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国家的詐欺だ やらずボッタクリ 「支給は70歳から」なら、もう年金制度はやめろ! (週刊現代) 
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/207.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 10 月 25 日 07:45:53: igsppGRN/E9PQ
 

国家的詐欺だ やらずボッタクリ 「支給は70歳から」なら、もう年金制度はやめろ!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/23885
2011年10月25日(火) 週刊現代 :現代ビジネス


■何歳になってももらえない

 厚生労働省はついに「年金支給は70歳から」とする案を正式に示した。11日の社会保障審議会の年金部会で、厚生年金の支給開始年齢を68~70歳に引き上げ、その際の具体的スケジュールも提示したのである。元厚生省年金局数理課長の坪野剛司氏が語る。

「実は、私が厚生省にいた'80年代当時から、年金支給開始年齢を67歳ぐらいまで引き上げざるを得ないという議論はしてきました。ただ言いたいのは、制度を改正するならば、まず年金財政の将来的な収支をきちんと考え、シミュレーションを十数通りしながら時間をかけて議論し、70歳に上げる明確な理由をはっきり示すべきだということです。今回厚労省はそうした手続きや年金財政の見通しをまるで出さぬまま、『まず制度改革ありき』で改革案を提示した。これでは国民が納得しませんよ。支給開始年齢を『3年に1歳』ではなく『2年に1歳』ずつ引き上げる案もありますから、年をいくら重ねても年金がもらえない世代も出てきかねない。馬の眼前に人参をぶら下げて走らせているようなものですよ」

 まさに、何も与えず人から取り上げるだけのやらずボッタクリ≠セ。周知のように、厚生年金の支給開始年齢は現在60歳だが、再来年から1歳上がって61歳となる。以後、3年ごとに1歳ずつ上がり、2025年度には基礎年金(国民年金)と同じく、支給は65歳からとなることがすでに決まっている。この支給開始年齢をさらに遅らせたり、年齢引き上げのペースを速めたりする具体的な案は次の3つだ(年齢引き上げは68歳の場合)。

1.支給開始は65歳からとするが、3年に1歳ずつ支給開始年齢を引き上げるペースを2年に1歳と速める。

2.現在の3年に1歳引き上げるペースは維持しつつ、支給開始を68歳まで遅らせる。

3.2年に1歳ずつ支給開始年齢を引き上げ、最終的に68歳からの支給とする。

 1の案が採用されれば、現行の制度では63歳になると年金がもらえるはずの54歳('57年生まれ)より若い男性は皆、65歳になるまで支給がお預けとなる。

 また、2の案だと現在44歳以下の男性が68歳支給の対象となり、3の案が採用されれば、現在51歳の男性も、68歳になるまで年金が支給されなくなる。

 今回の支給年齢引き上げの唐突なニュースは、厚労省が提示するのに先んじてNHKで報道された。それも、厚労省の策略である。

「『年金財政は苦しいんです。自分たちはこんなに考えています』と訴えたいがために、厚労省は支給開始年齢引き上げの議論をNHKに報道させた。国民に『支給開始の引き上げは仕方がないことなんだ』と思わせる狙いがあって、これはもう脅し≠ナしかありません」(年金評論家で社会保険労務士の田中章二氏)

 大メディアに報道させ、国民の反応を見ながら、既成事実を積み上げて落としどころを探っていくのは官僚の常套手段である。そして気づいたころには、国民は外堀を埋められ、お上の命令に従わざるを得なくなる。これは国家的詐欺といっても過言ではない。

「10年前から平均寿命はそれほど変わっていないし、出生率はむしろ上がっている。世界経済の停滞こそが、年金財政を悪化させている原因です。株式はもちろん債券などに、現時点で厚労省が想定している利回りを確保できるような年金積立金の運用先がないんです」(前出・坪野氏)

