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野田首相は11日夜の記者会見で、「明日から参加するホノルルAPEC首脳会合において、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ることにした」と述べた。簡潔に「交渉に参加する」と言わなかったのは、TPP反対派に対する配慮だと解説する者がいる。鹿野農相にいたっては「交渉参加が前提ではないと理解している」など、全く能天気ことを言っている。国際的にはそのような解釈は全く通用しないだろう。
TPP問題について、民主党の経済連携プロジェクトチームの政府提言に「慎重に判断すること」とあるのを受けて、首相は「1日よく考えさせて欲しい」と言い、当初10日に予定されていた記者会見を1日延ばした。だが、これも茶番劇以外の何ものでもなかった。茶番劇よりもっと悪質であったと言うべきかもしれない。交渉参加の意思表示後であったなら、おそらく11日の国会審議は乗り切れなかっただろう。
11日の午前は衆議院の、午後は参議院のそれぞれ予算委員会でTPPに関する集中審議が行なわれ、NHKテレビで中継放送された。そこから分ったことは、首相が、TPPで懸念される問題点について、全く無知・不勉強であることだ。将に観念的に「自由貿易=TPP」なのである。それが証左にTPPは原則10年間で関税が撤廃されることや、今からでも交渉参加が半年後になることも知らなかった。
そして醜態を見せたのが、参院自民党の佐藤ゆかり議員のISD条項に関する質問に対する答弁であった。佐藤議員が、NAFTAで実際に起こったアメリカ企業によるカナダ政府に対する賠償請求事例*を挙げた後に、このISD条項について国内法が曲げられることについて、首相の考えを質した。このとき首相は、「条約を結ぶために(国内法を)殺したり、壊したりはしない」と、全く頓珍漢な答弁をしたのだ。
佐藤議員が再度ISD条項について説明したのだが、首相はISD条項について全く何も知らず、「国内法で対応できるよう交渉をしていく」と再度答弁し、審議は10分近く中断した。NHKテレビでは、野田首相は3年前の野党時代からTPP参加を主張しており、貿易自由化が首相の信念だと持ち上げていたが、何も勉強せず、ただ単に「貿易自由化=TPP」と思い込んでいただけである。情けない話である。
既に、本欄でもISD条項の危険性を述べ、お隣の韓国では米韓FTAの批准を前にして、ISD条項で韓国国会が空転していることを書いた。日本の首相たる者がそういうことも知らないでTPP交渉参加を表明していたら、10分間の審議中断では済まなかっただろう。参院自民党が、野田首相に問責決議案を提案しても不思議ではなかった。1日延ばしたのは、そう云う事態を避けるためであったのだろう。
この首相の無知な思い込みも許せないが、同様に許せないのがマスコミである。12日の毎日新聞朝刊一面には「TPP交渉内容と日本への主な影響」と題して、期待される効果と「懸念される問題」の一覧が掲載されている。これまで全く報道しなかった「懸念さる問題」を、交渉参加となった途端に報道し始めたのだ。だが、その懸念される問題に「ISD条項」は含まれていない。政治記者連中も不勉強なのだ。
マスコミは、懸念される問題をいまさら知った訳ではない。以前から取材して知っていた。大本営発表を垂れ流していたとの批判を避けるために、ここに来て「アリバイ作り」をはじめたということだろう。筆者が日頃から述べているように、今のマスコミはジャーナリズムではない。それどころか、ミスター円と呼ばれた元財務官榊原英資青山学院大学教授が言うように、日本のマスコミはCIAに踊らされている。
日本のマスコミはCIAによるマスコミ対策に踊らされているだけでなく、憶測であるが官房機密費によって、反対派の意見を報道しなかったようだ。その心証は、官房長官の発言と、10日に予定された記者会見を延期した時のマスコミの反応にある。10日夜に、慎重派勢いづくと報じた者と、首相に「ぶれるな」とエールを送った者がいる。どちらが毒饅頭を食らったかは一目瞭然である。
確かに外交交渉は内閣の専権事項である。だが、これまでは知っていたつもりのTPPについて、その無知を指摘されたことに反省もせずに、思い込みの「貿易自由化=TPP」だけで、TPP交渉参加表明する。非常に無責任な首相である。その記者会見が終わった午後8時46分にキッシンジャー元アメリカ国務長官と会談であった。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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