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http://news.livedoor.com/article/detail/6013867/
TPP加入問題、オリンパスの粉飾決算、大阪市長選の泥沼…などなど、わが国の世情をにぎわせているのは国内問題だが、その裏で着実に世界の混乱が近づいてきている。
ギリシャ問題からイタリア危機へとEUはまとまりそうになく、経済恐慌がうわさされている。
アフリカのジャスミン革命は、長年の独裁者・カダフィーを殺害するまでに至ったが、この一帯の安定には時間がかかるだろう。
世界の警察官・米軍はアフガン・イラクで疲れ切って撤退を開始した。しかし、ヴェトナム戦争同様、帰還兵たちは帰国しても歓迎されそうにもない。
多くの若者たちが犠牲になったが、米国政府は予算ばかりか兵力も大幅に削減する。一方的な“軍縮”である。
【その米国と一時「戦略的互恵関係」を吹聴した中国は、なりふり構わず一大軍拡に走り、アジアを席巻しようと軍事力を整備している。
南シナ海、東シナ海、そして宿敵インドに対する包囲網を完成、加えて東南アジアに進出して、メコン川上流にも進出しようとしている。タイはやがて≪中国軍の洪水≫に襲われるのではないか?
【インドもこれに対抗して軍拡に取り組み始めた。パキスタンも不安定、さらにイランがとうとう近代核兵器を製造するまでに至った。
パレスティナと揉めているイスラエルだが、これだけは国家存亡の危機、看過できないだろう。米国もいよいよ大統領選の前哨戦に入り、手出しできそうにないから、世界の警察官の威力も低減する。いや、再選が危ういオバマ大統領はそれどころじゃあるまい。
中国でも、激しい権力闘争の中で、温家宝首相が中国共産党のあり方に反旗を翻しつつあるようだ。その中国では軍用機の墜落が続いている上に、吉林省では兵士が銃を持って脱走したというニュースが流れている。軍の規律が緩んでいる。
北朝鮮では脱北者を射殺する強硬策が若い次期指導者の手によって開始された。
お隣の韓国では李大統領の再選に黄信号がともっている。そうなればこの国がやることは「反日」で有権者のご機嫌を取ることしかない。北にとってもチャンスである。
台湾では、来年1月の総統選挙では、今のところ民進党の蔡英文女史が有利だというが、国民党を割って独立した宋氏のバックは国民党の伝統である“黒”社会、何をやるが予断できない。
馬英九総統は不利になったと言われているが彼は現職、選挙前に「大陸との平和交渉」をやれる権利を持っている。
ロシアはプーチンで決まりのようだが、北方領土問題は進展しないだろう。
ざっと見ただけでも我が国を取り巻く情勢は実に厳しく、大東亜戦争直前の雰囲気に似ている。そういえばあの時も≪バスに乗り遅れるな!≫と新聞が騒ぎ、日独伊「3国同盟」を結び、日米開戦に突き進む原因を作った。
そればかりか、独ソ不可侵条約に気をよくして、世論の支持がないまま【日ソ不可侵条約】を締結した外務大臣がいた。
国際情勢を宇宙から見るような指導者はおらず、各派閥が葦の髄から天を覗く有様だったから、独ソが開戦すると時の総理は仰天して「奇奇怪怪」と言って政権を放り出した。
≪日ソ中立条約を結ぶ松岡外相=日録20世紀(講談社)≫
この時政府の一部には「日独伊」にソ連を加えて「4か国同盟」を結ぶ計画があったというから何をかいわんや、今思うと実に視野狭窄症である。
ところがその筆頭の松岡外相の腹は「直ちにソ連攻撃」だったらしいが、そんなことは当時の誰も思いつかなかったし、松岡を異常者扱いする程度だった。そして彼を閣外に放逐して成立した第2次近衛内閣の身辺にはゾルゲ・尾崎らのコミンテルンが取り巻いていた。そして敗戦…。
しかし戦勝国の「かたき討ち裁判」で、東條首相以下2000人近くの軍人たちが“戦犯”として処刑されただけで、なぜこんな結果になったのか?という原因追及を自らなすことなく戦後66年たった。
さて、こんな歴史と現状を重ねてみると、日本人の“無責任さ”、いや、“おおらかさ”が浮き彫りになってくる。
今話題のTPPの詳細は知らないが、報道を見ている限りでは「TPP推進派」の主張は「TPP反対派=農業=圧力団体=後進性=努力不足」という主張に聞こえ、私にはその対象は「農業」ではなく「農協」ではないのか?と錯覚する。
そうであれば日本は農耕民族、瑞穂の国、日本人の根底に流れる精神性をぶち壊さないという保証があるのか?を説明すべきだろう。
世界に冠たる技術を誇るオリンパスという企業を取り仕切っていたのは、実務に疎い「総務・財政」専門の経営陣だといわれている。TPP推進派は経団連だが、これが大企業の実態だとすれば海千山千の外国相手に太刀打ちできるのか?という疑問もわく。
輸出産業を取り仕切る企業トップの中には「技術は無関係、朝から晩まで金カネ金…の世界」に君臨する人物が目立つからである。更に彼らは≪飛ばし≫という手法で、一時的に自己責任を逃れる悪知恵が働く巧妙な辣腕主義者。
こんな「高学歴者」たちが跋扈するようになった背景には、戦後の日本政界があると思うのだが、この世界にもある時点から「飛ばし」が横行したため、とうとう愛想を尽かした有権者から見放されて奇妙な集団に政権を明け渡したことを想起すべきだろう。そう、≪飛ばし=先送り=静観≫、つまり政治は自己保身のため、何もしないという手法である。
防衛力整備に心血を注いできた我々も、そんな「シビリアンコントロール」下にあって目標達成が無理になると、次回に“期待”して先送りする一時しのぎをしたものである。これを部内では「後任者負担」と自嘲した。
歴代政権で何が一番悪質な≪飛ばし≫だったか、それは言うまでもなく「憲法改正」であろう。
やがて生じるであろう2012年の「天・地・人」の乱れによる危機、わが国にはそれに対処する戦略などありはしない。あるのは現場の知恵、超法規的行動しかあるまい。あと一度大地震でも来たら、前政権ほどではないかもしれないが、右往左往、見苦しい姿を世界中にさらすのではないか?
「四面楚歌」「天下争乱」が近づきつつあるのに、股肱の臣無きわが国では、心を痛めておられるのは今上陛下のみという事態。なんと御労しいことか。
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