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米韓FTAの驚くべき内容(教えて!斎藤さん 気象予報士斎藤やすのりBLOG)
http://www.asyura2.com/11/senkyo120/msg/797.html
投稿者 SOBA 日時 2011 年 10 月 19 日 11:02:55: LVbi13XrOLj/s
 


(転載始め)

2011年10月18日
米韓FTAの驚くべき内容(教えて!斎藤さん 気象予報士斎藤やすのりBLOG)
http://saito-san.sblo.jp/article/48971807.html

昨日から国会に来ています。国会は20日からですが、開会前にTPPの議論が党の政調会や議員同士の勉強会で行われているからです。野田総理がTPP交渉参加を”表明したい”というAPECまで後、1か月。ここに来て、遅まきながら政府から情報が開示されるようになりました。
とは言え、政府は相変わらず、「情報がないのでわからない」、「交渉の席についてみないとわからない」、「米国の要望事項は不明」など中身はよくわからないというのが現状。誰かがTPPおばけがどうのこうの言っていますが、まさにTPPは中に入ってみないとわからない「TPPお化け屋敷」。

しかも、このお化け屋敷は一回、中に入ると抜けられないのです。けさ、外務省に「お化け屋敷に入ってみたら、やっぱり怖いので、抜けさせてくれと言えるのか。実際、多国間交渉で途中で抜けた例はあるのか?」と質問したら、「外交交渉上はまずい。国会で批准を認めないなら別ですが…」と外務省。

いま、一番やらなければいけないのは「TPPに入るメリット」と「入った場合のリスク・最悪のシナリオ」、「日本として妥協してはいけないポイントはどこか」、この3つ。ところが、この3つとも政府から示されていないので、私たちは”慎重派”は、「APECがあるからと言って、結論を急いではいけない」、「いまのような情報がない段階での交渉参加は許すことはできない」と声を上げているのです。

情報がない中で、ひとつの目安というか、モデルになるのが、米韓FTAの二国間交渉。間もなく、国会で採決されて、批准されるFTAです。国内の報道でも「米韓のFTAで日本の産業界は遅れを取ることになる。だから、日本はTPPの加盟を急げ」というようなニュアンスの報道が盛んにされていますが、昨日、きょうと米韓FTAの実態を知り、私は恐怖感すら覚えたのです。なぜ、恐怖感を覚えたのか。

きょう、私が事務局を担当している「TPPを考える国民会議」が米韓FTAの研究をしている北海道の酪農学園大学のユウキョンヒ准教授を招き、講演をして頂いたり、政府側からレクチャーを受けたりした中で米韓FTAの恐るべき中身が見えてきたのです。その中身を箇条書きすると。

○韓国の国家予算は日本の10分の1であり、人口も少ない。2大財閥の現代とサムソンの2社がGDPの40%を占めている。韓国はGDPの7割が輸出入を占めている典型的な外需国で対外貿易の依存度が極めて高い(日本は2割程度)。だから、韓国と日本を同じポジションで比較してはいけない。

○米国が締結した直近のFTAは米韓FTAであり、米国は米韓FTAをTPP交渉で目指すハイレベルな先進事例として活用するだろう。

○韓国政府はFTA交渉の過程で、この協定はメディアを通じ「農業VS工業」であるかのように矮小化しえきた。それは今、TPPの交渉参加を念頭にしている日本でも行われている。韓国でも事前に医療、福祉、教育には影響がないと盛んにプロパガンダされていた。ところが、蓋を開けてみると、医療、福祉、教育の規制が次々、緩和され、「話が違うよ」ということになっている。以下、その事例。

○医薬品分野において米国の要求が丸呑み。FTAにおいて「医薬品・医療機器委員会」を設置することが合意され、米国の医療機器輸出に対して規制を加えることが非常に困難になっているし、高額医療の負担が国民に帰結すると懸念されている。また政府による医薬品の許可の遅延で発生した損害は米国企業に補償を行わねばいけないし、米国のメーカーは自社の薬価が低く決定された場合、これを不満として政府に決定の見直しを求めることが可能。つまり、国が主体的に薬価を決めることが困難に。

○農協、漁協、労金の保険販売や韓国郵政の保険業務を韓国政府の金融監督委員会の規制下に置き、同種の民間保険と同一のルールを適用せねばならない。また韓国郵政は保険に関する新商品の販売を禁止する。

○自動車は排出量基準、安全基準について米国産に対して適用を一部免除。米国が韓国製トラックに課している25%の関税は8年間存続させる一方で、韓国の米国製トラックに対する関税は直ちに廃止。小中型車の韓国国内の税率は据え置きで大型車は減税(国内制度を変更させられる)

実は韓国内の中でFTAの情報が極めて少ない。以下の文章はユウ准教授の著書から抜粋したもので、ネットでも流れている。ユン准教授が条文をはじめ、様々な文献や議員、政党から調べて整理をしたもの。私はこれを読んで愕然としたのである。

(1)サービス市場開放のNegative list:
サービス市場を全面的に開放する。例外的に禁止する品目だけを明記する。

(2)Ratchet条項:
一度規制を緩和するとどんなことがあっても元に戻せない、狂牛病が発生しても牛肉の輸入を中断できない。

(3)Future most-favored-nation treatment:
未来最恵国待遇:今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米にも同じ条件を適用する。

(4)Snap-back:
自動車分野で韓国が協定に違反した場合、または米国製自動車の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと米企業が判断した場合、米の自動車輸入関税2.5%撤廃を無効にする。

(5)ISD:Investor-State Dispute Settlement。
韓国に投資した企業が、韓国の政策によって損害を被った場合、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できる。韓国で裁判は行わない。韓国にだけ適用。

(6)Non-Violation Complaint:
米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなくても、米国政府が米国企業の代わりに、国際機関に対して韓国を提訴できる。例えば米の民間医療保険会社が「韓国の公共制度である国民医療保険のせいで営業がうまくいかない」として、米国政府に対し韓国を提訴するよう求める可能性がある。韓米FTAに反対する人たちはこれが乱用されるのではないかと恐れている。

(7)韓国政府が規制の必要性を立証できない場合は、市場開放のための追加措置を取る必要が生じる。

(8)米企業・米国人に対しては、韓国の法律より韓米FTAを優先適用
  例えば牛肉の場合、韓国では食用にできない部位を、米国法は加工用食肉として認めている。FTAが優先されると、そういった部位も輸入しなければならなくなる。また韓国法は、公共企業や放送局といった基幹となる企業において、外国人の持分を制限している。FTAが優先されると、韓国の全企業が外国人持分制限を撤廃する必要がある。外国人または外国企業の持分制限率は事業分野ごとに異なる。

(9)知的財産権を米が直接規制
  例えば米国企業が、韓国のWEBサイトを閉鎖することができるようになる。韓国では現在、非営利目的で映画のレビューを書くためであれば、映画シーンのキャプチャー画像を1〜2枚載せても、誰も文句を言わない。しかし、米国から見るとこれは著作権違反。このため、その掲示物い対して訴訟が始まれば、サイト閉鎖に追い込まれることが十分ありえる。非営利目的のBlogやSNSであっても、転載などで訴訟が多発する可能性あり。

(10)公企業の民営化

皆さん、こんなの飲めるわけないですよね。
posted by 斎藤さん at 21:54| 日記

(転載終わり)


データ:
斎藤 やすのり衆院議員(民主党、衆議院 / 宮城2区 / 1期 )
http://www.dpj.or.jp/member/3525/%E6%96%8E%E8%97%A4%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%AE%E3%82%8A
 
 
 
 
 
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コメント
 
01. 2011年10月19日 12:21:33: FUviF2HWlS
米国の日本に対する侵略意図が明確になり、日米同盟は事実上終了したことが確定した。

米国はハル・ノートを日本に突きつけ、日本国民への挑発を試みるだろう。
国民世論の反対で日米交渉は決裂し、日本と米国は世界を巻き込み、世界最終戦争に突入する。そして強欲資本主義は滅亡する。

今、米国帝国主義による亜細亜・太平洋地域侵略の挑発に対して、日本は世界の同胞と共に立ち上がり戦かうべき時が来た。

TPP交渉を早期に開始し、日本代表は席を立って日米交渉を決裂させ、日米開戦を世界に向かって高らかに宣言するべきである。


02. 2011年10月19日 12:50:11: 6AzRho1YmM
野田総理はギリギリでTPP参加拒否してみたらいいよ。そしたらアメリカやアメリカの息がかかったマスコミから袋だたきにあって(偽造された)支持率がガタ落ちして退陣しなければならなくなるかもしれない。でもね、絶対、歴史に日本を守った人物として名を残すことになるよ。結局そのほうが後々考えれば野田氏にとって得なんじゃないだろうか。だから拒否してみなさいよ。そのほうがいいって!

03. 2011年10月19日 13:14:27: tzmi4UKous
おかわいそうな韓国!
どおりでオバマが上機嫌だったハズ!
日本もオバマに歓待されるように「TPP参加」を
はやく約束したほうがいいよ!っていうデモンストレーションだったってとこ!

そうは問屋がおろさない(笑)
気づいた皆様がネットの力で阻止しないといけない!


04. 2011年10月19日 16:11:34: 4nJJ1i9xLs
でも、飲まないと 日本はともかく
韓国経済は死ぬからな。

というか、普通は国力や貿易等経済を交渉材料にするんだろうが
韓国にはまったく無い、マイナスと言ってもいいから条件が極度にキツくなる。


05. 五月晴郎 2011年10月19日 16:27:41: ulZUCBWYQe7Lk : YbRjNke6LY
でも韓国は太平洋諸国ではなく大陸側の諸国だからね、アメリカの基本的な捉え方は。で、米国にとって対日本は対韓国より執着が強いはず。
韓国大変だねって笑ってられないと思うけど。

06. 2011年10月19日 19:23:19: UMEGme67Xo
カナダは色々検討してみて、結局加盟を断っている。
日本が輸出立国という幻想だけで、経済界の言いなりになるのは危険極まりない
過去最高益を計上続けていても、国民生活は悪化する一方だ。
戸別耕地面積が日本の100倍乃至1500倍もある米、豪相手に
日本の農家、農業はペンペン草も残らないだろう。
資源も食料もすべて海外頼り、っていう国の末路は見えている。



07. 2011年10月19日 19:46:27: qcf4RYtUPs
情報提供ありがとうございます。

これ、本当に酷いな。これじゃあ韓国はアメリカの、奴隷国家として固定化する協定といことになる。TPPに参加したら日本も同じ運命だろう。いや、斉藤さんも言っているが日本の日韓の内需の比率を考えれば、その受ける不利益は比ではない。

何でこんな協定に参加しようというのだ。正気の沙汰じゃない! いくらアメリカの恫喝が怖いといっても、将来にわたり我々の子孫を生まれながらの奴隷にしていいわけがない。

野田・前原・仙石・玄葉・安住、オマエラ、気が狂ってるぞ。

『米国の要望が全く分かっていない』のに交渉の場に参加するのは、札付きのワルとの待つ部屋に若い女の子が下着姿で出かけるようなものだ。

必ず強姦される。行ってはいけないのだ。

中国が遂にアメリカ国債365億ドルを売り払ったそうじゃないか。もうアメリカは長くない。野田よ。今こそドジョウになって川底でジッと耐えろ!


08. 2011年10月20日 00:24:08: J1hhq2WtVg
韓国終わったな。

700億ドルの日本とのアレも、直ぐに使い切るだろうし、中国への借金返済10兆円も20兆しか無い国家予算からは出すに出せない。

菅政権でも暗躍した、アホで馬鹿で狂った売国奴議員が勢揃い。そろいも揃って恫喝に屈している。屈したと言うより、既得権益と命を守りたい一心か?

野田よ、勝栄二郎とは切れろ。どうせ辞任に追いやられるのだから、名を残せよ!
アメリカに楯突いて男を上げろ。
まぁそんな男とも思えないが・・・。


ひどすぎて吐き気を催す。


09. 2011年10月20日 00:30:03: 0r1cIUcLPE
どこの国もマスコミは腐ってる

韓国紙「韓米FTAで日本は韓国に完全に追いつけなくなった」
http://blog.livedoor.jp/yohoo123matome/archives/5123144.html


10. 2011年10月20日 06:04:42: wLzLwQjRoc
現代版の植民地政策。

本当なら唖然。韓国が黒船にたまげたかね。


11. 2011年10月20日 06:11:02: IIzrsqmIno
韓国政府も韓国マスコミも、アメリカ奴隷の売国奴たちで占められている
日本政府も日本マスコミも、アメリカ奴隷の売国奴たちで占められている。

全く、同じじゃん。
日韓の売国人同士がアメリカ様のために連携しあっっているんだね

野田首相がTPP協議参加宣言の現実性が高くなったね。
TPP協議参加決定で、ほぼTPP参加決定だから、もう日本終了、野田は一生安泰。
その場合、どういう準備をしたらいいのだろう、
仕事やめて農家でも始めて自給自足すべきか



12. 2011年10月20日 10:28:40: ovSVXWPLd2
常識的に考えて破産に近い世界のならず者アメリカが他(外)国が有利な条約を締結するハズがないでしょう?

アホでもB層でもわかる話ですよね?

中国もカナダもインドネシアも(韓国もインドもロシアも)加入しないのは何故か?

ブラジルなども当然だが見向きもしないよね。

それは条約がアメリカ救済パートナーシップそのものだからだろう。

韓国は二国でやるらしいが北朝鮮の恐怖もあるから好きにやれば良い。

日本は主にアジアでメシを喰っていけばどうか?

アメリカやEUとは従来通りやれば良いのだから。

強欲経団連が騒いでいるが彼等が良いと言うことは国民にとり悪いことだから無視すれば良い。


13. 2011年10月20日 11:07:18: Mvz3NuoYlA
この問題を巡って国内の対立軸が目の前にハッキリ見えてくることで、
少しはまともな日本の将来への第一歩となる可能性がある。
B層国民が潜在的に持つ「自由化」という響きのいいだけの言葉の幻想を利用して、
「郵政民営化」の時同様に、マスコミがグルになって国民を誤魔化してしまうのか。
それとも、原発問題や増税路線をひた走る野田政権の無節操さに、いい加減に国民の多数派が疑問を持ち、TPP問題に一人一人が真剣に考え対峙しようとするのか。

14. 2011年10月20日 14:07:18: 5kQGHTx4tU
今や日本は米国から買うものは殆どなくなりつつある。

アメリカはなりふり構わず他国市場を開拓しなければならないほど、国家が衰退しているのだ。


TPPは米国の粗悪品を押し売りするシステムであり、彼らは何とかして日本を罠に掛けたいのだ。残念ながら韓国は米国の罠にはまってしまったようだ。

マスコミの言うことは絶対に信じてはならない。マスコミの言う米国との政治がらみの報道は殆ど間違いだと言って良い。


15. SOBA 2011年10月20日 14:53:37: LVbi13XrOLj/s : UOjmJ7qXjo
 
あおぞら銀行HPから消された前川レポート『TPPに潜む危険性』をアップしました。

http://img.asyura2.com/us/bigdata/bigup1/source/188.pdf
↑阿修羅サーバー

http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf
↑niftyサーバー

pdfですが、A4で2ページ、円グラフや表などもあり、良くまとまっていて読みやすいです。至急拡散すべきです。

↓まとめです。
(追加あり)あおぞら銀行HPから消された前川レポート『TPPに潜む危険性』、消されまくってるのをなんとか見つけました。
http://www.asyura2.com/11/senkyo120/msg/848.html
 
 


16. 2011年10月20日 15:16:38: sxmPbTqPYw
鎖国しかない
 中国が参加したら、重金属入りダイオキシン野菜が大量に入ってくる
日本の安全でおいしい野菜や果物も中国富裕層に買われていく当然しなうすで値上がりだ日本の貧乏人は危険でも食べるしかない
 すでに厚生省は高齢者は血圧を120まで下げましょうと、アメリカの危険な薬を国民に押し付けている


17. 2011年10月20日 15:55:37: tCXlt7Pj0k
欧米のファンドに潰されたアジア金融危機の際
韓国はIMFの支配下に入って殆どの銀行はアメリカ資本に抑えられ、韓国独自の銀行など殆どありません。
銀行が抑えられてる国の経済界は無抵抗です。
韓国はアメリカと共に滅ぶ道を選んだだけです。

