http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/775.html
Tweet |
http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51932793.html
「ジャーナリスト同盟通信」2011年11月06日 本澤二郎の「日本の風景」(913)から下記を転載投稿します。
=転載開始=
【野田佳彦政治哲学】
野田首相は、数日後の11月10日に「ワシントンのペット」であることを内外に誇示するようだ。この機会に改めて野田が、育ての親・松下政経塾の司令塔であるPHP研究所が発行している月刊誌「VOICE」(2011年10月号)に公表した論文「わが政治哲学」を分析してみようと思う。偏狭な民族主義・国家主義が行間からくみ取ることが可能だ。
【日本に生まれてよかったと思える国?】
過去において、偏狭な民族・反共主義の元祖で知られた岸信介の孫・安倍晋三首相は「美しい日本」を政権の柱に掲げた。市民よりも国家を全面に出す日本政治家のほとんどは、岸・中曽根康弘に限らず、国家主義に傾倒する共通する点である。
野田もまた、国家主義の片割れと言っていいだろう。一見して優しい語句を使用するものの、それは彼らの権力統治をカムフラージュする巧妙な手法である。「日本に生まれてよかったと思える日本にする」という小学生向けの言い分である。
少なくとも中曽根バブル崩壊後の日本、そして現在の日本はとてもそんな状況にない。自殺者は多く、失業や生活保護を受ける国民は増大する一方である。肝心要の国と地方の財政は、破綻状況にある。
生まれてくる日本人は、その瞬間から900万円、1000万円の借金を背負わされる。「生まれてよかった」とはいえない。その反対だろう。
【偏狭な民族・国家主義】
彼は持論を正当化するために「中庸」という文字を取り出す。それは自由と平等を、時によって使い分けるのだという。「社会主義的な統制の束縛が重い社会では、自由によって規制緩和、反対に現在のように困っている人が沢山いる時は、平等でもって格差を無くしてゆく」とややまともなのだが、彼が決断しようとしているTPP参加は、さらなる格差をあらゆる分野に生じさせる。極端な規制緩和へと突っ走ってゆく。
持論と行動が逆である。偏狭な民族主義者・国家主義者は、その場面で都合よく、矛盾する美辞麗句を平然と駆使する点にある。そのことに恥じらいをもたない。目的のために字句など大した意味を有していないのだ。
「プライドの持てる国」とも言い換える野田からは、国家主義への愛着を感じ取ることが可能だ。そのプライドとは「過去の歴史や伝統文化をきちんと学ぶ」ことなのである。
これで正体見たり、である。「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」「A級戦犯を合祀した靖国神社への首相参拝に問題はない」というこれまでの持論を裏付ける。過去の歴史や伝統は、中曽根ら国家主義者と共通している。
伝統主義は、彼らにとってそれは天皇主義を意味する。天皇の戦争の正当化、皇国史観への共鳴なのだ。近代ではない。松下政経塾の政治家が、そろって「つくる会」など、歴史歪曲教科書採択に熱心なことからも、彼らの「誇れる日本」の全体像を知ることが出来よう。
国家主義は、必然的に平和憲法をないがしろにする軍拡路線へとつながる。「日本は良い国だ、と胸を張れるためには、政治がしっかりして、外交安全保障をきちんとやっていく」というのだ。政財界右翼の路線そのものである。軍拡による安保論は、軍需財閥との結びつきを露呈している。ちなみに野田の父親は憲法違反の自衛隊に入り、息子を大学に入れ、さらに松下政経塾へ足を向けさた。武器・弾薬との違和感は少ない。
政経塾で学んだのであろう古代中国の兵法書を紹介する。「戦いを忘れると、必ず危うい」という一節だ。侵略国の末裔がわざわざ指摘する内容だろうか。ここにも国家主義をチラつかせる。侵略を記憶している人々はどう感じるだろうか。
野田の場合、それは松下幸之助の教えともつながる。彼は「松下の日本政治への危機感」を引き合いに出す。彼のビジネス成功の背景には「政商・松下幸之助」の存在があったのだが、そこには言及しない。
彼は晩年の松下の言動を引き合いに出して、財政の危機を強調する。そこから増税論へと発展する。財務官僚の言い分と歩調をあわせる。しかし、松下の指摘は84年当時である。これは不思議な言い分だ。日本財政は中曽根バブル(85年)が5年後に崩壊して、その後の20年に渡っての借金財政からのものだ。彼もまた目下、膨大な借金予算を編成しようとしている。
増税は不況をさらに深刻化させる。その前になすべきことがある。行財政改革だ。政界・官界が身を削ることだ。それを抜きに10%消費税を導入すると、日本沈没を早めるだけだろう。民意不在の政経塾は所詮、財閥と官閥の傀儡政権といえようか。
【日米同盟進化論】
野田の歴史観は、日本が大英帝国との同盟を放棄した結果、その後の「外交の漂流」「大戦に向かっていく一つの要因」というものだ。これは侵略戦争を指すのだが、そうした史実を明解な言語で語ろうとしない。「天皇の聖戦」という認識ではないのか。
日英同盟による日清・日露の大戦は正当化したいのだ。不戦・平和主義の立場では全くない。
彼の日米同盟進化論は、対米従属路線を正当化することなのだ。ワシントンのいいなりになることが、日本繁栄を約束すると信じているらしい。対米自立派ではない。ワシントンが強行する関税撤廃のTPP参加は、彼にとって必然なのである。世界の大変動に全く盲目であることを物語っている。大局的認識を欠く失格指導者である。
【東アジア共同体NO】
ワシントンに追随する野田にとって、21世紀のアジアは見えてこない。東アジア共同体構想が、まるで理解できない。従って、鳩山内閣が打ち上げた同構想を言下に否定する。
「平成24年は、多くの国々で指導者が代わる年である。権力の交代時期には、とかく波風が立ちやすいことを忘れてはなるまい。今この時期に東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はないと私は考える」
国際社会にも発する首相論文である。それでいて年号を表示する。国際派ではない。天皇主義に取りつかれている狭隘な民族・日本主義者なのだ。ワシントンが推奨する構想でないと、動こうとしない対米従属派と言う点で中曽根や小泉レベルなのだ。
【外交・安保の強権主義】
「今なすべきは、領土・領海に絡む重大な事件が発生した場合、日本がいかなる姿勢を打ち出すべきか、改めてシュミレーションをしておくことだ」
実に、勇ましい首相であろうか。首相就任時にこんなに威勢のよい進軍ラッパを吹いた政権を知らない。少なくとも72年の田中内閣以降の永田町においては存在しなかった。
尖閣や竹島、北方領土での紛争を想定しているらしい。相手は中国と韓国、ロシアである。同時に、ASEANの一部諸国が懸念を抱いている領有権問題が火を噴くかもしれない。そのための準備を怠るな、ということなのか。
憲法9条など眼中にないらしい。恐ろしい内閣の誕生であろうか。野田論文からくみ取れる政権の体質は、本来、日本国憲法下では存在出来ない筈の政権ではないだろうか。
【脈打つ親米反共民族主義】
結びに、彼は震災復興・原発対応・経済再生・財政健全化に取り組むというのは当然のことだが、野田は加えて「安全保障体制の確立」を謳っている。ワシントンの先兵を意識したものだろう。中曽根の「不沈空母」というどぎつい言葉ではないが、中身は同じと見てよい。
日米産軍複合体に取り込まれた政権でもあろう。ワシントンに忠誠を誓う対米服従政権なのだ。言い換えると、親米反共民族主義が脈打っていると決めつけたらオーバーだろうか。
2011年11月6日記
=転載終了=
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK121掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。