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TPPは日本の文化を破壊する。・・・TPPの最大の問題点は日本文化の破壊にある。
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2011年10月18日火曜日:(政経徒然草)
何度もTPPの問題点について述べてきたが、最大の問題点を挙げるとすれば、それは「日本の文化や日本人のアイデンティティー」を破壊する可能性がある点にある。
今の日本の現状をよく見ればわかるように、ここ10数年で日本の社会構造は大きく変わった。
終身雇用制度は崩れ、地方は衰退し、中小の商店や企業は壊滅的に減少し、非正規社員の比率が劇的に増加した。
一流と呼ばれる企業に就職させるため一流と呼ばれる大学に進学するための塾や予備校へ通わせる家庭が増加し「進学競争」は激化した。
小泉・竹中氏が進めた「構造改革」とは「アメリカ金融資本の弱肉・強食の競争原理を日本に導入すること」であり、『日本社会が持つ「助け合い」であるとか「相互扶助」とか呼ばれる共生の文化』を破壊へ導こうとしたことである。
それまでの「1億総中流」と呼ばれるような「日本人すべてが豊かに」という思想・文化から「強いものがより強く、弱いものは切り捨てる」という思想・文化に改革することであった。
その結果、大企業経営者の報酬と株主への配当は増えたが、従業員の給料は減少し、下請けは厳しいコストカットを迫られ、それについてゆけない下請け企業は切り捨てられた。
正社員は増やさず、派遣社員や外国人労働者を安い賃金で使うことで利益を確保し、それにより大企業は膨大な内部留保を溜め込んだ。
ユーロ圏の総合農業政策では農業を文化とみなしている。
農業・漁業・林業などの第一次産業や豊かな自然環境などは、その国の文化を育む重要なセクターである。
歴史や文化、自然条件、人間性などが国ごとで大きく違うのは当たり前のことであり、それが自然の姿だと考える。
「日本人が日本人であるために守るべきもの」はしっかり守っていくべきである。
それが日本人としての「アイデンティティーの根幹」であり、相手を尊重し相互の秩序を守ることに繋がる。
国と国の関係においてもこれが無ければ、交渉は基本的に成り立たないと考えるべきである。
それぞれが独立した国として独自の文化や国土の自然を守り、育み国土全体と国民全体の「安心・安全」を守るという基本概念はどの国でも共通することであり、そのためには他国の文化や風習などを尊重することが根底にならなければならない。
今回のTPPの最大の問題点が関税障壁のみならず非関税障壁部分においてもアメリカが自分達の「弱肉・強食の競争原理」を押し付け、それにより日本人が守るべき文化、国民性を破壊しようとしている点にある。
「自分達のやり方を押し付ける」という「アメリカ帝国主義」と呼ばれる手法がもはや世界で通用しなくなりつつある中において、日本の多くの政治家や官僚、マスコミ、経済界などは、いまだその呪縛から解放されておらず古い枠組みの中でしか物事が捉えられていない。
情けないかな政治家や官僚、マスコミ、経済界などにおいては未だ「アメリカ帝国主義」の亡霊に踊らされている。彼らはネオコンと呼ばれるような勢力の手先となり、深く考えもせず「日本人としてのアイデンティティー」を放棄しようとしている。私に言わせれば彼らは「国賊」である。
今回のTPPの問題は、「日本の文化を守り、日本人としてのアイデンティティーを守る」という日本の根幹に関わる問題である。そしてそれは日本人一人一人の問題でもある。
真の「独立国家」としての日本のあり方が今、問われている。
余談:
ヨーロッパに端を発する金融危機や世界的な株価下落、世界的な景気後退はアメリカの金融資本に大きな打撃を与えている。彼らの力は急速に衰えつつある。
また、「格差是正を求めるデモ」に象徴されるように、アメリカの金融資本に対する世界中の世論は厳しさを増している。
「強欲で利益を得るためなら手段を選ばない」彼らの「倫理なきビジネス」に対し多くの人たちがNOを突きつけようとしている。
世界は今、改めて「倫理」であるとか「人間の尊厳」であるとかの「金では推し量れない」ものの重要性に遅ればせながらではあるが少しずつ、気づき始めたのかも知れない。
世界におけるアメリカの影響力が急速に低下していることは紛れも無い事実であり、日本とアメリカの関係もひとつの転換期に来ていると考えるのだが、どうも日本の政治家や官僚はそう考えていないようだ。
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