マレーシアだけはマハティール主相が、金融ファンドをゴロツキ、泥棒と断罪し「監視、制御の必要性」を宣言しましたが、欧米ファンドは笑い、避難しました。

今、ヨーロッパでは自らの危機に際し、金融ファンドという経済のギャンブル、カジノ化する組織の「監視、制御の必要性」を主張しだしてます。

当然ユダヤ資本のファンドが殆どですから、アメリカ同様に反対してます。

アメリカはなりふり構わずにアメリカ経済救済のためだけの目的のTPPをおしつけようとして、売国奴・輸出産業中心の経団連・手先大手マスコミはアメリカの手先を買ってでてでたらめな印象情報で日本を売ろうとしてます。

今、TPPを勧めてる政治家は売国奴です。
アメリカCIAに脅されてるか、経団連に脅されてる輩です。
前原・玄葉・枝野・仙石・・・小沢氏にはつらいでしょうが
もう民主党では自民同様にダメです。

脱原発&反TPPで総選挙でやり直し以外ないと思えます。

小沢氏冤罪事件の目的もTPPで日本を韓国並の植民地にしたい所にあるのでしょう。


18. 2011年10月20日 15:55:48: sIFn88Qhjo
韓国は30年前の日本と思えばいい。日本でトヨタ、ソニーが世界に羽ばたいたように、ヒュンダイ、サムスンが飛躍的に成長している。
今の韓国は何をさておいても世界市場で圧倒的な競争力を持ち、先進国の中入りするという戦略の中にある。
米韓FTAは確かに不平等条約だが、自動車、電機などの国際商品市場で日、米、独と互角以上の戦いをするために、韓国人は我慢するんだろう。様々な実損やプライドの喪失があるだろうが、それをしのぐ圧倒的な利益が期待できるとみているようだ。韓国株式会社の戦略だ。

19. 2011年10月20日 17:08:49: 5wgZpAnMm6
現在、国内の経済が疲弊しているアメリカが

自国の為以外に何を考えていると言うのか

TPP推進派の人たちにお聞きしたい


20. 2011年10月20日 18:03:36: vd0cl1KhlE
韓国大統領のような待遇を受けたいがためにTPPに参加したいような感じが私にはします。韓国大統領は気分が良いでしょうが韓国国民は堪ったものではありません。売国奴大統領をいただいた国民はご臨終のときが近いようです。乞食国家米国にどんなに尽くしても感謝の気持ちがわからない国家だから張り合いはありません。乞食は乞食らしく振舞うのが当たり前なのに、要求ばかりが多すぎます。このままほっておけば自滅するだけの国だから無視を決め込むことです。外務官僚も韓国大統領のような待遇を求めているだけなのだから。馬鹿官僚よくたばれ。

21. 2011年10月20日 18:16:46: O1qEsDbNeM
結局アメリカ合衆国って日本にとって迷惑なだけで何の役にも立ってない。

恩恵にあずかっているのは一部の既得権者だけだ。

本当に迷惑な国だよ、アメリカは。

だからいらない。


22. 2011年10月20日 18:42:10: hj5sogWyEs
おそらくしばらくは米韓と日本のマスゴミはこのFTAによる目覚ましい韓国の成長ぶりを演出するでしょうな。
そして日本にプレッシャーを掛けるだろうね。
通貨危機後、米金融資本の奴隷となった韓国のV字回復の演出と同じ構図ですよ。
竹中はじめ日本の改革派は韓国を見習えと言ってたでしょw?
アイルランドやアイスランドも見習えと言ってましたけどw
ちなみに通貨危機後のV字回復は改革のおかげでも何でもなくて単なる超ウォン安になっただけなんすけどね。
この辺は小泉後のいざなぎ超えと同じです罠。
あれも単に円安になったからなんすけど。
これからは円高・ウォン安が続くと思いますね。
基本的にパックスアメリカーナの下ではアメリカ以外は自国通貨は安い方が良いに決まってます。
米国債や米金融商品買ってるのなら尚更通貨高になれば損しますし。
それからマスゴミは触れようとしませんが、今や日本の製造業は三角貿易で利益を上げてます。
通貨や人件費の安い第三国へ部品を持って行って組み立てて最終消費地=日米欧に輸出する形ですね。
だから米とTPP結んでもうまみは無い。
しかも円高は止まる気配すらない。
今の状況では、医療や農業が壊滅してはい終了でしょうね。
イイ加減米国市場頼みは止めろと。
小泉改革後は対米黒字(約5兆円)以上の株主利益(8兆円)を献上してるしね。
更に米国債買いやら米国金融商品買いで幾ら貢いでるんでしょうね。
しかも円高で大損こいてるし。
デフレ円高の時だからこそ海外市場では無く国内市場重視の政策に替えるべきでしょうね。
1億以上の人口が居るんですから。
90年代まではあの御手洗でさえ、日本企業の最大の強みは国内の分厚い中間層がもたらす旺盛な内需にあると言ってたんですから。
それに経団連は既にワシントンの事務所を畳んだんでしょ?
ロビー活動もあきらめた訳だ。
個人消費がGDPの6割を占めるこの国では為替介入資金を増額したり、日韓で為替スワップするくらいなら国内に再分配した方がコストパフォーマンス大だと思うんだがな。
昨年の7-9月期はタバコ値上げの駆け込み需要やらエコ減税切れの駆け込み需要で3%以上の高成長じゃなかったか?
内需重視政策の方が効果絶大だと知らしめる高成長だったと思うがな〜。
為替に左右される事も米国による日本企業苛めも気にする必要は無いしなw

23. 2011年10月20日 19:32:05: dv1PHh8yUs
現在進行中のTPP脅迫は、私の住むヨーロッパではまったく知られていないし、アメリカ国民も知らない人も多い。

もっと情報を外国に発信すれば、米国バッシングされるかも。


24. 2011年10月20日 20:45:57: aIJAGStNaI
アメリカー韓国のFTA?は日本の検察の取調べと同じでしょう
取調べの方法で「もう一人のあいつはゲロしたぞ」って嘘を言って誘導尋問してる
だけで、韓国もそのようにアメリカがやらせているだけなんでしょう、、、
もう何でもあり!!!「日本から金巻き上げれば勝ち」ってそれしかなくなってるから、、、、韓国もつぶれる寸前だし、、、それにしてもノブタ「あほか!」
のこのこ出て行って「かねだす」「資料渡す」ぎゃくだろー!

25. 2011年10月20日 21:25:36: eTVUqn9eqw
韓国と米国のFTAはまさに、アメリカのための韓国ですね。
一部、現代とサムソンだけは別ですが
あとは、野となれ山となれ、ということですね。
一般庶民は、この内容を知らされていないのでしょうか。

TPPもひどいが、これもひどいですね。
1)は農業どころかサービス業全般の規制緩和ですか。
韓国の金融業はアメリカ資本に食われますね、もうすでに外資ばかりですね
2)規制緩和したら緩和しっぱなしというのもひどい。
協定を結ぶときは最初はいいよ規制しておいてもといいつつ
圧力を加えてどんどん規制を撤廃していくって計算でしょう。
3)未来最恵国待遇、
最恵国待遇って日米修好通商条約にでてきて以来に聞く言葉だ(笑)
アメリカにずっと最恵国待遇をあたえるってこと、
よくこんなの許したなあ、
韓国はアメリカに最恵国待遇要求したのだろうか。
4)もひどいね
つまり、韓国の自動車が協定違反をしたら、または韓国の車が
売れすぎてアメリカの自動車産業に脅威となったら関税をかけるってことでしょう。
逆は許さないのですよ、
だから、この論理がTPPに当てはめられれば
我が国自動車産業が、輸出できるっていいながらTPP賛成しているけれど
輸出が伸びれば当然アメリカの自動車産業に脅威になるのだから
以前のように、トヨタパッシングや日本車パッシングだけでなく
関税をアメリカは自由に上げることができ、しかも
日本へは関税なしのアメリカ車が垂れ流しってことでしょう。
我が国は内需が67割ある国ですよ、
関税のない外車がどっと入ってきて、日本車はアメリカで関税かけれらて
日本でも、アメリカでも日本車は厳しいことになるのではないでしょうかね
我が国の自動車産業が長い目でみたとき、TPPの旗ふっている
自動車産業のおえら方、そこまで読んでいるのでしょうか。

まあ、書いていればきりがないですね。
米韓FTAと同様の、それ以上の規制緩和・撤廃ですから
これを賛成する人は、頭おかしいのではないでしょうかと思ってしまいます。

自動車産業が輸出拡大でき、雇用が増えるっていうけれど
安い外国人労働者がはいってきて、若者の職場はどんどんなくなってしまう。
規制があるから、というけれど、
例外なしの規制緩和がTPPの根本原則だから
そんなあまい考えが通用するわけがない。

医療も混合診療になれば、高い医療費を払える人だけが優遇される
アメリカの医療体制になって、国民健康保険制度は崩壊する。

郵貯の350兆円も、投資の対象になって、ハゲタカファンドにむしり取られる。

TPPを推進したい人はアメリカの利益を守るために生きていると言って過言ではない。


26. 2011年10月20日 21:44:51: RQr0HSIrcE

緊急:10月20日(木)本日配信〜必見!!! 農林水産大臣の鹿野道彦はとてつもない馬鹿だ!
TPPで郵貯が三角交換で米資に買われ米国債に投資、国民の貯金が紙屑になる〜。
『恐怖の』13分でわかるTPP「アメリカ」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15920218


27. 2011年10月20日 22:50:32: xQ9RR2lDec
アメリカは誰が大統領でも所詮アメリカです。

モンロー主義+産軍共謀国家アメリカ、世界はアメリカの為にある=正義の国です。

原爆を2回も落とされ、その慰謝料まで落とされた国に払わせ未だに「正義」の
行為と子供を教育し「広島、長崎」に1人も大統領が行かない国です。

日本は悲しいほど売国奴に支配され続けてますが、自民・創価。民主Bも沖縄基地問題ですらまだ金で騙せると考えてる愚か者です。

日本の米軍基地は日本の為にあるのでなく、日本人をいつでも殲滅するために存在してるのに尻尾を振り続ける売国奴が絶えません。

悲しいことに売国奴ほど日本国内では既得権益者として経済的に恵まれた人たちです。

大手マスコミ・国・地方公務員・経団連企業社員・自民・創価・民主B層は売国奴であると考え監視しなければならないと思います。

何故かこの連中の共通点は「小沢氏冤罪事件」の加担者たちだということも。


28. 2011年10月20日 23:40:32: COmt5m09oI
わが国民を米国に売るTPP絶対反対、絶対阻止しょう。政府の情報隠しや反国民のマスゴミの態度に抗議する。

29. 2011年10月21日 05:17:32: ZJrdqRMEkc
ソ連あっての日米同盟。
ソ連が無くなったのだから日米対等の同盟が不要となり、単なる主従関係があれば良いということになった。
このことに気づけば、TPPも安保条約も原発推進も郵政民営化も同じ文脈で理解できる。
官僚は頭がよい。こんなことは早くから分かっていただろう。が、何も手を打ってこなかった。いや、その方向に進めるために手を打ってきたというのが当たっている。
彼らは日本国の官僚ではなく、アメリカの司政官というべきなのか・・・・

政治家の責任?権力も持たせてもらえないのに責任なんか無いよ。


30. 2011年10月21日 06:30:22: gEvdrHlgMA
3.11、ゲリラ豪雨、ノロノロ台風、タイ洪水→TPP参加
小賢しい松下塾生のおかげで日本人は骨までシャブラレル。
(HAAPの使用費以上に)

32. 2011年10月21日 08:36:28: IIzrsqmIno
韓国国民の大反対を押し切ってFTAを締結した韓国の李大統領みたいに

日本国民の99%が反対しても、それをマスゴミは隠蔽して、強引にTPPを参加するのが、野田内閣でしょう。

TPP参加表明すれば、野田は帰国後に辞任しても、1兆円くらいもらえるでしょう

なんせ郵政民営化もこれOKなんだから

首相になれて、1兆円もらえたら、あとは日本がどうなろうと知ったことじゃない。

自分と家族さえ大金もちになればいい。、


33. 2011年10月21日 11:13:40: wkIRjRB18Q
小沢さん何があったか知らないが日和ったみたい。
ただし前後の発言がどうかわからないけど。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20111020-00000050-ann-pol


34. 2011年10月21日 12:08:06: tzmi4UKous
民主党に苦情メールを入れ続けることが大切です!

原発事故の自主避難者に対して賠償金を払わない!
という、まったくバカげた事態も
自主避難者に対する公聴会?という形で回避に向かっている。
これもひとえに、民主党に対する苦情が功を奏したようです!

放射能をたんまり吸わないと賠償金をもらえない!
自分で命を守れない日本!って本当に国か?という問題が問われている。

TPPに関しても
アメリカのみが私腹を肥やす不平等な条約には断固苦情を入れるべし!
野田政権は姑息にも農業政策に金を使う!
などと今頃、前原スパイとともに金のかわりに黙っとけ!
という作戦を計画している!
農業政策などTPPが始まるからやる!では遅い!

民主党には苦情を入れ続けるべし!


35. 2011年10月21日 21:48:35: 0huCCn4zOU
TPPの酷い内容と、TPP推進派の面々がハッキリしてきて
小沢を気が狂ったように叩いてた理由や目的を多くの人が分かって来たな
内容が余りにも酷い
まさに帝国主義時代の植民地政策だわ

36. 2011年10月21日 21:56:11: MbUiP0ECmM
韓国がアメリカに搾取される倍の倍を、日本から融通。スワップかぁ。

37. 2011年10月21日 22:11:07: MbUiP0ECmM
その前の日韓FTAでまず韓国に日本を支配させて、その韓国をアメリカが支配する。そのアメリカをイスラエルが支配して・・・下はより搾取される構図。
両班思想の具現化だねぇ。半島的儒教とも言える。

38. 2011年10月21日 23:27:28: ygKymTIF6o
■「地球環境問題」と酷似する「強欲資本主義(新自由主義)問題」の行方。

まず地球環境問題を振り返ってみよう。

●「成長の限界」(1972年)による警鐘
http://www.aist.go.jp/NIRE/publica/n-houkoku/21h.htm
(資源環境技術総合研究所)

−−−−−(引用させていただきます)

ローマクラブが1972年に出した最初の報告書『成長の限界』は『地球の有限性』についてのさまざな因果関係を科学的に予測し、それまで地球には無限の包容力があって、人間社会は無限に発展すると考えていた多くの人にとって、極めて衝撃的な警告となった。次いで、ローマクラブは第2の報告書として『成長の限界を越えて』を発表している。この内容は多くの貴重な資源の開発利用と汚染物質の発生によって、既に地球上の限界を越えていることを明らかにし、これからの人類の選択肢は狭まっていることを指摘している。

 この様に、ローマクラブの2回にわたる警告は、言うまでもなく、大量生産・大量消費・大量廃棄に象徴される現代文明の在り方そのものを問い直しているものであり、それは単に技術の在り方だけでなく、経済の仕組み、ライフスタイルあるいは価値規範など広い視点からの見直しが求められているものと思う。

 21世紀に向けて人類にとって不可欠なのは持続可能社会を構築することであり、これには省資源・省エネルギー型社会をつくることが必要であって、これが地球環境創造へつながるものと考えられる。

―――――

●「リオ宣言」(1992年)

ロークラブの「成長の限界」が発表されてから20年後の1992年に環境と開発に関する国際連合会議(UNCED)において合意された27原則から成る「リオ宣言」が採択され地球環境問題に対する国際協調の活動が開始された。

−−−−(引用します)

地球規模で環境と開発を調整する持続可能な開発の概念が中心であり、実行には先進国と途上国間の衡平性、先進国同士の衡平性、途上国同士の衡平性を確保し、諸国間の多様性に富む差異化された枠組みを構築することが必要とされる。これら地球環境問題に勘案される「共通だが差異のある責任」原則がリオ宣言では明確化しており、国際協調の策定には第7原則が用いられることになる。

