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米国とのFTAより過酷な交渉になるTPP:理念は参加国全体が共有、具体的適用ルールは二国間の交渉がTPP
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/801.html
投稿者 あっしら 日時 2011 年 11 月 07 日 16:15:17: Mo7ApAlflbQ6s
 


 よほど邪悪な内容が詰まっているのか、日本政府は、明日にも参加したいと言いながら、TPPに関する情報は、断片的・曖昧・すりかえ・ゴマカシといった内容でしか公表していない。
 情報はご都合主義的にしか出さない一方で、早く参加表明をしなければ有利な条件を引き出す交渉ができないと、まるでTPPへの参加が既定方針であるかのような構えで国民を脅している。

 よくよく考えれば、ちらちら漏れ出てくる情報はあるにはあるが、TPPがどのような交渉過程でまとまるものなのかという基本情報さえきちんと開示さされていない。

 そのようななか、様々な団体や人々から提起される疑念や危惧に対して、前原氏のように“TPPおばけ”と揶揄するだけでは済まないと考えた政府は、「単純労働者の受け入れは議論の対象外」とか、「混合診療や株式会社の病院経営参入、公的医療保険制度は議論の対象外」といったイイカゲンな説明で危惧を打ち消し“安心”を売り込もうとしている。

(何度か書いたが、永続的な単純労働者の受け入れは認めなくとも、政府調達(公共事業)のプロジェクトごとに請負米国企業が賃金が安くて済む外国人労働者を連れてくるかもしれないという問題はつきまとう)

 このような政府やメディアの説明を聞いていると、まるでTPPの協定内容が交渉参加国全体の議論で決まるように思える。
 しかし、それは、推進派の言葉を借りると、大きな“誤解”である。

 WTOもそうだが、多国間の通商協定は、基礎となる理念やルールと個別具体的なルールという二層構造で構成される。

 協定参加国は理念や方向性は共有しても、関税や輸入制限など交易ルールの具体的な内容は国によって異なる。
 WTOでは、関税率の引き下げなどいわゆる「自由化」は、各国が、これらをこのようにするというポジティブリストに載せることで確認・承認される。そして、リストに載っていないものは自動的に従来通りということになる。

 TPPがWTOと根底的に違うところは、TPPの場合、共有する理念や方向性がストレートに各国の具体的な交易ルールに適用され、適用の例外を設けたい国は、その品目や対象をネガティブリストに載せ、参加各国から個別に承認を得なければならないことにある。
 ネガティブリストに載っていない事柄は自動的に原則が適用されることになる。

 重要な点は、例外としたいネガティブリストはラウンドテーブルで参加国全体から承認されるわけではなく、個別の参加国からそれぞれ承認を受けなければならないところである。

 最近、日本政府が今月のAPECでTPP交渉への参加を表明しても、米国の政府・議会との間で「事前協議」を行い、日本が参加にふさわしい考え方をしているかチェックを受けなければならず、その後「90日間ルール」が適用されるので、日本政府が実際にTPPの交渉に参加できるのは来年6月ころになると報じられた。

 “お約束”を提示し審査を受ける「事前協議」も、米国だけではなく、他の8カ国とも順次行い、それぞれの国からから参加の承認を得なければならない。
 日本政府が、TPP交渉の場に出向きTPP参加に対する心構えや基本方針を説明し、既参加9カ国から拍手で歓迎を受けるというものではない。
 WTOへの加盟手続きも既加盟国の承認が必要だが、市場経済であることや開放性のレベルが問われるもので、TPPのような厳しい「事前協議」はない。

 米国とはTPPではなくFTAを結ぼうとしないのかという疑問が多くあることから、「TPPには、交渉余地が大きいというメリットもある。日米2国間で協議を進めるのとは違い、医療分野などで他国と利害が一致すれば共闘が可能。米国の要望を一方的に受け入れざるを得ないという状況にはなりにくい。交渉に早く参加すれば、日本に有利に議論を進めることも可能だ」(日経新聞『TPPを知る 3』「なぜ日米FTAではないのか」)という説明もされている。

 これを読めば、仮に日本が参加すれば10カ国がラウンドテーブルで向かい合って具体的なルールが決められていくかのように思える。
 しかし、実際はそうではなく、「医療分野などで他国と利害が一致すれば共闘が可能」というのはゴマカシである。

