36. 2011年10月30日 16:43:51: EdQPz6WR3w
松下幸之助氏が「無税国家論」を唱えていたことは、よく知られています。この理想を実現するために作られたのが松下政経塾で、その卒業生は当然、幸之助氏の理想を胸に刻んでいるはずです。 ところが、塾内で実際に行われているのは演説の練習ばかりで、当初の精神は忘れ去られているようです。このため、卒業生たちは多少のディベート力を備えているものの、中身が何もないのです。(ディペートというのは、昔風の言い方をすれば、口応えの練習をすることです) 現在の民主党議員の中には、この松下政経塾の出身者が多く、28名に達しています。代表的なメンバーを挙げると、野田佳彦(1期生)、松原仁(2期生)、樽床伸二(3期生)、原口一博(4期生)、玄葉光一郎(8期生)、前原誠司(8期生)、福山哲郎(11期生)らで、錚々たる顔ぶれですが、口先だけと言われる人たちばかりではありませんか。 一番問題すべきは野田佳彦氏で、この人は1期生ですから、松下政経塾の草創期の息吹に触れているはずです。それなのに「無税国家」どころか、恐らく日本始まって以来の「超重税国家」を目指しているのですから、あの世の松下幸之助氏も呆れ果てているでしょう。 民主党政権は今や、自民党をも超える民衆抑圧・対米従属政権に成り下がってしまいました。最悪の宰相とされる小泉純一郎総理さえ凌駕する可能性もあります。「キャビア左翼」の菅前総理も酷かったですが、自己顕示欲が強く、都合が悪くなると保身に走ったりと俗人根性丸出しだったので、解り易いキャラクターでした。 ところが野田総理の場合は八方美人で、権力を笠に着たりしませんが、決して本心を表しません。突然NHKの報道番組に出演し、何を言うかと思ったら、懸案事項について皆と議論を重ねて解決して行きたいと優等生の回答に終始していました。TPPについても、これから議論して参加するかどうか決断すると述べていましたが、既報の通り、参加は決定済みで、そのためのスケジュールも出来上がっています。 従って、野田総理は、完全にロボット化していて黒子の指図通りに動いているか、完全な嘘つきかのどちらかです。恐らく両方なのでしょう。野田氏も政治家ですから、主義主張は持っているはずです。国民を欺いてでも、それを実行して行くのが自分の使命だと考えているに違いありません。しかしその主義主張は、余りにも国民の利益に反しています。 産経ニュースは、昨日付の記事でこう報じています。(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111021/plc11102101370002-n1.htm) 5つの対米公約表明へ TPP、武器輸出三原則… 来月の日米首脳会談 野田佳彦首相は、11月のオバマ米大統領との首脳会談で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加や武器輸出三原則緩和など5つを「対米公約」として早急に実現に移す考えを表明する方針を固めた。複数の政府高官が明らかにした。日米最大の懸案となっている米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に進展の兆しがない中、米側がかねて要求してきた案件をすべてのまざるを得ない状況に追い込まれた。 首相が表明する「対米公約」は、(1)TPP交渉への参加(2)武器輸出三原則の緩和(3)南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊派遣(4)牛海綿状脳症(BSE)問題を機に実施された米国産牛肉輸入規制の緩和(5)国際結婚の子の親権に関するハーグ条約加盟−の5つ。 首相は、11月12、13両日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に際し行われるオバマ大統領との会談で、5つの案件を早急に実現する考えを表明した上で、安全保障・経済の両面で米国との関係強化を打ち出す。 オバマ大統領は9月21日に米ニューヨークでの初の首脳会談で、普天間移設について「結果を求める時期が近づいている」と不快感を表明した上で、TPP、牛肉輸入規制、ハーグ条約加盟の3案件を挙げ「進展を期待する」と迫った。 普天間問題では、名護市辺野古に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書提出以上の進展が望めないだけに、首相は、TPPなど3案件に、かねて米側が求めてきた武器輸出三原則緩和と南スーダンPKOを「おまけ」に加えることで、オバマ大統領に理解を求める考えだという。 加えて、オバマ大統領は来年11月の大統領選を控え、高失業率や反格差社会デモにあえいでおり、協調姿勢を打ち出す好機だと判断した。