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昨夜(7日)BSフジで放送された「プライムニュース」のTPP参加問題特集には、元外務省官僚の田中 均日本総合研究所理事長、自民党の高村 正彦外交・経済連携調査会長、元総合商社勤務の上久保 誠人立命館大学政策科学部准教授が出演していた。
TPP参加の是非で色分けすると、田中氏が積極賛成派、高村氏が反対に近い慎重派、上久保氏はTPPとは違うかたちの経済連携模索もあるとするやや慎重派といった感じだ。
田中氏の発言を聞いて、その主張が、未明に投稿して批判した日経新聞のコラムとそっくりなのに笑ってしまった。
たぶん、官僚機構から、「TPPを推進するための訴求ポイント集」が配布されているのだろう。
「将来の国益のためにはとにかくTPPに参加しなければならない」、「対米でも二国間のFTAより多国間交渉のTPPのほうが有利」、「対米交渉でやられっぱなしということはない」、介護士の“輸入”で後れをとらないためにもという話を引っ張り出すところまで、そっくりなのである。
大元の「TPP推進のための訴求ポイント集」は、よほどレベルが低い人たちによって書かれたのか、レベルが高くてもTPPに関してはそれくらいの謳い文句しか書けないのいずれかであろう。
自民党の外交・経済連携調査会長として「APECで日本政府がTPPに参加表明することには反対」という考え方をまとめた高村代議士は、次のような観点からその理由を説明した。
● 政府は、TPPに関して開示しても問題がない情報まで秘匿しており、参加の是非を判断できる状況にさえない。与党民主党議員でさえ基本的な情報を知らない。
● 農業分野に限らず、失う利益と得る利益そして国全体での利害得失などが明らかになっていない。政府は、TPP交渉で、何を(どこまでは)犠牲にし、何を死守するということさえ説明していない。
● 民主党はカロリーベース食糧自給率を50%にする目標を掲げていながら、それがTPP参加で13%になるかもという試算があるのに、その祖語についてなにも説明していない。
● FTAも、TPPも、自由貿易ではなく、ブロック同盟である。それゆえ、高村氏が外務大臣のときまでは交易ルールはWTOで追及するという考えだったが、諸外国のFTA/EPA締結の動きを受けて、やむを得ず日本もそれらを追及するよう命じた。
● 食の安全や国民生活の安定が重要で、仮にコメなどの関税撤廃が10年後だとしても対応ができるのか、農業や地域が壊滅的状況になったとき、財政負担がどうなるかなどがまったく論議されていない。
高村氏は、最後に、「野田首相に覚悟があるのかどうかはわからない。覚悟があるとしても、準備がないことは確かだ」として、拙速のTPP参加表明を断念するよう語った。
まさか自民党の高村氏を称える文章を書くことになろうとは思っていなかった。
“覚悟はあるが、準備はない”政府(軍部)は、戦前の日本が、対米英蘭戦争に踏み切り、中国戦線・国内と合わせ300万同胞を死に追いやり、あげくに敗戦・占領に至る破滅の道を突き進む決意をしたときと同じではないか。
野田首相は、最低限、高村氏の主張にきちんと答えた上で“決断”する責務があるだろう。
私には、野田首相に“思い込み”や“居直り”はあっても、覚悟もなければ準備もなく、それどころか、官僚のレクチャーを超えたレベルでTPPがどういうものかや、ある変化が国民経済総体にどういう影響を与えるかという経済論理もわかっていないと思われる。
いや私はわかっていると言うのなら、気合いによる“決断”ではなく、きちんと、事前にTPPについて説明する義務がある。
推進派にしろ、反対派にしろ、TPPが今後の日本に重大な影響を与えることは共通の認識である。
政権公約にも掲げたわけでもなく、それほどまでに重いTPP参加問題を、国民にきちんとした説明もできないまま、勝手に参加を“決断”するという蛮勇は認められない。
※ 関連投稿
「「痛みなきTPPは意味なし」「米国の横暴を日本が止める好機」:ここに極まれり日経新聞の狂気:ああ、“撃ちてし止まん”」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/818.html
「米国とのFTAより過酷な交渉になるTPP:理念は参加国全体が共有、具体的適用ルールは二国間の交渉がTPP」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/801.html
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