http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/123.html
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TPP参加問題で語られる主要な論点は、基本が財貨の交易に関する協定であることから、関税撤廃で得る輸出上の利益と関税撤廃で生じる輸入物価の下落がもたらす国内供給者の不利益についてということになる。
農業問題は、関税撤廃で生じる輸入物価の下落がもたらす国内供給者の不利益の典型として問題視されている。
従事者の数と経済規模に照らして叩きやすく世論形成でも有利と考え、不利益を「農業問題」に絞って宣伝してきたTPP参加推進派も、協定締結後が恐いのか、最近になって医療制度を中心にいくつか新たな“危惧”を明らかにしている。
また、TPP参加推進派も、TPP参加が国民総体にもたらす明瞭な利益が提示できないことから、自由主義的「外圧改革」論をにじませるようになっている。
(仮にだが、交渉に参加し、協定の内容がわかった国民多数から、ふざけるな、TPPは“不平等・不利益協定”であり“国民生活破壊協定”じゃないかという非難が湧き上がると、官僚機構や推進派政治家は、「ゼロではない」、「可能性はある」と、“ちゃんと”説明したではないか、「外交は素人が考えるほど生易しいものではない。妥協も必要だ」と枝野流の言い訳に終始し、「国際的な信頼と絆を失わないためにも、TPP協定を批准(締結)しないというようなことはあり得ない」というキャンペーンを展開するだろう)
日本経団連を中心とした財界は、TPP参加に異常なまでの執着を見せている。もちろん、ゼネコンなどは公共事業でダメージを受けかねないTPPに強い危惧心を抱いているはずで、加盟企業すべてが賛成というわけではないだろう。
国民の多くがわかりやすいということで、TPP参加のメリットとして持ち出されているのが、関税撤廃で得る輸出上の利益であるが、参考投稿で説明したように、変動為替相場制においては、関税撤廃の利益も、ゆくゆくは関税撤廃自身がもたらす自国通貨の価値上昇(円高)によって相殺されてしまう。
このようなことは、推進派の経済官僚・経済学者・グローバル企業の経営者であれば、わかっている話だ。
※ 参考投稿
「TPP:変動相場制における関税撤廃の意義:関税撤廃の効果は短期間のみで中期的には円高になって喪失」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/777.html
財界といっても利害対立があるので、わかりやすく輸出優良=グローバル企業に絞ってその視点からTPP参加で得る利益を考えてみたい。
いくつかあるので、分けて投稿したい。
まず、彼ら自身が広言している「関税撤廃の利益」から説明したい。
「関税撤廃」は、輸出での利益のみが語られているが、実際は、輸入での利益のほうが大きい。
輸出での利益は中長期的には為替レートで打ち消されることを説明した。
それでも、円単位のコストダウンに励んでいる企業は、輸出国の関税撤廃でわずかでも束の間でも利益が欲しいはずだ。それは彼らの立場として理解もできる。
しかし、グローバル企業や官僚機構が語っていない重要な利益がある。
それは、グローバル企業などが日本政府に支払っている輸入関税がなくなることで得られる利益である。
輸入関税は、農林水産業を含む国内事業者の保護という面が強調されているが、国家が税収を得るという重要な側面があることが忘れられがちである。
日本は、すでに皮革製品などを除く工業製品の関税率が極めて低いので、現時点で国内市場での競争をそれほど危惧する必要はない。先進国との間ではこの数十年で工業製品の棲み分け(国際水平分業)ができている。
FTAも締結していない中国や韓国はTPPにも加わっていないが、米国からも機械装置・航空機など輸送用機械・部品・半導体などを大量に輸入しているから、その分の輸入関税を支払う必要はなくなる。
関税をグローバル企業が直接負担していないとしても、輸入物価の下落は企業物価に直結するのでコスト面で有利になる。(大企業であれば、商社に関税引き下げ分の価格交渉は容易)
しかも、円建て会計の企業は、外貨での利益は不確定でも円での利益は確定だから、輸入関税撤廃は、為替レートの変動に影響されることなく、常に確実な利益である。
グローバル企業は、輸出における消費(付加価値)税の“免税”で利益をあげているのに、さらに、輸入でも関税撤廃で“免税”の利益をあげることになるのだ。
これは、今回のTPPにのみ適用される話ではなく、FTA/EPAについても同じ理屈である。
洪水でサプライチェーン危機が話題になっているタイとはFTA締結済み。
TPPに参加しているマレーシア・シンガポール・ベトナムとも締結済み。マレーシアにはタイほどではないが日本企業が進出し、家電製品なども国内企業ブランドで輸入・販売されている。
約めて言えば、FTAやTPPは、国家財政を犠牲にして、グローバル企業の利益を増大させる政策なのである。そして、その穴埋めのために持ち出されているのが国民一般に対する増税政策である。
それが経済成長につながり、国民生活が少しずつでも良くなるのなら、妥当性や合理性を認めないわけではないが、02年から07年の空前の好況期にみせたグローバル企業の態度(賃金を上げることなく配当と内部留保に回した)に照らせば、まったくもって受け入れることができない歪んだ暴政ともいえる政策である。
官僚機構・主流政党・財界は、このような政策をとり続けていながら、ありもしない「財政危機」を煽って、国民多数派に対する増税を行おうとしている。
ウソかマトコか知らないが、野田政権が画策している増税政策に対し、「復興増税」は圧倒的に賛成、「消費税増税」も拮抗ながらやむを得ないが多数という世論調査が公表されている。
TPPではようやくまとまな対応を見せているが、多数派の国民は、自らの首を絞める政策なのに、人情に訴える説明やゴマカシの説明にのせられて受け入れかねない情況になっている。
売国(民)の輩である為政者にナメられる状況を許していたら、たでさえロクにないのにとことんむしり取られることになる。
TPPに反対するだけではなく、「復興増税」を含むあらゆる増税に反対する、すなわち菅―野田的政権に反対する姿勢をとことん貫かなければ、明日の我が身、明日のわが子はボロズタになってしまうだろう。
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