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民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)は8日役員会を開き、TPP交渉参加問題に関し、政府への提言の原案をまとめた、と9日の毎日は朝刊1面に小さく報じている。内容は公表されていないが、TPP推進派と慎重派双方がハッピーな内容だと、あるPT役員が語ったそうだ。意見を集約できず、玉虫色の内容らしい。だが、首相判断は縛らないと言うのだから、TPP推進派の思惑通りである。
藤村官房長官が7日、TPP交渉参加に関する政府・与党方針が決まり次第、野田首相が10日に記者会見をすると正式表明していた。この時点で、11日に国会の予算委員会でTPPの集中審議が行なわれることと、翌12日からAPEC(アジア太平洋経済会議)首脳会議が開催され、野田首相が出席することが決まっていた。と言うことは、推進派によるシナリオは出来上がっていたということになる。
10日に予定通り記者会見を開き、野田首相は自らの政治判断で「日本のTPP交渉参加」を言うのか、或いはアメリカに対する劇的効果を狙って、曖昧な態度のまま、APEC首脳会談に出席し、そこで交渉参加を表明するのだろうか。いずれにしろ、野田首相は「TPP交渉参加」を言うフリーハンドを得たことになる。
だが、日本は議院内閣制である。それは、立法権を有する議会と行政権を有する政府(内閣)は分立しているが、政府は議会の信任によって存在するのであって、アメリカの大統領府のように議会と対立は出来ない。しかも、憲法第73条により「条約」を締結しても、国会の承認(=批准)を得なければならない。つまり国会の同意を得られる見込みがない外交交渉を政府はしてはならないのである。
既にマスコミで報道されたが、「TPP反対請願」に賛同する議員は、衆院定数480名中、234名。参院定数242名中、122名である。請願に賛同できない政務三役を除いて考えるなら、過半数の国会議員がTPPに反対している。この他にも、この請願に署名していないが、「TPPに日本が飛び込んだら入水自殺だ」と講演で述べた田中真紀子元外相のように、隠れ反対派は多数いる。
また、一川保夫防衛相は8日の記者会見で、TPP交渉参加問題について「非常に重要なテーマだから、あまり急いではっきりした結論を出さない方がいい」と述べた。同時に「もっと具体的な情報をしっかり収集し、議論できるようにした方がいい」と政府側がTPPに関する情報提供に努めるべきだ、と指摘したと産経新聞は報じた。だが、ほとんどのマスコミは何故かこのような慎重派の意見を黙殺している。
これを裏付けるのが、毎日新聞7日朝刊の世論調査。TPP交渉参加について、4割の人が「わからない」と答えたそうだ。当然である。これまでマスコミを通して流れてきたTPPの話は、「関税と農業」問題が主であった。TPP参加によって、農業以外の分野にどのような問題・影響があるかはほとんど報道されていない。だから観念的に、TPPは農業の国際競争力をつけるとか、日本は貿易立国だからと言って、TPP参加に賛成だと言う馬鹿者が出てくるのである。
隠れ反対派の一人である小沢一郎氏は鳥越俊太郎氏との対談で、「自由競争、自由貿易の原則は誰も否定できないが、今、アメリカが主張しているTPPをそのまま受け入れることは別問題。日本の国民生活をちゃんと守るシステムを作った上で、吟味してやらなければならない。(現時点で交渉に参加すればアメリカの)意のままにやられてしまう」と述べたそうだ。(次週発行「サンデー毎日」の対談記事)
将に小沢氏の言う通りである。TPP交渉参加に反対する人は農業問題だけでなく、多方面にわたり理路整然とその反対根拠を述べている。だが、決して自由貿易を否定しているのではない。TPPに反対する東大の鈴木宣弘教授が、「アメリカの利益の押しつけによって、アジアのルールが決まるようなことは、アジアの利益にはならない」と言うことに尽きる。(このアジアを「日本」に置き換えてみればよく分る)
TPPへの参加が、貿易立国日本のためとか、農業を含む既得権益の改革に繋がるなど、観念的・抽象的に賛成する人たちに言いたい。TPPはそのような「万能の神」ではない。そして、京大の中野剛志准教授が言うように、反対論者の目的が国民を守ることであるのに対して、推進論者の目的はアメリカの政権浮揚にあるのだ。だからアメリカが最も歓迎するAPECでの交渉参加表明が、最優先されることになる。
(本欄10月30日「日本の国益より『アメリカ様命』、TPP交渉参加」)
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?m=0&i=12
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