49. 2011年11月01日 21:40:14: Zfjir1Qe3g
政府・日銀は昨日、大規模な為替介入を実施しました。その額は10兆円に達すると推定されていますが、一時的に1ドル79円後半まで円安に振れたものの、直ぐに78円前後に戻ってしまいました。本日付の「asahi.com」は、こう報じています。(http://www.asahi.com/business/update/1031/TKY201110310689.html) 為替介入、過去最大10兆円規模 海外は円買い戻し 政府・日本銀行が31日におこなった円売りドル買いの「為替介入」の規模が10兆円規模に達し、1日分としては過去最大だった8月4日の約4.5兆円を大きく上回った模様だ。今後も必要とみれば介入する構えで、31日夕以降の海外市場でも介入を続けた可能性がある。 ただ、今回のように日本単独でおこなう介入では効果が限られるため、政府は11月3、4日に仏カンヌで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、円高是正に向けて各国に協調を呼びかける方針だ。 31日早朝に1ドル=75円32銭の戦後最高値をつけた円相場は、政府・日銀の介入で一時、1ドル=79円台後半まで下げた。 午前11時半すぎから午後3時ごろにかけては、1ドル=79円20銭前後で相場が動かなくなった。市場では、政府・日銀がこの水準になるように円を売ってドルを買う「指し値介入」を続けていたとみられている。 午後5時時点は対ドルで前週末同時刻より2円97銭円安ドル高の1ドル=78円80〜81銭。対ユーロでは同3円22銭円安ユーロ高の1ユーロ=110円67〜71銭。 その後の海外市場でも介入を続けた可能性はあるものの、欧州市場での取引が本格化した夕方以降は、円を買い戻す動きが強まった。続くニューヨーク市場では1ドル=78円をはさむ水準となっている。午前11時半(日本時間11月1日午前0時半)時点の円相場は1ドル=77円93銭〜78円03銭。 先進国では変動相場制が採られているので、為替水準は市場によって調節されます。だから為替介入は禁じ手で、本来行ってはならないのです。どうしても必要な場合は、各国と協調して為替介入します。今回の介入は我国単独ですから、是非の問題を別にしても、効果がないことは明らかです。他の国は通貨安の現状を歓迎していますから、今後も協力を得られる見込みはありません。 金を無駄に使うだけのこうした為替介入の弊害は、二つあります。一つは、政府の債務を増大させることです。入手したドルが有効に使われなければ、介入資金が債務として累積し、国民に付けが回されることになります。 もう一つは、売った円によって日本企業が買い叩かれる危険があることです。東北大震災やタイの大洪水で多くの日本企業がダメージを受けていますが、業績が悪化して株価が下がったタイミングで狙われる公算が大です。円を大量に保有する外資が、このチャンスを逃すとは思われません。 つまり、日本国民の金で日本企業が買われるというマンガみたいな展開になってしまう可能性が高いのです。こんな暴挙は、阻止しなければなりません。 政府・日銀が為替介入するのは、輸出企業を救済するためですが、莫大な金額を突っ込んでも効果はほんの一時ですから、そんなことをするぐらいなら、企業に対して直接融資をすればよいのです。つなぎ資金として無利子の融資をした方が、企業の救済には役立ちます。 それなのに馬鹿の一つ覚えのように為替介入するのは、米国へプレゼントするのが目的と思われます。性懲りもなく、米国債購入という形で米国へ国民の金を進呈しようというのです。今回10兆円も提供したのは、TPP交渉参加の決断が遅延していることへのお詫びの印ではないかと思われます。 TPP交渉参加問題は、民主党内で意見集約ができず、当初予定した11月4日に結論を出すことができなくなりました。本日付けの東京新聞は、こう報じています。(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011110102000040.html?ref=rank) TPP 4日結論先送り 関税を原則撤廃する環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加問題で、民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)は三十一日、意見集約の見通しが立たないことから、十一月四日に結論を出すのを断念した。野田佳彦首相が日本の立場を表明する意向のアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開幕する十一月十二日に向け、党執行部はぎりぎりの判断を迫られそうだ。 三十一日に開かれた経済連携PTの役員会では、意見集約の時期に関し、反対派だけでなく、推進派からも「十一月四日までに議論は終わらない」との意見が出た。推進派はできるだけ早く参加の方向で党内をまとめたい考えに変わりはないが、ここにきて推進派の「勇み足」が反対派に突かれる事態が相次いでいる。 推進派の藤末健三事務局次長は「APECまでに交渉参加を表明するのは、米国が最も評価するからだ」という趣旨の文書を作成していたことが発覚。これに反対派が猛反発した。 役員会で、交渉参加に前向きな顧問の岡田克也前幹事長も「誤解を与える文書だ」と不快感を表明。藤末氏が役員を辞任する事態に発展した。 TPP問題では、推進派の仙谷由人政調会長代行も二十九日に「自分たちの信念か宗教的関心なのか知らないが、(反対を)言い募り、合意形成をさせないようにするのは政党の形を成していない」と批判。反対派が三十一日に仙谷氏の辞任を要求した。執行部は応じない方針だが、賛否が真っ二つに割れた状況から進展せず、焦りの色も見えてきた。 (金杉貴雄) TPP推進派は巻き返しに出ており、政府は中央突破を図るでしょうが、意見の取りまとめは難航しそうです。国内の轟々たる非難の中で交渉参加を表明しても、米国側の疑念を晴らすことはできないでしょう。それに備えて米国債購入でゴマをすろうとしたのではないでしょうか? 問題は、亡国の為替介入がどこまで行われるかです。その規模によっては、さしもの我国もデフォルトの危機に陥る危険性があります。「ちびっ子ギャング」の安住淳財務大臣は、「納得するまで介入させていただく」と述べていますから、更に金を注ぎ込む公算が高いのです。(安住氏は、自分が何をやろうとしているのか解っているとは思えませんが…) 為替介入は無限にできるわけではなく、枠が嵌められています。現状ではその枠は、165兆円になっています。9月30日付の「SankeiBiz」には、次の記事が載せられています。(http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110930/mca1109301042011-n1.htm) 為替介入の資金枠、過去最大46兆円に 財務相、「断固たる措置」に向け積み増し 安住淳財務相は30日の閣議後会見で、外国為替市場への介入資金を確保するための外国為替資金証券の発行限度額について、2011年度第3次補正予算で15兆円引き上げ、165兆円にすることを明らかにした。年度内に為替介入で使える残高は46兆円となり、過去最大規模になるという。 欧州の財政不安に端を発した円高が長期化するなか、「(円売りドル買いの為替介入を実施するため)十分な余力を持ち、必要な場合には断固たる措置を取る」(安住財務相)として、積み増しを指示した。 またこれに合わせて、9月末までの予定だった為替トレーダーの持ち高報告を12月末まで延長し、投機的な動きへの監視を強化する。 今回の介入規模が10兆円とすると、残りは36兆円となります。来年3月末までに、これだけの資金を投入することができるのです。米国への手土産として、10兆円規模の為替介入が3回ほどできる計算です。自分たちの権力維持のために、タイミングを図りながら今後も為替介入すると思われます。 こうした大盤振る舞いに納得する日本人は、輸出関連企業を除けば殆どいないでしょう。(円高は、基本的に国民の利益になります) 安住氏は、自分の金で納得するまで介入すべきで、国民にツケを回した挙句に大増税を行うのは人間のすることではありません。背後に控える財務官僚も、国民の間に鬱積する怒りを軽視し続けると、いずれ臍(ほぞ)を噛むことになるでしょう。 |