06. kristenpart99 2011年11月05日 11:10:50: 6lghLweqHvN/I
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TPPはとかく個別科目をつまみぐいした説明が多い。 それはあたかも絨毯の表の柄をとやかく言うのに等しい。 裏側をひっくり返してみると、別々の科目であっても 密接に糸が絡み合っていることに気づく。 その糸がTPP第10章のIP関連(>>知的財産権<<)である。 おおよそ、モノ・サービスで>>知的財産権<<が絡まないことは ない。そこからTPPを透かしてみないと駄目だろう。 著作権関連の交渉は模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)が 伏線になっている。ACTAでならなかった著作権の保護強化が 再びTPPで交渉されているのだ。また、TPPはACTAと同様の秘密交渉となる。 ACTAでは、秘密交渉が大きな問題となった。 交渉担当者は秘密保持を約束させられ、外部からの質問に対しても 名前を明かして答えてはならないといった、おおよそ民主的プロセスを 経ない交渉経緯の透明性が完全に欠如した交渉手法であり、その音頭を とったのは他ならぬ米国と日本だった。 国際公約を守る上では、各国が自国の議会の承認を回避できる露骨な 行政協定とも言われた。事実、少数でad hocな非公開の交渉を済ませたら、 あとは締約国がそれぞれ国内法を制定する「だけでいい」 (国際公約を裏切れないので「国内法」には誰も反対できない)。 TPPはまさにこのACTAの交渉手法を採用している。 つまり、玄葉外相が言うような交渉の場で初めて明かされるような内容は 当然秘密である。即ち、締結されるまで自国民にすら明かされない。 また、秘密をそこまで明かされて交渉を降りることは許されない。 従って、前原政調会長のような「ご都合」は通る筈がない。 TPPでは「『攻撃的利害 offensive interest』を持っていない(産業分野)は 譲歩が行われる」ということだ。知財ビジネス、訴訟ビジネス、金融保険ビジネスでは 米国は圧倒的な「攻撃的利害」を有す。 米国はモノを作らないのに何を輸出するのだろうかと思われるだろうが、 米国はもてる知的財産権(知的所有権)=特許や著作権などを、 最大価値化することをこのTPPで目論んでいるのだ。これら権利の果実は実った。 あとは誰にどれだけ高く喰わせるかだ。 ACTAの中身を理解する人からは容易に知的財産権がTPPの本丸だとわかる筈だ。 モノを作らなくなった国にとって特許権・著作権の果実を最大限刈り取る政策が 唯一の雇用対策。刈り取る手段は訴訟。送り込むは弁護士。仕事にあぶれた 弁護士は山ほど米国にはいる。 日本は訴訟ビジネスの未開拓地。 つまり、米国はTPPを用いてTRIPs協定を超える知的財産権の保護を 各国に求める意向(TRIPs plus)。 米国はもてる知的財産権の最大価値化をTPPで目論んでいる。 事実、ペルー・リマで開かれている第9回TPP交渉で医薬品の薬価と保険償還制度に ついて透明性を求める(価格の統一化を図る)米国の要求があった旨の情報が 昨日リークされた。 特許の価値に見合う価格設定によって、TPP圏内で自国の医薬品メーカーをして、 安く医薬品を供給する相手を排除する内容。 新薬の価格は特許所有者が設定する価格通りとなり、国ごとの経済発展の レベルに適した薬価の設定が困難になる。また、ジェネリック薬の導入を促進する 特許法上の例外規定を制限。 医薬品に関連する特許権の保護強化は「医薬品を得るのは万人の権利。 金持ちの贅沢ではない。」と医療関係者から猛反発を招いている。 知的財産権の保護強化は医療制度の根幹に関わる問題まで孕んでいる。 米国のデジタルコンテンツ産業はTPP圏内で大儲けするだろう。 