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TPP問題は「悪魔の選択」(陽光堂主人の読書日記)
TPP交渉参加問題は、本質的な議論が全くなされないまま、参加の方向で推し進められています。政府は当初の予定通り、APECで参加表明する模様です。与党内や国会で不毛な議論をさせ、それでアリバイ作りしたつもりなのでしょう。米国の命令や総理の一存で全てが決まるなら、国会など不要ということになります。
米国はTPPに参加しようとしていますが、日本が加わることを望んでいるかというと、必ずしもそうではないようです。米国内にも色々な事情があって、日本の参加で損害を被る産業もあるでしょうし、日本より中国に加わってほしいというのが本音だと思われます。
オバマ政権は明らかに中国を重視していますが、当の中国にその気がないので、取り敢えず中国抜きの形で米国がやりたい放題できる体制を作ろうとしているのです。来年行われる大統領選までに成果を上げる必要がありますから、夏までの合意を目指しているのです。
お目出度い日本が参加するのは、オバマ政権にとって好ましい展開ですが、途中から入り込んできてルール作りを邪魔されると迷惑なので、9カ国で合意した内容を丸呑みするなら入れてやっていもいいということじゃないでしょうか? オバマ大統領は、形の上では日本に圧力をかけていますが、これは対日強硬派=ジャパンハンドラーズに対するサービスと思われます。
米国の支配層は長期的な戦略を練っていますから、日本など放っておいても、アジア中心の経済圏が出来上がれば慌てて入ってくるので、積極的に取り込む必要はないと考えていると思います。我国もこれに見習って、長いスパンで物事を考える必要があります。日本人は、どうしても近視眼的になりがちです。
国内では、米国の意図を把握しないまま不毛な議論が続いていますが、TPP参加の是非を巡って、次の二つの立場に色分けすることができます。
TPP推進派=対米隷属派
TPP反対派=愛国派
TPPは、大部分の日本国民に不利益をもたらしますから、当然のことながら、後者の反対派(愛国派)の勢力が大きくなります。マスコミ報道を見ても、推進派は明らかに劣勢です。しかしここで注意すべきは、この区分が米国を軸になされていることです。国内事情を勘案すると、別の様相が浮かび上がってきます。
TPP反対派は、米国の攻勢から現状を守ろうとしています。それはよいのですが、これは既得権益の擁護に繋がります。既得権益層の中心は官僚組織ですから、TPP反対派は、期せずして官僚擁護の立場に立っていることになります。硬直して肥大化する官僚組織は、国民に多大な不利益を与えていますから、これは大いなる矛盾です。
国内の視点で区分すると、次のようになります。
TPP推進派=官僚政治打破
TPP反対派=官僚政治擁護
上の二つの立場を合わせると、次のようにまとめることができます。
TPP推進派=対米隷属派=官僚政治打破
TPP反対派=愛国派=官僚政治擁護
そして実際に、政党や各派閥にはこの区分がぴたりと当て嵌まっています。典型的な例がみんなの党で、この党はTPP推進で一致しており、脱官僚を党是としています。TPP反対派の代表は農水省ですが、ここは既得権益層の代表とでも言うべき存在です。
大部分の国民にとって、TPPは反対すべき内容ですが、何となく居心地の悪い感じがするのはこのためです。意図せずに、官僚擁護の立場に立たされているのです。
そして事態を更にややこしくしているのは、ここに原発問題が絡んでくるためです。福島第一原発の事故で、国論は一気に脱原発の方向へ転換しました。それでも、原発推進派は強固に存在しています。この原発を巡る立場をTPP問題と絡めると、大方次のようになります。
TPP推進派=脱原発派
TPP反対派=原発推進派
前者の代表は、元経産官僚の古賀茂明氏です。古賀氏は、経産省は不要だと述べていますから、完全に脱官僚で、原発に関しても否定的で、代替エネルギーで間に合わすことができるという立場です。それでいて、TPPには賛成で、焦点の農業は大規模・効率化することで生き残りを図るべきだとしています。今の農家は国によって手厚く保護されていますから、脱官僚の立場として考え方は一貫しています。
そして後者の代表は、やはり経産官僚で京都大の準教授をしている中野剛志氏です。中野氏は反TPPの論客として気を吐いていますが、バリバリの原発推進論者です。ネットを検索すれば反原発主義に対して過激な批判をしていることが判りますが、こうした側面を知って、中野氏に幻滅した人もいることでしょう。
TPPに以上の立場を絡めると、結局次のようになります。これに当て嵌まらないケースもありますが、この結びつきには、それなりの整合性があります。
TPP推進派=対米隷属派=官僚政治打破=脱原発
TPP反対派=愛国派=官僚政治擁護=原発推進派
こうした色分けは、誰も納得できないはずです。多くの人たちは、TPP反対で、脱官僚、脱原発のはずだからです。何故こんな歪なことになっているかと言うと、この図式自体が「悪魔の選択」になっているからです。
「悪魔の選択」というのは、どちらを採っても痛みを伴う選択の仕方を言います。例えはよくありませんが、手を失うか足を失うかを迫られているようなものです。どっちも嫌だから選択すること自体を拒否すべきですが、拒否できないと思わせるのがこの手法の特徴です。
この迷路から抜け出すには、対米隷属も官僚政治も拒否するしかありません。そうすると現状では生きてゆけないので、第三の道を切り開く必要があるのですが、その道筋は今のところまだ見えていません。しかし、これを見つけ出さない限り、日本人は生き残ることができないでしょう。
ところで野田政権は、TPPを推進し、官僚組織を肥大させながら原発も推進しようとしています。(もちろん、対米隷属です) この方程式は容易に解くことができず、鵺(ぬえ)のような存在と化しています。ただ権力の座にしがみ付きたい一心としか思えず、野田総理の気色悪さはここから来ています。
まさに妖怪国家で、どじょう総理は「子泣き爺」そのものです。早く振り解かないと、その重さに日本は押し潰されることになるでしょう。
http://yokodo999.blog104.fc2.com/blog-entry-433.html
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