 10/24公開『緊急特集 ヨーロッパ発「世界大恐慌」の可能性高まる世界経済「第2のリーマンショック」』の記事で明らかなように、欧州危機でユーロ安が進行し、外債や株での運用は今後もしばらく厳しい局面が続くと見られる。金融マーケットが現在以上に悪化すれば、支給開始は68歳ではなく70歳からにせざるを得ない。

■1400万円も減額される

 さて、そんな詐欺まがいの年金制度を信じ、長期にわたって掛け金を払い込んできた人たちは、これまでどれくらいの額を注ぎ込んできて、果たしてどれくらいの額を回収できるのだろうか。前出の田中氏に試算してもらった。

「年金は支給額も徴収率も何度も変わっていますし、ひと口に厚生年金といっても、等級ごとに30種類もあって、一般水準をはじき出すことはできません。そこで、様々な条件を取り払って、厚労省が厚生年金の支給モデルとしている、『夫が、平均収入月額36万円で40年間就業し、妻は専業主婦である』世帯を前提に、推定生涯賃金を参考にして算出しました」(田中氏)

 結果、次のような数字が導き出された。

●'61年生まれ、現在50歳の男性(夫婦)の場合

 推定生涯賃金を1億5000万円とする。厚生年金の一般被保険者の保険料率は16・412%だが、そのうち企業が半分負担するので、本人の負担分は8・206%。よって、1億5000万円×0・08206=約1230万円。

 これが、40年間で支払う厚生年金の保険料だ(ただし、妻が支払う国民年金は加算していない)。

 それに対して、もらえる年金の総額はいくらか。

 まずは65歳支給開始の場合。支給開始年齢から男性の平均寿命である80歳までの15年間、年金が満額もらえるとすると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて、月額23万1648円×12ヵ月×15年=約4170万円となる。

 これがもし70歳からの支給となると、10年間しか年金をもらえないので、約2780万円だ。65歳支給開始の場合と比べると、支給額は約1400万円も減る。さらに1人当たりの年金額は1390万だから、40年かけて支払った額1230万円から、約160万円しか増えないことになる。これほど効率の悪い利殖も他にない。

 社会保険労務士の北村庄吾氏は、40年間年金を支払い続ける若い男性をサンプルに試算してくれた。

●'91年生まれ、現在20歳の男性の場合

 20~22歳まで国民年金に加入し、23~60歳まで厚生年金に加入。標準報酬月額32万円、標準賞与44万円を前提とすると、年金の個人負担分は約1658万円となる。

 他方、支給が70歳からの場合、80歳までの支給総額は約1937万円。

「支払い総額に対して、もらえる額が279万円あまりプラスになっていますが、実際には会社が個人の支払い保険料と同額を国に納めるので、総計約3257万円を払っていることになります。それなのに国からは1937万円しか受け取れないのだから、実質は大きなマイナスでしょう。

 65歳支給開始の厚生年金受給者は80歳までに2818万円もらえますから、70歳支給開始時の1937万円と比べると、5年間の違いで900万円近くも減額されてしまう。個人で貯蓄や運用をしたほうが得ということになります」(北村氏)

■あまりに不公平

 自営業者が払う国民年金はさらにひどいと北村氏は指摘する。20歳から60歳まで毎月保険料を支払い続けると、59歳で払い終えるまでの総額は約811万円。対して70歳から80歳までの支給額は880万円で、約69万円しか変わらない。

 しかも、年金額の2分の1は国庫負担。つまりわれわれの税金でまかなわれているのだから、自分で支払った分で言うと、34万円しか増えていない計算になる。

「厚労省の試算は全く当てになりません。5年に一度、年金財政に関する見通しを発表していますが、'09年度版を見ると、現役男子の手取り収入は35・8万円、夫婦の年金支給額は22・3万円となっています。これが'25年には手取り収入51・9万円、年金支給額28・7万円となり、'50年には手取り収入96・2万円、年金支給額48・2万円になるという。右肩上がりの成長を前提にしていますが、今は世界経済が低迷状態にあるのだから、この想定はあまりに非現実的です」(北村氏)

