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TPPが抱える時限核爆弾=ネガティブリスト方式:TPPは“おばけ”が出てくる原理と構造を内包した通商協定
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/568.html
投稿者 あっしら 日時 2011 年 11 月 02 日 17:39:16: Mo7ApAlflbQ6s
 


野田政権(官僚機構)は、なんとしてもTPPに参加しようと、インペイ・ウソ・スリカエの説明を駆使して慎重派(反対派)をなだめようとしている。

 前原政調会長は、TPP参加に警鐘を鳴らす人たちに、居もしない“おばけ”を持ち出しあれこれ言っていると中傷した。

 TPP参加に血眼になっている政治家・官僚機構・学者は、本来はそうはあってはならないはずだが、職業的習性なのか個人的資質なのか、もっともらしく聞こえればいい、賛成さえしてもらえればいいという恥ずべき言動に励んでいる。
 そのため、TPPの内実はできるだけ秘匿するという基本態度を貫き、既にあるTPP協定の条文も開示せず、「協定が国益に沿ったものとなるよう最大限努力することは当然だ」と建前を叫びながら、それが可能かどうかがすぐわかる交渉経過や交渉スケジュールを教えることはしない。

 慎重派(憂慮する国民)をなだめる説明手法として、「一定程度の例外的な扱いが認められる可能性」という表現が使われている。

 しかし、TPPが内包する最大の危険性は、WTOとは異なり、ネガティブリスト方式になっていることにある。

 WTOで例えば関税を引き下げる約束をするときは、引き下げ対象の品目を列挙する。逆に言えば、リストアップしなかった品目は関税を引き下げる義務を負わない。

 一方TPPは、原則が関税撤廃・自由で無制限の投資・内国民待遇のサービス交易であり、原則の例外扱いが認められるのは、交渉で認められた具体的な品目や業務だけなのである。
 どういうことかと言えば、例外扱いや適用対象外にしたい品目や項目はどんなに細かくなろうとも、一つ一つリストアップし、合意を得てネガティブリストに載せなければならないということである。

 日本国内の事情や国民の不安をいくら説明したから参加国の“善意”が期待できると、いちいち交渉の俎上に乗せることをネグったり、交渉期限が迫っているからと焦って忘れてしまい、ネガティブリストに載せることができなければ、その品目や項目には“TPPの原則”=自由化が適用されることになる。

 TPPとはそういう原理と構造で成り立っているものなのだから、外務省が民主党PT総会で“安心”を与えるために説明したという、「複数国間の交渉では、ある国の食品安全に関する措置の変更が他国から一方的に求められることは想定しがたい」とか、「交渉参加国間の自由貿易協定(FTA)では金融サービス分野で公的医療保険制度は適用除外されている」といった内容はまったくのナンセンスなのである。

 今日未明の投稿で書いたように、「病院は、国立・県立・市立・公立大学付属病院など政府保有が多いので、それを理由に門戸をこじ開けられる可能性もある。なにせTPPは社会活動を網羅する包括的な協定だから、ネガティブリストにない限り、理念的表現や抽象的な文言を根拠に、様々な“規制緩和”を押し付けられる可能性がある」のだ。

 だからこそ、仮にTPP交渉に参加するとしても、政府はじっくり腰を据え英知を集めて、一つ一つこの“規制緩和”なら、ヘ理屈や無理筋の強弁を含めて、どういうことにまで自由化の範囲を主張できるのかを必死に考える必要がある。
 そして、奇妙な主張にみえても一分の理でもあるのなら、それをネガティブリストにきちんと載せなければならない。

 さらに、ネガティブリスト方式は、時限核爆弾という危険極まりない要素を持っている。

 新しいサービス分野や商品が生まれた場合、それらは“自動的”に原則(自由化)の対象になる。

 例えば、日本で禁止されている「混合診療」が、TPP発効から2年後に解禁されたとする。
 そのとき、米国の政権が、「混合診療」は新しく生まれたサービスであり、米国の医療会社や保険会社は内国民(日本人)と同じようにそれに関する業務が行えると主張すれば、それを受け入れるしかないのだ。
(米国は、口先では、日本国民が「混合診療」を安心して受けられるよう医療や保険のサービスを行いたいというだろうが...)