−−−−

こうして地球環境問題に対して国際的な協調行動をとる枠組みができ、地球温暖化防止に対する活動が世界的に展開され現在に至っている。

●「強欲資本主義問題」とその触手としてのTPP

さて米国の強欲資本主義は歴史をたどれば、欧米列強が世界中に植民地を求め略奪と虐殺と支配を繰り返して富の収奪を続けてきた流れの延長にあると言っていい。

そしてそれはいつでも強奪される国に平和に暮らしてきた先住民の虐殺や奴隷化を経て今日でいう「二極化」(富裕層と貧困の格差拡大)を生むのであった。一方はとてつもない富を手にし、他の一方は食うや食わずの生活を強いられる社会であった。

強欲資本主義の主役は時代、時代で変遷しながら、今日は軍需産業関係(ネオコン)や金融マフィア、資源マフィアなどが主役となっている。

しかし、富の収奪は永遠には続かない。収奪の対象が無限に存在するわけではないのでいつか限界が来るのは自明である。それはあたかも地球環境問題とまったく同じなのである。

強欲資本主義(米国)は今、その限界に到達し最期の悪あがきをしているのが今日の姿なのである。強欲資本主義の餌食として今、韓国、日本がターゲットにされているのである。

韓国は米国とのFTA締結によって強欲資本主義(米国)の餌食になることが決まった。
日本は小泉・竹中政権時代に強欲資本主義(新自由主義)の餌食となり見事に「貧困率世界第2位」に躍進したのであった。

そして今、日本は更に「貧困率第1位」の座を確実にすべく米国とのTPPが締結されようとしているのであるのである。

●強欲資本主義の米国から見た日本

米国から見た日本は「2発の原爆」と「3発目の原爆」であきらかである。

「2発の原爆」はヒロシマとナガサキに投下され、なんの罪もない一般市民20万人を虐殺した。最終的には40万人の一般市民が犠牲となった。
ロシマとナガサキに投下した原爆の実証実験のデータは全て収拾され米国に提供され、米国の核配備計画の基礎データ、被爆者の処置の資料として利用された。

「3発目の原爆」はスクシマに投下された。フクシマ原発事故の初期対応を米国人が菅バカ政権の官邸に常駐して差配し爆発を引き起こした。そして、放射能を地上と地下と海水中に放出させて「長期低線量被爆」の実証実験を始めたのである。

フクシマの何十万人という人たちの「長期低線量被爆」のデータの取得が開始されたのである。特に重要なのは多数の学童のデータである。年商の学童ほど被爆の影響が出る確立は高いのでフクシマ以外の学童との間で有意な差異が出てくる可能性が高いのである。

このようにヒロシマとナガサキでは強い被爆による直接的・短期的な影響(効果)を確認し、フクシマでは長期・低線量被爆の影響を確認しようとしている。

米国から見た日本とはそういう孫zさいであるという正しい認識をまずもたなければならないのである。

●TPPは強欲資本主義(米国)の恐ろしい触手にすぎない。

ニュージーランド・オークランド大のジェーン・ケルシー教授の言葉を引用しよう。

―――――(引用します)

「TPPは、ニュージーランド国民を市場と大企業が支配するモデルに閉じ込めるもの。規制緩和、市場原理主義、グローバリゼーションが失敗した現実(金融危機)を敢えて無視しようとしている」と、今最も重要なことは「将来に向けて何を阻止すべきかだ」と主張。

「未だに雨漏りがする建物の中で、混沌を整理しなければならない状況」にあるとして、「不法な金融会社、アメリカ資本に売却された民営独占の電気通信事業体(ニュージーランドテレコム)が吸い上げる甘い汁など、市場原理主義ベースの多くの事例」を挙げる。そして、「高い代償を払わされてきたニュージーランド国民は、TPPの下で再び代償を支払わされることになる。今度はもっと高くつくものになるだろう」。

さらに「失敗した民営化を逆転させることなどは、TPPの下では法的に難しくなる」とし、「憲法上の重要な意味」を挙げて「TPPはその手段において、将来的に国内法が及ばないところで政府の政策を拘束することができる」と危険性を述べている。

「現在の(米国主導の)TPP締結プロセスから一歩距離を置き、協定に関する情報とその意図を厳格な分析にかけて公開する必要がある」ことを強く訴えている。

―――――――


39. 2011年10月22日 00:13:12: 1MhPBF0z8U
気象予報士斎藤やすのりさんのTPPに関するご意見には賛同です。しかし、彼は人為的地球温暖化の信者です。そこがはなはだ心もとないです。
欧州ではCERN(欧州合同原子核研究所)の科学者達が気候変動の原因を解明しつつあります。
http://seetell.jp/18595
自分の専門である気象についての判断力に疑問が・・・。

40. 2011年10月22日 19:57:08: VeD5VPd3V2

 我が国の経産省はTPP加盟の理由づけとして、「韓国との輸出競争において、今の不利な状況を克服するためには、TPP加盟が欠かせない」と繰り返し説明している。しかし、韓国自体はアメリカや欧州とのFTA批准に向けて積極的な取り組みをしており、TPPへの関心はほとんどないのが実態である。

 韓国農村経済研究院の金泰坤(キムテコン)研究員曰く、「食糧輸入国にとってTPPに参加する利点はない。我が国はアメリカやEUとのFTAを優先し、同時に国内向けの農業対策を順調に進めている」。このように韓国の方針はすこぶる明確である。経済界出身の李明博(イ・ミョンバク)大統領の意向を受けてのことだと思われる。

 実際、韓国農業は構造改革が進み、施設型農業(施設野菜園芸や中小畜産生産のように、施設の使用をその前提条件とし、その施設規模の大小によって所得水準が規定される農業)などで輸出が増えている部分もあるが、土地への依存度が高い土地利用型農業は大きな問題を抱えている。当然、対策がうまく機能しないこともあったようだ。結果的に食品輸出の伸びの多くは、原材料が海外から入る加工麺や焼酎、菓子といったたぐいで、農産物は少ないのが韓国の実情である。

 アメリカがアジア太平洋地域の経済連携構想の中に封じ込めようとしている中国は、TPPをどのように受け止めているのだろうか。

 中国社会科学院アジア研究所所長・李向陽氏によれば、「TPPは経済的に見れば金融危機以降、急速な発展の舞台となったアジアの活力を取り込みたいアメリカの思惑が色濃く投影されている交渉にほかならない。この地域で台頭しつつある中国を抑制しようとしているに違いない」と述べている。

 日本の立場についても、同所長は次のように述べている。
「これまで日本は中国、韓国とともにASEAN(東南アジア諸国連合)+3を主軸にアジア域内経済連携構想を進めてきた。もし日本がTPPに参加することになれば、そうした戦略は変更を余儀なくされるであろう。ただ、ベトナムやマレーシアに加え、タイなどもアメリカ市場に向けた競争力を確保するために、TPP参加に舵を切ろうとしている。そのため日本がTPP参加の決断を下せば、ほかのアジア諸国の動きを加速させることになるはず。しかし、我々中国はASEAN(東南アジア諸国連合)+3にせよ、インドなどを加えた+6にせよ、こうした地域間の経済連携とTPPを同時に発展させることは難しいと受け止めている」。

 そのうえで、中国の基本的立場を次のように説明する。曰く、「我々の戦略は、多国間の枠組みよりも2国間でのFTAのネットワークを広げることにある。その意味で、中国がTPPに参加する可能性や予定については短期的にはあり得ない。中国にとっての優先順位は低い。万が一、中国がすべての条件を満たすからTPPに加入したいと申し出たとしても、アメリカは中国に対して無理な条件を押し付け、加入を認めようとしないだろう。なぜなら、アメリカはTPPに限らず、経済連携については常に安全保障的な意味を付与したいと考えているからである。結論的にアジアの経済にとって最も望ましいシナリオは、日本、韓国、中国によるFTAを実現することである」。

 実は、中国外務省もこうした李所長の主張を裏付けている。

 すなわち、「TPPに関しては経済発展の地域格差と多様性を十分に考慮すべきであり、アジア太平洋地域における経済一体化のプロセスは順を追って段階的に進めるべきだ」というわけだ。要は、アメリカが進めるような、TPPによる急速な環太平洋、アジアの経済統合を牽制するという立場にほかならない。

 その背景として、TPPでは関税撤廃の例外品目がわずかにしか認められないため、中国とすれば自国の農業が厳しい競争にさらされることを警戒しているに違いないと思われる。また、アメリカがこの地域の経済連携構想において主導権を握ろうとしていることに対する警戒心も強い。結果的に、中国外務省はアメリカが入りたくても入れない東南アジア諸国連合(ASEAN)などの枠組みを軸にした経済連携強化を進める方針を固めているようである。

 つまり、食糧輸入国が市場開放を続けることは難しいというのが世界に共通した状況といえよう。韓国にとっても中国にとっても、農業問題こそがTPPへの加盟に対し慎重ないし反対の立場をとる最大の理由に違いない。

 とはいえ、外交巧者の中国はTPPに関して各国の動きを注視し研究を進めているようだ。参加するか、参加しないかは研究段階であるとし、臨機応変な態度で選択肢を温存する構えをとっている。そのためか、「すでにTPPの交渉に参加している国々とも連絡をとっている」と駐日中国大使、程永華氏を通じてオープンな姿勢も印象づけようとしている。さすが、老練な外交官だ。

 


41. 2011年10月22日 20:10:16: VeD5VPd3V2

 TPP協定の条文案や各国の対応に関する資料から、TPPは決して「平成の開国」などとのんきなことを言っていられるような代物ではないということである。

 確かにTPPにおいて農業は大きな問題ではあるものの、それよりも医療、サービス、人的交流やその自由化によってもたらされる影響の大きさを知り愕然とした。そして条文案からは、TPP交渉・締結の裏にあるアメリカの世界戦略がまざまざと見て取れたのである。

 アメリカが環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の実現に向けて、官民を挙げた取り組みを強化していることはよく知られている。それはなぜか?我が国としては、TPP参加の是非を語るうえで、オバマ政権がTPPに傾いているその狙いと背景を、しっかりと把握しておく必要があるだろう。

 リーマン・ショック以降、アメリカでは景気の低迷が続き、失業率も9%を超えるという厳しい経済環境に追い込まれてきた。オバマ大統領とすれば、国内の景気浮揚と雇用の拡大に向けて、有効な手段を講じることができなければ、大統領としての再選も危うくなる。そんな危機感が高まっているに違いない。

 すでに、2010年11月の中間選挙では、オバマ人気はすっかり落ち込んでしまって、民主党は上院、下院ともに大敗を喫する結果となった。この流れを変えるためにも、オバマ政権とすれば国内経済にプラスとなる貿易戦略を構築する必要に迫られたわけである。その切り札が、TPPに他ならないのだ。

 カーク米通称代表の「日本がTPPに参加してほしいと真に望んでいる。菅前首相の(参加に)前向きな表明は非常に勇気のあることだ」という発言からは、オバマ政権の本音がよくわかる。

 TPP推進の旗振り役を演じている経済産業省は、アメリカ側の本音の問題に触れようとしないだけでなく、日本の平均関税率が、他国と比べても決して高くないということにもあえて触れない。同省の基本的な戦略は、貿易に占める2国間の自由貿易協定(FTA)発行署名済み国の数で比較すれば、日本が韓国に大きく出遅れていることを印象付けることにあるようだ。

 その背景にある論理は、このままいけば、韓国やアメリカやEUとの間で自由貿易協定を次々と発行することになり、我が国の輸出は、ますます不利な状況に追い込まれるというもの。その際、経済産業省が繰り返し使うデータの一つが、EUにおける主な高関税品目に関するデータである。しかし、平均関税率から見ると日本の非農産品の関税率は決して高くない。

*全品目、農産品、非農産品の順に関税率を表示(単位:%)
日本:4.9、21.0、2.5
アメリカ:3.5、4.7、3.3
EU:5.3、13.5、4.0
韓国:12.1、48.6、6.6
(WTOホームページより作成)

 経済産業省が実施した、「我が国の産業競争力に関するアンケート」を見ると、今後海外シフトを検討実施する日本企業がいかに多いかが明らかになる。本社機能のみ日本に残すものの、生産機能のみならず、研究・開発機能まで海外に移転することを検討する企業までもが増えている。
http://www.hkd.meti.go.jp/hokis/mono_kondan/data04.pdf

 こうした日本国内の厳しい情勢を打破するために経済産業省が主張する政策は、今後の成長が期待できるアジア太平洋地域に、日本企業がほかの国々と同様に市場参入を図る条件を整えることが欠かせないというものである。

 すなわち、「関税をゼロにする」という自由貿易圏構想を進めるというわけだ。

 では、なぜ日本は今、2国間交渉で進めていくFTAではなく、多国間で交渉するTPPに舵を切ろうとしているのだろうか。FTAとTPPの違いは何なのかについて、簡単に説明したい。

 国際経済を支える貿易の仕組みは、1945年に発行した為替に関する協定、すなわちブレトンウッズ体制から始まった。

 ブレトンウッズ体制とは、金1トロイオンス=35USドルを固定し、そのドルに対して各国通貨の交換レートを決めた金本位制を定めた協定のことで、これにより日本円も1ドル=360円と固定された。そしてブレトンウッズ協定(1944年)以降、1945年には国際復興開発銀行(IBRD)が、1947年には国際通貨基金(IMF)が、1948年には貿易制限措置の削減と自由貿易の推進を定めた「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」が発足したのである。

 GATTにより、原則として各国間での輸入禁止や数量制限措置が禁止され、すべて関税に置き換えていくになり、各国間の交渉で関税を引き下げられ、貿易環境が整えられていった。1986年から1994年にかけて行われたGATTのウルグアイ・ラウンドには123の国と地域が参加。1995年1月には、さらなる自由貿易の促進を目指す国際機関として、GATTに代わり世界貿易機関(WTO)が設立された。

 WTO設立以降、加盟国は153の国と地域にのぼり、モノやサービスなどの公正な貿易のために多国間貿易交渉を続けているが、WTOでは多くの国と一度に交渉しなければならないため、交渉成立までには時間も労力もかかかってしまうことが指摘されてきた。そこで、近年ではWTOを補うものとして、2国間で交渉する自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)が注目されているのである。

 FTAは、特定国や地域の間で物品関税やサービス貿易の障壁などを削減・撤廃することを目的とする協定で、EPAは、人の移動(労働)や知的財産の保護、競争政策、さまざまな協力など幅広い分野の提携で関係強化を目指すものである。

 そして、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、物品貿易については、農産品を含め、原則全品目について即時または段階的に関税撤廃、政府調達(いわゆる公共事業)、競争政策、知的財産、金融、電気通信、電子商取引、投資、環境、人の移動(労働)など、あらゆるサービス分野を協定の対象に含んでいることが特徴である。

 2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国による経済連携協定(通称「P4」協定)が発行され、現在はこれにアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが加わり、9か国で交渉が行われている。2011年10月までに計9回の交渉を行い、11月にハワイで行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で妥結することを目指している。

 そこでもう一度初めに戻るが、日本がこの協定に加わる意味は何だろうか。

 なぜ、FTAやEPAでは駄目なのだろうか。

 政府によれば、TPPがアジア太平洋の新たな地域経済統合の枠組みとして発展していく可能性があり、TPPのもとで決められた貿易投資に関する先進的なルールが、今後、この地域の実質的基本ルールになる可能性があるということなのだ。しかし、すでに述べたように、TPPはアメリカの経済政策という面を色濃くもっている。 
 
 アメリカは北米自由貿易協定(NAFTA)の締結によって、経済発展を遂げたメキシコとの貿易で莫大な利益を享受した。一方でメキシコの国内経済やカナダの農業は、アメリカ企業やアメリカ製品が大量に流入し、大打撃を受けていることは明記しておかなければならない。まさにアメリカは二匹目のどじょう、つまりは将来の可能性として中国を含む東アジア市場を狙っているわけである。

 実際のところ、アメリカ政府はWTOが公表した日本の貿易政策に関する審査報告書を通じて、日本政府が2011年6月をめどにTPP交渉参加を決めることを前向きに評価している。これでは、「出来レース」と言われかねない。

 それならなおのこと、メキシコやカナダの二の舞にならないために、日本にとってTPPに参加することのメリットは何か、デメリットは何かをきちんと検証していかなければならない。

WTO、FTA(EPA)、TPPの違い

WTO(世界貿易機関)
関税削減交渉、153カ国・地域が加盟、加盟国共通のルール作り(関税削減率、国内補助金の削減、輸出補助金の撤廃)、我が国はWTO農業交渉で多様な農業の共存を主張

FTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)
2国間または複数国間で行う関税撤廃交渉
「実質上すべての貿易(一般的には90%以上と解釈)について、原則として10年以内の関税撤廃」とWTO協定で規定(10%は除外・例外が可能)

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)
太平洋を取り巻く9か国間のFTA
9か国間で行う関税撤廃交渉
除外・例外品目を認めず、全品目の関税を撤廃する
TPPもFTAだが、重要品目の除外・例外扱いを認めていない。「実質上すべての貿易」を最も厳格に解釈

 経済産業省では、我が国がTPPに参加した場合の実質国内総生産(GDP)増加、および伸び率の試算を公表をしている。その試算によれば、我が国のGDPは年間0.48〜0.65%伸びることになり、2.4〜3.2兆円の経済効果が期待できるという。そのうえで、同省はTPP早期参加のメリットとデメリットを挙げているのであるが、まさにその論調は「TPP参加ありき」で、TPP参加のデメリットに関してはまったく想像力が働いていないのである。

 経済産業省が主張するTPP早期参加のメリットの第一は、「ルール形成への参加」である。すなわち、関係国の間で自由貿易に関するルールの協議が進んでいるわけで、その協議にいち早く参加することで、日本企業にとって、有利な条件を整備できるというわけである。

 具体的には中小企業の輸出支援、すなわち輸出手続きに関する情報の一覧化や書類を統一する協議が進んでいるのだが、その際に日本のルールを主張することができるというのだ。また、新たな投資規律を強化する議論が進んでいるため、日本が早期の協議に参加できれば、強制的な技術移転や送金規制に関する抑制策を主張できるとも言う。加えて、成長分野の規制の調和を主張できるとも説明。万が一参加のタイミングが遅れれば遅れるほど、他の国々によって作られたルールを受け入れるだけになってしまう、と不参加のデメリットを強調する。

 そして農業などの困難な分野についても、早期にルール形成の協議に参加できれば、除外品目を主張したり、長期の段階的関税引き下げを働きかけたり、いわゆるセーフガードといわれる緊急輸入制限を勝ち取ることもできる。そのためにも一刻も早い協議参加が欠かせないというのである。

 しかも、原産地の表記や基準、知的財産権において、日本型ではないルールが導入されることになれば、日本企業にとっては新たな仕組みに対応するため、過剰なコスト負担を余儀なくされ、競争力がそがれることになりかねないとも説明するのだ。

 こうした貿易のルールに関する早期参加のメリットのみならず、経済産業省が主張する早期参加のメリットには、アメリカとの関係強化という政治的な考慮も強く織り込まれている。すなわち、経済面でアメリカとの関係を強化するおとで、日米同盟を補完できるという発想である。

 沖縄の普天間基地移設をめぐるぎくしゃくした関係によって、アメリカの日本を見る目が厳しくなっていることは間違いない。

 これに対して前菅政権の思惑は、2011年11月にハワイで開かれるAPECでTPPの協定合意を目指すアメリカを後押しすることができれば、日米の同盟関係が修復できるに違いないというものだ。また、このところの中国の不穏な動きを見るにつけ、レアアースの輸出制限など資源ナショナリズムに傾きがちな中国の動きを牽制するためにも、日本とアメリカはいっそう協力関係を強化することで、対中政策にも効果があると分析。そのためにも、現在のWTOを超えた高いレベルの新たなルール作りが重要になる。そんな発想が経済産業省には強いようである。

 しかも、アメリカが主導するTPPを日本が全面的に支えることになれば、TPPへの参加をためらっている中国や、ほかのアジア諸国が少なくとも経済連携協定(EPA)に参加する道筋はつけられるだろうとの目論見も見え隠れする。

 一方でEUも、日本のTPP参加が遅れることになれば、日本とのFTA並びにEPA交渉に関しては、様子見を続けるだけになる可能性がある。その間に韓国とEUがFTAを発行してしまうことになるだろう。また安全保障の観点を考慮すれば、アメリカとの関係強化がないままでは、中国とのEPAも進めにくくなってしまう。

 こうしたもろもろの背景説明をもとに、経済産業省はほかの省庁とは一線を画し、菅前総理のTPP前のめりの動きを強力に推進しているわけである。

 一方、内閣官房においては、我が国がTPPに参加した場合のメリットとデメリットについて、よりバランスのとれた分析を行っている。

 まず、我が国がTPPに参加した場合、すでに述べたように実質GDPを約3兆円押し上げる経済効果に加え、国を開くという強いメーッセージ効果が期待できるという。日本に対する国際的な信用と関心が高まるというのである。

 韓国がアメリカとの間で進めているFTAが実現すれば、日本企業はアメリカ市場で韓国企業より不利な戦いを余儀なくされることはすでに述べた。しかしTPPに参加することになれば、日本企業は韓国企業と同等の競争条件を確保できるわけである。

 もうひとつのメリットは、TPPがアジア太平洋地域の新たな地域経済統合の枠組みとして発展していく可能性があるということである。TPPで協議の進む貿易・投資に関する先進的ルールが、今後この地域の実質的な基本ルールになることが想定されるからである。つまり、これまで我が国が各国と結んできたEPAにおいてはカバーされてこなかった環境や労働といった新しい分野が重要になるとの見方である。

 その意味で、日本がアメリカと歩調を合わせ、この地域の経済統合の枠組み作りを早い段階で進めることができれば、政治的意義は大きいと言えるだろう。もちろん、こうした目標を達成するためには、強い政治交渉力やリーダーシップが欠かせないことは言うまでもない。果たして今の日本の政府にそのような主導的交渉力があるかどうかは大いに疑問であるが。

 内閣官房においては、同時にTPP参加のデメリットも検証している。

 デメリットの最大のものは、あらかじめ特定セクターの自由化を除外したかたちの交渉参加は認められないという点に尽きる。

 すなわち、たとえ日本でもコメを聖域化するような交渉はあり得ないということだ。10年以内の関税撤廃が原則であるから、当然といえば当然のことであろう。

 農林水産省の試算によれば、コメや小麦など主要農産品19品目について全世界を対象にただちに関税を撤廃し、なんら対策を講じない場合の農業への影響は、農産物の生産額の減少が年間4.1兆円程度、カロリーベースでの食糧自給率の低下は現在の40%が14%程度に、農業・農村での多面的機能の減少は3.7兆円程度、農業関連産業も含めた国内総生産の減少は7.9兆円程度になるという。

 先に経済産業省の試算で述べられていたTPP参加によるGDPへの経済効果が最大でも3.2兆円だとすれば、この農水省による試算は、農業分野だけで15兆円を超える損失が出るわけで、輸出産業にとっては3兆円の新たな富を生み出す一方で、15兆円を超える損失が生まれる計算になる。

 農林水産省と経済産業省の試算がいずれも正しいとすれば、日本全体の経済のためには、TPPの参加は見送るべきとの結論が出るのは当たり前である。

 さらに、内閣官房では日本の消費者にとってより深刻な影響をもたらすと思われる問題を挙げている。それは既存の2国間の合意事項が加盟国すべてに波及する可能性があることだ。つまり、TPP参加国にうちある2国間で結ばれた合意事項に、日本も従わなければならないのである。

 特にアメリカからは日本に対して、牛肉の輸入やさまざまな非関税障壁に関して、これまで以上に厳しい要求を求められる可能性が高いと内閣官房では予測している。

 たとえば、2003年以降、牛海綿状脳症(BSE)の問題によるアメリカ産牛肉の輸入に制限が加えられ、現在も輸入制限が続けられているが、アメリカからは日本の輸入規制は科学的根拠に乏しいものだとして、早期の緩和措置を求めてくる可能性が高いだろう。

 また、公共事業の入札の際には、英語による情報開示が求められてくる可能性も出てくる。すなわち、一定金額以上の公共事業に関しては、国際的な競争の環境を整備する必要があるとし、入札条件が決定したのち、3日以内に英文でその情報を世界に公開しなければならないということだ。

 今の日本の自治体や建設業界では、そのような対応ができるケースは極めて稀と言わざるを得ないだろう。英語での公文書をわざわざ作成するとなれば、日本国内の公共事業はますます停滞することが想定される。

 現在、日本の地方で行われる公共工事に関しては23億円以下であれば、海外企業に門戸を開く必要がない。しかし、TPPがベースにしている「P4」協定では、一律7億6500万円以上の公共工事はすべて海外企業にも発注案件を公示しなければならないとされている。これによりアメリカの大手ゼネコンやコンサル会社が、アジアの安い労働者をまとめて日本に送り込む案件が急増するだろう。現に、東南アジアでは中国などの建設業者がそうした手法で次々と受注を獲得している。

 アメリカの大手建設会社にとっては小規模すぎるかもしれない公共工事であっても、TPPによって、「発注ロットの規模拡大」が現実化すれば、国際入札案件は一挙に拡大する可能性は否定できない。たとえば、日本海沿いで遅れている高速道路の整備(ミッシングリンク「未整備により途中で切れている高速道路」の解消)や新幹線網の拡大には、潜在的な50兆円規模の公共投資が想定されている。これなら海外の建設業界にとっておいしい話であろう。

 しかし、こうした国内の公共事業を海外企業に開放してしまえば、日本国内の建設業は崩壊してしまう。豪雪時には利益抜きで復旧に駆けつけてくれるのが地場産業であり、地元の建設業者である。「契約を優先する」海外の県建設業者にはとうてい望めない、日本的な’職人魂’を失ってよいのだろうか。TPPでは、こうした日本固有の文化的要素は「非関税障壁」として撤廃のターゲットにされる運命にある。

 地域を支えるのは、農業や林業だけではない。建設業も欠くことのできない役割を担っている。京都大学大学院の藤井聡教授(社会都市工学)によれば、TPPによる日本の建設業に対する経済的損失は「最低でも6000億円。最大では3兆円になる」という。となれば、さまざまな分野の専門的な知識や試算を総動員し、TPPのもたらす影響を個別の分野ごとに検証する必要がある。ところが、そうした検証作業がまったくといっていいほど進められていない。

 実は、こうした問題は氷山の一角であり、関税撤廃や自由貿易のもたらす様々なメリットとデメリットをどこまで容認することができるのか、十分な研究や議論が行われているとはとても思えない。

 しかしながら、我が国の主要メディアや経済界では、自由貿易に立脚した日本は早期にTPP参加の決断を下すべきだ、という流れが強くなっている。保守的なメディアと見られる産経新聞ですら、「6月などと言わずに早期参加を目指し、国内の構造改革を果敢に断行すべきだ」(2011年1月16日)と主張しているほどだ。

 産経新聞は、日米構造協議の重要性に言及しつつも、「日米FTAと同等の意味を持つTPPに参加するメリットは大きい」と議論を譲らない。その理由として掲げていることは、「日米の競争力を強化し、長期的な成長を促す基盤を築くだけでなく、世界の通商ルールについて両国のリーダーシップを発揮できるからだ」というのである。

 また、経済産業省の主張と軌を一にするかのごとく、「安全保障の面でもTPPは日米同盟を補強し、国際ルールを無視する動きが目立つ中国を牽制する意味合いがある」とまで主張する。「民主党は日米FTAの締結を当初の政権公約に掲げていながら、農業団体などの反発で、「締結」という表現を「交渉の促進」に後退させ、TPP参加の決断も先送りにした。こうした腰砕けの姿勢では国民の不信を募らせるだけ。だから菅(前)総理はTPP参加を日本の死活問題と認識し、党内や国民への説得を急ぐべきだ」というから驚く。

 産経新聞がこのような主張を掲げるほどであるから、ほかのマスコミは推して知るべしであろう。メディアにとって欠かせないスポンサー筋の大手輸出関連企業が軒並みTPPへの参加を求める緊急集会などを相次いで開催している。自動車や電機機器など関税撤廃の効果が大きいと見られる業界では、それなりのメリットが見込まれるのは確かである。しかし、それ以上に日本の経済界がTPPに期待を寄せているのは、やはり韓国への対抗意識からであろう。

 FTAで先行し、多くの分野で我が国にとって最大のライバルとなった韓国。その韓国と同じ条件で戦うためには、TPP参加が欠かせないという発想が経済界の主流になっているようだ。

 読売新聞が2011年1月に行った経営トップ30人を対象にした新春景気アンケートの結果から見ても、TPPについては29人が参加すべきだと答えている。ほとんどの経営トップが自由貿易の推進により、海外事業に取り組むことで活路を見出そうとしていることが鮮明にうかがえる。

 日本経済新聞が2010年末に行った社長100人アンケートにおいても、TPPに「参加すべき」との意見は8割を超えている。TPP交渉について、「参加すべきではない」という声はゼロであった。

 また、中小企業の経営者を対象に産業能率大学が2011年1月に行ったアンケートの結果も、「TPPに日本は参加すべきだ」と答えた経営者は、全体の83%に達していた。この調査は従業員6人以上300人以下の企業経営者、688人の回答に基づくものである。

 さらにいえば、帝国データバンクが行った2010年1月にかけての全国2万3101社を対象にした調査においても、「TPP参加は日本にとって必要だ」と回答した企業が65%。また、TPPに参加しなかった場合、72%の企業が長期的に見て景気に悪影響があると認識していることも明らかになった。

 これらの調査の結果を見る限りは、経団連に加盟する大企業から従業員10人程度の中小企業の経営者に至るまで、TPPに関しては、「日本の参加が望ましく、かつ避けがたい」との認識が広がっていると受け止めざるを得ない。

 まさに菅前総理の意向を受け止め、経産省が中心となって進めてきたTPP参加に向けての世論工作が大いに効果を発揮しているといえるだろう。しかし、これらのTPP参加賛成派の経営者がどこまでTPPの本当の中身を確認、理解したうえで賛成の回答を寄せているのか、疑問の余地が多分にありそうだ。

 その点については、菅前総理自身が述べている次の言葉が、その危険性を象徴的に示しているといえるだろう。それは2011年1月28日、参議院本会議の代表質問でのことである。「TPPが国内医療など個別の分野にどのような影響をもたらすものか、私から言うのは困難だ」と答弁したのである。

 TPPの中身は、農業のみならず、また製造業に限定されることなく、実は医療や福祉、教育、法律、金融、通信など様々な分野に影響するものである。その一つ、医療分野の交渉が国民の健康に関わる国内医療にどのような影響をもたらすのか、そのことについて問われた前総理の答弁がこれでは、あまりに寒々しいと言えるのではないだろうか。

 2011年1月24日の施政方針演説のなかで、「平成の開国」という言葉を11回も使い、貿易や投資の自由化、人材交流の円滑化まで踏み込んだ包括的な経済連携の促進を強調している菅前総理。「21世紀の日本のオープニング」と題した官邸のホームページにおいても、繰り返し日本が「第三の開国」に向けてTPPの参加への準備を進めていることを強調している。

 これだけ日本の閉鎖性を強調し続けていれば、大企業であろうと、中小企業の経営者であろうと、このままでは日本が世界の流れから取り残されるとの思いに駆られるのも当然であろう。しかし、TPPの問題に関しては、やはりその参加のメリット、デメリットを、国民に対し具体的な情報を示さなければ、全体として賛成も反対も、結論の下しようがないのである。

 正月の福袋を買うわけではないのであって、中身のわからないTPPに賛成しろと言われても、まともな判断力のある人々にとっては、何とも答えようがないというのが正解ではなかろうか。なぜなら、国会の場においても、メディアの場においても、TPPの実態はほとんど明らかになっていないからだ。

 にもかかわらず、2011年1月時点で、TPPへの参加について反対あるいは慎重な対応を求める意見書や特別決議を採択した都道府県議会は39道府県議会と、全体の8割に上ることが、日本農業新聞の調べで分かった。ブロックの知事会が反対要請を政府に提出する動きも出ている。菅前首相は今年を「平成の開国元年」と位置付け、貿易自由化を加速する姿勢を強めるが、地方では反発の声も急速に広がっている。経済界の反応との違いに驚かされる。これは一体どういうことであろうか。要は、情報の開示を拒みながらTPP参加へ前のめりになっている政府への警戒心の発露にほかならないと思われる。こうした不安や懸念に対して、政府は納得できる説明義務を負っているはずである。