 厚労省年金局の担当者に、支給開始年齢70歳への引き上げについて問うたところ、「年金は財政的に悪い状態を想定して見通しを立てている。年齢引き上げの議論は財政の悪化ではなく、あくまでも諸外国が開始年齢を引き上げているからだ」と答えた。非難の嵐の中で、支給年齢引き上げの議論がなし崩し的に進められている。日本年金機構関係者がその内幕を明かす。

「年金部会では、70歳への支給年齢引き上げ案にさまざまな反発があると聞いています。反対論者は『まるで逃げ水だ。問題を先送りにしているだけで、抜本的な改革になっていないじゃないか』と言っている。

 年金部会の委員もまた内心では、制度の根本を変えないといけないのに、その場しのぎの改革をやっても仕方がないと思っているようです。年金局長に、『小手先の改革をなぜやるのか?』と聞いたことがあります。すると、『とにかく直せるところから直していきたい』と答えるのみでした」

 厚労省のやり方はあまりに姑息。学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏は、

「支給を70歳からにしても年金財政は足りない。年金制度に頼るのではなく、個人で貯蓄をするなり個人年金を買うなどで、自分の将来を守らないと生きていけない時代になるだろう」

 と警告する。大和総研顧問の原田泰氏もこう述べる。

「私が言いたいことは、現行の年金制度を廃止せよということ。若者に納得のゆく結論は出ないと思いますから、支給年齢引き上げを話し合う会議はうまくいかないでしょう。若い人から保険料を徴収して、まだ働く高齢者に年金を給付するのは、あまりに不公平です」

 もう年金制度になんか頼らないから、これまで支払った分をいますぐ返してもらいたい。


「週刊現代」2011年10月29日号より

 

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コメント
 
01. 2011年10月25日 08:16:06: VbWAbFllIA
年金開始引き上げでも定年延長で公務員はますます安泰。

国家公務員の65歳定年延長が2013年から10年かけて
段階的に実施されることが人事院勧告で本決まりとなった。
国家公務員の60歳時の給与は平均で1000万。
60歳以上は3割カットで700万となる。
これは民間大手でも60歳以上ではほとんど無い高給。
恐らく電力会社の再雇用位だろう。独占東電の再雇用給与を参考にしたのか。

また700万は新卒を2人雇える金額。
これで2013年からの公務員採用は総人件費と職員数は増やせないので
しばらく半分以下になる可能性が大きい。
主要大企業も国の定年延長にシブシブ従うだろうから2013年からの
大企業の新卒採用も半分以下になるだろう。
中堅や新興企業は定年延長は無理で海外移転を加速する。
2013年から2025年卒業予定の新卒諸君は
ご愁傷様としか言えない。就職ウルトラ氷河期の到来だ。
新卒の半分も就職できれば恩の字になるだろう。
職のない若者が日本中にあふれる。
これで日本はますます少子化が進むことが決定。

また今後の超円高で公務員給与は先進国公務員に比べ益々高くなる。
一方で2025年には国の国債残高は1500兆円を超える。
公務員給与は益々上がる一方で国の債務は益々増えて行く。
日本では公務員待遇維持のための消費税大増税が必ず実施されることに
なるだろう。


02. 2011年10月25日 09:05:23: pZ4CHUghM2
いずれにしても取らぬタヌキの皮算数用だ。チェリノビリかベラルーシでは事故後平均寿命が73歳から55歳まで下落したそうだから、改悪を企む者もひっくるめて誰も受け取れないようになる。TTPになれば制度自体が潰され、高い外資の年金保険を買わなければならなくなる。

03. 2011年10月25日 09:31:52: P1iHy6E0FQ
このさいプール金をすべて清算、すべてを返金した上でマニュフェスト通り一律7万円、不足分は各自自己責任において行う、とでもしたら?とはいっても簿価の半分程度しかプール金が残っていなさそうなので、厚労省・財務省があせりまくって、必死に辻褄あわせを行っているのでしょうが?

