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実質TPP交渉参加表明 野田は“とらぬ狸の皮算用”性善説の罠
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2011年11月12日 世相を斬る あいば達也
今日の見出しは、いかにも野田佳彦が善い人、だから相手も善い人と思う“お人好し”として扱っていると云う誤解を受けそうで、書いた筆者も不満である。(笑)
今回のTPPへの、野田首相の参加交渉表明に至るプロセスをみていると、思惑外れが随所に見られ、苦戦を強いられていた。仙谷・前原の党内政調機能がまったく働かず、逆に反対派の団結力を強くする起爆剤になっていた点だ。このような状況に業を煮やした米国は、戦争前夜の事前交渉でもするような慌ただしさで、ペリー元米国防長官、ハムレ米戦略研究所所長、シーファー前駐日大使、アーミテージ元国務副長官が大挙官邸に押し掛け、野田に表明しなかった場合の、中国威嚇をこんこんと説いてみせた。最後には、大御所登場と云う事で、キッシンジャー元米国務長官が官邸に現れる念の入れようには、明らかに違和感がある。
ただ、彼らがマスメディアに姿を晒すかたちで官邸に現れ、邸内をうろうろした事実は、野田佳彦を脅していたと云うよりも、日本国家を運営している、あらゆる組織、人々への米国威嚇プレゼンスだったと解釈する方が妥当だ。このプレゼンスにより、国会議員への圧力も充分であったろうし、理解できる国民への圧力も、それなりにあったと認識する。皮肉な立場で考えると、官邸側が、彼らの土壇場での登場を米国に依頼していたと云う仮説も成り立つ。野田首相はやむに止まれず決断せざるを得なかった、と。
まぁ賽は投げられてしまった。筆者は、TPPの基本理念から考えて、“とらぬ狸の皮算用”が通用する協定だとは認識していないので、朝日や読売のいうように、シッカリ交渉、と云うレールがほとんどないものと考えている。朝日もホッとして、以下のような甘い見通しの社説を載せている。
≪TPP交渉へ―何もかも、これからだ
野田首相がきのう、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉への参加に向けて、関係国との協議に入る考えを表明した。 首相の方針そのものは、良かったと評価する。
だが、民主党内の強い慎重論を受けて方針決定が遅れ、きのうの衆参両院の審議で議論を深められなかったのは国会軽視そのものだった。
首相はもっと早く自身の考えを示し、みずから説得にあたるべきだった。ほとんど国民の理解が広がらないままの見切り発車は残念だ。
首相はきのうの記者会見で、「アジア太平洋地域の成長力を取り入れなければならない。十分な国民的議論を経たうえで、国益の視点に立ってTPPについて結論を得たい」と述べた。
ヒトもモノもカネも国境を越えて行き交う時代に、輪に加わらずにいるのは難しい。これからも国を開いていくのは当然のことだ。
一方で、すでに問題点や疑問が山ほど指摘されている。農業と地方の衰退に拍車がかかる。公的保険や金融などの制度見直しを強いられる、などだ。 さまざまな懸念は、杞憂(きゆう)とも言い切れない。疑問に誠実に答えつつ、日本の経済成長につなげられるか。成否を分けるのは、今後の政府の対応である。
まず、他の参加国に強い姿勢を貫くことだ。交渉に加わるには9カ国すべての同意が要る。交渉に入りたいなら、この分野で譲歩せよと米国などに求められても、安易に請け負ってはならない。不透明な「密約」が明らかになれば、国内の逆風がさらに強まるのは必至だ。
同時に、国内の合意づくりにもっと汗をかかねばならない。民主党国会議員の半数が、現時点での交渉参加表明に反対する署名に名を連ねた。野党も、みんなの党を除けば軒並み反対だ。このままでは交渉に妥結できても、国会での承認に行き詰まりかねない。
首相は、国民の不安を解きほぐす努力をするしかない。交渉で何を勝ち取るのか。「医療制度や伝統文化、美しい農村は守り抜く」というが、どう守るのか。 明確にするためにも、国民との対話の場として、東日本大震災で中断したシンポジウム「開国フォーラム」を再開してはどうか。 農業対策をはじめ、しわ寄せを受ける分野へのテコ入れも急がねばならない。
首相は、対外交渉と国内の合意づくりという難しい二正面作戦を、どう指揮するのか。何もかも、これからだ。≫( 朝日新聞:社説)
≪ほとんど国民の理解が広がらないままの見切り発車は残念だ。≫
*“残念”等と云う言葉で矮小化する協定ではあるまい。国家の社会制度全般を変質させるものであり、国民の理解を得ようと議論し始めたら、それこそ1カ月で消滅する協定内容なのだから、“見切り発車は合理的な選択だった”と朝日らは賞賛すべきだ。
≪「アジア太平洋地域の成長力を取り入れなければならない。十分な国民的議論を経たうえで、国益の視点に立ってTPPについて結論を得たい」と述べた。 ヒトもモノもカネも国境を越えて行き交う時代に、輪に加わらずにいるのは難しい。これからも国を開いていくのは当然のことだ。≫
*日本のマスメディア独特の、国民洗脳プロパガンダが語られている。“子供達に借金を残さず、現役世代で解決する”、“除染、除染で福島を蘇らせよう”、“アジア太平洋地域の成長を取り入れ”、“輪に加わり”、“国を開く”まったく同質の欺瞞が満ちた言葉だ。肝心要の米国は成長地域なのか?中国もインドもインドネシアも台湾も加入の気配すらないアジア太平洋地域なんて糞みたいなものだろう。“輪”なんて何処にある?ふざけたことを言うものではない!
