可能性もあるが、当然のように日本は範囲外。
「敏感な問題」にはイスラムが暗に示唆されていると思われる。酒や豚肉関係が例外品目になるはず。
●「オバマ米大統領は2012年中の交渉妥結を目指すと表明」
来年は大統領選があるから交渉は13年まで延びるという説もあるが、TPP交渉が米国にとって実のないものになりそうなら延ばし、実があるのなら大統領選前に妥結させるのが政治手法として当然である。
ということは、日本が5月か6月に交渉に参加しても、交渉可能な期間が4ヶ月(交渉会合は2〜3回)しかないことを意味する。
「TPP24分野」の交渉進展状況は、▽が未合意分野で、20分野にのぼっている。ほとんどの分野が完全な合意には至っていない。
(:の右側が、これまで日本国内で使われていた表現。※印は、未合意としてリストアップされていない分野。主席交渉官協議のように観念的なものもある)
▽競争:競争政策
▽協力と能力向上:??協力??
▽分野横断的なサービス:サービス(クロスボーダー)
▽税関:税関協力
▽Eコマース:サービス(e-commerce)
▽環境:環境
▽金融サービス:サービス(金融)
▽政府調達:政府調達
▽知的財産:知的財産権
▽投資:投資
▽労働:労働
▽法的問題:??紛争解決??
▽物品の市場アクセス:市場アクセス(工業・農業)
▽原産地規則:原産地規則
▽SPS(衛生と植物防疫のための措置):SPS(検疫、及びそれに付随する措置)
▽TBT(貿易の技術的障害):TBT(貿易上の技術的障害)
▽通信:サービス(通信)
▽一時的入国:サービス(一時入国)
▽繊維と衣料:市場アクセス(繊維・衣料品)
▽貿易救済措置:貿易救済措置
※主席交渉官協議
※貿易円滑化
※制度的事項
※横断的事項特別部会(中小企業、競争、開発、規制関連協力) :
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TPP大枠合意の主な内容は以下の通り。
【主な特徴】
包括的な市場アクセス。財・サービス貿易や投資について関税や他の障壁を撤廃する。
完全な地域的な合意。TPP参加国間の生産やサプライチェーンの整備を推進する。
分野横断的な貿易事項。規制の統一、競争やビジネスの促進、中小企業、開発で取り組む。
新たな貿易課題。技術革新への投資やビジネス環境を整備する。
活力的な合意。将来の貿易情勢に適応させるため合意を改定する。
【範囲】
すべての貿易関連分野を対象とした一括的な交渉を進める。従来の自由貿易協定(FTA)が対象とした問題への伝統的な手法を改定するとともに、新たな貿易問題や分野横断的な問題も加える。
20以上の交渉グループが法的文書と市場開放について発展させた。
9カ国は高い基準を適用することで合意。途上国が直面する敏感な問題や独特の困難について適切に対応する必要がある。
新たな分野横断的な取り組みはコスト削減やTPP参加国間の貿易の流れをスムーズにすることを意図している。中小企業の国際貿易への参加を促す。
交渉チームは伝統的な分野で分野横断的な問題の取り組みを提案し、合意へ大きな進展を得た。
【法的文書】
交渉グループはほとんどの分野で統一された比的文書を前進させた。一部の分野では文書はほとんど完成したが、他の分野では特定の問題について決着への作業が必要。これらの文書には空欄が残っている。
法的文書はTPPでの通商関連のすべての側面を対象とする。以下は交渉中の問題。
▽競争▽協力と能力向上▽分野横断的なサービス▽税関▽Eコマース▽環境▽金融サービス▽政府調達▽知的財産▽投資▽労働▽法的問題▽物品の市場アクセス▽原産地規則▽SPS(衛生と拙物防疫のための措置)▽TBT(貿易の技術的障害)▽通信▽一時的入国▽繊維と衣料▽貿易救済措置
【関税表と他の市場開放】
TPPの関税表はすべての物品を対象とし、約1万1千の関税分類項目がある。9カ国は一般的な原産地規則を構築しようとしており、最も効率的で簡潔な方法に傾斜している。
サービスと投資はすべてのサービス分野を範囲とする。総合的な範岡を想定しているが、特定のサービス分野で例外について交渉することを認める。
政府調達は互いの国で最大限のアクセスができることを追求しているが、一部で互いに敏感な分野があることを認識している。
【次段階】
9カ国の首脳は交渉官に12月上旬に会合を開き、その際に追加的な交渉の予定を決めることを指示した。
[日経新聞11月14日夕刊P.3]
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自由化に「例外」余地 TPP大枠 サービス分野など
【ホノルル=御調昌邦】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する9カ国が12日に示した大枠合意の内容は、同協定が従来の自由貿易協定(FTA)より広範囲で高い基準となることをうたう一方、サービスや政府調達の分野などで自由化の例外があり得ることも明記した。日本で関心の高い物品の関税撤廃については原則論を示すにとどめており、最終決着までに各国が敏感な分野でなお交渉が続くことをうかがわせた。
大枠合意は大まかな仕組みとこれまでの交渉結果を簡単にまとめたもの。意見や立場が異なる部分は明らかにしていないが、一部には交渉の動きも垣間見える内容だ。
例えば、サービスの市場開放では原則自由化するとしたうえで、各国が市場を開放したくない項目を挙げて他国と交渉する「ネガティブリスト」方式で調整していることを明らかにした。自由化の「例外」を設ける可能性を認めるものだ。一方、物品の市場開放では「TPPの(関税の扱いを示す)関税率表はすべての物品を対象とし、約1万1千の関税分類項目がある」とした。だが、米国を含む一部の国は関税撤廃の例外が必要だと主張して議論していることが明らかになっており、大枠合意は「参加国は互いに野心的でバランスが取れた透明性の高い『市場アクセス』を提示しあうことを確認した」と説明するにとどめた。
交渉への参加表明をした日本にとって関心が高いのは今後の交渉日程。大枠合意は各国首脳から「交渉官に12月上旬に会合を開き、その際に追加的な交渉の予定を決めることを指示した」と明記し、オバマ米大統領は2012年中の交渉妥結を目指すと表明した。例外設定を巡って各国の激しい駆け引きが想定される中で、どれくらいのペースで交渉を開くかも今後の焦点になる。
[日経新聞11月14日夕刊P.3]
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