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昨晩8時から放送されたBSフジの「プライムニュース」に斉藤元駐米大使が出演し、「TPP交渉参加後撤退論」について語った。
番組MCの設問が交渉に参加した後でも抜けられるものなのか?というちょっとズレたものだったが、斉藤氏は元外交官らしく原則論で、条約も協定も交渉結果に同意できなければ締結しないでいいものだと説明した。
そして、現段階で交渉に参加しないのも、交渉に参加した後に合意しないのも、国際関係に及ぼす影響は変わらないと語った。
一般論としてはその通りだが、交渉に参加する経緯を抜きに、離脱が国際関係に与える影響を云々することはできないだろう。
国民にはきちんと知らされていないとしても、政府は交渉の進捗度と一定の合意内容を知ったうえで参加を表明するわけだから、その時点ですでに形成されている合意内容について「国益に反する(気に入らない)」からといってサヨナラすれば、児戯に等しい外交と指弾され嘲笑を浴びることになり、今後の外交全般に大きな影響が及ぶことになる。
常識的に考えれば、日本政府は、自身が交渉参加を表明した時点で決まっている内容には、ケチを付けることも、それを理由に離脱することもできず、せいぜいのところ、合意に達していない事柄にモノ申す程度しかできないということになる。
斉藤元駐米大使は、半年先とか1年先に延ばすより早く交渉に参加したほうがいいと主張し、TPP交渉は「そろそろ最後に近づいているのかもしれませんよ」と交渉の進展状況を語った。
大手メディアも匂わせているが、日本が11月初めに参加を表明するかもしれないTPP交渉は、すでに最終局面を迎えているのである。
そういう状況を踏まえてか、斉藤元駐米大使も、昨年10月に菅首相がTPP参加に意欲を示したときからきちんと議論を重ねるべきだったと悔やんでいた。
オマケとして、官僚はきちんと準備をしていたが、政治(家)がやらないままずるずるここまできたというニュアンスの話もしていた。
斉藤氏が言うように、官僚機構は情報収集に余念がなかったようで、「TPP協定交渉の分野別状況」という資料を最近公表した。
それを読むと、斉藤氏が言ったように、TPP交渉が進捗し最終局面を迎えていることがひしひしと伝わってくる。
『物品市場アクセス』について「本年1月に各国間において第1回のオファー,3月に第1回のリクエストをそれぞれ交換し,現在,それらを踏まえて交渉が行われている。現状は各国のオファーとリクエストの内容について互いに理解を深めている段階にある」と書かれ、
『原産地規制』では、「第6回交渉会合の前(3月末)に品目別の原産地規則に関する各国の提案が交換」と交渉が頻繁に行われていることがわかり、
『貿易救済(セーフガード措置等)』では、「統合条文案に基づいた交渉が行われており」と交渉が最終局面にあることをストレートにうかがわせるような説明まである。
斉藤元駐米大使は、TPPは日本の今後を大きく左右すると言い、早期の交渉参加を主張していた。
しかし、日本の今後を大きく左右するほどのものに、交渉にもろくに参加しないまま加わらなければならないような状況で参加を表明すべきという主張は、(元)外交官として失格であろう。
幸か不幸か、日本は3月11日にM9.0の大地震に襲われ、巨大津波による大被害と原発3機が次々とメルトダウンを起こすという未曾有の大災害に見舞われている。
そのような状況のなか、「詳細な検討や議論ができていないので、現段階でTPPへの参加を判断することはしない」と国内向けに表明すればいいのだ。
これまで国際的にTPPへの参加を表明しているわけではないのだから、不参加表明は、国民に判断の理由と結論を示せば済む話である。
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