iPodやKindleといった専用のデバイスと、音楽や書籍のデジタルコンテンツの 組み合わせにデジタルロックをかけ、その組み合わせだけの市場の寡占化が進む。 日本はコンテンツとデバイスの組み合わせにやられる。なにせ、日本には 独自のそういうビジネスがないからだ。 アマゾンも日本のTPP交渉参加を見越して日本で電子書籍の マーケティングを始めたのがニュースになったのも先週のことである。 著作権そのもの又はライセンス契約を一手に管理し、デバイスとの 最も経済効果のあるビジネスを展開できるのもTPPを背景すればのこと。 「TPP に入ると『並行輸入が禁止される』。」 正規の販売店以外のルートから買うことはできなくなる。 これは商標権の保護強化でできること。 米国では並行輸入は禁止。そして TPP に加入する国に おいても禁止される。豪州と米国が結んでいる AUSFTA でも禁止。 正規販売ルートを経ないアウトレットショップなど一掃されるだろう。 もし、ブログにお気に入りのハリウッドの映画のシーンでも どこかから拾ってその画像をコピペしたら、あなたのブログは 米国側からいきなり消されるかもしれない。これは著作権。 プロバイダーの接続業者に番人をさせようというのが 米国の要求。場合によっては個人だろうが損害賠償の訴訟を 起こされる。 研究目的だろうが何だろうが、一時的に著作権のあるデジタル 情報をPCにロードすれば、これは著作権者から使用料を 要求されるかもしれない。近い将来、ネットがタダの情報であった時代が 懐かしく思い出すことになるだろう。 隙間無く張り巡らされた米国の特許権とその強化された保護、 さらに著作権の過剰な保護によって、企業のイノベーションの 焚き口を抑えられてしまうだろう。日本は知財立国といいながら、 米国に比べて基本特許の数が少ないのだ。 とにかく、「細部に悪魔が宿る」のがTPP。細部がいかなるものかも わからない秘密交渉では、交渉に参加しても自国民に対しては秘密なのだ。 中身はどこからかリークされる情報と交渉の裏側で様々に働きかけを行う 業界団体の内部文書から憶測するしかない。 これが実態であり、この秘密交渉ぶりに最近になって 辟易しているのがニュージーランド政府担当者なのだ。 ペルー・リマでの第9回TPP交渉では自国の医療制度の維持の為に 製薬補助金を付けてジェネリック医薬を安価に提供する一方で 米国の製薬会社の高い価格の製品を排除してきた ニュージーランド製薬管理局(Pharmac)が米国のやり玉に上がって いるからだ。 このごろ、ニュージーランドからの交渉内容のリークが多いのも 頷ける。 日本は米国の言いなりだから、TPP交渉に参加すれば、 ニュージーランドのように米国に抵抗もせず、 さりとて交渉内容のリークもせずに唯々諾々として 結果だけを国民に説明し法制化「だけでいい」という 世論無視の結果に終わるだろう。 もしTPPに参加するというのなら、 日本なりの『攻撃的利害 offensive interest』を全産業分野で 参加国に叩き付ける位の覚悟とそれだけの行動力がなければ ダメだ。残念ながら現政権の小さなアタマではムリだろう。 いずれにせよ、交渉には霞が関の各省庁の官僚が実質関わる。 政治家など口出しできないワケだ。そういう官僚に白紙委任状的な 交渉権限を与えるだけしか、政治家はできない。 先に述べたACTAの交渉経緯では、日本がらみの公電の一部が wikileaksで暴露されたが、知財本部や外務省や経産省の 日本の官僚たちのデタラメな暴走ぶりがうかがえる。 TPPでも暴走しかねない。 「何の考えもなく諸手をあげてアメリカの提案に賛同..、 大した腹案も持たないままスケジュールだけを気にして条文案作成を アメリカに任せていたり..彼らが外交としては完全にアウトのデタラメを やりたい放題やっていた」 http://fr-toen.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-71b0.html いいのか? 以上 |