http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/723.html
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今お隣の韓国では、米韓FTAの批准を前にして、国会が空転している。日本のマスコミは全くこのニュースを報道していない。「していない」と言うよりは「することが出来ない」のだろう。一部マスコミは、米国とFTAを結んだ韓国が、米国への自動車輸出を伸ばしたが日本は減じていると報道した。あたかも米韓FTAが実効し、日本が韓国より遅れているかのような印象を与える報道をしていたのだ。
国会空転の原因は、ISD条項にある。朝鮮日報によると、「07年当時の盧武鉉前大統領がISD条項を、重大な問題だと理解していただろうか」と言って、当時与党であった今の野党が反対している。一般的にISD条項とは、現地国(=韓国)の法律や規制により、外資系(=米国)企業の営利活動が規制された場合、その外資系企業は現地国(=韓国)政府に損害賠償請求ができるというものである。
マスコミのTPPに関する報道は、「嘘」はなくても真実を隠している。このISD条項や、前回の本欄で紹介した、ニュージーランドのジェーン・ケルシー教授の講演内容などである。韓国でも、いざ条約批准となって、一方的なISD条項のような国辱的問題点が明らかになっている。今、ISD条項を日本の国民が知ったなら、大多数の国民がTPPは「関税と農業」の問題だけではないと気付くだろう。
同じように国民が知ったら反対するのが、「医療と保険」の問題である。漸くと言うべきか4日の毎日新聞は、本田宏埼玉県済生会栗橋病院院長補佐という人の意見を、「弱き患者に厳しいTPP」との見出しで掲載した。以下は、TPP推進派ではタブーとも言うべき「医療保険」の問題に関する本田氏の意見からの抜粋引用である。
医療関連では「保険」「医薬品」「医療IT」「医療サービス」の4分野が対象で、(TPP締結によって)日本の医療は米国型医療に近づいていく可能性が高い。(米国には)国民皆保険制度がないため、民間保険の保険料を支払えない無保険者が国民の7人に一人を占める。病気で治療を受け自己破産する例も珍しくない。民間保険システム(HMO)は巨額の利益を上げ、「HMO地獄」と揶揄されている。
一方、50年前に世界に冠たる国民皆保険制度を確立した日本だが、今は、患者の窓口負担が増え、保険料を払えず保険証の取り上げという事態まで生じている。超高齢社会の到来による医療需要の増大で、この皆保険制度は風前の灯である。もし医療分野が開放され、保険障壁が無くなれば、国民の支払う保険料は今より高額となって、医療の恩恵を受けられない患者がさらに増大する危険性が大きい。(引用終り)
日本の医療制度には、他国と比べて決定的に違う規制が2つある。その一は、国民皆保険制度により、全ての国民が公的保険による医療を受けることができるという点。その二は、国民皆保険制度下で、全国一律の保険点数により医療費の水準を国家が抑え込んでいる。日本には「医は仁術」の精神文化がある。医療に市場原理を持ち込んだ米国の文化と相容れないのが、医療の世界である。
TPP推進派は、つい先日まで「公的医療保険制度は(TPP議論の)対象になっていない」と説明していた。処が、9月16日に米国からの「米国政府が公的医療保険の運用で自由化を求める声明」を、小宮山厚労相は外務省を通じて受け取っていた。この事実からTPPに加入すれば、医療分野がTPPの対象になるのは必須である。TPP推進派はどうしてこのような重要事項を隠すのだろう。
前回の本欄で、TPP賛成論者には【国家主権】への視点が欠けていると書いたが、それに付け加え、彼らには【国民への視点】も欠けている。それは、彼らの根底思想に新自由主義・市場原理があるからだろう、即ち、小泉改革の延長である【弱肉強食の社会】への道を進もうとしている。TPPにより、国民に一部の既得権益が還元されることもあるだろうが、それよりも国民が失うものの方が大きい。
5日の産経ニュース・ネット版では、在カンヌの野田首相が日本時間の4日深夜に、TPP交渉参加の意向表明との憶測記事を流した。このようにTPP推進派は国民がその中身を知らぬ内に、TPP交渉参加という既成事実を作り上げようとしている。そして交渉の席に着き、内容が不利ならば交渉から離脱すればいいなどと、安易なことを言っている。お隣の韓国のように条約批准まで、国民を「つんぼ桟敷」に置いておくつもりなのだろう。国民も自分で調べ、自分で考えることだ。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=117478
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