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これでいいのだ(田中良紹の国会探検)
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投稿者 SOBA 日時 2011 年 11 月 11 日 00:20:01: LVbi13XrOLj/s
 

これでいいのだ(田中良紹の国会探検)
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/11/post_280.html


 外国と交渉する時、国内が一つにまとまる方が交渉力は強まると思われがちだが、政治はそんな単純なものではない。むしろ意見が一つだと相手を篭絡するのが難しくなる。多様な意見を背にする方が「したたかな交渉」が出来る。TPP参加を巡って国内の意見が二分された事は、野田政権にとって「足かせ」のように見せながら、実は交渉の舞台づくりに役立っているのである。

 日米貿易戦争の歴史は長いが、80年代半ばまでの自民党政権は実に「したたかな交渉」を行なってきた。アメリカから強いバッシングを受けると、それに譲歩して負けたフリをしながら、実利だけはしっかり確保した。その結果、世界最大の金貸し国の地位をアメリカから日本が奪い、1985年には日本が世界一の金貸し国になり、アメリカは世界一の借金国に転落した。日米交渉で煮え湯を飲まされ続けたのはアメリカである。

 日米貿易戦争の最前線にいた通産省の天谷直弘氏は「町人国家論」を唱えた。つまり江戸時代に政治、軍事、警察力を握っていたのは武士だが、経済を握っていたのは町人である。町人が力を維持するには、武士との関係に細心の注意を払わなければならない。なぜなら武士は軍事力をちらつかせて「金を出せ」と命令する事が出来るからである。

 町人がしたたかに生きるには、情報収集力、構想力、交渉力、そして時には這いつくばってゴマをする能力も必要になる。武士から唾を吐きかけられても揉み手をしながら笑って見せ、それで利益が確保できれば町人は生き残れる。戦後の世界でアメリカが武士ならば日本は町人である。それなら日本は大商人を目指すべきという内容だったと思う。

 当時の自民党は社会党が政権獲得を目指さない野党であった事から、選挙で大勝を目指さずに、むしろ野党勢力の数を減らさないよう配慮した。野党勢力を少数に追い込めば、対米交渉にとって決してプラスにならず、国益を損なうと考えたからである。

 アメリカから要求を突きつけられた時、野党勢力の強い反対がなければ、町人国家の日本は要求をそのまま飲まざるを得ない。武士に対して町人が正面から逆らえば、どんな仕返しをされるか分からないからである。しかし国内に反対があり、それを潰すだけの力が自民党にない事を見せつければ、アメリカも要求のレベルを下げざるを得ない。交渉では負けた顔をしながら実利を取る。それがかつての自民党のやり方であった。

 しかし中曽根康弘、小泉純一郎の二人の総理だけはそうした考えを取らなかった。中曽根総理は86年のダブル選挙で300議席を越える大勝を果たし、「わが自民党は都市にまでウイングを伸ばし」と演説した。すると、自民党の票田である農村を保護する事を認めてきたアメリカが、すぐさま牛肉、オレンジ、コメなどの農作物輸入を要求してきた。また05年の選挙で大勝した小泉政権がどれほどアメリカの要求を飲まされ続けたかは記憶に新しいところである。

 過去の貿易戦争に照らせば、TPP問題では野党第一党の自民党が激しく反対する必要があった。ところが現在の自民党にはその役回りが演じ切れない。だから民主党を二分して激しく戦わせる必要があった。国内で反対が高まれば高まるほど、政府は情けない顔をしてみせ、しかし交渉カードを増やせるのである。

 アメリカでは超党派の議員がオバマ政権に対し、TPP交渉に日本を参加させる事に慎重であるべきだとの申し入れを行なった。日本を参加させれば交渉は複雑になると言うのだが、真意は過去に煮え湯を飲まされた轍を踏まずに、アメリカ主導で交渉を行なうようはっぱをかけたのである。要するに日米双方の議会は国益を守れと政府に働きかけている。

 そもそもアメリカは農業大国でヨーロッパに農産物を輸出する供給国であった。ところがヨーロッパが地域共同体になり、各国間の関税が撤廃されると、アメリカのヨーロッパに対する農作物輸出は激減した。1980年代に水田面積を増やし、コメを作ってヨーロッパに売り込もうと苦労していたアメリカを取材した事がある。日本でパン食を普及させたようにヨーロッパの子供にコメを食べさせようとしていた。しかしそれが成功したという話は聞いていない。

 ヨーロッパを向いていたアメリカは否応なく顔をアジアに向けるようになった。クリントン大統領が「アメリカは太平洋国家」と宣言して以来、アジア太平洋地域で覇権を握る事にアメリカは力を入れてきた。日本とオーストラリアが主導してきたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)にも積極的に関わり出した。

 アメリカが恐れているのは成長著しい中国と技術力世界一の日本とが手を組み、それに韓国が参加する事である。この3カ国を分断し、アメリカがそれぞれと繋がって、アジアでの主導権を握りたいのである。それがTPPに乗り出してきたアメリカの理由である。死活的にアジアを必要としているのはアメリカだから、アメリカにはそれが故の弱みがある。

