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≪関岡英之 著『国家の存亡―「平成の開国」が日本を滅ぼす』 より抜粋(5)≫ Roentgenium
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(前回、5頁からの続き)
[付録 1]
〔関岡英之 著『目覚める日本―泰平の世は終わった』 より 第6章 「改革」は誰の為のものだったのか―グローバリズムというプロパガンダの欺瞞 (『別冊正論』第7号 平成19年7月発売号) P.146−P.178〕
■第6章 「改革」は誰の為のものだったのか|『拒否できない日本』の意外な反響
『拒否できない日本』(文春新書)を出してから、まる3年の歳月が経過した。発売から半年程経って、最初に採り上げてくれた言論誌が『正論』だった。拙著の概要を、「そんなバカな!ここまで進んでいるアメリカの日本改造」という表題で平成16年(2004年)10月号に掲載してくれた。しかし、他誌や他の媒体からの反響は全く無かった。
年が明けて平成17年(2005年)、ライブドアによるニッポン放送株大量取得事件が惹起こした時に、再び『正論』が紙面を提供してくれて、「志を喪失した時代の象徴として」を同年5月号に寄稿した。
その原稿を書いている頃、自民党から突然、党内の勉強会に講師として来てほしいとの連絡を受け取った。当時、衆議院議員で副幹事長の要職にあった小泉龍司氏からだった。私はそれ迄同氏とは全く面識が無く、自民党から呼ばれたのも初めてだった。
私の一連の主張は、「政府がやっていることは米国の言いなりだ」などといった野党の常套句に一見類似した響きを持っていることは否定出来ない為、政権与党〔※当時〕からの呼び出しに私は大変驚き、半信半疑で平河町の自民党本部に出向いていった。
招かれたのは、当時、衆議院議員・津島恭一氏を会長とする「大風の会」という若手議員の勉強会だった。今もそうだが当時は今よりもっと無名で、何処の馬の骨とも分からないフリーライターに過ぎない私を、津島会長以下、並み居る自民党国会議員が熱心に耳を傾けてくれることに私は驚いた。もっと驚いたのは、私の話に反発されるかと思いきや、殆んどの議員が深い共感を示してくれたことだった。
≪≪1人だけ、サラリーマン時代に米国に駐在した経験があるという2世議員が、「全てにおいて日本より米国のほうが進んでいる。日本はアメリカを見習うのは当然だ」と私に激しく反発したが、津島会長以下、他の議員は皆、年次改革要望書を介した日米間の政策決定メカニズムについて、「由々しきことだ」と事の重大さに対する洞察を明確に示していた。
その懸念は正当である。国会で審議されている様々な政策や法案の中身について、外国政府から公式の外交ルートを通じて毎年、文書で具体的な要望が提示され、しかもその全てとは言わないまでも、少なからぬ部分が実現して来ているという経緯を、官僚サイドから一切正式な説明を受けていないのだ。政府、と言うより官僚主導でこうしたことが罷(まか)り通ってきたわけだ。
但し、全ての官僚が係っているわけではない。全容を把握していたのは、むしろ限られたポジションの人々なのではないかと推察する。立場上、国会議員ほど公然ではないが、共感を表しながら私に接触を求めてくる官僚も少数ながらいるからである。≫≫
何れにせよ、これは議院内閣制の根幹に係る問題だ。政権与党の国会議員が何の危機感も感じないとしたら、どうかしている。
自民党の若手議員達は私の話を聞きっぱなしにしなかった。直ぐに行動を起こし始めた。この勉強会をきっかけにして、小林興起氏のような中堅議員や、総裁候補にもなった藤井孝男氏のような大物議員にも紹介され、話を聞いてもらう機会が増えていった。
≪≪その頃、自民党内で議論になっていたのが会社法の中の「三角合併」、つまり外資への株式交換の解禁の是非だった。
一頃一部のマスコミが「天才経営者ホリエモン」という虚像を作り上げたが、ライブドアという会社があれほど短期間に巨大な企業グループを作り上げることが出来たのは、株式交換というM&A手法をフル活用したからである。
この株式交換という手法はホリエモンが発明したわけではなく、日米投資イニシアティブによって平成11年(1999年)に商法が改正され、日本国内企業に解禁されたものだ。ライブドアはその規制緩和の恩恵を享受した企業の1つに過ぎない。
