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日本の新しいかたちを求めて。第2回日本の新しいかたちを求めた政治の検証。
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/249.html
投稿者 msehi 日時 2011 年 10 月 26 日 03:36:54: MaTW.8vfzXWdQ
 

投稿者msehi関口博之

今回は地域主権型道州制を掲げ日本の新しいかたちを求めた「みんなの党のアジェンダ2010」を検証することで、日本の新しいかたちの展望に繋げたい。

みんなの党が掲げる「アジェンダ(行動計画)2010」では、議員数の大幅削減や報酬の引き下げ、そして公務員の給与カット、さらに官僚の天下り禁止を大きな柱として、公務員の民間並みの給料、適正な競争原理を実現しようとする政策は、国民の求める的を得ている。

日本の議員報酬は欧米の平均水準の10倍を超えており(http://www.asyura2.com/11/senkyo119/msg/148.html)、公務員の給料平均年収は世界一で1029万円と跳びぬけて高く、国民平均所得の2,15倍である。
それは、ドイツの公務員が国民に奉仕する公僕であることから0,95倍と国民所得並となっているのに較べ、余りにも高い。(参照2005年10月日本総研公表資料)

しかし公務員を大幅に10万人削減し、21万人の小さな政府にする公約は、実現すれば公共サービスの低下は免れず、特に弱者にとっては深刻であり、国民の利益とは相反する。
何故なら2008年の公務員数は、人口1000人当たりの数がフランス40,8人、ドイツ34,5人、米国22,2人に対して、日本は17,5人で世界の最下位グループとなるほど少ないからだ。(総務省統計局「世界の統計2011」)

また「官から民へ」を前進するという民営化公約も、残っている公共資本が隈なく民間に切り売りされることを意味し、英国のように水道事業まで競争原理が最優先されていけば、公共サービスの低下だけでなく、安全性の点からも危険である。

そして本丸の経済政策では、日本開国宣言で例外なき規制撤廃を求める自由貿易推進を強く求めている。
開国によるさらなる輸出産業の発展によって、年率4パーセントの名目成長で、10年間で所得5割アップを目標としているが、全く裏付けももなく、過去の検証もされていない。
何故なら日本の輸出額は、2002年の52兆円から2007年には84兆円に6割以上という過去にない飛躍的な発展をしたにもかかわらず、、2002年の平均年収は389万円から2007年には逆に367万円に下がっているからだ。
しかも2001年から2006年までに国民の税金は5兆円増加し、さらに健康保険費や社会保障費も合わせて5兆円増加し、大部分の国民の暮らしは著しく悪化した。
それは、2006年に年間200万円以下の給与所得者が1000万人を超え、相対貧困者数でアメリカに次いで世界第2位の汚名をそそいだことからも明らかである。
さらにこの間国の負債総額(国債及び借入金残高)は、2001年の538兆円から2006年の832兆円へと巨額に膨らんでいる。(財務省資料)
このような多大な国民の犠牲のもとに、国民総生産は2001年の501兆円から2006年550兆円に増加し、大企業の収益はこの間平均52パーセント増加し、企業代表の報酬は85パーセント増加し、株式配当も159パーセント増加した。

こうした過去の検証をすれば、最早輸出産業がたとえ成長路線を回復したとしても、大企業や一部の金持ちだけが潤い、大部分の国民は自由貿易で賃金などのボトム競争が激化するこで、益々暮らしに困窮することは明らかである。
しかも現在「みんなの党」が強力に推し進めようとしているTPPは、アメリカが日本への輸出額を倍増することをアメリカ国民に約束していることから、日本の農業だけでなく、日本自体の壊滅となる公算も高い。

また政策の柱として掲げている「地域主権型道州制」は、権限、財源、人間を徹底的に地方に委譲することで脱中央集権を実現し、新しい国のかたちを求めている。
このキャッチフレーズからは新自由主義の中央支配を打破し、アンチ新自由主義の地域主権による分散型社会が連想される。
しかし具体的に検証していくと、日本を10ほどの分権国家に分割し(プランを作成した政策シンクタンクPHP総研案では12道州制)、中央から官僚を地方に委譲し、地方に委譲された権限や財源を使って官僚組織を肥大化させ、結果的には国の支配を強化する構図が見えてくる。
これは地域に築かれた巨大な国や県の外郭団体主導の利権構造が、小泉新自由主義政権の市町村合併の時のように、再び甘い汁を喰い尽くそうとしていることに他ならない。
市町村合併では、役場が新設されたかつての町や村でさえ現在は緊縮財政で苦しく、役場を失ったかつての町や村の衰退は目を覆いたくなるほど悲惨である。
そのような検証も全くせずに、再び数個の県を合併させて新しくつくる道州制地方政府は、官僚組織の地方への肥大化と、国税を喰い尽す利権構造の延命策と言っても過言ではない。
しかも地域での戦略はあらゆる規制を撤廃し、企業の農地収得を認め、企業による農業のビジネス化が柱である。
しかし「みんなの党」が同時に推し進めるTPPは、現在の主要農作物101種類の200パーセント以上の関税をゼロにするものであり、農業に素人の企業が利益追求を求めて参入しても成功する筈がない。
何故なら企業の農業参入で国際競争力を強化できるという主張は、幻想にすぎないからだ。
日本の農地がアメリカの農地に較べて100倍以上高く、労働賃金がアジアに較べて10倍近く高く、日本の農家の一軒あたりの耕作面積が1,9ヘクタールに対してアメリカ200ヘクタール、オーストラリア3000ヘクタールという違いのなかでは競争にならないからである。
企業が損失を出せば、たとえ損失があっても祖先伝来の田畑であることから兼業農家によって守られてきた農地も、企業の撤退によって益々荒廃が避けられない。

