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東北復興のカネに疑惑 復興景気など起きる気配なし
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2011/10/31 日刊ゲンダイ ：「日々担々」資料ブログ
1次2次3次と18兆円ものｶﾈを注ぎ込んでもまるでﾄﾞﾌﾞに捨てているような雰囲気の野田政権のやっていること
-まず膨大な義援金は今どうなっているのか､次に第1､第2次の補正予算はどう流れているのか､復興にはほど遠い被災地住民の怒りは深い
-すでに政治ｺﾞﾛになった民主党議員たちの震災復興予算に群がる実情は前自民党政権下の税金私物化政治と何も変わらないとｱｷﾚた声
このところ景気に関して流れるﾆｭｰｽは､｢超円高｣と｢ﾀｲ洪水｣ばかりだ｡｢国内の産業空洞化が加速する｣｢ｱｼﾞｱの生産拠点が大打撃を受け､日本の大手製造業は悲鳴を上げている｣などと景気の悪い話が続き､気分がめいってくる｡3･11大震災で急降下した日本経済は､依然ﾄﾞﾝ底を這ったままなのである｡
しかし､ちょっと待って欲しい｡震災以降ずっと､多くのｴｺﾉﾐｽﾄは｢秋口から景気は良くなる｣｢復興需要が起きる｣と言っていたではないか｡例えば5月の日経新聞では､10人中5人が夏を境にして“V字回復”を予想していたし､日銀も4月末の展望ﾘﾎﾟｰﾄで｢年度後半にかけて回復ﾃﾝﾎﾟが速まる可能性が高い｣なんて書いていた｡予想通りなら､今ごろ東北の被災地だけでなく東京の企業も潤って､日本中､明るい話題に沸いていたはずだが､そんな気配は全く感じられない｡ｸﾋﾞをかしげざるを得ないのだ｡
｢復旧･復興需要で儲かっているのは､旅館や飲食店といったｻｰﾋﾞｽ産業だけですよ｡建設業の作業員が大勢､被災地に入っていますからね｡日本経済全体では､円高やﾀｲの洪水でｻﾌﾟﾗｲﾁｪｰﾝが寸断された影響も深刻で､当分､景気に明るい見通しは立ちません｡ﾃﾞﾌﾚ不況の長期化を覚悟する必要があります｣(東京商工ﾘｻｰﾁ情報本部長･友田信男氏)
秋から回復なんて､やっぱり嘘八百だった｡
◆義援金は2404億円が配られたが
景気回復の足踏みは､ｶﾈが足りないことが理由なのか｡しかし､被災地の自治体には､すでに義援金だけで3000億円強が送金されているし､1次､2次補正で6兆円の予算がつぎ込まれた｡東電だって損害賠償の仮払金として1335億円を支払っている｡これらはどこへ消えたのか｡それを調べてみる必要がある｡
まずは配布が遅すぎると散々批判された義援金｡死亡･行方不明者1人当たり35万円､住宅全壊35万円といった基準の下､2回に分けて日本赤十字社などから3050億円が自治体へ送金され､10月下旬までに被災者に2404億円が配られたという｡だが､津波にのみ込まれた土地に家を建てられず､そうかといって高台移転の青写真も進まないから､ｶﾈは郵便局や銀行に預けられたかﾀﾝｽ預金に回ったままだ｡8月の東北6県の預金残高は10･4%増で､全国の2･3%増に比べ大幅に高かった｡結局､景気には“死に金”になっているのだ｡
補正予算の6兆円はどうなったのか｡1次の4兆円は､ｶﾞﾚｷ処理や道路や港などｲﾝﾌﾗ復旧が目的｡2次の2兆円は二重ﾛｰﾝ問題や被災者の住宅再建支援金も積まれていた｡ところが､執行の遅ればかりが目立つ｡
｢2次補正が成立したのは7月25日｡しかし二重ﾛｰﾝ問題は､今月に入ってようやく新しい法案で民自公の3党が合意し､動き出したところです｡なぜこんなに時間がかかるのか｡高台移転の計画もそうですが､霞が関の官僚が突貫工事で予算化してｶﾈだけ積んでも､その後の政治的な手続きに時間がかかりすぎる｡執行が遅いから被災地のﾆｰｽﾞからどんどんｽﾞﾚていく｡冷房対策が必要だったのが､今では暖房が必要になっているという調子です｡その間に､被災企業は体力が尽きて潰れてしまうし､被災者も救われません｣(霞が関官僚OB)