 ノーベル経済学賞の候補者とも言われる東京大学名誉教授の宇沢弘文氏は「世界各国はそれぞれの自然的、歴史的、社会的そして文化的諸条件を十分考慮して、社会的安定性と持続的な経済発展を求めて、自らの政策的判断に基づいて関税体系を決めている」と指摘する。その上でTPP反対の立場を鮮明に語るのである。

 曰く、「理念的にも、理論的にもまったく根拠をもたない自由貿易の命題を適用して、すべての商品に対する関税の実質的撤廃を「平静の開国」という虚しい言葉で声高に叫ぶことほど虚しいことはない」。

 日本学術会議の試算を見れば、宇沢教授が指摘する農村の社会資産の重要性が明らかになる。すなわち、洪水防止機能が3兆4988億円、水源滋養機能が1兆5170億円、土壌侵食防止機能が3318億円、土砂崩壊防止機能が4782億円と言われている。要は5兆円を超える農業、農村の多面的な機能がこれまでも十分働いているのである。これほどの資産価値を有する、我が国の地域社会が守ってきた共有インフラを失ってよいのであろうか。

 同じことは森林資源にも当てはまる。我が国は国土の75%が山に覆われている「森林大国」に他ならない。この森林のもつ貨幣価値も莫大である。先の日本学術会議の試算によれば、表面侵食防止機能が28兆2665億円、水質浄化機能が14兆6361億円、洪水緩和機能が6兆4686億円にも達する。

 こうした試算金額の妥当性については、様々な議論があるにせよ、我が国の自然や農山漁村が果たしてきた地域社会と、国民の食生活を守る役割については誰もが否定できないものであろう。「農業はGDPへの貢献度は1.5%に過ぎない」と述べ、「98.5%の輸出貢献産業のためにTPPを進める」と語る菅前政権の閣僚たちの創造力の欠如と、国家観のなさにはあきれるほかない。

 TPPへの交渉参加問題が提起しているのは、単なる「農業対輸出製造業」といった対立構図ではなく、我が国のあり方そのものなのである。しかも農業が自由化されることの意味はすこぶる大きい。というのは、人間生活に欠かせない「社会的共通資本としての農村」が事実上、消滅することにもなりうるからだ。

 そうした国家存亡の危機をもたらしかねないTPPを安易に認めるわけにはいかない。TPPがもたらす「光と影」の部分をしっかりと受け止める想像力と誤った政策を正す行動力が、我々国民一人一人に求められる。

 2011年3月に我が国は東日本巨大地震と大津波に見舞われた。戦後最大級の災害である。東京電力の福島第一原子力発電所にも被害が発生した。

 そうした国難に直面した日本に対し、世界各国、なかんずく同盟国のアメリカからも支援が寄せられている。しかし、自国の国益をいかなる場合においても最優先するのが超大国。アメリカの日本専門家で国防総省で日本部長を務めたジェームズ・アワー氏(現ヴァンダービルト大学教授)を通じて、日本の復興策の一つとして「TPPを早期に批准せよ」と申し入れてきたのである。曰く「津波で多くの日本農家が命を落とし、生き残った者も非常に苦しんでいるのは間違いない。TPPが批准されれば、日本経済全体を後押しするであろうし、ずっと延び延びになっている、意味ある農業改革をもたらすこともできる」(「産経新聞」2011年3月25日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110325/dst11032502560002-n2.htm

 巨大地震と大津波で危機的状況に陥った日本に対し、「海外からの支援を円滑に受け入れるためにもTPPは必要」との論調である。我が国の政府内にも、これに呼応する動きも出始めたようだ。火事場ドロボー的な発想に他ならない。こうした時だからこそ、食糧やエネルギーの自給力を高める方策をしっかりと練り上げるべきであろう。決して安易な「第三の開国」論に飲み込まれてはならない。


42. 2011年10月22日 20:14:54: VeD5VPd3V2

 日本のTPPへの参加を巡って、国内では関税撤廃による製造業の輸出増大を期待する賛成論と、外国農産品、特にコメに対する関税撤廃、輸入自由化による国内農業への打撃を恐れる反対論が展開されていることは周知の事実である。

 しかし、TPPの実態を広い視点で捉え、日本への影響を慎重に分析するならば、輸出製造業対農業といった構図に単純化してしまうことにはならないはずである。

 TPPには24もの作業部会があるが、マスメディアの注目を浴びている論点は、製造業の輸出と農業という2点、つまり24分の2でしかない。TPPの問題は、むしろサービスを中心とした、これまでマスメディアの注目を浴びてこなかった分野にこそある。

 民主党の国会議員で農林水産大臣を務めた山田正彦氏ですら、「TPPは農業だけの問題ではない。国の形が変わるかどうかの大問題だ」と語っている。安易にTPPに加われば、「日本は米国の51番目の州になる」とまで危機感を露わにしているほどである。
 
 注目を浴びている農業に加え、医療、金融・保険、教育、法律・会計サービス、メディア、土地所有、中小企業などについて、TPPに参加することによってどのような影響が生じうるのかを分析してみたい。

 そして、この分析を通じて、TPPの実態が、輸出製造業対農業という構図ではとうてい捉え切れるものではなく、むしろ、日本の隅々にまで貿易自由化の波を及ぼすことで、日本のスタンダードをアメリカン・スタンダードに変えていこうとする意図が隠されていることを明らかにしたいと思う。

 TPPの作業部会

@首席交渉官協議 A市場アクセス(工業) B市場アクセス(繊維・衣料品)C市場アクセス(農業) D原産地規則 E貿易円滑化 FSPS(衛生植物検疫)GTBT(強制規格、任意規格及び適合性評価手続)H貿易救済(セーフガード等)I政府調達 J知的財産 K競争政策 Lサービス(越境サービス)Mサービス(金融)Nサービス(電気通信)Oサービス(商用関係者の移動)Pサービス(電子商取引)Q投資R*環境S*労働㉑制度的事項㉒紛争解決㉓協力㉔*分野横断的事項
(注)*印は、我が国EPAにおいて、独立の章として盛り込まれたことのない分野。

 2010年10月27日、農林水産省はTPPに日本が参加した場合の試算を公表した。同省の試算によると、日本がTPPに参加した場合、日本のカロリーベースの食糧自給率は、現行の40%から14%に下がるという。また、コメについて国産米のうち90%程度が輸入米に置き換わり、ブランド化に成功したもの、有機農法で育てたものといった差別化に成功した国産米だけが生き残るとの試算が出た。

 割合で見ればさらに衝撃的なのだが、TPP参加により国産小麦のうち99%が外国産に置き換わり、サトウキビやコン菜等は全滅するという試算であった。

 そしてTPPへの参加により、農産物の生産減少額が毎年4兆1000億円程度であり、関連産業を含めると、毎年7兆9000億円程度のGDP(国内総生産)が減少するとの見通しを明らかにした。また雇用面での影響しとして、約340万人分の就業機会が減少すると試算した。

 この数字の衝撃は大きく、TPP参加の負の側面として農業が突出して注目を浴びる原因となった。もし農林水産省の試算がTPP参加に伴う影響を正確に捉えたものだとすれば、日本の農業はほぼ壊滅に近い状態に追い込まれることになるといえよう。

 しかし、農林水産省の試算の前提は、主要農産品19品目(林野・水産を含まない)について全世界を対象に直ちに関税撤廃を行い、何らの対策も講じない場合としたもの。ところがTPPはアメリカ、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランドなど9カ国を対象にしているものであり、全世界を対象にしているわけではない。農林水産省の試算は、対象国・地域という点でTPPの実態以上の関税撤廃を想定しているのである。

 次に、この試算は直ちに関税撤廃を行うことを想定している。しかし、既存のTPPの条文を見る限り、直ちに関税撤廃を行うことによる国内への影響が多い品目(センシティブ品目)については、長期関税撤廃という措置がとられており、チリの一部乳製品のように10年以上の猶予期間が与えられているものも存在している。

 したがって、コメのような関税撤廃による国内への影響が大きい品目については、長期関税撤廃が適用される可能性も残されているのである。ならば農林水産省の試算は、TPPにおける長期関税撤廃制度を無視しているという点では、実態以上の自由化を想定していることになる。

 さらにいえば、農林水産省は何らの対策も講じない事態を想定しているが、政治の側も、外国農産品を迎え撃つ農家の側も、無策でなすがままという前提が果たして現実的といえるかどうか。そんなことは通常、想定しにくいものである。

 このように、農林水産省は少なくとも三つの点であり得にくい前提を立てて試算を行っている。そして、こうしたミスリーディングな試算をすることにより、必要以上に悲観的なシナリオが独り歩きする事態を招いている点は否めない。つまりその結果、農業を守ろうとする農林水産省の立場に対する信用がかえって損なわれてしまっているかもしれないことも指摘しておきたい。

 それでは、実際にはTPP参加により、どのような影響が農業に生じるのであろうか。これには、良い側面と悪い側面があるといえそうだ。

 まず、良い側面から。TPPに日本が参加したとしても、野菜についてはほとんど影響がないと考えられることである。現在、野菜についての関税率は平均して3%程度にすぎない。そしてこの低関税率にもかかわらず、野菜の自給率は80%程度を維持している。野菜はカロリーが低いため、カロリーベースの自給率にはなかなか反映されないが、実際には関税がほとんどない状況でも、我が国の農家の人たちが非常にがんばっている農作物である。したがって、仮にTPPに日本が参加し、アメリカ、オーストラリアなどからの農産品の関税が撤廃されたとしても、国内の野菜生産が大きな打撃を受けることはなさそうである。

 他方、悪い側面もある。それは、コメ、小麦、砂糖類といった高関税品目については、TPPに参加することによる打撃が相当程度あると見込まれることである。

 コメは現在778%の高関税で守られており、その自給率は96%程度を維持している。日本としては、米韓FTAにおいて、韓国側がコメを関税撤廃の対象から除外させたことを参考に、関税撤廃の対象から除外するよう望むことは容易に想像される。しかし、その道のりは極めて厳しい。

 政府が2011年2月2日に発表した「TPPについての情報収集結果に関する報告書」によれば、センシティブ品目については、原則として除外や再協議は認めず、長期の段階的関税撤廃という考え方が基本であると明記されている。そうであるならば、例外としてコメを関税撤廃の対象から除外することが認められるかどうかが問題となるのだが、その場合、ほかのTPP参加国ないし参加予定国とコメについて利害が衝突しないことが肝要となる。言い換えれば、同じ船に乗ってくれる仲間を獲得できるかどうかである。

 TPP参加国ないし参加予定国の中で、農業大国といえるのはアメリカとオーストラリアである。このうちオーストラリアについては、仲間に引っ張り込める可能性は高い。なぜなら乾燥した気候という制約があるため、なかなかコメを大量生産することが難しく、コメの自給がままならない状態にあるからだ。実際、2008年10月、JA秋田おばこがオーストラリアに対して「あきたこまち」の輸出を開始したことが大々的に報じられたほどである。たとえTPPに日本が参加したとしても、オーストラリアが日本に対してコメを大量輸出する可能性はそれほど高くなく、コメについてはオーストラリアと利害が衝突することはなさそうだ。

 しかし、アメリカについては事情が大きく異なる。アメリカではカリフォルニア州を中心に「コシヒカリ」や「あきたこまち」といった日本品種のコメを栽培しており、こうした日本品種のコメは、日本市場をターゲットにしているからだ。当然、TPPに日本が参加することになれば、日本へのコメの輸出を本格化させることは容易に想定されるところであろう。つまり、コメについては、日本とアメリカでは利害が正面から衝突するのである。

 加えて、実際にTPPで関税撤廃の対象から除外されている品目を見ると、ブルネイの酒、タバコ、火器、花火およびチリの砂糖並びに同調製品の一部といった具合で、極めて限定的である。要は、除外品目になるのは「例外中の例外」といえる品目に限られているのである。

 したがって、コメを関税撤廃の対象から除外することはTPPでは困難と思われる。現実的には、コメは10年程度の期間で段階的に関税を撤廃することになる可能性が高いと考える必要がある。とすれば、どのようなことが起こるのか。

 コメを例にすれば、主にアメリカ産のコメが安い価格で日本に入るようになる。日本のコメの価格はアメリカ産に比べて高く、もし現状よりもさらにアメリカがドル安・円高に誘導した場合に国内コメ農家が取り得る手段としては、@農家への補助金を増やしてもらう、A経営規模を拡大する、といった方法によって生産価格を引き下げることが考えられる。

 しかし補助金については、現在の財政状況からすればどこまで国民の理解が得られるかは不透明であり、たとえ規模拡大を実施したとしても、アメリカと比肩する規模にまで拡大することは不可能であるから、価格面でアメリカに対抗することは容易ではない。

 その結果、遅くとも約10年後には国産米よりも相当安い、主にアメリカ産米が日本市場に流通することになるだろう。その際、国産のコメ農家がどの程度打撃を受けるかについては、消費者がどのコメを支持するかによって大きく変わる。消費者は様々な判断基準に従ってコメを選ぶことになるが、価格を判断基準にする消費者が一定の割合を占めることは否定しがたい。

 「国産米のうち90%が外国産に取って代わられる」という農林水産省の試算は極端であり、額面通りに受け取ることは難しい。とはいえ、それでも相当程度の国産米が主にアメリカ産米に取って代わられることは避けられない流れだと思われる。デフレが進行し、あらゆる商品の価格破壊が続けば、消費者も安い外国産のコメに流れる可能性は無視できない。

 他の高関税品目についても議論は類似しており、段階的な関税撤廃により、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドからの農産品に相当程度取って代わられる可能性が高い。やはりTPPに日本が参加することにより、農林水産省の試算ほどではないにせよ、国内農業が深刻な打撃を受けることは間違いないと言える。

 政府は2010年3月30日、「食糧・農業・農村基本計画」を閣議決定した。この基本計画のなかで、「2020年度をめどに、カロリーベースでの食糧自給率を50%にすることを目指す」ことが明記された。

 しかしTPPに日本が参加すれば、コメなどの高関税品目については相当程度外国産に取って代わられることになり、食糧自給率が14%になることはなくても、現状の40%から相当程度下がることは目に見えている。つまり、政府の食糧・農業・農村基本計画とTPPへの参加は両立しないのである。

 主な農作物の影響試算

品目名、生産量減少率(%)、生産量減少額(百億円)、今回の試算の考え方の順

米:90%、197、新潟産コシヒカリ、有機米のこだわり米等のみが残る
小麦:99%、8、国内産小麦100%をセールポイントとした小麦粉用小麦を除いて置き換わる
甘味資源作物:100%、15、内外価格差は3倍強であり、国産砂糖は壊滅
でん粉原料作物:100%、2、品質格差がなく、すべて置き換わる
牛乳乳製品:56%、45、乳製品では、鮮度が重視される生クリーム等を除いて置き換わる。引用乳では、業務用牛乳等を中心に2割が置き換わる。
牛肉:75%、45、一部の和牛のみが残り、乳用種の全て、肉専用種の半分が輸入品に置き換わる。

2010年12月農林水産省試算、「TPPに関するQ&A」(農林中金総合研究所、2011年2月)などにより作成

農家1戸当たり耕地面積(2006年)(ha/戸)
アメリカ83.4、カナダ227.7、EU8.3、オーストラリア296.9、中国0.8、韓国1.4、ブラジル12.8、日本1.6

 TPPに参加することにより国内農業は打撃を受け、日本の食糧依存度は現在よりも高くなることは間違いない。

 一方、世界に目を転じれば、近年は異常気象が続いている。

 ロシアは、2010年夏に猛暑と干ばつに襲われた。その結果、ロシアで小麦の生産が大幅に減少したことは記憶に新しい。思い起こせば、そのためにロシアは2010年8月から2010年末まで小麦の輸出を停止する措置を講じると発表した。そしてこの輸出停止措置は2011年6月30日まで延長され、2011年7月1日に再開した。

 また、オーストラリアでは2011年1月に大型サイクロンが上陸し、クイーンズランド州を中心に農産物に大きな被害をもたらした。このように、異常気象は農作物の生産に悪影響を与え、食糧生産に打撃を与えている。

 これらの異常気象を引き起こす原因として、地球温暖化が指摘されて久しい。仮に現在の傾向が続くとすれば、日照りや干ばつによる水不足という気候の変化に作物が対応できず、食糧生産にマイナスの影響が生じるだろう。

