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大阪府幹部職員が爆弾証言「私の同僚は橋下徹府知事に追い込まれて自殺した!」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/23710
2011年10月23日(日) フライデー :現代ビジネス
11月府知事&市長W選挙に持ち込んだ独裁知事。その維新のウソを側近たちが暴く
大阪冬の陣が11月下旬に迫っている。テーマはただ一つ。「大阪を丸ごと、橋下徹という人間に任せてよいのか」。断片的に伝えられてきた気に入らない者は排除する性格。それを間近で見てきた側近たちが、告発≠ノ踏み切った---。
〈(大阪府)健康医療部の知り合いが申しておりましたが、橋下知事は自己愛性人格障害の典型だそうで、気に入られた者は死ぬまで働かされるし、憎まれれば、とことん放逐されるとのことで、そんな人への対処法は、注目を浴びないところでひっそりと生きていくのが一番〉
大阪・堺市の前市長・木原敬介氏(71)の元に、このほどこんな手紙が届いた。手紙の主は、「ある大阪府幹部」とだけしか言えない。橋下徹知事(42)による報復が想定されるからだ。木原氏は語る。
「このような内容の手紙は、これ以外にも何通か来ています。この手紙に象徴されるように、今の府職員の間に閉塞感があることは事実です。『注目を浴びないところでひっそりと生きていくのが一番』という空気は、要するに職員がやる気を失っているということ。橋下知事は掛け声だけは威勢がいいですが、結果は府職員のやる気をなくさせ、閉塞した職場を生み出す。その原因に、橋下徹という人間の『人間性』と『品格』が横たわっていると言わざるを得ません」
11月27日に想定される大阪府知事&大阪市長のダブル選挙に向け、橋下氏は動き出した。橋下氏は知事を辞めて市長選に出馬。そして自らが率いる「大阪維新の会」の松井一郎幹事長(47)を府知事選に出馬させ、大阪の中枢を丸ごと手に入れるのが狙いだ。理由は簡単で、橋下氏が進める新しい権力機構「大阪都構想」に反対する現職の平松邦夫市長(62)を追い出し、完全支配を目指すためである。
橋下氏に対抗して平松氏も出馬を表明し、にわかに選挙熱が高まる中で、ある書籍の出版が大阪政界の関係者の間で噂になっている。タイトルは『「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠』(講談社)。まだ発売されていないが、著者は「大阪の地方自治を考える会」で、前出の木原氏もメンバーの一人だ。他に阪口善雄前吹田市長、土崎敏夫元大阪市助役、本郷隆夫元大阪府副理事らが名前を連ねる。そう、これは橋下府政を間近で見てきた府や市の幹部が、実名で橋下府政の危なさを告発する警告の書である。
■〈もう限界です。疲れました〉
早くも大阪政界を中心に「橋下知事を裸にする書」として噂になりつつある『仮面の騎士』
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特筆すべきは、冒頭に紹介した橋下氏というトップの人材の活用についてであろう。警告の書には、こんな一節がある。
〈二〇一一年三月八日の大阪府議会総務委員会において、府職員(知事部局)の自殺者が一年間で六人に上ったことが明らかになりました。その直後に、七人目の自殺者が出たのです。それ以前の五年間では年平均一~二人でしたから、橋下府政になってからは異常な増加です〉
では、この増加は橋下氏というトップあってのものと言えるのだろうか。警告の書の存在が明らかになり、橋下府政の歪みについて告発≠オようという声が、少なからず出始めた。本誌もその一人と接触することに成功した。
以下は、 '10年10月13日に淀川で水死体で発見された商工労働部職員のN氏(享年51)が自殺に追い込まれるまでの詳細を知る府幹部職員の証言である。引き金になったのは、 '10年9月5~8日の橋下氏の台湾出張をめぐるトラブルだったという。
「知事は帰国した際、空港で記者団に『台湾の要人には会わなかった』と発言しました。ところが1週間後の9月14日、府の部長会議で知事が突然、商工労働部の杉本安史部長を捕まえて、激しく怒鳴ったのです。『中国に配慮してくれというのに、調整が悪かった。リスク管理ができていない』『自分は行く前にわざわざ台湾側に要人との会談をキャンセルするように謝罪に行った』。
台湾側というのは、台北駐大阪経済文化弁事処(大使館に相当)のことで、自ら要人との会談をキャンセルしてもらうよう謝罪しておいたのに、会談が組まれていたことに腹を立てたと言いたいのでしょう。しかし知事は、台湾で要人(経済大臣)と会っています。なのに記者には『会っていない』と発言した。
