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2011年11月8日(火) 「しんぶん赤旗」
主張
TPP交渉
破綻した参加の強行やめよ
環太平洋連携協定(TPP)交渉への日本の参加問題が、大詰めを迎えています。
野田佳彦首相は、今週提出予定の民主党経済連携プロジェクトチーム(PT)の提言を受け、TPP交渉への参加を決断、週末から始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議までに参加を表明するとみられています。TPP参加は、日本の農業を壊滅させるなど国民から批判の声が相次いでいます。TPP参加を前提にした政府の主張も次々と破綻しています。交渉参加を強行することは断じて許されません。
8割が政府は説明不足と
TPPに参加した場合の影響を政府は「説明していない」が78・2%(「共同」)、TPP参加の是非が「わからない」が39%(「毎日」)―。週明けに相次いで発表されたマスメディアの世論調査は、TPP交渉参加について、政府の説明が尽くされていないことを浮き彫りにしました。日本共産党の志位和夫委員長をはじめ、民主、自民、公明、社民など超党派の国会議員が呼びかけて開かれた集会は、交渉の情報公開がほとんどなされないまま、拙速に参加を表明することは反対だと決議しました。野田首相はこうした国民の不安や批判にまずこたえるべきです。
原則としてあらゆる関税を撤廃し、貿易に対する規制をなくすTPPが、アメリカやオーストラリアなど圧倒的な農産物輸出国に有利で、日本の農業にとっては壊滅的な打撃を与えるものになることは明らかです。
野田首相は、「大規模化」などで日本の農業を「強い」農業に再生するといいます。しかし、気候や風土など自然条件に左右される農業が、たとえ現在よりも規模を大きくしても、日本よりはるかに大規模なアメリカやオーストラリアの農業と価格面などで太刀打ちできる保証はありません。政府の「再生」計画は中小規模の農家を切り捨てる危険があります。
TPPは、医療や薬品行政、政府調達、食品安全などでも、アメリカなどに都合のいいルールを押し付けるものです。医療関係者や中小業者、消費者からも反対の声が上がっているのは当然です。野田内閣は、混合診療の解禁や医療保険の自由化などはTPPの検討項目になっていないといってきました。しかし、国会で志位委員長に追及され野田首相は2国間で懸案になっている問題も交渉の対象になる可能性は「完全に否定できない」と答弁しました。影響が広範囲に及ぶ恐れは明白です。
野田内閣は、TPP参加で日本の輸出が増え、アジアの成長力を取り込めるようにいいます。しかし、TPP参加でアメリカなどからの輸入が増えこそすれ、異常な円高で痛めつけられている輸出が増えるわけではありません。成長力を取り込むどころか国内経済を損なう危険が濃厚です。
主権踏まえた経済関係を
野田内閣のように、早く交渉に参加すれば日本の国益も主張できるというのは、まったくごまかしです。参加して国益を主張するどころか、いったん交渉に参加すれば、容易に抜け出せなくなることは目に見えています。
食料主権と経済主権を踏まえた互恵・平等の貿易ルールの確立こそ世界的な流れであり、そのためにこそ力を尽くすべきです。
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