04. 2011年10月25日 09:44:31: rWmc8odQao
浅野真氏
「「公的年金廃止論」はこれから大きな政策課題として壇上に上がってくると思う。集めたお金が棄損させられてもともと約150兆円あった年金積立金が60兆円位しか残っていないことが明らかになってきている。」
https://twitter.com/#!/makochan1969/status/128626010622136320

差額の90兆円は何処へ? 小役人のフトコロ? アメリカ政府? 運用の失敗で蒸発?


05. 牛 2011年10月25日 12:16:47: jOi4IBjstXzxo : pN6qEY5ZA6
年金ですが、皆さんは前提が間違っていると思います。
国民年金は、若い人が、老人を扶養するのを、たとえば、お小遣いなどを、
あげることを、年金で支給している、と考えなければいけないのではないでしょうか、今国民年金を、納めない人は、自分の親御さんに年金の受取りを拒否し、自分で、お小遣いをあげればいいのではないのですか。
厚生年金などは、働いたことに応じた、金額を、自分で受け取りすればいいので、
そのことについての、試算を、報じればいいのでは。

06. 2011年10月25日 15:10:03: vtaXSg5Mqs
年金は全額税で対応すれば良いだけのことだ。税とはそもそも国民の生命と財産を保全するために国が徴税権を行使しているものだ。その基本的な国の責務を「保険」方式で誤魔化してはならない。ましてや「積み立て方式」だとか「付加給付方式」だとか厚労省の企む屁理屈に乗らないことだ。すべてを税で補償し、保険料を徴収しなければ良い。それだけでどれほど無駄な公務員が削減できるだろうか。
 それだけではない、各種「保険」事業にまつわる各種団体職員や天下りも削減できることになる。その額や莫大なものになるはずだ。少々所得税や消費税を上げても、税で賄う方が遥かに効率的で国民平等となる。生活できる年金を国民すべてに与えれば良いのであって、より良い暮らしを望む者は個人で民間年金に加入すれば良いだけだ。

07. 2011年10月25日 15:48:57: GBngbvf836
>大和総研顧問の原田泰氏もこう述べる。

>「私が言いたいことは、現行の年金制度を廃止せよということ。
>若者に納得のゆく結論は出ないと思いますから、支給年齢引き上げを話し合う会議はうまくいかないでしょう。
>若い人から保険料を徴収して、まだ働く高齢者に年金を給付するのは、
>あまりに不公平です」

>もう年金制度になんか頼らないから、これまで支払った分をいますぐ返してもらいたい。

そのとおり。
払った保険料はすべて国民に返すべきだ。
その上で、ベーシックインカムや負の所得税といったより公平公正な基本所得保障制度を導入するべきだ。」

■いっそ「年金解体」して全サラリーマンに3000万円返還せよ! (週刊ポスト 2009/06/12)
http://www.psrn.jp/mail_info/post.pdf
「それまで払った保険料はすべて返却」に賛成します。

■原田泰「ベーシックインカムが貧困を解消する」について、
東浩紀が「今後の議論の起爆剤になるだろう」と今日の朝日新聞で評価。
http://twitter.com/hasshi5/status/14827146662
■原田泰「日本はなぜ貧しい人が多いか」読了。
使わない道路をつくって税金ばら撒くより
ベーシックインカム導入したほうが、いいよなってのは分かるハナシ。
http://twitter.com/yfujiyama/statuses/13490277809
■べーカム、あっというまにメジャー化したな。朝日新聞論壇時評にも書いたが、
中央公論6月号にもBI論文が載っており、これから論壇的にも議論が活性化するのはまちがいなさそう。
(東浩紀=早大教授・東工大特任教授)
http://twitter.com/hazuma/status/14934701344


