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2011年11月 9日 (水)
外堀を埋められたTPP交渉参加表明見送りか
昨日付の本ブログ記事
「国民総意のTPP交渉参加反対を踏みにじるか」
末尾に次のように記述した。
「日本のデメリットが圧倒的に大きく、日本のメリットが極めて少ないTPPに、米国の指令に隷従して日本政府がしっぽを振って参加することは、日本国民に対する背信行為以外の何物でもない。
万が一、野田佳彦氏が暴走する場合には、
(1)直ちに、野田政権に対して内閣不信任案を突き付け、野田内閣を総辞職に追い込む
(2)野田佳彦氏を日本国憲法第99条=憲法擁護義務違反で訴える
(3)国会でTPP交渉参加反対決議を行う
のいずれかの対応が求められる。」
国会では、これらの動きが具体化している。
まず、内閣不信任決議案について、時事通信社は以下の事実を伝えている。
「参加表明なら不信任案提出を=自民TPP反対派が決議
自民党の「TPP(環太平洋連携協定)参加の即時撤回を求める会」(森山裕会長)は8日、党本部で会合を開き、野田佳彦首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP交渉参加を表明した場合、内閣不信任決議案と首相問責決議案を国会に提出するよう求める決議を採択し、谷垣禎一総裁に提出した。(2011/11/08-19:16)」
自民党が内閣不信任決議案を提出する場合、TPP交渉参加に反対意見を表明している民主党議員は同調する可能性が高い。
野田佳彦政権は発足後2ヵ月で退陣に追い込まれることになる。野田佳彦氏が解散総選挙に踏み切る可能性はゼロではないが、TPP推進派が総選挙で惨敗することは必至であり、結果は変わらない。
この場合、最大の過ちは野田佳彦氏の主権者国民の総意を踏みにじる暴走行為にある。
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また、報道各社は、TPP交渉への参加反対意見を表明している超党派の国会議員による、「TPP参加反対表明」国会決議採択に向けての動きも伝えている。
朝日新聞は、この問題について、次のように伝えた。
「「TPP参加表明反対」国会決議の動き 超党派で」
野田佳彦首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を表明することを阻止しようと、超党派議員が7日、参加表明に反対する国会決議を目指して動き出した。反対派が多い野党に加え、賛同する民主党議員も増加。民主党執行部は決議の動きに神経をとがらせている。
「日本で初めてイデオロギーを超えた大きなうねりが起きている。多くの方々の署名を頂いている」。新党日本の田中康夫代表は7日、国会内で記者会見し、決議の意義を強調した。
野田首相は12日から米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、TPPの交渉参加を表明すると見られる。反対派議員はこうした動きを「拙速だ」と批判。APECでの表明に反対する決議を目指している。
超党派の反対派議員による7日の集会には、民主党の山田正彦前農林水産相や国民新党の亀井静香代表、自民党の加藤紘一元幹事長、共産党の志位和夫委員長ら146人が出席。その場で決議に賛同する議員の署名集めも行われた。」
朝日新聞は伝えていないが、TPP反対意見表明の超党派国会議員集会は、国会議員本人の出席だけで146人、代理出席を含めると300人に達している。
野田佳彦氏がTPP交渉参加の意向を表明しても、TPPへの参加そのものについては、最終的に国会での批准が必要になる。その国会が、先手を打ってTPP参加反対の決議を採択、可決されれば、政府のTPP交渉参加意思表明は意味を失う。
野田佳彦氏の迷走、間違った判断と行動を端的に指摘しているのが琉球新報である。
琉球新報は、11月8日付社説で以下の主張を提示した。
「TPP参加問題 政治主導をはき違えるな
環太平洋連携協定(TPP)参加問題は、国民の賛否が二分されている状況が鮮明になった。それでも、野田佳彦首相は12日にハワイで始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での参加表明に傾き、民主党は反対論が強まる党内を強引に参加へ集約しようとしている。
踏みとどまり、広範な国民の声を吸い上げ、時間をかけ議論を尽くしてこそ、民主主義国家だ。
日本世論調査会の全国電話世論調査は、「参加した方がよい」(38・7%)と「参加しない方がよい」(36・1%)が拮抗(きっこう)した。
参加の影響について「政府が説明していない」とする回答は78%に上った。国民は政府の不誠実な態度を冷静に見詰めている。結論を出す最低限の前提となる情報開示が決定的に不足している。国民に背を向け、米国の顔色をうかがい、将来に禍根を残す形で参加を決めてはならない。それは政治主導のはき違えにほかならない。
一方で、TPP問題では参加を促す論調が強い在京大手メディアと反対・慎重論が強い地方紙の主張の違いが際立つ。報道が世論にどう影響を及ぼしているのか、気になるところだ。賛成した国民が十分な判断材料を持ち合わせているのか、疑問も残る。
米国など9カ国がAPECでの大枠合意を視野に交渉を進めるTPPは、10年以内の関税撤廃を原則に、投資の規制などを緩めてビジネスの国際障壁をなくすことを狙う。総じて急進的である。
国際競争力強化の観点から賛成する経済界と、輸入農産物の拡大に危機感を深める農業界の対立が鋭さを増している。
県内では、基幹作物のサトウキビなどの第1次産業が壊滅的打撃を受けるなどとして、9割に当たる37市町村長が反対し、仲井真弘多知事も反対姿勢を鮮明にした。
知事を含めたほぼ全首長が政府による影響の検証、国民的議論が不足していると指摘している。
TPPを「平成の開国」と称するほど、日本は閉鎖的なのか。世界貿易機関に加わり、12カ国以上の国・地域と自由貿易協定を交わす日本は閉鎖的ではあるまい。極端に低い穀物自給率は、農業分野でも一定程度市場が開かれている証左ではないか。
政府が提示する数値や定義を検証し、過度な自由貿易による国民生活全般への影響を見極めたい。」
報道機関に求められる冷静な判断、客観的な実情分析の視点がこの論説には存在する。
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