 「混合診療」はたんに一例にすぎない。TPP発効後生まれてくる新しい業種や商品は、すべて自動的に自由化の対象になる。
 農産品でも、コメでも小麦でもない新しい品種の穀物が栽培されるようになれば、自動的に自由化の対象になるのだ。

 TPPに潜むこのような危険な仕掛けをきちんと説明せず、日本が参加しても残された交渉の時間はないという交渉スケジュールであることを知っていながら、TPPに参加しようと言うのは狂気の沙汰である。
 

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コメント
 
01. エテ公 2011年11月02日 19:45:19: .XQ.mNI0RTQBI : CKcTM3rdlg

あっしらさん、こんばんは。


『ネガ方式』については『慎重に考える会』も警鐘を鳴らしていますね。
あっしらさんの論理でいえば、日本で発送電分離などの電力自由化がもし将来あれば、エンロンみたいな外資系企業に『内国民待遇』で譲り渡す可能性もあるということでしょうか。

また水道事業を民営化すれば“ネガティブリストにない新たな事業”として、米国のベクテルのような企業が参入するかもしれません。

外国人差別をしないと言えば立派ですが、やはり危険性はあると思います。


先日の『利潤なき経済社会』を久しぶりに読み返してみました。TPPを巡る日本の政党政治には絶望させられますが、あの文章に触れてまた胸が熱くなりました。

あれから六年経ち、あっしらさんのお考えにどう変化が生まれたのか。いずれ機会があれば“脱近代”についても、お話していただければ幸いです。


02. あっしら 2011年11月03日 01:17:32: Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

エテ公さん、こんばんは。

 お誘いのあった雑談板の艶っぽい話に魅かれてコメントしようかなとも思いましたが、TPP絡みで気分がすぐれない(笑)ので失礼させていただきました。

 現在は欧米の影響で変わりましたが、近代日本の都市生活者の性意識は、武家と町家(商人:オーナー)の道徳観がミックスしたものに染められて出来上がっていったと思っています。
 明治初めまでは都会の真ん中に混浴銭湯もあったわけで、光量は不足していたとしても裸体を見合い、湯船では身体的接触もあったはずです。
けっこうおおらかだった性意識が近代化のなかでお堅いものになり、男性は風俗で憂さを晴らすというかたちになったと思っています。


閑話休題

 水道事業は、民営化したからどうのという理屈も0.5分くらいはありますが、どちらかといえば「政府保有企業の競争条件問題」として扱われ、公営固定化を外し外資の参入も認めよという話になると思います。

 発送電分離が行われたときは、TPPに参加していれば当然待ってましたとばかりに、『内国民待遇』で送電線網の買収や発電事業への参入ができるよう要求するでしょうね。

 棲み分けができているので、米国は、日本のTPP参加を通じて、財貨の対日輸出を拡大させたいという考えはほとんどないと思っています。
 目的の99%が金融・保険・政府調達などサービス交易の拡大で利益を得ることでしょう。

 「自由貿易」は、自分が強い部分を最大限活かせる条件を手に入れることです。米国企業は、サービス分野では破格の競争力を持っています。
 政府調達も、日本人を雇えば価格面で日本の企業とたいした違いは出てこないので、プロジェクト対応という期間限定の条件で、賃金が安い外国人をパッケージで連れてくることを認めさせる可能性もあります。
 このような仕組みは、中国企業がアフリカなどで実際に行っています。(中国企業が中国人労働者を連れてアフリカに入っています。食事を作る人まで...)

上の投稿でいただいたコメントもここで:

【引用】
「比較優位とは、つまるところ『アフリカのような地域は、カカオやバナナを作っていればよろしい』という大国の“政治的思惑”を、それっぽい理屈で包装しているだけということでしょうか?」

【コメント】
 比較優位原理は、カネになるものを自由に交易してより多く稼ぎたいという欲求を、理論というオブラートに包んでもっともらしくみせ、相手に飲ませようとしたものでしょうね。

 アフリカは、インドや中国そして中東地域と違い、モノを輸入するための貨幣的条件が低かったので、鉱物資源や嗜好品(原材料)の生産に特化させたと考えています。
 その交易で特権階級が得る貨幣でモノを輸入させ、欧州などでチョコレートなどの嗜好品を販売して稼ぐという構造です。

 南アフリカやジンバブエといった南部アフリカは、気候や土地にも恵まれていたので、植民の対象になりました。

 比較優位原理は、相手は鼻先で笑ったでしょうが、アメリカ、インド、中国そして日本に対する「自由貿易」の押し付けを正当化するのに役立ったはずです。

 その英国でさえ、19世紀前半には「穀物条例」があったように、地主階級の利益を保護する政策を採っていました。産業資本家が政策で優位に立ったのは19世紀中盤からです。