≪まず、他の参加国に強い姿勢を貫くことだ。交渉に加わるには9カ国すべての同意が要る。交渉に入りたいなら、この分野で譲歩せよと米国などに求められても、安易に請け負ってはならない。≫
*またまた、交渉なんて出来ない事を承知の上で、“強い姿勢を貫く”、“安易に請け負ってはならない”。などと校長先生のような型どおりの言を弄する。強い姿勢を貫けないのが判っているから、参加のテーブルにつくことが過ちなのだ。譲歩なしで外交交渉が成り立つか?本当に事実を歪曲して、美辞を並べたてる糞のような社説だ。
≪ 首相は、国民の不安を解きほぐす努力をするしかない。交渉で何を勝ち取るのか。「医療制度や伝統文化、美しい農村は守り抜く」というが、どう守るのか。≫
*それが米国の目的なのだから、守り抜ける筈もなし。十二分に承知の上で、朝日は野田の言葉を借りて、責任を押しつけている。米国が日本市場をアメリカーナにスッポリ変えようとう云うのが戦略なのだから、無理難題である。今さら、それを主張するなら、交渉参加に慎重であるべきと主張すべきだった。ただ、この朝日の社説を読むと、医療・農業問題は追々にするとして、輸出輸入関連を先頭に立て、国民に安くモノが買える甘い蜜で洗脳しようと云う意図も見えてくる。
≪農業対策をはじめ、しわ寄せを受ける分野へのテコ入れも急がねばならない。≫
*農業へのセーフガードは更なる財政を圧迫する材料を提供。徐々に国民の意識下に農民嫌いを植えつけ、一気に潰す戦略だろう。悪いのは農家だ!プロパガンダとしてはうってつけだ。
読売の社説においても、頭は≪自由貿易を推進し、経済成長を実現していく必要がある。人口減少などで内需が縮小する日本経済を活性化させるには、成長センターであるアジアの活力を取り込むことが欠かせない。≫だ。此処が明らかなプロパガンダだ。誰の為のプロパガンダか耳を疑う。経済成長著しいアジアを取り込みたいのは米国だろう。(笑)なにも日本がTPPでアジアを取り込む必要はゼロだ。なぜなら、日本はまさしく正真正銘のアジアの一員だからである。読売が社説に着け足した≪TPP参加は、日米同盟関係も深化させる。経済・軍事大国として存在感を強める中国への牽制という点でも重要だ。≫の点は別途検証する。
TPPと云う協定の先には「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)と云う中国まで囲い込む構想があるようだが、もうここまで来ると妄想の世界だ。(笑) そもそも、この米国の死に物狂いの慌ただしさは、鳩山由紀夫の「東アジア共同体構想」に端を発している。その具体的流れとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国を加えたASEANプラス3があった。その上、これにロシア・インドが加わる流れさえあったのだ。ASEAN諸国に、日中韓が加わり、それに呼応してロシア・インドが加わったら、もうアメリカ・オーストラリアは行き場を失う。それがTPPの本質に過ぎない。地図を観て、アジアだと思うのが何処か?小学生に聞くことが、最も正しいアジアであり、太平洋?え〜〜〜〜?????である。だったら、欧州も入れてあげたら?(笑)
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