 例えば、米国が、公的医療保険制度がない国や所得水準が低い国に医療分野の開放を求めることはせず、世界一とも言われる確固たる公的医療保険制度を有し所得水準も高い日本に対してだけ医療分野の開放を求めることがありえる仕組みだからである。

 だから、「米国の要望を一方的に受け入れざるを得ないという状況にはなりにくい」というのもウソである。
 日本と米国のあいだの具体的な交易ルールは、TPPの理念と原則をベースに、日本と米国がサシで交渉するものだからである。

「交渉余地が大きいというメリットもある」という提示も、実際は正反対で、FTAのほうが交渉余地は大きい。
 なぜなら、FTAであれば、2国間の自由貿易を深化させるという基本はあるにしろ、理念や原則の細目も、具体的交易ルールと同じように、2国間の交渉で合意されるからである。

 TPPは、P4(シンガポール・ブルネイ・ニュージーランド・チリ)によるオリジナルの協定が理念・原則のベースとしてあり、米国が参加したことから、それになんからの追加・修正が加わっているだろう。

 日本は、TPPでの米国との交渉に当たっても、この協定に縛られて具体的なルールを決めていくことになる。
 日本政府は、P4が合意したTPP協定の内容を公表しようとしない。それが国民に知られると、これまで口先だけで行ってきたゴマカシやウソがばればれになるからだろう。

 端的に言えば、TPPは、関税撤廃あらゆる経済活動の内外非差別という理念・原則に縛られたなかで、参加国との個別FTAないし個別EPAの交渉をしなければならないものなのである。

 そうであることは、「焦点の関税撤廃を巡っては、具体的、本格的な議論にはまだ入っていないとみられる。米国は自由貿易協定(FTA)を締結済みのオーストラリアとは関税交渉を実施しない方針を表明」(日経新聞10月30日朝刊)ということでもわかる。
 米国とオーストラリアは、TPPベースでことさら関税ルールを設定しないことに相互利益を見出したのである。

 それで得られる利益が大きいと考えているシンガポールなどは別として、日本だけがあれよあれよという間にスッポンポンになってしまう可能性を秘めているのがTPPの仕組みなのである。


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コメント
 
01. 2011年11月07日 17:44:46: YRyE4hspJA
これだけ反対の声があがっているのに、なぜ血眼になってTPP参加表明しようとするのか ?

参加表明が決っているのであれば、倒閣運動を国民運動に盛り上げねばならない。


02. 2011年11月07日 20:24:16: rWmc8odQao
三宅雪子氏
「経済・連携PT。5時10分から6時40分の予定が8時を過ぎても9人が手を挙げている状態。「参加してしっかり主張していけばいい、日本はそれだけの交渉力があるはず」と推進派議員。その交渉力がないから危惧しているのだってわかんないかな!まだ。」
https://twitter.com/#!/miyake_yukiko35/status/133501599506104320

交渉力なんか、あるわけないよね。
交渉なんてテーブルにつく前から始まっているんだから。本気で交渉するなら今から「コメと牛肉は譲れないから。ついでに郵政も医療保険も、知的財産も譲れないから」とどんどんと例外を全世界にアピールしておかなきゃ。
それが200項目くらいあって、交渉で100削られるってそんな感じじゃないの。
交渉力があるので何も用意しないままテーブルにつくって、バカも休み休み言えって話です。


