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関税をゼロにしても消費は増えない。・・・消費者の懐具合しだい。
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2011年10月20日木曜日 :(政経徒然草)
「TPPやFTAが輸出を増やす。それにより雇用が増える。」
というメリットばかりを唱える経済界やマスコミ、政府関係者だが自国の現状を見つめ直した方がいい。
どこの国においても同じことだが、特に耐久消費材においては、「欲しい新商品がある。」「買い替え需要」が購買の動機の主なものだ。
お金が山ほどあれば別だが、後は懐具合次第である。
先進国では、所得の2極分化が進み、国民の一部の階層を除けば国民の可処分所得が減少している国がほとんどだ。またその一部の金持ち階級も株安などで資産が減少しているのが現状だ。
逆に中国などの新興国と呼ばれる国々は全体的に国民の可処分所得が増加している。
では、現状のような状況下では、購買活動にどのような影響があらわれるのだろう。
日本の車業界を参考に考えてみよう。
日本の新車販売台数は2003年以降2010を除いて前年比でマイナスである。
2003年に403万台あったものが2009年には292万台まで下がっている。
2010年はエコカー減税などで買い替え需要を喚起したため、323万台まで戻したが、2011年は前年比75%近くまで下がっている。
「若者の車離れ」などの要因はもちろんあるが、一番の要因は「買い替え期間の延長」にあるらしい。国民の所得が伸びている時代は平均で約3年ぐらいで車を買い換えていたものが、現在では、その倍の6年ぐらいにまで延びているそうだ。
新車の販売台数が落ちるわけである。
このことは家電製品などにも当てはまる。
残念ながら先進国と呼ばれる国々の国民の可処分所得は、緊縮財政の影響もあり、ここ当面、下がることはあっても上がることは無いだろう。
ということは、少なくても自動車や電化製品などの耐久消費財等の買い替え期間が短くなることは無さそうである。
アメリカとの貿易においても現在のアメリカの経済状況を見る限りにおいては数%の関税が0になったら日本の輸出が増加すると考えること自体にかなり無理がありそうだ。
逆に製品の輸入が増加する場合の影響も考慮しないとトータルでのプラスマイナスは判断できない。
たとえば円高と0関税で輸入車の価格は大幅に下がる。たとえば日産の完成車が逆輸入される場合などが想定される。(というか、そうなりつつある。トヨタの商用車などでも同様の傾向がある。)
ということはそれだけ国内生産の車の販売台数が減少することになり、むしろ雇用は減少する。
農産品の一部を除けば、日本は世界でも有数な「開かれた国」であり、「乗り遅れる」という言葉には違和感がある。
韓国と比較し「日本がFTAなどで遅れをとっている。」という批判があるが、これは大きな誤解で、交渉相手国の関税が日本より高いために相手国が決断できないでいるというのが本当の理由である。
FTAなどが国内の景気回復や雇用の増加にすぐに効果があるとは考えられない。そうであるならば、喫緊の国内の景気対策、とりわけ震災復興、原発事故の処理に集中すべきではないか。
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