台北駐大阪経済文化弁事処のホームページに橋下知事が経済大臣と会ったという記事も出ているんですよ。そして1週間も経ってから突然、台湾の経済大臣と会う段取りが生きていたことを『リスク管理ができていない』となじったのです。この時の現場責任者が、参事だったN氏でした」
役人でないと背景が汲みにくい状況だ。この府職員は、理不尽な橋下氏の怒りについて、こう解説した。
「商工労働部長の杉本氏と関係の悪い別の幹部を引き立てるために、好き嫌いやその場の思いつきで商工労働部を攻撃する発言につながったんです」
結果的に、橋下氏の一喝で、現場責任者のN氏は叱責を受けた。警告本にはこう書かれている。〈知事自ら台湾側に謝罪して、要人との面談をキャンセルしていたにもかかわらず、現地入りしてみると面談が復活していたということになります。まったくもって信じかねる話ですが、自殺した生真面目な参事にとっては、「橋下知事に、ウソまでつかせた」と、自責の念に駆られるほどの大きな衝撃だったのでしょう〉。
ただし、N氏も官僚のタテ社会の中で、叱責を受けることなど初めてではないはずだが、精神的に追い詰められる出来事は、以前からあった。この府職員が言う。
「昨年の初頭、知事は台湾の時と同様、経済ミッションを組んでベトナムを訪れ、現地で『大阪経済セミナー』を開き、商談会を行っています。帰国後、部長会議でこう言い出しました。『私がベトナムに行って講演し、商談会をやって、その商談の件数の報告が上がってきているが、商談の件数ではなく、契約金額を出してください』。
外国に行って、その商談が成立するかどうかは、2~3年経たないと分からないのが普通で、府職員がものを売るわけではありません。地元の企業なり間に入った商社が行うものです。知事の発言は、ある意味絶対で、N氏は急遽積み重なった難題に悩み、精神的に追い込まれていきました」
N氏の役所の机から見つかった遺書には、こう書かれていた。〈仕事上の課題・宿題が増え続け、少しも解決しません。頑張っても頑張っても出口が見えない。もう限界です。疲れました〉。
証言した府職員は国際交流室のK氏(享年52)の急死についても触れた。K氏の場合、昨年8月に入院した病院で「急性骨髄性白血病」と診断され、入院から1週間後に亡くなっている。
「マスクをして『夏風邪だ』と職場を走り回っていましたが、もっと早く病院に行っていれば、と悔やまれてなりません。今の府庁には簡単に休暇を願い出られる空気などありません。Kさんはそんな府政の犠牲になったのです」
〈要は、知事に直言する上司が皆無であることが最大の原因です。知事は常に「部長級、次長級は、政治任命だ」と公言していますから、「逆らえば飛ばされる」「歯向かえば潰される」。物言えば唇寒し……なのです〉(『仮面の騎士』より)
■「汚ないものでも引き受ける」
9月末、橋下氏は自らの手足である維新の会に、職員を相対評価し、最下位ランクが2年連続になると分限免職の対象とするなどの「職員基本条例案」と「教育基本条例案」を府議会と大阪市議会に提出させ、大阪市議会で否決されると、教育委員会を仮想敵に設定し、「条例をダブル選挙の争点にします」と息巻いた。本誌に告発した府職員が嘆息した。
「自分は市長選に出馬するのでしょう。9月府議会は12月まであり、条例を今議会で決めるということは、その頃、橋下氏は知事ではないわけです。その場、その場で思いついたことを言い、後はどうなるか分からない、結局、言ってることは矛盾だらけ。後出しジャンケン以外の何物でもありません」
ダブル選に向け、自民党大阪府連の谷川秀善会長が、参院議員の丸山和也氏(65)に府知事選出馬を打診した。橋下氏も丸山氏もともに弁護士で、ともに話題の島田紳助が司会をしていた『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)への出演経験がある。話題づくりの臭いが鼻につくが、これでダブル選にお祭り≠フ要素が加わったことだけは確かだ。
〈政令指定都市であり、大阪府と同等の予算権限と予算規模を持ち、大阪府の意向に従おうとしない大阪市を解体し、府と市を一体化して、強力な権限と財源を併せ持つ「大阪都=ONE大阪」を生み出そうとしているのです〉(同書より)。
では、権限を集中させた橋下氏が何をするのだろう。何度か口にしたカジノ構想か、商工ローン「シティズ」の顧問弁護士を務めた彼らしく、法定より高い金利でもカネを貸せる「貸金特区」か---。いずれにせよ、「大阪は汚いものでもなんでも引き受ける」という橋下氏の理念に即したものになるのだろう。
警告の書が伝える現実は、橋下氏がクーデターを誘発するマネを繰り返した挙げ句、最後は行政機能が停滞するというオチ。いくら大阪人でも笑えやしない。
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