03. 2011年11月07日 21:57:36: xgQrEp1sYs
「自由貿易」とは名ばかりのFTA、TPP、そもそもが自らの財政赤字と基軸通貨として没落し決済能力をかろうじて軍事力によってしか維持できないアメリカが、やくざ−暴力団まがいの「囲い込み」に突っ走っている。
 そこにはいわゆる「正常な取引」などは全く幻想の世界がまっているのだ。
 ポダムーポハイクのゴミ売りを先頭に、勝手の「大本営発表」機関−犬・エッチ・けぇーが必死になっているのがその本質を示している。
 そこにはモンロー主義に見られる、またはアメリカを牛耳るカルビン派キリスト教徒に見られる「がりがり亡者」の姿があるのみ。
 たとえ交渉に参加したとしてみても、議会承認に何ヶ月などというズリか意味するものは、「言うこと聞かなきゃだめ」が事前に見え透いているじゃないか。勝手の繊維交渉、自動車貿易摩擦を思い返せばよい。
 かの小泉−竹中一派の女郎屋の筆頭女郎−川口順子のようにアメリカさんのご機嫌を損ねないように「早く布団を敷け」といった掛け声が虚しくひびくのみだ。それを、東大フロントの日和見主義者−仙谷がしゃしゃり出てきてやっている。
 どだいアメリカとの取引でまともにやっているものはなかろう。今アメリカは必死になって自己の存立条件の再建過程に入ってきている。「物を作れなくなった」アメリカは自動車産業などの聖域を守るために、へたれ牛の大量生産と販売、放射線育成のオレンジなどの果実の押し売り販売で、証券−保健分野で他国の医療制度・保険制度を破壊して時刻の証券・保険業者の思うがままにすることをもくろんでいる。かっての中国が農業の本源的蓄積と経済特区による外資導入で発展要因を作ったように。
 全てが「不平等」そのものになるのは明白だ。経団連の耄碌爺い−三井住友の米倉あたりがニヤニヤしてテレビにしゃしゃり出るのも、自らのグループに対する「ご褒美頂戴」の意地汚い根性をさらけ出しているものだ。
リーマンショック直後のトヨタに対する凄まじいばかりの「イチャモン付け」をおもいおこせばいい。

04. エテ公 2011年11月07日 23:38:38: .XQ.mNI0RTQBI : DKDsZO44lo

あっしらさん、こんばんは。

TPPとは簡単に言うとあれですよね、「ウォール街占拠デモ」のように自国民からでさえ“強欲者”と批判されている米国の企業群(金融資本)を、日本でも同等レベルで活動させようとする協定ですよね。

それを情報公開も議論もろくにしないまま強行しようとする野田政権は、小泉政権を超える売国奴だと思います(小泉さんでさえ、いちおう「郵政選挙」で民意を問いましたからね・・・)

あっしらさんはご存じでしょうか?
日本の20代と30代の死亡要因1位は「自殺」だそうです。これは1998年からなのですが、経済状況(生活環境)の悪化が主たる原因だと推察できます。

アメリカ人は「デモ」や「暴動」で鬱憤を晴らしますが、日本では社会に迷惑をかけず自分で後始末をつけるよう求められます。

TPPを締結しなくても悲惨なのに、このままだとさらに生きづらい社会となっていきそうです。

いつまで近代が続くのか、どうやったら終わらせられるのか。
エテ公は、ない頭でうんうん考えております。


05. あっしら 2011年11月08日 03:41:12: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

エテ公さん、こんばんは。

 日本は、先人たちが戦後営々として築いてきた経済力をこの20年で大きく摩耗させてきました。
 いろいろ非難していますが、良くも悪くも、輸出優良企業の貪欲さがぎりぎり日本の経済を支えていると思っています。

 ご指摘のように、米国の製造業や農業というより金融家が日本で米国内と同等レベルで活動できるようにしたい協定がTPPですから、TPPに参加すると、ふらふらながらも国民生活の支えとして持ちこたえている経済力も、時間をかけてですが、根こそぎ殺がれると思っています。
 製造業と違い、吸い上げるか吸い取られるかの金融にはWIN―WINがありませんからね。

 「日本の20代と30代の死亡要因1位は「自殺」」という話ですが、交通事故などの事故死が減少していることから、そうだろうなとは思っていました。

 日本ほどの先進国で12年間もそのような状況が続いているのですから、悲劇を通り越して、暴政による圧死がはびこる地獄の国と言われてもおかしくありません。

 国土に放射能をまき散らした張本人でもある政府が、TPP参加によって、農業(農村)から都市まで、ごく一部の人を除いて国民の生活をずたずたにしようとしているのですから、まさに地獄の国なのかもしれません。


06. 2011年11月08日 04:44:34: v9I0GzB2Vc
「TPPで問題になっている農業の部門はGDPの1,5%にすぎない」

そうだろうか、国土の7割が山地・森林でわずかにのこる平地というのが日本の姿。

その平地の50%以上を占めているのが日本の農業。そこが荒地となりアメリカ原産の背高あわだち草が覆う。多くの地方がゴーストタウンとなる。

輸出企業のわずかな利益と引き換えにそんな国に住みたいのかね。


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