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「このままでは国が滅ぶ」と亀井氏、TPP交渉参加をけん制
2011年 10月 12日
高橋清隆
野田佳彦首相が「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)の議論を民主党内に指示したことに関し、国民新党の亀井静香代表は12日の党議員総会で「このままでは国を滅ぼす」と述べ、交渉参加に突き進む政府・民主党をけん制した。
党議員総会でTPP推進一色のマスコミを批判する亀井氏(左)と田中氏(2011.10.12、高橋清隆撮影)
亀井氏は「2国間の経済連携協議を重ねる中で検討すべきで、最初から大きな網をかぶせ、国と国との境界線をなくす絵空事ができる話ではない。日本だけが前のめりして交渉参加に乗り遅れてはいけないとやっているが、乗ってはいけないバスに乗ってはいけない」と交渉参加に反対する考えをあらためて示した。
昨年TPP交渉への参加検討を打ち出した民主党について、亀井氏は「この2年間、できもしないことをぶち上げてきた。結局できなくて、国民が政治不信に陥る繰り返し。癖、病と言っていい」とその体質に苦言を呈した。
マスコミについても、「相変わらず前のめりにやっている。小選挙区制もそう。あおりまくってきたくせに、今やってよかったと言っているか。言っていない。常にそういうことをやっている。そして市場原理主義をあおりまくって、米国と同じ格差が広がった。懲罰を受けないからと、戦前と同じ間違いをやっている」と記者たちを叱責(しっせき)した。
その上で、亀井氏は「政治家はマスコミに弱い。このままでは国を滅ぼす」と早期参加を促すマスコミとそれに乗る民主党を批判。「われわれは間違った波を越えていく政治の力を示していくしかない。閣議決定で大臣署名などできない」と自見庄三郎郵政改革・金融担当相と松下忠洋経産副大臣にくぎを刺した。
同席した新党日本の田中康夫代表は「『TPPは羊の皮を被ったオオカミ』と申し上げてきたが、金子勝さんや浜矩子さん、中谷巌さんなどもおっしゃるようになった。人間が普通に考えば、当たり前の話」と反対の広がりを強調。オバマ大統領が「立場分かってるよな」と野田首相に迫ったことに触れ、「暴力団排除条例に抵触しかねないどう喝だ」とやゆした。
野田首相は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに結論を出すことを目指している。党内議論を指示するに際、「結論ありきでない」と言い添えたと発表されているが、これを明かした10日に視察したのは、ブランド米で4年連続金賞を受賞している群馬県川場村の生産現場や28ヘクタールの大規模農場を持つ同県伊勢崎市の農業法人だった。このとき、農業法人に出資するファンドの創設などを盛り込んだ行動計画を月内に策定する考えも示している。
日本がTPP交渉参加国に入った場合のGDPシェアは米国が7割、日本が2割強、豪州が5%、残りの7カ国が5%で、実質日米の自由貿易協定(FTA)にすぎない。経産省に勤務経験のある中野剛志京都大学大学院助教によれば、TPPでの米国の輸出先は日本しかなく、日本の輸出は増えないという。
米国は輸出倍増戦略のためドル安を志向しており、日本がTPPに参加すれば、農業をいくら大規模化・法人化しても永遠に国際価格に追いつけない構図がつくられる。工業分野でも安い製品が流入してデフレに拍車がかかり、生活が壊滅状態になると予測される。安い労働力も外国から押し寄せることになる。
それにもかかわらず、日本新聞協会に加盟するマスメディアは申し合わせたようにTPP参加を宣伝している。朝日、読売、毎日、産経、日経が元旦の社説で早期交渉参加を主張したほか、NHKのニュース解説や民放の報道番組もその必要性を宣伝し続けている。
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