米側が韓国を「太平洋安保の礎」と位置づけ、自由貿易協定(FTA)を推進するなど対韓関係強化に傾斜する動きに歯止めをかける狙いもある。 対米公約に武器輸出三原則緩和を加えた意義は大きい。戦闘機開発などで日本の技術への米側の期待は高く、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとの共同開発も可能となる。 一方、TPP交渉参加をめぐり民主党内は賛否が二分しており、首相が対米公約に掲げれば混乱に拍車をかける可能性がある。ハーグ条約加盟も、ドメスティック・バイオレンス(DV)からの母子保護などの観点から反対が根強い。 これはとんでもない話です。米国にすり寄るために、日米首脳会談で要求された3項目のみならず、相手が喜ぶ項目を二つ付け加えて対米公約にしようというのです。これらの5項目が悉く国益に反することは、言うまでもありません。国民が対米自立を期待した結果、政権交代が起きたのですが、事態は正反対になっているのです。 この記事の中には、産経らしい情報操作が含まれています。「オバマ大統領は来年11月の大統領選を控え、高失業率や反格差社会デモにあえいでおり、協調姿勢を打ち出す好機だと判断した。米側が韓国を『太平洋安保の礎』と位置づけ、自由貿易協定(FTA)を推進するなど対韓関係強化に傾斜する動きに歯止めをかける狙いもある」と記していますが、これは意図的に解釈を歪めています。 オバマ大統領の再選が危ぶまれているなら、日本としては付け込むチャンスです。向こうが困っているのですから、頭を下げてやってくるのを待っていればよいのです。「トモダチ作戦」で恩義があるから、そんな冷たい仕打ちはできないというのが政府の言い分ですが、米国に恩義など感じていたら国家は滅亡してしまいます。米軍は、福島原発事故に介入したことで、第三次世界大戦のような事態が起きた際の練習になったと述べているのですから。 それなのに、こちらから迎合して救いの手を差し伸べようというのですから、奴隷根性もここに極まれりという感じです。そんなことをしても、属国だから当然とばかりに、米国は要求をエスカレートさせるだけでしょう。 米韓FTAに対抗して日米関係を深化させるべきだと言うに至っては、余り酷さに絶句します。以前に指摘した如く、米韓FTAは韓国側の完敗で、韓国の凋落は決定づけられました。米韓(及び日本)の当局者は、このことをよく知っています。それ故に、日本に5兆円もの金を出させることにしたのです。19日付の毎日新聞は、こう報じています。(http://mainichi.jp/select/world/news/20111019dde001010037000c.html) 日韓首脳会談:「通貨融通」限度額拡大を合意、5兆4000億円に ウォン急落受け 野田佳彦首相と韓国の李明博大統領は19日の日韓首脳会談で、国際金融市場の混乱時などに両国間で外貨を融通し合う通貨融通(スワップ)協定の限度額を現在の5倍強の700億ドル(約5兆4000億円)に拡大することで合意した。欧州債務危機の深刻化に伴う国際金融市場の混乱で、韓国では通貨ウォンが急落。ドルなど外貨不足への不安が台頭している。日韓両政府の合意はそんな不安の解消を狙うもので、李大統領は会談後の会見で「金融市場の安定化のために通貨協力の強化を図る」と述べた。 スワップ協定は、短期の外貨資金の流動性確保を目的に、互いの保有通貨を必要に応じて交換・融通し合う内容。今回の日韓首脳会談の合意に基づき、日銀と韓国銀行(中央銀行)は融通限度額を現行の30億ドルから300億ドルに拡大する。また、日本の財務省と韓国銀行の間でも300億ドルの融通枠を新設。韓国の要請があれば、日本の財務省は外貨準備を活用して、ドルを提供する。 日韓の間では、このほかアジアの多国間スワップ契約「チェンマイ・イニシアチブ」に基づく通貨融通枠がある。今回の合意分も合わせると、日韓の通貨スワップ枠の総額は700億ドルになる。【坂井隆之、大久保渉】 この取り決めが、韓国救済のためであることは明らかです。米韓FTAが本格化すれば、韓国は貿易代金が支払えなくなるので、韓国に代わって日本が米国に支払うということです。こんな大サービスをしたのに、韓国メディアは「ケチな日本が、予想を超える日韓通貨スワップ700億ドルを締結」と毒づいています。全くどうしようもない連中です。 それにしても、野田政権の米韓へのサービス振りは異様です。自国の被災者を放っておいて5兆円はないでしょう。野田総理の朝鮮式の水の飲み方が話題になっていますが、二代続けて在日政権となっているということであれば、狂った政策も理解できます。我々は、大変な時代に生まれ合わせてしまったようです。 |