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2011年11月 3日 (木)
日本の基本構造を示す東電救済・増税・TPP
拙著『日本の独立』に、この国の構造的な問題を記述した。
日本では民主主義が実現していないということが執筆の視点だった。
民主主義=国民主権とは、国の意思決定、国の行動、国の運営に際して、国民が主役になる仕組みである。
しかし、国民が直接、国の運営を行うのでは収拾がつかないから、国民は自らの手で代表者を選び、この代表者が国民の信託を受けて行動することのより、主権者である国民の意思が政治に反映される。
これが民主主義、国民主権の原理である。
日本国憲法の前文には、この考え方が整理して示されている。
重ねてここで、憲法前文から、該当箇所を再掲載したい。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(中略)、
主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」
つまり、国の決定、政治の決定のすべては、主権者である国民の意思に基づいていなければならないのである。
さらに日本国憲法第97条、第98条、第99条の条文を以下に転載する(第98条第2項を除く)。
第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
これらの条文は日本国憲法第10章「最高法規」の章に収められている。
日本国憲法は「国の最高法規」であり、
「その条規に反する国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」
と定められている。さらに、
「国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は」
「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」
と定めているのだ。
つまり、たとえ内閣総理大臣といえども、日本国憲法の定めに反する行為は、効力を有しないのである。
すべてにおいて、主権者である国民の意思が尊重されなければならないのである。
日本国憲法は、国民主権を定め、同時に、基本的人権の尊重を定めているが、第97条に、
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」
との記述があるように、基本的人権の尊重は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果である。しかし、日本は、この自由獲得の努力、あるいは、過去幾多の試練に堪へた経験を多く有さない。
日本における国民主権の原理、基本的人権の尊重は、第二次大戦後にGHQから付与されたものであり、いわゆる市民革命を経て、民衆が力で勝ち取ったものではなく、上から与えられたものなのである。
それだけに、民の側における国民主権、基本的人権に対する意識が希薄である面を否めない。
本当は国民が主役でなければならないのに、戦後の日本においては、国民でない存在が政治の主役であり続けた。
その主役が米国・官僚・大資本のトライアングル=利権複合体である。
日本が本当の意味で国民主権の国になり、民主主義の国になるためには、米国・官僚・大資本が支配権を握る、現代日本の基本構造を破壊して、新たに国民が支配権を握る体制、仕組みを構築しなければならない。
この問題意識に立って、日本の構造を私なりに分析したものが『日本の独立』である。
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このなかで3月11日、大震災と原発事故が発生した。この巨大な出来事は、日本の基本構造を根底から刷新する契機になり得るインパクトを持つ出来事であった。この未曾有の事態に直面することによって、新しい日本を切り拓くことができるなら、多くの尊い犠牲も決して無に帰すことはないのである。
ところが、3.11から間もなく8ヵ月の時間が流れるが、私たちの目の前を過ぎ行く事象は、日本の基本構造が何ひとつ変化していないことを如実に物語っている。
その三つの具体的事例こそ、東電救済、巨大増税、TPPである、と私には感じられる。
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