 他方、2003年にアメリカ国防総省が発表したレポートでは、地球温暖化が海流に変化をもたらし、逆に地球寒冷化を引き起こす可能性があることが指摘されている。このレポートによれば、地球温暖化のピークは2010年であり、その後、急速に寒冷化するとされている。そして、寒冷化した場合、食糧生産が影響を受けることは避けられないはずだ。

 今後、気候がどのように変化するかについての予測は困難であるが、安全保障戦略の一環として、あらゆるシナリオを検討し、対策を講じておくことは、当然ながら国家がすべき最重要課題である。

 さらに、国連食糧農業機関(FAO)が2008年7月に発表したデータによれば、「地球の陸地面積の24%(3750万平方キロメートル)で生態系の変化と生産性の低下を招く」土地の劣化現象が起きていることが明らかになり、今後、こうした土地の劣化によって食糧生産が減少する可能性が大きいことが判明している。

 このような気候変動のリスク、土地劣化のリスクを踏まえるならば、海外に食糧を依存することは安全保障上、看過できない問題となるだろう。特に食料の中でも穀物は生きていくために不可欠であり、食料安全保障の見地からは重要である。しかし、現状ですら日本の穀物自給率は30%を割っており、コメなどの関税が撤廃されれば、さらに穀物自給率は下がらざるを得ない。

 カロリーベースでの自給率が100%に達していないドイツやイギリスですら、生きていくのに不可欠な穀物の自給率は少なくとも100%に近いレベルで維持している。そうした国々と比べれば、日本の状況が厳しいことは歴然としている。

OECD諸国及び1億人以上人口国の穀物自給率
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0318.html

 この点について一部の専門家からは、「アメリカはTPPで日本に穀物を含めた農産品を輸出したいのだから、アメリカが日本への食糧輸出を止めることはないだろう」という楽観論も見受けられる。しかし現実はそれほど甘くないと認識すべきだ。

 1999年1月にNHKで放送された「地球・豊かさの限界 第1集 1頭の牛が食卓を変えた」の中で、ニクソン、フォード両政権の下で農務長官を務めたアール・バッツ氏がインタビューに答えている。

 番組の中でアール・バッツ氏は、「食糧はアメリカが持つ外交上の強力な手段である。とりわけ食糧を自給できない日本には有効だ。日本に脅威を与えたいのなら、穀物の輸出を止めればいい。もちろん、それはあってはならないこと。しかし、何か事態が悪化して、そうせざるを得なくなれば、日本はひどいことになるだろう。日本は自国の農業だけで国民を養うことなどできないのだから」と述べており、アメリカが食糧輸出を戦略的に使っていることを端的に示している。

 つまり、TPPに日本が参加して主にアメリカ産の食料に依存することになった場合、日本は国家としての生殺与奪をアメリカに完全に握られてしまうことになるのだ。TPPに参加するか否かという問いは、これほど重要な課題を、我々に突き付けているのである。

 これまで、主に食糧自給率という観点からTPP参加による農業への影響について述べてきた。しかし、より一般的な食への影響という観点から検討すると、TPPには「食の安全」という問題も浮上してくる。

 TPP条文第7章や米韓FTA条文第8章では、「衛生植物検疫措置(SPS)」が定められている。SPSについてはTPPの24ある作業部会の一つで取り扱われているが、これは食品衛生を確保するための措置、動植物の病気を防ぐための措置のことを指している。具体的にはSPSで問題となるのは、食品添加物、残留農薬基準、BSE問題、遺伝子組み換え食品といったものである。

 SPSについては、すでに1995年発効のWTOにおける協定が存在しており、TPPでもWTOの協定を引用している。このWTOの協定では、各国が食品衛生を確保するための措置や動植物の病気を防ぐために講じる措置は認められている。ただし、これらの措置が貿易を阻害しないようにするため、「科学的原則に基づくこと」が要求されている。また、加盟国を差別してはならず、例えば、国産品と輸入品に対して異なる基準を設定することは許されていない。

 実際、日本とメキシコとの間の経済連携協定(EPA)においても、SPSに関する規定が定められており、そこでは日本もメキシコも、WTOで定められたSPSに関する権利義務を有することが確認されている。

 それでは、なぜ1995年からWTOレベルで存在している衛生植物検疫措置(SPS)に関する規定がTPPで問題になるのだろうか。それは、TPPにおけるSPSの運用が食の安全に影響を与えうるからである。

 米韓FTAでは、両国がSPSについて協力し、かつ協議することとされている。そしてその協議の内容には、貿易に影響を与え、または影響を与えうるSPSの適用に関する事項が含まれているのである。

 おそらくアメリカが入った形でのTPPでは、同様の規定が入るに違いない。そうすると日本がTPPに参加する場合には、日本がどのような衛生植物検疫措置を講じるかについて、アメリカと協議をする必要が生じてくることになる。しかもアメリカは、「対日年次改革要望書」において、我が国に対しSPSに関連する要求を繰り返してきたことを忘れてはならない。

 例えば、食品添加物について、2008年の年次改革要望書では、「食品添加物における新規並びに変更の申請が、科学的な原則に基づき、透明かつ迅速に完了するよう、国内および国際的な団体を含む既存の科学的審査と評価を最大限活用する」ことを要求していた。

 さらに、同要望書の農業に関する政府慣行について、「米国は、日本が農産物貿易において国際的義務を十分に満たしていること、またすべての農産物・食品の輸入制度において科学的知見に基づいた国際基準を採用することを期待する」と述べたうえで、具体的な要求として、「FAO(国連食糧農業機関)・WHO(世界保健機関)合同食品添加物専門家会議によって安全と認められており、かつ世界各国で使用されている46種類の食品添加物の審査を完了する」ことを挙げている。

 また、ポストハーベスト農薬(収穫後、主として保管中の防虫対策として使用する農薬)は、人体に有害な物質が含まれる恐れがあるという理由で日本では禁止されているが、同要望書は、特定のポストハーベスト農薬を食品添加物と見なさず、その使用を認めるよう要求しているのである。

 WTOのSPS協定において、科学的に正当な理由がある場合などは、国際基準や指針、勧告よりも厳しい衛生植物検疫措置(SPS)を導入することができるとされているが、日本はWTOのSPS協定を踏まえ、食品添加物についての規制を緩和してきた。当然のことながら、国民の健康や衛生を守るという見地から、日本は明らかに国際基準よりも厳しいSPSを導入している。

 しかし、TPPに参加するためにはアメリカとの協議が必要となり、アメリカのこれまでの日本に対する要求から考えれば、日本の現在のSPSを非関税障壁と見なし、現在のSPSを大幅に緩和するよう求めてくることは確実である。さらに、これまで日本では認められていなかった相当数の食品添加物が認可されることになり、輸入食品を通じて、日本の消費者が今まで以上に食品添加物を摂取することは避けられそうにない。

 残留農薬についても、ほぼ同様の議論が当てはまる。日本の残留農薬規準は、日本人の食生活も考慮したうえで定められており、アメリカの規準と比べると格段に厳しくなっている。ところがアメリカは、2008年の年次改革要望書において、「最大残留農薬規準に関して、できる限り貿易を制限することがないように、効果的な輸入措置を取る」ことを要求していた。すなわち、日本の残留農薬規準が非関税障壁であるとして、規準の緩和を求めているのである。

 したがって、アメリカとの協議では、残留農薬規準を緩和することがTPP参加の条件になることは想像に難くない。その結果、これまでより多く農薬を含んだ農産品が日本に流通することになると思われる。

 海綿状脳症(BSE)についても、食品添加物や残留農薬基準の問題と同様である。日本はBSE問題に伴い、2003年12月からアメリカ産牛肉の輸入を禁止していたが、2005年12月に輸入禁止を条件付きで解除した。アメリカ産牛肉で輸入が認められる条件は、月齢20カ月以下の牛であること、脳や脊髄といった危険部位を除去していること、輸出国の政府が輸出証明を発行していることである。この条件は現在も付されたままになっている。

 これについてアメリカは、牛肉の輸入禁止が条件付きで解除になった直後から、日本に対し月齢制限の撤廃を強く求めているのである。国際獣疫事務局(OIE)は、BSE検査については月齢36カ月以上の牛のみを対象にすれば良いとしており、月齢36カ月未満の牛についてはBSEのリスクが非常に低いと判断している。つまり日本の輸入基準はOIE規準よりも厳しいというわけだ。

 アメリカから見れば、日本の輸出に付された条件は非関税障壁そのものなのである。実際OIEは、かつては輸出入できる牛肉の条件として「生後30カ月未満の骨なし」という月齢制限を課していた。ところが2009年の総会で、アメリカの圧力によりこの月齢制限を撤廃してしまった。これがアメリカ式である。

 それゆえ、アメリカがTPPを利用して、日本に対して牛肉の輸入規準の緩和、具体的には月齢制限の撤廃を迫ってくることは確実である。その結果、日本はTPPに参加してしまうと、アメリカ産牛肉の輸入に月齢制限を付すことができなくなる。これは、日本の消費者にとって新たなリスクが生じることを意味している。

 実際、2011年3月8日、元米農務長官のジョハンズ上院議員(共和党)は、超党派27人の上院議員団が連名でオバマ大統領に対し、米国産牛肉の輸入制限緩和を日本のTPP交渉参加の前提条件とするよう求める書簡を正式に送付したことを明らかにした。アメリカはOIEの指針をてこに、日本政府に圧力をかけているわけだ。

 遺伝子組み換え作物の問題も同様である。日本はすでに遺伝子組み換え食品を大量に輸入しているが、食用の遺伝子組み換え作物の栽培は、商業ベースではまだ始まっていない。しかも、複数の都道府県では、条例により遺伝子組み換え作物の栽培に対する厳しい規制が行われており、商業ベースでの遺伝子組み換え作物の栽培を開始するためのハードルは相当に高いと言える。

 遺伝子組み換えをしていない在来種は、長い時間をかけて自然環境に適合しているので、次世代に種子を残していく。しかし、遺伝子組み換え作物の多くは一代限りであり、次世代につながるような種子を残さないよう設計されている。言い換えれば、遺伝子組み換え作物は、次世代に種子を残して自然環境に適合していくという大自然の摂理に反する性格を持つと言える。

 同じ問題点を農家から見ると、次のようになる。農家は在来種であれば、残された自家製の種子を次の年に蒔き、栽培を継続することができた。しかし一代限りの遺伝子組み換え作物については、栽培を継続するためには種子を毎年、種子会社から購入しなければならない。そのため、遺伝子組み換え作物は、農家が種子会社に依存せざるを得なくなるという状況を作り出す恐れがあると言えるのである。

 また、遺伝子組み換え作物から発芽する種子を採ることができたとしても、次の年にこの種子を蒔けば、種子会社が遺伝子組み換え技術に対して得た特許に違反しているとして、農家は種子会社から高額の損害賠償を請求されることになる。結局、農家は毎年種子を種子会社から購入しなければならず、種子会社への依存傾向は変わらないのである。

 さらに、何らかの自然的、人為的理由により、遺伝子組み換え作物の遺伝子が流出すれば、在来種と雑種交配をすることにより、在来種が淘汰されることにもなりかねない。ブラジルやインドの例でもあるように、これは在来種を栽培している農家にとっては脅威である。

 近隣の遺伝子組み換え作物栽培農場から花粉の受粉等を通じて遺伝子が流出すれば、自らが栽培している在来種と近隣の遺伝子組み換え作物栽培農場から花粉の受粉等を通じて遺伝子が流出すれば、自らが栽培している在来種と意図しない交配がなされ、気が付けばいつの間にか栽培している作物が遺伝子組み換え作物になっていたという思わぬ事態も想定される。

 その結果、種を採ることができなくなる、あるいは、意図せずして種子会社から特許違反で訴えられるというリスクを在来種栽培農家も抱えることにすらなりかねない。
 
 ところが、種子会社の視点からすれば、当然のことながら遺伝子組み換え作物の栽培は大きなビジネスチャンスにつながるのである。

 このような種子会社の中で最も大きな存在感を持っているのが、モンサントである。同社は、世界中で遺伝子組み換え作物の栽培を拡大させる戦略をとっている。特に同社の遺伝子組み換え作物は、同社の除草剤である「ランドアップ」に対する耐性を有しており、「ランドアップ」とセットにした売り込みに熱心である。このように、除草剤と遺伝子組み換え作物の種子をセットにすることで、さらに利益を増やすことができるのである。

 さらにモンサントは、同社が特許を有する遺伝子組み換え作物の種子を農家が勝手に蒔いていないかチェックをし、同社から種子を購入していない農家で遺伝子組み換え作物が育っているのを発見した場合、特許侵害を理由とした訴訟を農家に対して起こしている。

 実際、モンサントはアメリカ国内で100人単位の農民を提訴している。しかも、故意、過失あるいは受粉を含む自然的経過といった事情に関係なく提訴をしているのである。またモンサントは、アメリカの政治家をはじめ、各方面にロビー活動や献金を行い、強烈な勢いで政治的影響力を行使していることでも有名だ。

 アメリカは、2006年以降の年次改革要望書において、「バイオテク産品に対する関連諸規則が国際安全基準を反映したものとなるよう改定する」よう、日本に対して強く求めており、遺伝子組み換え作物の栽培がアメリカ、カナダ、中国、ブラジル、アルゼンチンなどで本格的になされていることを踏まえ、日本が遺伝子組み換え作物の栽培を全面的に解禁するよう要求している。

 こうした状況から、日本がTPPに参加する場合、アメリカはTPPにおけるSPS規定に基づいて、日本の遺伝子組み換え作物の規制を非関税障壁だと主張する可能性は高いと言えるだろう。その結果、日本は遺伝子組み換え作物の栽培を全面的に受け入れざるを得なくなることも考えられる。

 仮に、遺伝子組み換え作物の栽培が全面的に解禁されれば、モンサントのような種子会社は日本において莫大な利益を得ることができるようになる。その一方、日本の農業は、自発的な遺伝子組み換え作物の栽培への切り替えや、意図しない交配によって遺伝子組み換え作物に席巻され、種子会社に依存せざるを得なくなるに違いない。たとえ日本の農業が自給率の面で持ちこたえたとしても、それは遺伝子組み換え作物で持ちこたえているという厳しい状況になりかねないのである。こういった事態のもとで、果たして日本の食の安全が守れるのだろうか。TPPはこのような難題も突き付けているのである。


43. 2011年10月22日 20:18:13: VeD5VPd3V2

 TPPの24ある作業部会のうち、5つの作業部会がサービスを扱っている。具体的には、クロスボーダー(国境を越えて行われるサービス)、電気通信、一時入国(商用関係者の移動)、金融、電子商取引の作業部会である。24の作業部会のうち20%以上の割合をサービスが占めていることからすれば、TPPの中でサービスが重点項目に位置付けられていることは間違いないだろう。

 TPPの作業部会

@首席交渉官協議 A市場アクセス(工業) B市場アクセス(繊維・衣料品)C市場アクセス(農業) D原産地規則 E貿易円滑化 FSPS(衛生植物検疫)GTBT(強制規格、任意規格及び適合性評価手続)H貿易救済(セーフガード等)I政府調達 J知的財産 K競争政策 Lサービス(越境サービス)Mサービス(金融)Nサービス(電気通信)Oサービス(商用関係者の移動)Pサービス(電子商取引)Q投資R*環境S*労働㉑制度的事項㉒紛争解決㉓協力㉔*分野横断的事項
(注)*印は、我が国EPAにおいて、独立の章として盛り込まれたことのない分野。

 WTOの設立と同時に締結された「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)において、サービスは「政府の権限の行使として提供されるサービス以外の全てのサービス」と定義されており、既存のTPPも基本的にはこのGATSにおけるサービスの定義を前提にしているに違いない。

 なお、日本もこれまでにTPP参加国、参加検討国のみならずインドなどとも経済連携協定(EPA)を締結しているが、そこでもサービスの定義はGATSの定義と同様である。