三角合併の解禁とは要するに、これ迄国内企業にのみ認められてきた株式交換を外資にも解禁するということに他ならない。これ迄ホリエモンなど日本人がしてきたことをいよいよ外国人もやり始めるわけだ。
ニッポン放送株大量取得事件が起きた時、ホリエモンのお蔭で、日本企業が敵対的買収に対して殆んど無防備であることが発覚した。このまま三角合併を解禁すれば、日本の有力企業が外資の傘下に完全子会社化される突破口が開かれる。
そこで自民党は、承認寸前だった会社法案について、三角合併の解禁だけは1年延期するという条件を付けた。その時、中心になって奔走したのは小泉龍司氏と小林興起氏だ。そのお蔭で、日本企業は法廷闘争に耐え得る防衛策を検討する貴重な時間的猶予を与えられたわけだが、米国政府は公式文書で不快感を表明した。
「米国政府は、このような延期は、新しい合併手法が日本経済に与える有益な効果を後回しにすることなので、不必要であり、好ましくないと考えている」(「日米投資イニシアティブ報告書 2005年7月」経済産業省公式サイト)。
「新しい合併手法が日本経済に与える有益な効果」とは一体何なのか。外資が日本の有力企業を支配下に収めることが、何故我が国の国益になるのか。≫≫
〔資料〕≪「対日年次改革要望書」とTPP:日本語翻訳 PDFファイル(1996年〜2011年)≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-11066706411.html
〔資料〕三角合併:課税上の取り扱い - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%A7%92%E5%90%88%E4%BD%B5
〔資料〕2005年 日米投資イニシアティブ報告書 2005年7月(PDF、全19頁)
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/286890/www.meti.go.jp/press/20050706004/050706nitibei2.pdf
〔資料〕日米投資イニシアティブ|経済産業省 対米経済政策総合サイト
http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/n_america/us/html/invest_initiative.html
■第6章 「改革」は誰の為のものだったのか|「日本株式会社」の筆頭株主は外資
≪≪平成19年(2007年)の年頭、『日本経済新聞』は「開放なくして成長なし」という主題の社説を5日間連載し、カネ・ヒト・モノ、全てについて開国を推し進めもっと海外から受け入れよ、と大々的に主張した。
元旦の「懐深く志し高いグローバル国家に」という副題の社説では、「2005年の日本の対内直接投資残高は国内総生産比でやっと2.2%。欧州連合(EU)の33.5%、米国の13.0%、そして中国の14.3%などに比べて、桁違いに低い」と危機感(?)を煽り、「直接投資を受け入れる『国際心』が成長持続を確かにし、ひいては安全保障の礎になる」と結論付けている。≫≫
≪≪だが、グローバルリズムの本家本元の米国では、中国海洋石油公司(CNOOC)によるユノカル買収や、アラブ首長国連邦の国営企業による港湾管理会社買収に対し、議会から猛烈な反発が噴出し、結局どちらの買収劇も頓挫させられている。
その後、中華人民共和国の「国家ファンド」が米国最大のファンド、ブラックストーン・グループに出資するという事態に及んで、米国では外資による米国企業買収に対する規制強化の動きが加速化している。
米国には元々外資による米国企業買収に中止命令を出来るエクソン・フロリオ条項(1950年国防生産法第721条)という法制もある。警戒レベルを更に引き上げ、規制を強化しようというのが現在の趨勢(すうせい)だ。
先進技術や軍需関連、食料やエネルギーといった国家安全保障に直結する分野の有力企業が、ファンドを介して共産党独裁国家に間接支配されてしまう可能性があるのだから、断固阻止するのは当然だ。日本が米国に見習うべきことがあるとするならば、外資の直接受け入れを促進するどころか、むしろ逆に(外資に対する)規制と監視を強化すべきことであるはずだ。
