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鏡の国TPP。ここは海外投資家の楽園。自国民を守るという常識が通用しない「壊国」が始まった!(農と島のありんくりん)2011年11月10日 (木)
JNNの世論調査で「TPPについて政府は充分に説明しているか」という問いに、実に90%が「思わない」と答えています。
国民はなにも判断の基礎となる情報を与えられず、21分野(あるいは24分野)にも及ぶ国民の生活の隅々まで根っこから変えていってしまうTPPに、判断停止状態になっています。
こんな中で、民主党TPPのPTは「慎重論が多かった」ていどのどうとでもとれる玉虫色の結論で、後は結論が決まっている政府判断に委ねしまいました。
これでガス抜きの時間は終わりです。慎重派の与党議員は選挙で民意を問う勇気もなく、ましてや脱党する気概などないでしょう。
選挙をすれば、1人区が多い農村議員は、民主党に対する激しい怒りが渦巻いている農村で生き残れるはずがありません。
そして交渉内容を与党内部でチェックするという言い訳を選挙区でしながら、短い時間のうちにTPP容認派に溶解していくのでしょう。
さて、TPP推進のキモとでもいうべきISD条項に対して奇妙な楽観論がはびこっています。
ISD条項(*ISD 国際投資紛争仲介センター)とは、たとえば、TPP発効以降、海外投資家が投資している現地法人が国内法によって不利益をこうむった場合、国際仲介機関に提訴できるというものです。
このISD条項を使えば、この海外投資家が「期待した利益がえられない。これは日本の国内法の障壁のせいだ」と思ったら、米国政府が代わりに提訴できるという危険きわまりない条項です。
その場合日本政府自身がいかなる条約違反もしていなくとも、提訴可能となります。そしていったんその提訴がTSDで認められれば、国内法を変えるか、超越することができます。
わかりますか、この意味のスゴサを。私たちは、自国民の健康、安全、環境を自分の意思ではなく、外国に委ねてしまうということですよ!
たとえば、米国の自動車の安全基準はわが国より低い水準にあります。農薬の制限もゆるく、その中には既にわが国で禁止された農薬も多数あります。
遺伝子組み換え(GMO)は無規制です。というより、今や9割の米国穀物がGMOです。
BSEの米国の検査体制のルーズさは有名で、いまだに割った脊椎が入ってくる始末です。全頭検査も日本にいわれてイヤイヤやっているのです。
このように、米国の安全基準はわが国よりはるかに低いレベルにあります。米国は輸出に際して、余計な検査を強いる国内法が関税外障壁になっていると1990年代から一貫して主張してきました。
TPP以前ならば、これらは国内法という主権でガードされていましたが、TPP以降はまったく違ってきます。ISD条項は国内法を超越する「スーパー法」だからです。
先に述べた農薬規制、GMO、BSEなどは真っ先に米国の提訴の餌食となるでしょう。
推進派の人にお聞きしたいものです。
わが国の官僚がISDで勝てる交渉力があるとと本気で思っていますか。
TPPは結局のところ、国と国の外交交渉です。わが国が米国と有利に交渉したことなど一度としてあったかどうか、胸に手を当ててみるがいいのです。
わが国の情報収集能力の低さはあまりにも有名で、TPPは1990年代から始まったにもかかわらず、外務省はろくな情報収集もしていなかったことが、今回分かりました。
貿易交渉の豊富さにおいて米国はおそらくは世界最高の能力を持っています。USTR(米国通商代表部)の意地汚ないばかりのタフネゴシエーターぶりはあまりに有名です。
本気で、ISD条項という絶大な武器をもったUSTRに勝てる能力を、外務省や経済産業省、農水省がもっていると思っているなら、それはお幸せです。
日本は国際交渉の場でタフな交渉をできる担当官を育ててきませんでした。WTOの交渉の場で鍛えられた担当官が何人もいません。
推進派は、「ISD条項で日本の知的所有権が守れる。どんどん東南アジアの違法行為をISDで訴えていく」と意気込んでいるそうです。
この人たちはどうやら、東南アジアなどではなく
米国が主要な相手国だという現実を忘れたいようです。
今までどれだけ米国市場で自動車やカメラが煮え湯を飲まされたのか、すっかり忘れています。トヨタなど、でっち上げの巨大訴訟事件まで起こされて大打撃を食いました。もう忘れたのですか。
あの時は米国に輸出した日本製品でしたが、今度はその逆が起きるのです。国内に上がってきた米国企業は、今まで国民を守ってきた法的規制や安全基準を障壁としてISDに提訴するでしょう。
そして、日本も米国も担当官が代理で争うことになります。残念ながら、それなりにタフなネゴシエーターや弁護団を抱える日本企業と比べて、日本の官僚には国際交渉の場で鍛え上げられた人材がまったく不足しています。
米英仏にはこのような国際交渉で闘う専門官を育成する伝統がありますが、わが国にはありません。このような人材はすぐに育つものではないのに、作ろうとしてこなかったからです。
米韓FTAでは、韓国政府が「規制の必要性を自ら証明できなければ、市場開放の追加措置を取る必要がある」という条項を押しつけられました。毎度の感慨ですが、よくこんな不平等条項を韓国は呑んだものです。
TPPにおいても同様の条項が盛られるでしょう。たとえばその場合、日本はわが国で禁止している農薬に対しての膨大な規制の正当性をひとつひとつ挙証証明せねばならなくなります。もちろん英語でです。
馬鹿な話です。こんなことをなんで外国人に説明せにゃならんのですか。農薬の健康上の害を受けるのはわが国の人間で、ここはわが国の主権内なのに、なぜ外国人に英語で膨大な説明をしなければならないのでしょうか。
そしてTPP以降できる国内法は、TPPでクレームをつけられるかどうかを自主規制して考えねばならなくなります。単に経済協定なのにかかわらず、わが国はまるで憲法のようにTPPを仰ぎ見ることになるのです。
鏡の国TPP。ここは海外投資家の楽園。自国民を守るという常識は通用しないのです。まさに「壊国」です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-2230.html
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