震災関連倒産は400件を超え､阪神大震災の3･8倍のﾊｲﾍﾟｰｽだ｡これでは復興景気など絵に描いたﾓﾁ｡起きようがないのである｡
◆3次補正も"真水"は1.5兆円で復興に役立たず
一方､｢復興は3次補正予算が成立してからだ｣という声が多いのも事実｡規模が12･1兆円だから､これが東北につぎ込まれれば､黙っていても特需が起きるとの見方だ｡それで予算案を国会に提出した先週28日､安住財務相は｢復興への取り組みを加速させたい｣などと3次補正の早期成立を訴えていた｡
しかし､ﾀｲﾐﾝｸﾞを潰し､1次･2次補正さえもまともに使いこなせない民主党政権が､さらに3次補正を握ったところで､宝の持ち腐れになるのは明らか｡被災民の役に立たず､ﾄﾞﾌﾞに捨てるも同然になるだけだ｡
そもそも規模は12･1兆円の3次補正だが､野田首相が｢何でもいいから規模を積み増せ｣と言ったように､中身は復興と直接関係ないｺﾞｯﾀ煮である｡2･5兆円が年金財源の穴埋め､さらに2兆円が円高対策に消え､ｴｺﾉﾐｽﾄの紺谷典子氏によれば､｢被災地の復旧･復興に向けた“真水”の公共事業費は1･5兆円程度｡その4割近くは道路や河川の原形復旧に消えてしまう｣というのである｡たった1･5兆円とは､呆れて言葉も出ない｡これでは｢いつになったら復興するのか｣と東北の人たちが深いﾀﾒ息をつくのも当たり前だ｡
｢財源の論議なんて後回しにして､夏までに10兆円規模の復興予算を成立させておけば､自然とｶﾈもﾓﾉも人も東北に集まり､秋から復興景気は起きていたのです｡民主党政権のやることは本当にﾍﾀでのろい｣(政治ｼﾞｬｰﾅﾘｽﾄ･泉宏氏)
◆利権にされつつある福島の除染作業
福島県では､緊急課題である除染作業の現場で信じられないことが起きている｡ｼﾞｬｰﾅﾘｽﾄの横田一氏が言う｡
｢除染が進まないことには､福島では復旧も復興も始まらない｡しかし､個人で除染をすると費用が出ない｡国が定めた地域や業者でないとﾀﾞﾒだというのです｡しかも､その業者は“原子力ﾑﾗ”の外郭団体とつながっている｡住民の間では､賠償額を減らすことを優先させて除染計画を立てるんじゃないかと不信感が広がっています｡国はｶﾈを出し､大きな指導だけして､あとは自治体と住民に業者選びなどを任せればいいことなのに､口だけ突っ込むから除染作業も遅々として進まないのです｡これは被災地の復旧事業すべてにいえることです｣
ｱﾎで無能な民主党政権なのに､なぜ口をはさみたがるのか｡官僚出身の評論家は｢利権でしょう｣と言った｡
｢自民党政治家のように､自分から関連業者を押し込む芸当はできないが､権限を持っていれば､官僚が間に入って､業者の方が勝手に群がってくる｡とくにｾﾞﾈｺﾝなど業者にすれば､小沢氏が役に立たない以上､政調会の前原氏や仙谷氏は絶対無視できなくなっている｡政官業の癒着は自民党時代と大差はないのです｣
政治ｺﾞﾛになってきた民主党議員に､どう復興予算が食い物にされているか分からないのだ｡
こうなると､いよいよもって国民はやってられない｡3次大型補正の財源は､大半がｻﾗﾘｰﾏﾝ負担である｡所得税に住民税､たばこ税もまた増税である｡｢復興増税｣の美名で負担だけ強制され､しかし､予算の使い道は不透明､復興景気も起こらないのでは､｢ﾊﾞｶﾔﾛｰ｣と言うしかないのだ｡ｻﾗﾘｰﾏﾝは納得がいくまで増税に応じちゃﾀﾞﾒだ｡
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