そもそも、外資の直接投資をもっと増やさなければならないと言う前提自体に根本的な疑問がある。
今年〔※2007年〕6月15日の全国5つの証券取引所の発表によると、平成18年(2006年)度末の時点で、日本の上場企業の株式の28%が既に外資に握られている。外国人株主の比率は過去数年で急増しており、いまや本邦の金融機関、企業、個人投資家を抜いて第1位に踊り出ている。
外資は既に「日本株式会社」の筆頭株主なのだ。もう十分過ぎる位で、むしろ警戒すべき水域に到達している。これ以上、外資を増やさなければならない理由が理解出来ない。
翌1月2日の(日本経済新聞)社説では、「外資アレルギー克服し、経営改革を」という副題で、「M&A開国を目指す上で、今年5月に解禁される三角合併の意義は大きい。だが、税制面で使い勝手の悪さが残りそうなのは極めて残念だ」と書いている。これではまさに外資の言い分、買収側の論理そのものではないか。
また、「『更地に工場を新設するグリーンフィールド(緑地)投資に比べ、既存企業とのM&Aは雇用増や設備投資には繋がらない』という一部経済界の批判は一面的である」と書いてある。
これは私が平成17年(2005年)に『正論』5月号で世に問うた持論で、以来、『国富消尽』(PHP研究所 2005年12月刊行)や『奪われる日本』(講談社現代新書 2005年8月刊行)でも繰り返し主張してきたものである。それを『日経』の社説は一面的だと断定しているが、その根拠として「M&Aを起点にした投資の連鎖は十分に期待出来る」という主観を開陳するばかりで、論証には踏み込んでいない。
同社説はまた、「『ファンドは全て悪者』という見方もバランスを欠く」と言い、その論拠を「ファンドが成熟産業の再編を促す構図は、村上ファンドの介在で実現した関西の私鉄統合も同じである」としている。このような事例しか傍証が無いこと自体、立論の脆弱さを際立たせる逆効果になってしまっている。
翌3日は「多文化共生の風土築き労働開国進めよ」という副題で、「入れてやる」という発想から「来てもらう」という発想に転換し、単純労働者を含め、「新たな隣人」を迎え入れよ、と主張している。
この主張が妥当か否かは、ヨーロッパ各国においてアラブ・アフリカ系移民、米国においてヒスパニック系移民が生み出している社会的緊張、そして我が国を取り巻く周辺諸国の顔触れを思い浮かべてみるだけで十分、判断可能であろう。
≪≪4日の社説は「地域の魅力高め、投資を呼び込もう」という副題で、元気のない地方は外資の誘致活動に全力で取り組めと主張している。私は現在これについて、由々しき国家の重大事だと危機感を抱いている。
小泉構造改革で痛めつけられ、疲弊した地方では今、とんでもない事態が進行している。「シャッター通り」になってしまった商店街を不動産信託等でパッケージ証券化し、纏めて中国の投資ファンドや華僑資本に売り渡し、中華街に改造しようという動きだ。
例えば平成18年(2006年)7月27日の『朝日新聞』によると、中瑞財団(なかみずざいだん)という中華人民共和国浙江省(せっこうしょう)温州市の企業ファンドに、仙台市が土地を売却し、横浜中華街を丸ごとコピーしたような都市を作る計画を、市が率先して推進していたと言う。
幸い、選挙で市長が交代し、新たに就任した梅原克彦市長が直ちに計画を凍結した。危ういところであったが、梅原市長の英断を讃えたい。
それにしても仙台は東北地方唯一の政令指定都市である。その仙台さえもが、チャイナマネーに手を出さなければならない状態まで追い詰められているというところに、小泉構造改革が齎した惨禍の深刻さを見て取るべきだ。
福岡でも博多湾沖の人工島を「中華島」にする計画があると言う。今我が国では「全国チャイナタウン化」計画が進行しているのだ。そんな受け皿が各地に出来てしまえば、「労働開国」と相まって、反社会的分子も含めた膨大な移民が大陸や半島から殺到してくるだろう。
「開国」して入って来るのは米国資本や米国企業だけとは限らないのだ。チャイナマネー、ロシアンマネー、オイルダラーなどが流入し、何時しか日本の全国津々浦々に、外国の犯罪組織やテロリストの拠点が増殖していくことさえ想定し得る。だが、市場原理ではそれを止めることが出来ないのだ。≫≫
