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環太平洋パートナーシップ協定・TPPのことを調べれば調べるほど、日本がこの交渉に参加する意味が分らなくなる。だから【第二の開国】などと美辞麗句を並べないと、国民を騙すことができないのだろう。新しい枠組みを作る会議に参加しないと、日本の言い分が通らないとか、参加しないと世界の孤児になるとか言う。では参加しない中国やインド或いはカナダ・メキシコは世界の孤児なのか?
TPPを【関税の撤廃】と誤解し、米の自由化と捉えるから、民主党前原政調会長のように、「TPPについて反対しているのは農業が心配だからだろう。今の脆弱な農業では生き残れない。農業に関わる労働力の割合1.5%のために、他の98.5%が犠牲になっている」などと、農業問題だけに矮小化して語る。だが、TPPに参加したら、他の分野で、日本にどのようなメリットがあるかを語ることは出来ない。
これに対しTPPに批判的な民主党の川内博史議員は、「TPPは、貿易ではなく、【非関税障壁の撤廃】にこそ、その目的がある。国民生活を守る為に定められている法律や規制、技術基準、規格、表示など、あらゆる分野において米国の利害関係者、即ち米国企業が影響力を、正式な会議の場で行使できるようになる。資本の論理そのものになる。公正さが全く無くなる」と、その本質をはっきり指摘している。
具体的にどう云うことが起こるか。コンニャクゼリーを喉に詰まらせる窒息事故が頻発した時、政府は再発防止策として、形状や表示などの改善をメーカーに要請した。だが、TPPに加入すると、安全のため、「こういう表示をして下さい」という指導を政府がすると、外国メーカーは「それって非関税障壁です。国が企業を弾圧するのですか!裁判だ!」となる。そしてアメリカの弁護士が登場してくることになる。
こういう瑣末なことだけではない。新聞には全く書かれないが、日本の文化が破壊される。その先駆けの象徴が、商店街のシャッター通りである。日本経済はここ20年以上の間、外圧により多くの規制緩和を行なった。その一つが大規模小売店舗立地法である。大型スーパーの出現により価格破壊は進んだが、地域社会を支えていた中小小売業は廃業へと追い込まれ、多くの中小都市の中心街はゴーストタウンとなった。
シャッター街とTPPとは関係ないと、反論するだろう。確かにその通りであるが、TPPに加入することは、日本の社会がアメリカナイズされることだ。その点では、全く同じことなのだ。シャッター街の出現は、国民年金の中核を占める「父ちゃん・母ちゃん」から仕事を奪った。そして国民年金制度の崩壊を招いた。TPPへの加入により、次は日本の国民皆保険制度がアメリカの保険業界によって崩壊される。
アメリカの保険会社にとって、日本の国民皆保険制度は商売の邪魔である。そこで日本政府に国民皆保険制度を廃止せよと、世界銀行の中に事務局がある「国際投資紛争解決裁判所」に訴える。この裁判所の判断基準は、自由貿易に則っているかどうかだけで、日本の国民の福祉などは関係ないのである。その結果、日本政府は賠償金を支払い、国民は高い保険料を支払わなければ、健康保険に加入できなくなる。
このように、日本の法律や制度より【非関税障壁の撤廃】の方が優先するのがTPPの本質である。日本の国会で議決された法律・制度などが、外国人・企業によって否定される。これでは独立国ではない。経団連がTPPに加入しないと輸出産業に悪影響があると言う。それは嘘ではないが、それよりも大企業が海外に進出した場合、外国の非関税障壁を排除できるメリットの方が大きいのである。
TPPへの加入は、国内社会・国民生活にとって、大きなメリットはないと断言できる。それしても不思議なのは、TPPに表向き反対を掲げているのが、農業関係者だけだと言うことだ。労働組合は「海外から低賃金労働力が大量に入ってくる」のを、建設業界は「公共工事が安い外国人労働者を雇う海外企業との競争になる」のを、消費者団体は「食の安全が脅かされる」のを黙って見ているのだろうか。
そもそもTPPとは何かを、政府は明らかにしていない。前原氏が農業問題に矮小化し、玄葉外相が40億人の市場などと言うのは、彼らが何も知らないことを自白しているのと同じである。会議に参加しなければ条約を教えてくれないとか言う者もいるが、国際社会にオープンにできないような条約なら、公平・公正であるはずがない。そんな会議に参加する必要はないだろう。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=116166
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