■原田泰「ベーシックインカムが貧困を解消する」
雑誌『中央公論』2010年6月号に、大和総研専務理事チーフエコノミストの原田泰氏による
「ベーシックインカムが貧困を解消する」という論考が掲載されました。
これまでベーシック・インカムに積極的に言及する経済学者・エコノミストというと、
京都府立大学教授の小沢修司氏や、駒澤大学経済学部准教授の飯田泰之氏などがいましたが、
近年のベーシック・インカムに対する議論の高まりを受けて、より多くの経済学者の関心を集めてきているようです。
この論考のなかで原田氏は直接給付の財源はあると断言。その算出の根拠を明快に示しています。
給付水準の根拠などに異論のあるかたもいらっしゃるかもしれませんが、
まずはこの原田氏による財政コストの試算を基に、より活発な議論がおこるとよいのではないかと思います。
ベーシック・インカムに関心をもつ多くの方に、ぜひ参照してほしい論考の1つです。
http://blog.basicincome.jp/?eid=917737
■「ベーシックインカムが貧困を解消する ― 生活保護よりすべての人に基礎給付を」
原田泰(はらだゆたか)/中央公論2010年6月号
原田氏は、大和総研専務理事チーフエコノミストである。
エコノミストらしいエコノミストといったらわかりやすいであろうか。
経済の広い範囲にわたって発言のある人である。
この論の書き出しは、「これまでの日本の生活保障は、企業が中心になってきた。
しかし、日本の企業はそのような重荷に耐えかねるようになっている。
そもそも、企業とは利益を得て、税金を払う組織であって、そこに共同体的な役割を担わせようというのは無理がある。
むしろ、政府が直接、人々の生活を保障したほうがよいのではないだろうか」
これは、日本の企業の変化をよく捉えている。従来型の企業別生活保障を続けるならば、
日本社会には貧困にあえぐ人たちがたくさん生まれるであろう。それは既に実際に起こっている。・・・
原田氏の論考は、ベーシックインカムが財政的に実現可能であることを具体的な数字で示していることに意義がある。
負の所得税タイプとすべての成人タイプの二つの具体案がある。・・・
国家は貧困を解消できる、という力強い論である。
http://bijp.net/review/article/192

■政策としてのベーシックインカム論(1)
▼大和総研専務理事チーフエコノミスト・原田泰氏「ベーシックインカムが貧困を解消する」(『中央公論』2010年6月号)
1.BIの支給額は月額7万円、年額84万円。
2.支給対象年齢は20歳から64歳まで。65歳以上は年金があるのでBIの対象外。
3.主な財源は所得税。従来の累進課税を廃止して、一律30パーセントのフラット・タックスを採用。
4.所得税に対する各種控除(配偶者控除、扶養控除、基礎控除)も廃止。
5.未成年にはBIが支給されない代わりに、子ども手当は継続。
6.生活保護、雇用保険は廃止。その他の福祉費も半分に削減。
7.雇用対策としての側面がある公共事業や農業予算なども大幅削減。
http://philosopher.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-7fa3.html


