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TPP反対派は、高校の政治経済レベルの経済学も理解していないことが多い。
その典型が内田樹氏の「グローバリストを信じるな」というブログ記事である。
彼の「すべての原発の即時停止と廃炉」を求める記事が事実誤認であることは前にも指摘したが、この記事も間違いだらけだ。
彼はこう書く:
『「なぜアメリカがこれほど強硬に日本のTPP参加を要求するのか?」という、アメリカの行動の内在的なロジックを冷静に解析した記事をメディアで見る機会はほとんどない。』
「アメリカが強硬に日本のTPP参加を要求」しているというのは、何を根拠に言っているのだろうか。
たとえばNYタイムズで"TPP"を検索すると、2件しか出てこない。
その一つでBergstenは「大統領も共和党もTPPに関心をもっていない」と嘆いている。
アメリカにとってTPPは、小国を相手にしたローカルな通商協定にすぎない。そこに主要な輸出先でもない日本が入って来ても来なくても、どうでもいいのだ。
さらに内田氏は、こう書く:
『貿易において一国が輸出によって大きな貿易黒字を得る場合、その相手国は輸入超過となって貿易赤字が増えることになっている。ふつうはそうである。貿易では(グローバリストの好きな)Win-Win はない。片一方が黒字なら、片一方は赤字になる。』
これは高校の答案でも落第である。これもクルーグマンの教科書から引用しよう。
『アメリカでは1000万本のバラを栽培しているが、これに使う資源で10万台のコンピュータを生産できるとしよう。他方、南米では同じ資源で3万台のコンピュータしか生産できないとする。アメリカでバラの生産をやめて全量を南米から輸入したら、南米のバラの生産は1000万本増えてコンピュータの生産は3万台減るが、アメリカではバラの生産がゼロになってコンピュータの生産が10万台増える。つまり世界全体では、バラの生産量は変わらないが、コンピュータの生産量は7万台増える。』
各国で生産費が異なるときは、相対的にコストの安い財に特化して輸出することによって世界全体の生産量が増え、双方の国が利益を得るWin-Winが実現するのだ。
これがリカード以来知られている(そして内田氏の知らない)比較優位の原理である。
日本のような製造業に比較優位をもつ国が農産物に高率の関税をかけて農業を保護するのは、製造業を犠牲にして世界経済を収縮させているのだ。
このとき貿易黒字になるか赤字になるかはどうでもよい。黒字は対外債権、赤字は対外債務だが、企業が債務をもっていても返済できれば問題ないのと同じである。
輸出するのは輸入の代金を払うためであり、輸出代金をためこんでもしょうがない。そのように外貨を稼ぐこと自体に意味があると錯覚するのが、アダム・スミスも批判した重商主義である。
この記事には、この他にも誤りがいっぱいあるが、以上で十分だろう。内田氏のようにスミスやリカードも知らない17世紀の住人には、何をいっても無駄である。
(http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51752213.html)
[コメント]
>TPP反対派は、高校の政治経済レベルの経済学も理解していないことが多い。
一刀両断ですね。
しかしTPP反対派は反論できないでしょう。
上記の通り、比較優位の原理からもTPPには有効性があるのです。
TPP反対派の根っこをたどっていくと、農水族議員や農水官僚にたどり着きます。
農水既得権益を死守しようとする、こういった連中に騙されないようにすることこそが重要なのです。
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