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内閣総理大臣 野田佳彦殿
内閣官房長官 藤村修殿
抗 議 書
報道によれば、本年10月26日、衆議院内閣委員会において、藤村修官房長官は、平岡秀夫法相が死刑執行に慎重姿勢を示していることに関し、「野田内閣において死刑を廃止する方針はまったくない」と表明したとされています。
さらに、「最後の最後には悩み抜いて(執行する)、というのが法務大臣の役割だ。平岡法相にしっかりと自分の考え方を述べよと言いたい」とも述べた、ということです。私たちは、死刑制度をめぐるこの藤村修官房長官の発言に対し、強く抗議するものです。
民主党は、その「政策インデックス2009」において、次のように掲げています。
「死刑存廃の国民的議論を行うとともに、終身刑を検討、仮釈放制度の客観化・透明化をはかります。死刑制度については、死刑存置国が先進国中では日本と米国のみであり、EUの加盟条件に死刑廃止があがっているなどの国際的な動向にも注視しながら死刑の存廃問題だけでなく当面の執行停止や死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していきます。」
平岡秀夫法務大臣が、「死刑の在り方についての勉強会」の会合はもとより、様々な場で死刑執行について慎重な姿勢を示し、かつ、死刑制度に関する新たな国民的議論の場の構築を模索しているのは、まさに上記の政策インデックスを具体化するものです。さらに、法務大臣は死刑の執行を命じるために存在するものではありません。むしろ、日本の死刑制度が憲法さらには国際人権法に照らして様々な問題点を有していることが明らかとなりつつある現在、そのような制度下での死刑執行は停止することこそ、法務大臣に求められている職責です。上記の藤村官房長官の発言は、日本の死刑制度に対して内外から指摘される重大な問題点を無視し、議論を封じ込めると同時に、法務大臣に対して死刑執行への圧力をかけるものであって、断じて容認することはできません。
平岡法務大臣によるイニシアティブを見守り、死刑廃止をめぐる議論を行うための環境づくりを支援することこそ、内閣総理大臣そして官房長官の役割だといえます。
私たちは、藤村官房長官が、前記発言をすみやかに撤回されると同時に、国会において、死刑廃止に関する議論が展開されるための基盤づくりに努力されるよう、強く求めます。
死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク
死刑廃止を求める市民の声
NPO法人監獄人権センター
2011(平成23)年10月28日
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=1014
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死刑という刑罰が、「殺す」という刑罰である以上、これ以上残虐な刑罰は他にはない。 死刑判決では被害者を殺すことをおしなべて「残虐」だと非難しているが、被告をを殺すことは残虐ではない、という考え方は論理が破綻している。人を殺したものを殺す場合だけは、残虐ではないという主張は詭弁に過ぎない。人を殺すというやり口に違いはない。
死刑判決で、被害者を殺したことを持って残虐な犯行だと断定している以上、被告を殺すことも残虐な刑罰を禁じている、日本国憲法第36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」に、違反することは明白である。
まずは当面、死刑執行を停止し、その間に終身刑を創設し、その上で死刑の是非について国民的議論を活発化させるべきである。
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