 サービスの貿易は、具体的には4つの形態に分かれている。
@いずれかの加盟国の領域からほかの加盟国の領域へのサービス提供(国境を超える取引)「例:電話で外国のコンサルタントを利用する場合、外国のカタログ通信販売を利用する場合など」
Aいずれかの加盟国の領域内におけるサービスの提供であって、ほかの加盟国のサービス消費者に対して行われるもの(海外における消費)「例:外国の会議施設を使って会議を行う場合、外国で船舶・航空機などの修理をする場合など」
Bいずれかの加盟国のサービス提供者によるサービスの提供であって、ほかの加盟国の領域内の業務上の拠点を通じて行われるもの(業務上の拠点を通じてのサービス提供)「例:海外支店を通じた金融サービス、海外現地法人が提供する流通・運輸サービスなど」
Cいずれかの加盟国のサービス提供者によるサービスの提供であって、ほかの加盟国の領域内の加盟国の人の存在を通じて行われるもの(人の移動によるサービス提供)「例:招待外国人アーチストによる娯楽サービス、外国人技師の短期滞在による保守・修理サービスなど」

 さらに、サービス分野の自由化を確保するため、既存のTPPでは内国民待遇および最恵国待遇が定められている。内国民待遇とは、相手国の国民や企業を自国民や自国企業と同等以上の条件で扱うことである。つまり、日本とアメリカがTPPに参加した場合であれば、日本国内のサービス提供に際し、日本企業とアメリカ企業を少なくとも対等に扱わなければならない、ということになる。

 また最恵国待遇とは、相手国以外の第三国に対し、ある恩恵を与えた場合には、自動的に相手国にも同等以上の恩恵を与えるということである。

 つまり、日本とアメリカがTPPに参加し、韓国が参加しなかったと仮定して、日本が韓国とのEPAで韓国国民や韓国企業に対してサービス提供を制限なく自由化した場合には、TPPに基づき、アメリカ国民やアメリカ企業に対してもサービス提供を制限なく自由化しなければならなくなるのである。

 実は、日本が各国と結んでいるEPAにおいても、サービス分野では相当の自由化がなされている。したがって、一見すると、TPPで新たにサービス分野の自由化を約束してもあまり影響がないように思われる。しかし、日本がすでに締結している既存のEPAのうち、シンガポール、マレーシア、フィリピンとのEPAについては、自由化する分野を限定列挙しており、メキシコとのEPAについては、自由化しない分野を例外として挙げているものの、例外は多数に及んでいる。

 他方、既存のTPPでは、ブルネイはサービス貿易の自由化から除外されているものの、自由化の例外は限定的であり、アメリカを含めた拡大TPPでもサービス貿易の自由化に対する例外は極めて限定的になると思われる。

 そうすると日本がTPPに参加することになれば、これまでの2国間EPAでは例外として自由化しなくても済んだ分野についての自由化をすべて迫られることになるはずだ。

 こうしたことを前提にして、サービスの分野について、どのような影響がもたらされるかを慎重に検討する必要があるだろう。

 医療は、当然TPPで取り扱われるべきサービスの定義に該当する。しかし、日本のスタンスは、現在各国と締結しているEPA(経済連携協定)においては、基本的に自由化の例外としている。
 
 アメリカ国務省と日本の経済産業省が2006年6月に公表した「2006年日米投資イニシアティブ報告書」によれば、アメリカ政府が日本政府に対し、医療機関による資金調達を容易にし、生産性を高めるとの観点から、病院、診療所経営に対する株式会社の参入拡大を可能とするよう要望したことが明示されている。
 
 さらにアメリカ政府は、日本では血液検査の外部委託により、かなりの効率化が図られたことを指摘したうえで、リスクの低い医療行為、特にMRI(核磁気共鳴画像法)やPET(ポジトロン断層法)、CTスキャン等、反復性のある医療行為については、株式会社に柔軟に外部委託できるよう求めたことも明らかになっている。
 
 つまり、アメリカ政府は日本の医療分野を自由化し、株式会社が医療分野に参入することができるようにすることを求めているのである。そして、当然のことであるが、この株式会社の参入とセットで、外国資本が日本の医療分野へ参入することが想定されている。

 日本では、基本的に医師が医療機関を設立し、その目的は医療の提供であって、収益を拡大することでない。たとえ収益を拡大することを目指したとしても、基本的には医療の提供に資するという枠内に制限されている。他方、株式会社であれば、医療の提供は、利益を最大化させるための手段となる。日本のこれまでの医療のあり方と、株式会社とでは、目的と手段が逆転することは避けられない。
 
 株式会社の目的に照らせば、医療サービスを提供する株式会社はコスト削減に努めることになるだろう。受診希望の患者は多数いるが、継続すればするほど赤字が出るコストに見合わないようなケースが地域や診療科目によってはあるかもしれない。そのようなケースでは、医療サービスを提供する株式会社は需要があるにもかかわらず撤退することが不可避になるであろう。
 
 もし採算を無視して撤退を拒めば、株主に対する義務違反になり、場合によっては株主代表訴訟で株主に賠償しなければならなくなることもあり得るからである。特に、小児科や長期入院を要する高齢者の治療は、需要がある一方、採算面では厳しく、株式会社の参入による影響が懸念される。つまり、株式会社の参入は、一部の患者の切り捨てにつながりかねないのである。
 
 この株式会社の参入に対し、日本医師会は、当然の如く反対論を展開している。その中で、株式会社の医療サービスの参入が「国民皆保険制度の崩壊」につながるとも指摘している。それはなぜか。

公的保険でカバーされる治療は報酬があらかじめ決まっており、利益率はそれほど高くはない。そのため医療サービスを提供する株式会社は、利益の最大化のためには自由診療を積極導入することとなる。それは、医療は自由診療で行えば良いという風潮につながり、公的保険による診療を中心としている病院の経営が立ち行かなくなる。その結果、公的保険は無意味となり、国民皆保険制度は崩壊するというのである。

 すでにアメリカ政府は「2006年日米投資イニシアティブ報告書」で、日本政府に対し、混合診療の解禁を強く求めていた。混合診療とは、保険診療と全額自己負担となる自由診療を組み合わせることである。アメリカ側は、解禁を求めるにあたって、混合診療の解禁により、国民の医療支出が減少し、結果、医療の効率化が進んで医療保険制度の財政上の困難を緩和すると指摘しているのだ。

 しかし混合診療が導入されれば、折からの財政難と相まって、新規の治療法等については、もはや公的保険でカバーする必要性はない、という判断に傾きかねない。また、これまで公的保険によってカバーされていた治療法や薬品についても見直しがなされ、自由診療の範囲になる可能性も出てくる。

 そして衛生植物検疫措置(SPS)に基づく認可基準の引き下げが行われ、これまで日本では認可されていなかった医薬品や保険補助栄養剤(いわゆるサプリメント)が一挙に流入することになるだろう。また、アメリカ製の先進画像診断機器や先進体外診断用薬品の導入が強制されかねない。と同時に、そうした先進製品の有用性や迅速性を評価する加算制度への移行も求められる。

 つまり混合診療の導入は、公的保険給付の範囲を狭くする引き金となり、国民皆保険制度の崩壊のきっかけにすらなりうると考えられるのである。日本医師会は、株式会社の参入が進めば国民皆保険制度が崩壊の危機に直面すると指摘しているが、混合診療の導入にも同様の危険が潜んでいると思われる。これは利用者である患者にとって望ましい事態ではないだろう。実際、医療の自由化が進んでいる英国では、公的保険で利用できる病院は限られ、受診するために何カ月も待たなければならないような事態も起きた。同じことが日本では起こらない、という保証はない。

 TPPに日本が参加するとなれば、サービス貿易の一環として、アメリカから医療分野について、「2006年日米投資イニシアティブ報告書」に沿った自由化を求められることは避けられない。では、なぜアメリカはそこまで日本に対して自由化を求めるのだろうか。

 一つには、アメリカ資本の医療サービスを提供する混合診療解禁=企業が日本に参入したいということである。日本には、資産1億円以上の富裕層が2007年末の時点で151万人おり、その数は世界でもトップクラスである。人口高齢化に伴い、富裕層に対する医療サービスへの需要は高まる一方と見られる。日本の富裕層に対する医療サービスはアメリカ資本の株式会社にとっては非常に魅力的な市場と映っているに違いないのである。

 もう一つは、アメリカ資本による保険サービスへの参入である。混合診療解禁と株式会社の参入により、自由診療市場が日本で拡大すれば、患者となりうる消費者を対象とした自由診療分のリスクヘッジとしての民間保険に対する需要が、当然、高まるはずだ。

 ところで、アメリカにはもともと国民皆保険制度がないため、医療費のリスクヘッジは当然のことながら民間保険でなされてきた。そのため、アメリカの保険会社は自由診療を対象とした保険のノウハウについては日本の保険会社に比べて一日の長がある。したがって、日本で自由診療市場が拡大すれば、アメリカの保険会社は多くの保険を日本人に売り、日本で莫大な利益を上げることが可能となる。そして、仮に国民皆保険制度が崩壊すれば、保険市場はさらに拡大し、保険会社の利益はさらに大きくなることが予想される。

 一方、もし国民皆保険制度が混合診療解禁や株式会社参入に耐えたとすれば、今度は、国民皆保険制度による国の保険給付が民業圧迫になり、サービス貿易を阻害するという主張すら出てきかねないことも懸念される。こうした要求は在日米国商工会議所(ACCJ)が「日本の健康増進、生産性向上に向けて」と題した政策提言としてまとめ、日本各地で啓蒙活動に活用している。

 実は、TPP参加による医療への影響はこれだけにとどまらない。サービス提供のために、ほかのTPP参加国から人が移動するということも認められるようになるのだ。そうなると看護師、介護士ひいては医師がほかのTPP参加国から来日し、日本の医療機関でサービスを提供するということも認められるようになる。

 日本では、すでにフィリピンやインドネシアから看護師、介護士の受け入れを開始してはいるが、日本語の能力が十分でないため、実際に日本で仕事をするためのハードルは高い。しかしTPPに参加すれば、資格の相互承認を求められる可能性が出てくるのみならず、「日本語がサービス貿易に対する障壁である」ということで、日本語ができなくても、英語ができれば日本で働けるようにするといった制度変更を求められることも十分考えられる。

 このような制度変更は、TPP参加国の資格保持者にとっては朗報かもしれないが、利用者である患者にとってはどうだろうか。症状の説明や治療に関する相談を英語で説明できる日本人患者は決して多くない。特に高齢者や子供についてはなおさらである。外国人の看護師、介護士、医師が日本語の微妙なニュアンスを理解できないために、十分なサービスを提供できないという状況も考えられる。つまり、外国人が医療サービスを提供することによって、日本人への医療へのアクセスが困難になる恐れが生じるのである。

 東京大学・医学教育国際協力研究センターの北村聖教授曰く「医療は社会共通資本である。市場経済に委ねるべきではない。必要な医療を提供するために経済はどうあるべきか、という視点が重要だ。質の劣る医師が大量に流入した場合、医療の質をどう担保するのか。医療レベルの劣る国の医師は、基礎学力が違うため研修医でも使えないほどだが、給料の安さを生かして、悪貨が良貨を駆逐してしまう恐れがある」。

 そんなことになれば、我が国の医療は崩壊するだろう。実際、英国ではEU諸国から英語のできない医師が大量に流入し、大きな社会問題に発展した。今では英国人以外の医師を法律で排除するようになっている。きめ細かな医療サービスを守るには、質の担保は譲ることのできない条件である。

 アメリカが日本のサービス分野の自由化を求めるに際し、最優先事項の一つとされているのが郵政民営化である。

 アメリカは「年次改革要望書」に基づき、長年にわたって郵政民営化を日本に対して求め続け、2005年の郵政解散とそれに続く総選挙を経て、ついに郵政民営化を実現させた。しかし、2009年の民主党を中心とした政権への交代により、特に郵政民営化に反対した国民新党が与党の一翼を担うことになり、郵政民営化に対する見直しの気運が高まった。こうした動きに対し、アメリカは懸念を強めており、郵政民営化のいっそうの推進を求めている。

 郵政民営化の要求の中でアメリカがとりわけ重要視しているのは、簡易保険の問題である。2010年4月に発表された米通商代表部の「外国貿易障壁報告書」では、簡易保険が民間の保険に比べて優遇されており、民業圧迫になっているという視点から、簡易保険と民間保険を同等に扱うよう、強く求めている。

 現在のところ、簡易保険で集められた資金の66%が国債で運用され、70%を超える資金が国債と地方債で運用されている。つまり、簡易保険の資金は国内に投資されているわけだ。これはある意味では安心材料といえよう。

 日本の民間保険は、契約者から払い込まれた資金の運用を外国の金融会社に委託することが自由に認められているため、アメリカの要求が認められれば、簡易保険の保険金も国債からシフトし、アメリカを中心とした外国の金融資本に流れる可能性が一気に高くなる。同様の議論は、郵便貯金についても当てはまる。

 もし、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の株をアメリカを中心とした外国の金融資本が購入すれば、それによって日本の国民資産をコントロールすることが可能となるわけだ。

 民主党の山田正彦元農水大臣は「アメリカの狙いは1200兆円ともいわれる民間預金やゆうちょの貯金ではないだろうか。おそらく、このことは24あるTPPの作業部会で話されているはずだ」とまで、アメリカの真意を疑っている。

 また、2010年のアメリカの「外国貿易障壁報告書」では、我が国の共済制度をも批判しており、共済に民間の保険会社と同様の義務を適用し、両者を対等に扱うよう求めている。これは毎年のように「年次改革要望書」において、アメリカから日本に対してアメリカのされ続けたところでもある。共済の存在を、アメリカの民間保険会社が日本の保険市場に参入する際の障壁と見なし、共済の優位性を削ぐことがアメリカにとっての至上命題になっていることの表れであろう。

 もし、共済に民間保険会社と同様の義務が適用されれば、共済は保険会社として求められる積立金の義務などを果たさなければならなくなる。そうした場合、共済は体力がもたず、民間の保険会社には勝てない公算が高くなり、潰れることにもなりかねない。アメリカの要求は、実質的な共済潰しとも言えるものではないだろうか。

 共済でも運用先は国債や地方債が多い。共済が潰れれば、その分の掛け金が外資を含めた民間の保険会社に流れるため、これまで国債や地方債に流れていた資金が外国の金融資本に流れることになるだろう。

 TPPに日本が参加することになれば、アメリカはTPPを利用して、サービス分野の自由化の一環として、保険分野への自由参入を求めるに違いない。そして、アメリカは対等な競争条件の確保の名目で、「外国貿易障壁報告書」で取り上げた事項をサービス貿易への障壁として扱い、簡易保険や共済を民間保険とまったく同様に扱うよう求めてくるはずである。

 さらに医療サービスのところでも述べたが、TPPに日本が参加すれば、自由診療の費用に対するリスクヘッジとして、アメリカの民間保険会社がさらに上陸することになり、このような保険を通じても、国民資産が外国に流出することになりかねない。


44. 2011年10月22日 20:20:03: VeD5VPd3V2

 法律サービスもTPPで定めるサービスの一環である。日本がすでに各国と結んでいるEPA(経済連携協定)では、相手国の弁護士が自由に乗り入れることはできず、あくまで、資格を有する国の法律に関するサービスを外国法事務弁護士として日本で提供することができるにすぎない。

 しかも、こうしたサービス提供には、1年のうち180日以上、日本に滞在することが義務付けられており、加えて、弁護士法人を設立することはできないし、訴訟代理を含む一定のサービス提供はできないといった制限が付けられている。つまり、日本は各国とのEPAにおいても、資格を有する専門職、特に弁護士業については、サービス貿易の自由化の例外に位置付けてきたのである。

 しかし、TPPに参加する場合には法律サービスを自由化の例外に位置付けることは困難と思われる。そして、弁護士が多く、’訴訟大国’でもあるアメリカが法律サービスの開放を強く求めてくることは確実視されている。

 アメリカ政府は2008年度までの「年次改革要望書」において、日本に対し、外国法事務弁護士が日本の弁護士と同条件で法人を設立するようにできること、外国の法律事務所を含むすべての弁護士事務所が、法人の設立にかかわらず、日本国内に複数の支店を設立することを認めること、日本以外の法律に準拠するすべての仲裁を含め、日本で行われる裁判外紛争解決(ADR)手続きにおいて、外国法事務弁護士が主宰者として活動することや当事者を代理することができるようにすることを要求し、アメリカの弁護士に対して日本の法律サービス市場を開放することをすでに求めてきている。