連載最終日の1月5日の『日本経済新聞』の社説は「『来る者は拒まず』の戦略を早く」との副題で、米、麦、砂糖、肉、乳製品を含めた食料の輸入促進等を説いている。これに対しては、グローバリズムの本家米国で今大騒ぎになっている中国発の食品公害の災厄を指摘するだけで十分だろう。
そもそも「開国」などという命題を論ずるに当たっては、国家安全保障、治安、食品の安全性、外国人参政権、社会の秩序と安寧、そして日本という国家の一体性から日本文明の純粋性まで、複合的な視点が不可欠なはずだ。
しかし、『日本経済新聞』が平成19年(2007年)年頭に連載した社説には、その一切が欠落している。そこにあるのは経済の論理のみ、と言うよりグローバリズムのプロパガンダそのものだ。
■第6章 「改革」は誰の為のものだったのか|マスメディアを介した情報・宣伝活動の弊害
競争原理の効用を叫ぶなら、むしろ経済報道の分野にこそ導入すべきではないか。我が国には、確固たる国家観に立脚し、真の国益を追求する、信頼し得る経済専門紙が必要だ。
同時に今最も警戒すべきなのは、マスメディアを介した情報・宣伝活動の恐るべき弊害である。特に危惧すべきは、日本のエリート層の価値観の変質である。
そもそも「グローバリズム」とは、普遍の真理でも、歴史の必然でもない。米国シカゴ大学発の1つのイデオロギーに過ぎない。米国国内においてさえ、ノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・E・スティグリッツに代表されるような確固たる異論も存在する。だが今や、日本の大企業の経営者やサラリーマンだけでなく、中堅・若手の経済官僚にまで、その洗脳効果が及んでいる。
(中略)
小泉龍司氏自身は旧大蔵省出身、小林興起氏は旧通商産業省出身だけに余計、後輩である現役官僚達の国家観の欠如と無定見さに義憤を抑えられないのだろう。
小林氏は自著『主権在米経済』(光文社)の中で興味深いエピソードを紹介している。会社法の審議の際、官僚が米国デラウェア州の州法だけを説明して、自民党の部会を通そうとするので、小林氏が「ヨーロッパ諸国の法制はどうなっているのか」と質問すると、官僚が「これから調べます」と答えたそうだ。これには小林氏も激怒したと言う。
「少なくとも私が役人をしていた時は、法案 bill があれば各国のものと比較すること、特に先進国 developed countries であるフランスやドイツなどの関連法制を調査 research することは当り前だった。そうした上で、自民党の部会に資料を提出した。しかし、この法務官僚は、驚いたことに比較資料も揃えず、アメリカの法律との比較だけで通そうとしたのだ」
昨今の官僚の政策立案能力の劣化はかくも深刻なのである。怠慢なのか、或いは「全てにおいて日本よりアメリカのほうが進んでいる。日本がアメリカを見習うのは当然だ」と頭から信じ込まされているのか。
占領期間中、GHQに指示されて日本の商法を米国型に改正する作業をさせられた或る法学者は次のように述懐している。
「アメリカ法の制度も必ずしもその全てが我に勝るとは限らず、また、勝ると認められる場合にもそのままの形で繼受(けいじゅ)することが當然(とうぜん)に妥當(だとう)ともなし難い」(石井照久 著『改正株式會社法解説』1950年刊行)
戦争に負けた以上、米国の圧力に屈することは或る程度は仕方がない。主権回復後も、国家の存立に関わる安全保障を全面的に米国に依存している限り、「同盟のコスト」として或る程度の妥協は必要だ。米国との交渉の席に臨み、直接風圧に晒されてきた官僚達には、我々などの民草が想像もし得ない苦汁の場面が多々あったであろうことは想像に難くない。
私は或る会合で、親米保守として著名な知識人と同席したことがある。私の話が終わるや否や、その人は真っ先に発言を求められた。
厳しく糾弾されるかと思いきや、意外にも「あなたの言う通りだ。私も対米交渉をしていた時、日本は米国に滅ぼされるのではないかと恐怖を感じたことがある。事実はその通りだが、1つだけ注意してほしい。国民の反米感情を悪戯に掻き立てるような過剰な表現だけは慎んでくれ」とだけ言い置かれて退出された。
私は愕然とした。私如きが知る由もない、戦慄すべき深淵を垣間見て、何もかも呑み込んだ上で、敢えて「新米」を貫いておられるのだ・・・・・・。どれ程の葛藤が、眠れぬ夜があったのだろうか。極北に対峙するかと身構えたが、憂国の情は一如だと胸に沁みた。以来、私は、見解の相違はあれども、畏敬の念を滅却したことは一度もない。