08. 2011年10月25日 15:51:54: GBngbvf836
負の所得税が財源面で、もっとも現実的か。

■大人手当て=負の所得税の予算と財源 −財源はある(かも)!
現実性皆無のベーシック・インカムについてあれこれ考えるのは知的遊戯としては楽しいが、
そればかりというのもなんなので、今回は現実性がありそうな負の所得税について検討してみよう。
負の所得税のモデルはいくつかあるが、ここではミルトン・フリードマンが提唱したモデルを考えてみよう。
すなわち控除額と助成率を設定するモデルである。…
ただし、フリードマンが提唱した既存福祉を置き換えるモデルではなく、
既存福祉に追加する形でのモデルを考えてみよう。
これは既存福祉のレベルを置換した場合、福祉水準を切り下げることなく負の所得税を導入することが難しいためである。
もし置換するとしたらその対象は失業保険と生活保護、ということになるだろうが、
実務上失業保険との置換は不可能(月収単位ではなく、年収単位の話だから)だし、
現在の生活保護水準と同レベルの給付(月13万〜34万円程度、2割削減したとしても月11〜27万円程度)を行うのは難しい。
もちろんフリードマンは福祉削減の急先鋒なのでそのようなモデルを推奨するのだろうが、
当ブログ主はフリードマンのそのような側面が嫌いなため、あえて福祉や援助の「ごった煮」を目指そう。
さて、そのようなモデルとベーシックインカムとを比較した場合、負の所得税のいいところは財政に優しいところにある。
救貧制度と位置づけられるので全員に配る必要がなく、給付対象となる人であっても、
給付額が所得に反比例しているので一人当りの給付額も軽くてすむ。
また、そもそもの給付額自体もBIのような「最低限の生活費」という縛りがなく自由に設定できる。…
以下負の所得税に必要な予算について本当に大雑把な計算をしてみよう。
まず支給は世帯単位で、年金との二重給付を避けるため、現役世代限定としよう。
その代わり年金制度は残すものとする。
▼控除額の設定
救貧制度であるから、対象は年収300万円以下とする。
すなわち控除額は300万円。
実際は世帯人数に応じて控除額が増減することになるだろう(独身者は低く、4人家族は高くなるはずである)が、
ここではデータの不備と計算の簡略化のため世帯人数による補正は行わない。
一律300万円としよう。
可処分所得の目安はこれの80%程度と言われているので、約240万円である。…
▼助成率の設定
300万円以下の所得に対して、2万円の所得減に対し、1万円の給付をするとしよう。
すなわち助成率は50%に設定する。
具体的には、この給付額においては、年収300万円だと0円、年収200万円で50万円、
年収ゼロだと150万円の給付が為される。…
だが年金制度を残すことを条件に、支給は現役世代に限定しよう。
したがって、ここから高齢者世帯を除かなくてはならない。
高齢者で年金制度に加入していない人はここでは考えず、別の制度でカバーするものとする。…
これを先に試算した総世帯数から差し引きすると、年収300万円以下の世帯は、
世帯年収          世帯数
200〜300万円  434万世帯
100〜200万円  357万世帯
0〜100万円    139万世帯
存在することになる。
この世帯数を給付額と掛算すると総額は、
434万×25万円+357万×75万円+139万×125万円=
5兆5000億円
となる。
▼子ども手当が実現可能ならば負の所得税も実現可能
すなわち負の所得税に必要な予算額は5.5兆円である。
奇しくもこれは、子ども手当(全額で5.3兆円)と同程度の予算ということになる。
すなわち子ども手当が実現可能であれば、負の所得税もまた実現可能である!
http://d.hatena.ne.jp/ColdFire/20100206/1265421463
課税最低限300万円、助成率50%の負の所得税に必要な予算額は5.5兆円だから、
課税最低限や助成率を引き下げれば、さらに予算が少なくて済む。
控除額150万円、助成率40〜50%ならば、予算額は2兆円台くらいか。
これなら、ベーシックインカムよりかなり現実味がある。
天下り官僚の受け皿である独立行政法人など公益法人に毎年12兆円以上の税金が流れているので、
これを根絶すれば、この12兆円以上のカネを財源とすることができる。
もちろん、景気対策の一環として、国債の日銀直受けや政府通貨の発行といった財政拡大を伴う強力なリフレ政策を断行して、
財源をまかなってもよい。


09. 2011年10月25日 21:02:38: RMoMvoxyms
やめたら、新自由主義者や日本から金を巻き上げようとしている連中の思う壺だろうが。
「やめろ」じゃなくて、「ちゃんと支給しろ」と言えよ。

年金制度はベイシックインカムに発展させようぜ。


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