 さらに、在日米国商工会議所(ACCJ)が2010年に発表した政策提言「成長に向けた新たな航路への舵取り 日本の指導者への提言」でも、アメリカ政府が「年次改革要望書」や「外国貿易障壁報告書」で要求した事項と同様のことを提言している。官民一体化したチームプレーには驚かされるが、まさにアメリカは政府と業界が一団となって、日本の法律サービス市場の開放を求めているのである。

 既存のTPPではサービスの章には付属書が存在しており、そのうちの一つが専門的なサービスに関するもの。その中で、TPPの各参加国は専門的サービスを提供する資格について、相互乗り入れを認めることを奨励している。

 これもでの経緯に照らせば、アメリカはTPPにおける資格相互乗り入れの奨励を利用して、日本に対し、少なくとも「年次改革要望書」、「外国貿易障壁報告書」で要求した事項をすべて受け入れさせることを目論んでいるに違いない。

 こうした要求を日本が受け入れた後には、アメリカ各州の弁護士資格を有する弁護士が自由に日本に乗り入れることを認めるよう、要求をエスカレートしてくることも予想される。既存のTPPの付属書では、TPPにおける資格相互乗り入れに際し、教育、資格試験等に関する規定を作成することになっており、これらの分野で共通事項が多いほど、乗り入れは容易になるということが想定される。

 日本では、かつては大学の学部3年生になると司法試験の受験資格を有するものとされていたが、現在では法科大学院制度が導入され、法科大学院の卒業をもって司法試験の受験資格が付与されるようになった。法科大学院はアメリカのロースクールと同じ位置づけであり、法曹教育や試験については、すでにアメリカとほぼ同様の構造になっている。

 また、法的知識についてであるが、日本の法律はもともと大陸法系であり、ドイツやフランスの影響を強く受けていた。しかし第2次世界大戦後、英米法の影響も受けるようになり、アメリカ法に近い形での会社法も制定された。さらに、民法の改正作業が現在進行中であり、債権法ではアメリカも加入しているウィーン動産売買条約という取引法の国際条約に準拠した改正も検討されている。

 このように、商取引分野を中心にアメリカ法への接近が進んでいるのである。そして、日本国内でも、商取引の分野での英語による法律サービスの需要は現在でも相当程度存在しており、TPPに参加してアメリカのサービスや商品がいっそう日本に流入するとなれば、その需要はさらに高まるはず。

 他方、刑事裁判では2009年から裁判員制度が導入され、アメリカ法の陪審員制度とは異なるものの、陪審員裁判で必要となるスキルが刑事裁判でも要求されるようになっている。これは要求される知識という点では、「お金になる分野」を中心にアメリカの弁護士による日本参入へのハードルが低くなってきていると見られる。

 これらの各事情からすれば、TPPの資格相互乗り入れの奨励を利用すれば、アメリカ各州の弁護士資格を有する弁護士が自由に日本に乗り入れることが認められることは十分に想定されること。アメリカにとっては法律サービス市場拡大のチャンスであり、アメリカ政府がTPPに目をつけて、要求をエスカレートさせることは十二分にありうる話である。

 アメリカがここまで要求すれば、理論上、日本の弁護士も自由にアメリカに乗り入れできることになるはずである。しかし、アメリカの弁護士と対等以上に英語で勝負できる日本の弁護士がどれだけいるであろうか。また、アメリカ国内に日本法や日本語での法律サービスに対する需要がどこまであるだろうか。実際には、制度上乗り入れが認められたとしても、日本の弁護士がアメリカに乗り入れる例は極めて少ないと予想される。したがって、TPPの資格相互乗り入れはアメリカに一方的に有利に働くということになりそうだ。

 公認会計士も弁護士同様の専門職であり、EPAにおける現状やTPPにおける資格相互乗り入れについての事情は弁護士とほぼ共通している。

 さらに、公認会計士については、時価会計や国際財務報告基準(IFRS)の問題がある。日本の会計制度は従来簿価会計であったが、アメリカからの圧力により、アメリカ式の時価会計制度になった。また金融庁は、日本の上場企業約3700社の連結財務諸表への国際財務報告基準の2015年からの強制適用を検討しており、2012年には適用するかどうかの最終決定をする見込みである。

 この最終決定の背後にはアメリカの存在がある。もともとIFRSはEUの会計制度の影響を強く受けていたが、アメリカの4大会計監査法人がIFRSに出資していることもまた事実である。言い換えれば、アメリカの監査法人がヨーロッパ経由で日本に新たな会計基準への移行を迫っているわけだ。そして、アメリカは2011年中にIFRSに参加するかどうかの決定をすることになっており、現状では参加する可能性が高い。

 そうすると、会計制度の日本とアメリカのコンバージョンはさらに進むことになり、公認会計士のTPPによる日米相互乗り入れは弁護士以上に容易になると考えられる。つまり、会計サービスに対するTPP参加の影響は弁護士以上に大きいといえよう。

 実質的にはアメリカ式会計基準の押し付けになりかねない。その基準とは、市場価値のあるものは時価会計し、そうでないものはコンピューター・シュミレーションで将来収益を予測するというもので、予測値や見積もり要素が多く、会社ごとの判断による会計処理の多様化が進み、日本企業にとっては莫大なこコスト負担となるだろう。特に製造業など、固定資産の多い業種にとっては全く不向きであり、結果的に雇用も設備投資も先細り、日本企業が安価に買収される道を開くことになりかねない。こうした、我が国の会計基準を脅かす理不尽な外圧に屈することがあってはなるまい。


45. 2011年10月22日 20:22:01: VeD5VPd3V2

 既存のTPPには投資に関する章は存在しないが、24の作業部会のうちの一つに投資に関する作業部会があり、新たに投資に関する規定を盛り込むことが想定されている。日本がこれまでに結んできたEPAや米韓FTAを見る限り、今後、投資についても、自国とほかのTPP参加国を対等に扱い、同じ条件で投資ができるようにすることが求められるようになると思われる。

 投資とは、単に他国の企業買収にとどまらず、多国にある財産の取得一般を含んでいる。そして、財産には土地も含まれるから、外国の土地を買収することも投資の一環になる。日本が各国と締結しているEPAの中には、シンガポールとのEPAのように外国人による土地所有を投資の自由化の例外に位置付けているものもあるが、こうした制限が明示されていないものも存在する。もちろん新たなTPPでは、外国人の土地所有が投資自由化の例外に位置付けられるという保障はどこにもない。

 このような懸念は、日本だけが持っているものではない。すでにTPPに参加しているニュージーランドでも、いろいろな懸念が示されている。ニュージーランドでは、現在、安全保障を含めたさまざまな理由から外国人による一定の土地に対する投資に関しては事前審査が課されている。しかし米通商代表部は、ニュージーランドに対し、このような事前審査が投資の自由に対する障壁になっていると指摘したのである。

 実際、オーストラリアは、米豪FTAにおいて8億オーストラリアドル以下の投資については事前審査の対象外とされ、アメリカ企業によるオーストラリアの土地所有も認められるようになっている。そのためニュージーランドでは、アメリカが参加するTPPにおいては、事前審査の撤廃を求められるのではないか、という懸念が広がっている。

 日本もTPPに参加し、参加国によるほかの参加国の土地への投資が自由化された場合、日本には少なくとも二つの点で大きな影響があると考えられる。一つは森林を中心とした水資源の問題、もう一つは農地の問題である。

 まず、森林を中心とした水資源の問題であるが、近年、中国人や中国資本が日本の森林を買収していることが問題となっている。中国はすでに慢性的な水不足に悩んでおり、今後、水不足はますます深刻化すると考えられている。そのため、日本の水資源とそれを育む森林を中国は喉から手が出るほど欲しがっているのである。

 確かに、中国はTPPの加盟国でも参加国でもない。しかし、現に中国人や中国企業は、中国籍以外の国籍でダミー会社を設立し、その会社の名前で諸外国の土地を買収したり、投資をしたりしているのだ。

 例えば、TPP参加国あるいは参加検討国のうち、中国系住民が多く存在するシンガポール、マレーシア、アメリカに中国人や中国企業が地元籍のダミー会社を設立したらどうなるだろうか。日本とこれらの国々がいずれもTPPに参加することになれば、TPP参加国にあるダミー会社を通じて、中国人や中国企業が日本の森林を買収し、日本の水資源を支配することがより簡単にできるようになってしまう。そうなると、中国人は日本の水を使い放題になる一方、日本人が自国の水資源を利用できず、水不足に苦しむといった事態すら想定される。

 次に農地の問題である。2009年の農地法改正により、農地の賃借が自由化され、外国資本を含む農業生産法人が日本の農地を賃借することができるようになった。

 しかし、TPPにより土地への投資制限が撤廃されれば、TPP参加国の資本が日本の農地を買収することは容易に想定される。特に、アメリカのアグリビジネスが日本の農地を大量に買収することが予想されていて、実際カナダでは、アメリカ、メキシコとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)締結後、農業が全国規模でアメリカのアグリビジネスの支配下に置かれるようになり、その意向に逆らえなくなったという。

 もしアメリカのアグリビジネスが日本の農地を買収した場合、そこでできた作物を日本国内に流通させるとは限らない。アメリカは食糧を戦略物資として捉えており、日本がアメリカと何らかの理由で対立する、あるいは意見を異にするということになれば、日本国内の食糧流通を生産の段階からコントロールすることによって圧力をかけてくるであろう。そうすると、仮にTPPによって自給率がそれほど下がらなかったとしても、農地買収という側面から、日本の食糧安全保障が根底から脅かされることになりかねないのである。

 TPPの24ある作業部会の一つが政府調達に関するものである。

 既存のTPPにも政府調達に関する章があり、内国民待遇と最恵国待遇が各参加国には約束されている。そしてTPP参加国が拡大した場合にも、現在の政府調達に関する原則は維持されると考える。つまり政府調達に関して、ほかのTPP参加国の物品サービスを、日本の物品やサービスと対等に扱うことが義務付けられ、さらにTPP非参加国の物品やサービスよりも不利に扱わないことが義務付けられわけだ。

 さらにTPP参加国への開放への対象となるのは、中央政府に関する調達にとどまらず、地方自治体に関する調達も含まれる。このことは2001年3月9日、松本剛明当時外務副大臣が参議院予算委員会でようやく明らかにした。そして、対象となる調達の基準額であるが、物品およびサービスについては5万SDR(SDRとは「特別引出権」という単位で、5万SDRは(750万円)、建設は500万SDR(7億5000万円)となっている。

 実は、WTOの政府調達協定に基づき、日本はすでに地方自治体を含めて政府調達を一部開放しているが、解放の基準額は高い。具体的には、物品およびサービスについては中央政府で10万SDR(1500万円)、地方自治体で20万SDR(3000万円)である。建設関係コンサルタントのサービスについては、中央政府で45万SDR(6900万円)、地方自治体で150万SDR(2億3000万円)とされ、建設については、中央政府で450万SDR(6億9000万円)、地方自治体で1500万SDR(23億円)とされている。

 このため、日本がTPPに参加し、既存のTPPの政府調達基準がそのまま当てはめられると、特に地方自治体レベルでの公共事業案件で、TPP参加国に開放される基準額が大幅に下がるため、TPP参加国の企業が大量に参入することになりそうだ。そうなると国内の建設業者、特に地方の建設業者が落札してきた公共事業案件がTPP参加国の企業によって落札されるようになり、地方の建設業界が大きな影響を受けることは避けられないだろう。そして地方は農業のみならず公共事業の面でも打撃を受け、疲弊に拍車がかかることが予想される。

 さらに、日本がTPPに参加した場合の政府調達への影響として指摘されているのが、国際競争入札の対象となる案件については英語で作成された必要書類のみを受理しなければならなくなるという可能性である。

 既存のTPPのどこにも、国際競争入札の対象となる案件については必要書類を英語で作成しなければならないとは書いていない。しかし日本において、国際競争入札の対象となる案件の必要書類を日本語のみで受け付けるとなれば、日本語が国際的に使用されている言語ではないため、TPP参加国、特にアメリカの企業から、日本語での書類作成を義務付けることによって実質的に海外の企業を締め出しているという指摘がなされ、英語での書類作成を義務付けられる可能性が十分にある。

 つまり、日本語が非関税障壁だというのである。もし、そのような事態になれば、地方自治体は英語での事務処理に対応できなくなり、地方の建設業者は英語での書類作成ができず、入札から事実上締め出されることになりかねない。

  TPPに関する24の作業部会のうちの一つ、「分野横断的事項」とは、政府の説明によれば、従来の縦割り型の分野別交渉では手当されない複数の分野にまたがる規制や規則が通商上のハードルになって貿易や投資のコストを上げているとの企業の声に応え、TPP交渉において新しい交渉分野として取り上げられたものであり、中小企業にとっても使いやすいFTAを目指すとして、TPP交渉における重要分野の一つとされているとのことである。

 この説明を前提にすれば、中小企業をTPPにより深く関係づけるための作業部会であると捉えることができる。したがって中小企業に対する投資、つまり中小企業の買収を容易にする方策をTPPに盛り込むための作業がこの作業部会で行われていると予想されている。

 ところでアメリカは、2008年の「年次改革要望書」において、三角合併が活用されない理由を分析し、海外投資家が日本の企業をより買収しやすくできるように、M&Aに関連する既存の税制および法制度の体系的な見直しをするよう求めている。アメリカは三角合併を活用し、日本の企業買収を進めたいという意向をもっていることが「年次改革要望書」の内容からうかがえる。

 日本の中小企業は海外投資家から見てどのような魅力があるのだろうか。

 2011年1月、リチウムイオン電池ケースや痛くない注射針の開発で有名な岡野工業株式会社の「代表社員」である岡野雅行氏が、「町工場こそ日本の宝」と題するスピーチを自民党の党大会にて行ったが、その中で岡野氏は、「町工場がしっかり仕事をしているのは世界で5か国」であると指摘した。その5か国のうちの一つが日本である。日本の町工場、つまり中小企業は世界に誇れる技術を多数所有していて、リチウムイオン電池ケースや痛くない注射針はその一部であるというのだ。

 アメリカの意向、日本の状況、TPPの作業部会で中小企業が取り上げられていることを併せて考えると、アメリカは日本がTPPに参加した場合に、日本の中小企業の買収が容易になるような法改正を求め、アメリカ企業等が日本の中小企業を容易に買収できるようにしようとするのではないか。そうなれば、日本が世界に誇る中小企業の技術がアメリカを中心とした海外に流出し、日本の売りである「ものづくり」での優位性が失われることになる。

 現在のTPP賛成派の議論は、日本が生き残るにはTPPに参加して輸出増大の機会を逃さないようにすることしかないというものである。しかしTPPに参加して、日本が誇るべき技術が流出してしまえば何の意味もなくなってしまう。このようなリスクを計算のうえで政府はTPPに参加しようとしているのだろうか。はなはだ疑問である。


46. 2011年10月24日 13:15:21: oAy2KgCq6U
これだけ大きな問題であるなら各党は党議拘束を外し国会議員自らの責任で判断すればよいのではないか。又メディアは国会での採決でどの議員は賛成・反対を国民知らしめる責任がある。この問題は国を二分する問題であり再編の足がかりにするようになればと思うが皆さんのご意見は?

47. 2011年10月25日 04:39:04: eNHpyBRiGI

 (B層の見識):

 頑張る有能な日本人官僚 と 売国奴 との 戦いが繰り広げられている。

 (ガンバレ! 日本人官僚!)   ( まけるな! )
 


48. 2011年10月30日 10:15:24: WAwj6NZw42
もう何を言っても無駄。

民主党でTPPに反対する国会議員のブログに

意見として、書き込みました。特に医療保険について。

参加するというのは、TPPに批准するという意味です。もう抜けられません。

TPPが、ヤバイ条約と知った韓国は、FTAで2国間条約を結ぶことになりました。

中国も、ロシアも、主権を侵害させるTPPには参加しません。

管直人のときから、水面下でアメリカと協議してたんでしょう。

国民健康保険が縮小し、医療が民間の保険に移行し、お金のない人は

病院に行けなくなります。このことは報道されてないです。

不思議なのは、TVでは、なぜかほとんど報道されてないことです。


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