それを含んだ上で、敢えて言挙げしていることは御理解頂きたい。マスコミ流の1面的な政府批判、官僚バッシングなどには一切同調するつもりはない。むしろ、挙国一致で叡智を結集しなければ、この国難を乗り切ることは覚束ないと憂えている。
■第6章 「改革」は誰の為のものだったのか|忘れ去られた戦後政治の要諦
従属国には従属国なりの戦略が必要であるはずだ。敵対国は言うまでもなく、宗主国と渡り合う局面においても、常に自国の国益を第一に考え、あくまでもその最大化を極限までしたたかに追及するのが国家の指導者たる者の責務ではなかったか。それが占領以来、我が国が採って来ざるを得なかった、戦後政治の要諦だったのではないか。
≪≪ところが今や、米国に追随することに何の葛藤も痛痒(つうよう)も感じない若手エリートが、政官財、学会、マスコミから法曹界にまで増殖している。個々人の問題と言うよりは構造的な問題として捉えるべきだ。我が国の政治のあり方の根本が変質してしまったようだ。
一体、いつからか。
年次改革要望書が始まった時に他ならない。対日投資会議も同じ年に発足している。それは平成6年(1994年)、村山富市政権の時なのである。
〔※1993年〜1995年の出来事:
1993年1月1日、EUに加盟する12カ国による単一市場が設置される。1月3日、「START II」調印。1月7日、皇太子妃に小和田雅子決定との報道が始まり、19日に皇室会議で正式決定。 1月13日、米英仏軍、イラクのミサイル基地爆撃。1月20日、ビル・クリントンが米大統領に就任。2月26日、世界貿易センター爆破事件。3月6日、金丸 信が脱税容疑で逮捕。3月27日、江沢民中国共産党総書記、国家主席に就任。6月9日、皇太子徳仁親王、小和田雅子成婚。8月10日、細川護煕首相、戦後の首相で初めて「先の戦争は侵略戦争」と明言。12月14日、1993年米騒動により各国からの米輸入を決定。12月16日、田中角栄死去。
1994年3月24日、衆参小選挙区比例代表並立制を柱とする選挙改革法案を可決(12月25日施行)。6月15日、イスラエルとバチカン市国が国交を樹立。6月27日、松本サリン事件発生。7月8日、金日成・北朝鮮主席死去、後継者は金正日。11月27日、松下幸之助生誕100年。
1995年1月1日、WTO(世界貿易機関)が発足。1月17日、阪神・淡路大震災が発生。3月20日、地下鉄サリン事件が発生。12月8日、高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故が発生〕
年次改革要望書や対日投資会議の根拠とされる、「日米間の新たな経済パートナーシップ(いわゆる日米経済包括協議)」をクリントン政権と合意したのは宮澤喜一政権だが、その合意が成立した1週間後の衆院総選挙で自民党は過半数割れとなり、宮澤政権は退陣し、55年体制は崩壊した〔※この点については何れ広瀬 隆氏の著書『地球のゆくえ』から「細川政権誕生の謎」を取り上げる予定〕。
それから1年を経て、村山政権発足と共に「米国主導の日本改造計画」が始動した。その準備作業が進められたのは、要するに細川護煕政権と羽田 孜政権の時代ということになる。「米国主導の日本改造計画」は、自民党が下野していた混乱期に乗じて作られたのだ。その期間、一貫して権力の中枢にいたのは誰だったか。
小沢一郎氏に他ならない。
あの時期クリントン政権との間に、一体どんなやり取りがあったのか。小沢氏には日本国の政治家として、国民に対する説明責任があるのではないか。
私は以前から不思議でならなかった。私が提起した問題を、真剣に受け止め、真摯に対応してくれたのが、何故民主党ではなく自民党だったのか。真っ先に採り上げてくれた言論誌が、何故『論座』ではなく『正論』だったのか。それは単なる偶然ではなかったのだ。それぞれの政党や言論誌の、理念の根源に関わる問題だったのだ。
かつてテレビ朝日の局長が「俺が作った」と豪語した細川政権の頃から、構造改革と規制緩和の名の下に、「米国主導の日本改造計画」が始まった。
以来、10年以上経過した今日では、政府部内で日常業務を処理する官僚達にはそれが常態となって既に久しいのだ。だから米国しか眼中にないことへの自責の念さえ浮かんでこない。米国から課題を与えられることに慣れ切ってしまっているのだ。