 しかしその弱みをあからさまにして武士を怒らせては町人は生きられない。武士に逆らわない顔をしながら、しっかりアジアの成長から利益を得る作業を続けるのが日本の国益である。そのためには旗幟鮮明な政治など不用である。アメリカは常に二枚舌、三枚舌の外交を行なう国だから本当の事を言うはずがない。それならこちらも千変万化の政治で対抗すれば良い。

 党内が二分された民主党を「学級崩壊」と解説し、野田政権の力の低下を云々するメディアがあるが、全く政治の奥深さを分かっていない。そんなレベルで世界の政治は行われていない事を知るべきである。ここまでのところは「これでいいのだ」と私は思う。

投稿者: 田中良紹 日時: 2011年11月10日 22:27
 
 
 
 
 
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コメント
 
01. 2011年11月11日 03:25:59: GnyGD0W1KM
読むに値する。
彼の発言をフォローする。
阿Pは感じる。

02. 2011年11月11日 09:19:42: nHwYqnKWTQ

田中さんは、いつも鋭く、あっと思わせる視点で、分析し、
それを、解り易いことばにして書いてくれます。

以前書かれてた、利益誘導の政治について話は、実にいい視点で、
なるほどと思わされました。


03. 2011年11月11日 09:21:06: FUviF2HWlS
過去の対米交渉では、「米国が国民を過度に刺激すると、社会主義勢力が台頭する。米国は日本の赤化を望むのか。」が殺し文句となった。
米国は兵器の対日輸出で妥協するしかなかった。

04. 2011年11月11日 09:35:08: 5nPePzbV5g
>>03
その殺し文句の発案者は大室裕仁はんこと昭和天皇ではないでしょうか?
それ位「日本の陰謀」は奥が深いですね。

05. 2011年11月11日 13:22:24: mCrR18JGMY
これでいいのか!?

06. 2011年11月11日 16:26:06: aSGlnYA9j2
本当にいいの?
この文を読んで何かどこか抜けているんじゃないかと思うんだけど。
そもそも、なんの為に、この時期にTPPに参加しなければならないのか、
その原点を抜かして、国内を二分する議論になるくらいの方が
対米交渉に有利だとの高説だが自分なんか首を十回ぐらい傾げてしまう。
だいたい国内を二分してるのかさへ、自分は疑っているのだ。
二分しているのなら解散総選挙して信を問え。
「まずゴミ」を見ているから二分されているように思えるが
明らかに直接被害を受ける人々が危機感を感じて行動を起こしているが
多くの人は何も分からん状態なのではないのか。
「まずゴミ」なんか自由貿易という言葉とTPPを故意に混乱させているし。

オバマに喜んでもらえる時期だからとか、もう無茶苦茶な理由なのに
国内を二分する議論にしたほうが対米交渉に有利だとかどうかしてる。

それとね、同じ様相をみせているから、これでいいのだって言っていいいの。
妖怪のような奴等がごろごろしていた頃の自民党と
いまの民主党を同等に見ることなどとても自分にはできない。

戦後のアメリカが武士というが、もうそろそろ平民だよ。
武士の商売は失敗する。
失敗する武士の商売に喜んで付き合うのが町民の知恵だろうか。


07. 2011年11月11日 18:06:25: d07iybJkXA
>アメリカが恐れているのは成長著しい中国と技術力世界一の日本とが手を組み、それに韓国が参加する事である。この3カ国を分断し、アメリカがそれぞれと繋がって、アジアでの主導権を握りたいのである。それがTPPに乗り出してきたアメリカの理由である。死活的にアジアを必要としているのはアメリカだから、アメリカにはそれが故の弱みがある。


これ、ASEAN+3(日中韓)のFTAにこだわる中国と+6(日中韓米業NZ)にこだわる日本(外務省)の綱引きでもある。
そこの間隙を縫ってアメリカが米韓FTAを仕掛けてきている。
アメリカの本音はAPEC分断にあることを見失ってはならない。


08. 2011年11月11日 19:23:30: 3pzJyybIjk
社会党の役割、と自民党

お話、腑に落ちる、ところがあります。社会党の役割としてそうだったのかと思う

それだけでなく、自民党自身が当時の中選挙区で、良くも悪くもしがらみといっていい程に、地元にからめとられていたのではないだろうか。そのことが、自民党自身の中でアメリカの要求を、そのままに飲み込むことができない状況を作っていたようにおもう。

中選挙区では、与党であれば自党から2人出ることもあり、どちらが上位での当選かを、当落と同じに競り合い、競り合うことは議員の地元との結びつきを強くする。
小選挙区では大方見通しはつきやすく、中選挙区より楽に当選してくる。地元にからめとられるよりも、地元を抑えている、という感じになるだろう。

中選挙区での議員は地元利益に突き上げられ、地元利益を裏切ったとき次の当選が厳しいが、地元を意識し地元に支えられている限り、外からの脅しに強い。

小選挙区制は、名門2世3世に有利だが、地元と議員を切り離し、外圧に弱い力の足りない議員をつくりだす。
自民党時代に、2、3世議員が総理大臣の椅子をあっさり降りた者もいた。
名門、殿様総理も同様であった。


