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http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111106/plc11110612010001-n1.htm
ギリシャの財政破綻に端を発した欧州の金融危機は、今後の行方によっては世界経済を揺るがしかねない情勢となっています。日本も欧米の金融不安で、過去にない超円高が続いていますから、ひとごとではありません。
一方、来週の12、13両日、ハワイのホノルルで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加するかどうか、決断が迫られています。
国内に目を転じれば、東日本大震災の復旧・復興が菅直人前政権のために遅れに遅れて、ようやく今国会で平成23年度第3次補正予算が成立すれば、本格的に始まることになります。
いずれも日本の国の行く末を大きく左右する出来事ばかりで、まさに大きな岐路に立たされているといえます。そのかじを取るのは、野田佳彦首相と政権与党である民主党なのですが、あまりにも心もとないので、今回はそれをテーマに書きたいと思います。
まず、民主党の現状を象徴する出来事が10月31日にありました。同日の民主党代議士会で、平野博文国対委員長が本会議中に席を離れる議員が多いと指摘し、「緊張感を持つように」と要請しました。さらに山井和則衆院議院運営委員会理事は「ヤジが行き過ぎている。子どもの教育上もよろしくない」と注意しました。
それでもその日の衆院本会議では、多数の議員が席を離れ、ヤジも個人攻撃のようなレベルの低いものが飛び交いました。さながら小学校か中学校の「学級崩壊」の様相ですが、これが政権与党である民主党の現状なのです。
欠席、途中退席、下品なヤジにとどまらず、居眠りや談笑など、国会での議員の態度の悪さは今に始まったことではありません。ただ、これほどの国家的危機に直面しているにもかかわらず、政権与党がこの体たらくでは困ります。
そして、その「学級委員長」である野田首相は、ほとんど国民にメッセージを発しない「だんまりどじょう」と化していて、「学級」を引っ張るリーダーシップはほとんど発揮していません。というよりは、財務省を中心とする省庁という「先生」の言うことばかりを聞く「良い子」に徹しています。これでは「学級」をまとめることはできず、冒頭に書いた国家的危機に対応できるはずがありません。
まず、世界の金融危機や超円高は、日本の問題というより、欧米の金融不安の方に原因がありますから、対処は非常に難しい面があります。
それにしても、為替介入をはじめ政府の対応は遅くインパクトにも欠けていると思います。さらには欧米が原因となれば国際的な協調こそが重要ですが、日本がそれに積極的に動いているようには見えません。
それでなくとも長引く不況で日本経済は危機的状態にありますから、このまま超円高が続けば、最大の(けんいん)力である輸出産業は大打撃を受け、経済成長はマイナスを覚悟せざるをえなくなります。そうならないよう、政府はいち早く、抜本的で総合的な解決策をまとめ、打ち出すべきです。
次にTPPですが、「学級崩壊」してしまっている民主党で、意見を集約することは困難でしょう。このため、党では結論を出さず、交渉参加と反対の両論を併記して、後は首相の決断に任せるという方法も取り沙汰されています。
確かにTPP交渉に参加するかどうかは、日本の国益にとってどちらが望ましいのか、確かに難しい判断です。ただ、民主党内の議論を聞いていると、都市部の議員は賛成、農村部の議員は反対と、選挙の支持基盤に乗っかった対立に見えてなりません。
国家として未来を見据えた戦略という観点からの議論がほとんど見えないのです。TPPにはすでにシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国が加盟、さらに米国、ペルー、豪州、ベトナム、マレーシアの5カ国が加盟に向けて検討を進めていて、そこに日本が加わるかどうかが問われているのです。
世界地図を頭に描いてもらうと分かりますが、交渉がまとまれば日本を取り囲む主要な国の多くが参加することになります。TPPは加盟国間で工業品、農業品など全品目の関税を撤廃するとともに、政府調達、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおける非関税障壁を撤廃し自由化するという協定です
これだけ全般にわたって自由化するという協定ですから、国内産業が打撃を受けることを懸念するのは当然かもしれません。しかし、世界的とくにアジア太平洋地域での自由化の流れが進むことは時代の必然です。とくに日本が貿易国家であることを考えれば、遅かれ早かれ自由化に踏み切らざるをえないでしょう。
とすれば、今回のAPECでのTPP参加表明がラストチャンスかもしれません。ただ、野田首相が参加を表明するなら、その前提をきちんと踏まえてもらいたいと思います。つまり、TPP交渉に参加するとすれば、それは「追随」ではなく日本としての「主体的判断」であるということです。
したがって、自由化の対象項目については、きちんと日本の国益を踏まえて交渉してもらいたいと思います。交渉途中での離脱ということは実質的に不可能かもしれませんが、それもありうるというぐらいの覚悟で日本の国益を確保した協定内容にしていく必要があります。
一方、それにともなって自由化で打撃を受けると想定される産業には、どのような対策を打っていくのか、国内で検討することも重要です。とくに現在、最も反対が強い農業については、TPPがなくともこのままでは衰退していくことは避けられません。日本の農業をいかに生産者、消費者双方にとって魅力あるものにしていくかは、国家的課題です。
最後に東日本大震災の復興の問題です。いよいよ本格的な復興に向けた第3次補正予算案の審議が来週から始まります。このコラムで何度も書いてきたことですが、この復興をどのように進めるかは日本経済の行方を大きく左右します。
増税による復興は、復興財源としての理屈にも合いませんし、せっかくの経済成長の機会を失うおそれがあります。それでなくとも政府から今、国民に突きつけられているのは社会保障も含め、負担増の話ばかりです。これで国民の消費マインドや企業の投資マインドが上向くはずはありません。
ここは自民党をはじめとする野党の意見にも耳を傾けて、復興債の償還期限は60年ぐらいの長期間とし、全力を挙げて復興を進めるとともに日本経済を活性化し、プラス成長につなげていくべきだと思います。
いずれの問題も「学級崩壊」している民主党、「だんまりどじょう」を決め込んでいる野田首相に解決できるのか、不安で仕方がありません。9月に発足した野田政権にとっては今後を占う重要局面となるでしょう。禍根を残すことのないよう、野田首相と民主党に対しては心根を入れ替えて臨んでもらいたいと思います。
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