また国民主役を掲げる政治政策では、現在の民主党政権をエセ政治主導と呼び勇ましいが、官僚のサボタージュに遭えば、たとえ国家戦略スタッフに政治家や民間人を100人以上登用しても、50歩100歩にしか思えない。
内閣人事局に局長及び人事のエキスパートを外部から登用する案はそれなりに評価できるが、全ての省庁の官僚を敵にまわして、公正な人事を行うことは不可能に近く、官僚制度の抜本的な刷新なくしては、懐柔されることは眼に見えている。

また政治献金に関しては、政治家個人への企業・団体献金の即時全面禁止を掲げている。
しかし逆に個人献金の促進を求めており、小口献金を中心に全額所得税控除制度やインターネットを活用したワンクリック献金の推進を唱えている。
一見民主党よりもクリーンに見えるが、これまでも企業の社員名を使った無数の小口献金が繰り返されている実態からも、抜け道を合法化するものと見られても致し方ない。
すなわち個人献金であろうと、献金の裏には必ず見返りを求めるのが常識だからだ。
本当に国民主役の政治を求めるのであれば、全ての献金を禁止し、お金の掛らない選挙、政党活動の仕組みに変えていくべきだ。

また社会福祉政策では、病院崩壊を食い止めるために医療費を対GDP比で10パーセントを超える程度まで引き上げを掲げており、30パーセント弱の値上げである。
これは財源が不足するから値上げも止むを得ないとする官僚的発想であり、値上が続く医療費の支払いに苦しむ弱者の人たちに対して、思い遣りと配慮が全く欠けている。
確かに政策では社会的弱者に配慮した所得再配分を強化すると掲げている。
すなわち最終的に基礎年金や生活保障を統合した「ミニインカム」を創設すると公約している。
しかし実際の適用では、この支給を受け取るには銀行などの全ての開示で資産がないことが条件とされ、受給者に多大な屈辱を与え、しかも食べるのがやっとの最低限収入だ。

これらの政策の手本とされたドイツの社会民主党シュレーダー政権の「アジェンダ2010」(2003年)では、それまで32ヶ月の失業保険期間を過ぎても専門職が見つからない場合、無制限に前の職場での総収入の57パーセント(保険期間中は子供世帯で67パーセント)が失業扶助されていたが、そのような手厚い扶助がなくなり、「失業扶助」と生活保護にあたる「社会扶助」を「失業給付2」として一本化した。
しかも「失業給付2」は資産査定によって預金などが当局によって自由に調べられるようになった上に(申請者は屈辱感に耐えなければならず、資産が見つかれば受け取れない)、専門職者の給付額は10分の1以下に激減した例も決して珍しくない。(住宅手当などを除き旧西ドイツ州では月345ユーロ、旧東ドイツでは月331ユーロ)
このような恐怖のハルツ第4法によって、少なくとも2004年まで失業者でさえ豊かな暮らしをしていたドイツ市民は、ドイツ企業がEUで独り勝ちする程に利益をあげているにもかかわらず、一気に質が低下しただけでなく、今やドイツ市民の8人に1人が相対貧困者である。

さらに「みんなの党」の政策では、企業の要求に従って「派遣禁止法案」には反対であり、法人税を40パーセントから20パーセントへの減税を掲げている。
また裕福者の相続税の減税も掲げており、1パーセントの金持ちを生み出す新自由主義政策以外の何者でもない。

ドイツの市民を騙し、「アジェンダ2010」を遂行した社会民主党政権(正確には緑の党との連立政権)のシュレーダー首相の巧みな演説は以下のようだった。

「弱者対して強者が、病人に対して健常者が、老人に対して若者が責任を持つといった社会における連帯は、確かに美徳である。しかしその連帯のためには、発展するヨーロッパ社会での経済的成功が前提条件である」
„Solidarität in einer Gesellschaft - das Einstehen der Starken für die Schwachen, der Gesunden für die Kranken und der Jungen für die Alten - ist gewiss eine Tugend. Sie ist aber zugleich auch Voraussetzung des ökonomischen Erfolgs in den entwickelten Gesellschaften Europas.“

(シューレダー連立政権の7年間を通して強者は投資税や相続税などの大幅な減税によって益々豊かになり、弱者は著しい年金や失業給付金の削減よって益々貧しくなった。そうした現実にシューレダー首相はまったく目を向けていない。強者が経済的に成功すれば弱者へのおこぼれがあるというのは、新自由主義の常套句であるが、現実は強者の成功は多くの弱者の犠牲によって成り立っていると言えよう)。

「健康保険改革、年金保険改革、そして労働市場改革の法案成立はあくまでも改革過程の必要条件であり、始まりに過ぎず決して終わりではない」
„Der Gesetzesbeschluss - so begriffen bei der Gesundheitsreform, bei der Rentenreform, vor allen Dingen aber bei der Arbeitsmarktreform - ist die Voraussetzung für den Reformprozess; er ist der Anfang, aber keineswegs dessen Ende.“

(これは新自由主義の教義であり、新自由主義政権はつねに、しかも益々福祉予算や社会保障費の削減を求めている)。

それ故にドイツの国民はシュレーダー首相、そして社会民主党に裏切られたという思いは未だに強く、2009年の連邦選挙際ベルリンでは党首のポスターが破られたり、落書きが至るところで目立ち、結果も社会民主党は壊滅的な敗北であった。

次回は、今回の検証を通して見えてきた理想とすべき「日本の新しいかたち」について述べたい。  

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