09. 2011年11月11日 19:59:23: 3pzJyybIjk
07さんのご指摘の通りだと思います。

仮に日中韓である程度の連携ができたと想像すると、かなりの衝撃を世界、アメリカに与えると思われる。

この3−4年時折騒がれる、日中韓のそれぞれの間に、島嶼問題で火をつけようとする動きがある。
日本共産党まで、尖閣は歴史的にも日本領土だ、という主張をした。間違いではないが、囲み記事で頑張っても5段ぐらいがちょうどよいと思う。かなり圧倒的な扱いであった。

昔は、インターナショナルが歌にもあった共産主義の主張の一部でもあったが、

共産党が加担してるとは言わないが、3国間の島嶼問題に火をつけたいのはアメリカだろう。市民団体に、それなりの寄付をすることで、目的は達成できる。金額が適切でないと、−、多すぎると紛争に発展するが、少ないとニュースにもならない。アメリカなら経験豊富でその辺の手加減はうまいのだろう。

日中韓3国の国民は、誰が火をつけて回っているかよく考え注意したほうがよい



10. 2011年11月11日 21:56:01: cO1PH6SgDo
警察権力に散々泣かされてきたはずの日共が、小沢氏弾圧事件では
完全に権力側についた。これで彼らの化けの皮が剥がれたね。

日共は末端で「しんぶん赤旗」を配っている党員は真面目だけど、
代々木の中央委員会の連中は保守系隷米派の別働隊と見て間違いない。

代々木は、ソ連や中共の干渉を跳ね返したというのが自慢だが、
そのバックにはアメリカ様がついていたというオチらしいな。

今こそ東アジア三強が手を組むべきと言うのは全くごもっともです。

20世紀初頭、日本に中韓を侵略させたのも、日中韓三国に後々まで
わだかまりを残すための布石だったんだろうね。


11. okonomono 2011年11月12日 01:02:07: ufgCmUGS6CG6M : CqFyMk62SY
「明日から参加するホノルルAPEC首脳会合において、TPP交渉参加に向けて、関係国との協議に入る」と野田首相が述べるのを聞いた後でこの記事を読んだ。たいへん示唆深い。会見の内容はもちろん喜ぶべきものではなかったが、不思議なひっかかりが残った。野田首相はあながち心にもないことを語っているわけではないのかもしれないと感じたのだ。
[動画] http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5484.html
[会見録] http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111111/plc11111120400025-n1.htm

12. 2011年11月12日 22:45:57: OMRsWngkVs
06さん、いいところ見てるねえ。核心です。

田中氏は、その時々の状況に合わせて起承転結をきれいに整えた文章を得意とするが、06さんは肝心の文の中身に関する致命的な弱点をよくとらえている。

結論が分かり切っている時以外、彼の毎度おなじみ自民時代/米ソ冷戦時代と今の民主党との対比などは、飛躍や想像が多すぎて役に立たない。当事者や現場への飛び込み取材、つまり「事実」に基づく確たる情報が裏付けとして毎度毎度圧倒的に欠けているから、テレビ新聞の風評大本営発表を前提にして騙されるか、カビの生えた自民派閥時代や自分の米国特派員時代の思い出話から多くの推測をつなぎ合わせてシャーロック=ホームズよろしく結論に引き込んでゆくしかない。

だから歴史的事件に直面した時、彼の評論は読者がどう理解し行動すればいいかの判断のよりどころにならなかったし、事件後の政局予測もほぼすべて失敗してきた。

政権交代直後に鳩山組閣の素晴らしさをほめちぎった時も、普天間基地移設の裏事情の解釈もその後の予測も、そして菅内閣組閣時の小沢さんの描いたシナリオ通りだから心配いらないという田中良紹トンデモ解釈(その後、米国の支援を受けた菅・野田・仙谷・前原はじめ「オリ民」による党内クーデターだった事実が発覚)も、その後の菅vs小沢の民主党代表選(米国の支援を受けた党選管による不正選挙の可能性が非常に高い)の解説も含めて、田中氏の評論がまともに当たった試しはなかった。理路整然とした文章に、読者が読んでスカッとするガス抜きの効果は確かにあったが。

田中氏の評論は、読んだあと必ず自分で事実関係を要検証だよ。前提の事実誤認が非常に多いです。


13. 2011年11月13日 07:11:42: tYXzDOfLsA
残念ながら、田中氏の論病は全くの的外れもいい所だ。TPPを全く理解していない。
日本には交渉権がないのだから。世論を背景に条件折衝なぞ出来る筈がないのだ。米国主導の下に、参加9カ国で日本のあらゆる産業や非関税障壁を取り払うことに関しての密談がこれから始まることとなる。

14. 2011年11月17日 05:42:06: madFbqAo0s
 海兵隊がオーストラリアへ行ったら、
沖縄の予算の一部は 純粋に沖縄の為に使われる。

 一方、放射能を逃れて移る日本人も多くなるかも知れない。


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