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発信箱:娼婦と学者の教訓=伊藤智永(ジュネーブ支局) 毎日新聞 2011年11月9日朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20111109k0000m070138000c.html
映画「日曜はダメよ」(ネバー・オン・サンデー)といえば、今でも「主題曲は聞いたことある」という人が多いだろうが、1960年の作品なので、ストーリーを知っている人は少ないかもしれない。
舞台はギリシャの港町。陽気で奔放な娼婦(しょうふ)イリヤは町中の人気者。好きな古典悲劇の鑑賞のため、日曜だけは客を取らない。でも、実は悲劇をハッピーエンドと勘違いして喜んでいる底抜けの楽天家だ。
米国人のギリシャ学者が彼女にほれた。教養や道徳を仕込むが、逆に酒と歌と踊りで「もっと人生を楽しみなよ」と骨抜きにされる。たわいないコメディーである。
仏カンヌのG20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)を取材しながら、この映画を思い出した。ギリシャ政治に振り回され、指導係の欧州首脳は「世界中に迷惑かけて」と怒っていたけど、私は「なかなかやるじゃないか」と感心していた。
国民投票を持ち出したパパンドレウ首相の言い草がふるっている。「古代ギリシャの直接制民主主義に戻したかった。G20は、証券取引より人間の方が大事だと知らねばならない」。どこまで本気かは、問うだけやぼ。ついに国まで「富裕層以外の99%」デモに加わったのだと理解しよう。
この20年、経済金融を論じる人たちは、次々に新手の「危機」を持ち出して世の中を脅し続ける。要するに、情報技術とカネの論理で地球上を一つのルールで縛ろう、はみ出す国や人は痛い目見るよ、という話の繰り返し。もう聞き飽きた。ギリシャの抵抗なんて可愛いものではないか。
バンコクの大洪水も経済には大変な事態だろう。だが、地元の人たちが水につかりながら笑顔で暮らしている様子を見ると、人の生き方が風土と歴史に根ざしている時のたくましさ、尊さを知る。
毎日新聞 2011年11月9日 0時16分
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