 自由主義の権化と見られている米国も、南北戦争につながったほど自由貿易派と保護貿易派の対立が激しく、保護貿易派(北軍)が勝利するという歴史をもっています。

 南北戦争は、なぜか、奴隷解放戦争のように語られていますが、自由貿易で農産品の輸出を拡大したい南部農場主と、保護貿易で産業の競争力と利益を高めたい北部産業資本家のあいだで繰り広げられた血みどろの戦いというのが本質です。

 自由貿易に反対して内乱(市民戦争)まで起こした米国が、かたちだけにしても、自由貿易を賛美し、それを盾に自国に有利な条件を押し付けようとしているのですから、歴史は転変するというのがよくわかります。

>それにしても池田信夫という方は、いい評判を聞きませんね(笑)
>知識量は一目置いていますが・・・

 池田さんについては、私もNTT出版から出た?本を一冊読んだ記憶があります。
 池田さんにはお前に言われたくないと言われるかもしれませんが、自分の頭の良さを過信しているように思えます。
 もう少し、「いや、違うかもしれない」と立ち止まり、思考を見直すことを心掛ければと,,,

 頭が良いとは思っていませんが、自戒の念も込めての発言です(笑)



03. エテ公 2011年11月03日 03:18:15: .XQ.mNI0RTQBI : CKcTM3rdlg

あっしらさん、コメントありがとうございます。

滝のように流れ落ちる政治板ですが、お礼もこめてレスいたします。

>現在は欧米の影響で変わりましたが、近代日本の都市生活者の性意識は、武家と>町家(商人:オーナー)の道徳観がミックスしたものに染められて出来上がって>いったと思っています。

幸か不幸か、近代化で百姓さえそれなりの財産を持つようになりました。それまで意識しなかった財産相続などを考えたとき、おおらかな性民俗から、武家や商人の価値観に傾斜していったのかもしれませんね。

余談ですが、日本の大河ドラマが武家ばかりなのに不満です。百姓じゃドラマにならないのは理解できすますが・・・

>政府調達も、日本人を雇えば価格面で日本の企業とたいした違いは出てこないの>で、プロジェクト対応という期間限定の条件で、賃金が安い外国人をパッケージ>で連れてくることを認めさせる可能性もあります。

これは十分ありえますよね。そのときも相変わらず「効率」「生産性」といった言葉が叫ばれると思います。そして反対する人間には「既得権益」と・・・。

発送電分離にあまり賛成できないのも、こういった危険性を感じるからなんです。私も電力会社の独占体制には「ふざけるな!」と思いますが、彼らのさらに上をいく人々も世界にはいますし、悩ましい問題です。

ここは次善の策として国有化かな、と考えています。


>比較優位原理は、相手は鼻先で笑ったでしょうが、アメリカ、インド、中国そし>て日本に対する「自由貿易」の押し付けを正当化するのに役立ったはずです。

 >その英国でさえ、19世紀前半には「穀物条例」があったように、地主階級の>利益を保護する政策を採っていました。産業資本家が政策で優位に立ったのは1>9世紀中盤からです。

 >自由主義の権化と見られている米国も、南北戦争につながったほど自由貿易派>と保護貿易派の対立が激しく、保護貿易派(北軍)が勝利するという歴史をもっ>ています。

「穀物条例」については知りませんでした。こうして歴史をふりかえってみると、昔からずっと利権争いしていたのが近代経済ですよね。

それなのに、まるでノーガードの自由貿易競争こそが、ここまで世界経済を発展させてきたと言わんばかりの経済学者、エコノミストの妄言にはエテ公でさえ読んでいる新聞紙を破りかけます。

「アジアの成長をとりこむ」とも言いますが、TPP参加国でアジアと呼べるのはベトナム、シンガポール、マレーシアくらいです。さらにこの三か国とはすでにFTA、EPAを結んでいて、いまさらTPPで大きな輸出増大が見込めるとは思えません。

あっしらさんにぶつけるのはお門違いですが、日本がここまで米国服従の国だったとは驚きと失望を禁じえません。そして怒りがこみ上げます。

池田さんに対するアドバイスは、私も肝に銘じたいと思います(笑)


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