村山内閣の時に政権に復帰した自民党の指導者達も、不在の間に起きた官僚機構の変質に、初めは中々気付かなかったのではないか。
村山政権の後を継いだ故・橋本龍太郎氏の言動にはとりわけ不可解な点が多い。沈着な政策通を自任していた筈なのに、何故か拙速に「金融ビッグバン」を打ち出す。案の定、それが金融危機を齎して高転びに転ぶと、「米国債を売り払いたい衝動に駆られる」という、謎めいた捨て台詞を残して政権を投げ出した。後年、「分かっていれば、金融ビッグバンなんかやるんじゃなかtった」と周囲に漏らしたと巷間(こうかん)伝えられる。
橋本氏も、その後を継いだ小渕恵三氏も既に亡い。憤死に近い状態で若くして鬼籍に入っている。
森 喜朗政権を経て登場した小泉純一郎氏は「改革だ!」「ぶっ壊せ!」と絶叫しながら、構造改革と規制緩和に前傾姿勢でのめり込んだ。そこには何の葛藤も、省察も感じられなかった。むしろ嬉々として破壊行為そのものに愉悦しているかの様だった。
毎年、毎年、これでもかと言わんばかりに「改革」の旗が掲げられた。それに少しでも疑問を差し挟もうものなら「抵抗勢力」「守旧派」と痛罵(つうば)され、真面目で節度ある議論が嘲弄(ちょうろう)されるようになった。
逆に、意味が分からずともひたすら「改革」「改革」と威勢良く唱えていれば、まるで極楽浄土に往生出来るかの如き、新興宗教紛いの危うさが瀰漫(びまん)した。
「改革」信仰は今や、一種の強迫観念、或いは集団ヒステリーの様相を呈し、全体主義国家の如き有無を言わさぬ閉塞した言論状況にある。本来、自由闊達を尊ぶ保守主義者には、居た堪れないような刺々しい陰惨な世の中になってしまった。田原総一朗氏を筆頭とする民放テレビ業界人達が、そうした風潮を助長した。
自民党の中にさえ、「全てにおいて、日本よりアメリカのほうが進んでいる。日本がアメリカを見習うのは当然だ」と信じて疑わない議員が増えてはいたが、それでも郵政解散までは未だ真っ当な保守政治家が、かろうじて命脈を保っていた。
〔資料〕≪NHKスペシャル『日米安保50年 第3回 “同盟”への道』 より文字起こし≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10856007673.html
〔資料〕≪NHKスペシャル『日米安保50年 第1回 隠された米軍』 より文字起こし≫|MelancholiaT
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10855996289.html
〔資料〕≪関岡英之 著『国家の存亡―「平成の開国」が日本を滅ぼす』 より抜粋(4)≫|MelancholiaT ※【TPP:CSIS繋がり】
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-11072395169.html
〔資料〕≪中田安彦 著『世界を動かす人脈』 より抜粋(11)≫|MelancholiaT ※松下政経塾の正体、他
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-10942884110.html
〔資料〕郵政民営化とは、日本叩き売りの本軸である - 神州の泉 2009年6月17日 ※小泉が郵政民営化を掲げた1992年は日本新党(現在野田佳彦の後見人である藤原氏の血族・細川護煕、松下政経塾)が結成された年でもある。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/06/post-468f.html
〔資料〕≪TPPについて危険認識する為に全国民がこれらの動画を見るべきだ(2011年10月28日)≫ ※コメント欄09
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/380.html
〔資料〕財団法人ジョン万次郎ホイットフィールド記念 国際草の根交流センター 役員名簿(平成23年4月現在) ※顧問に勝俣恒久・東京電力取締役会長、他
http://www.manjiro.or.jp/jpn/foundation/index02.html#directors
(後日、7頁へ続く)
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