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http://www.labornetjp.org/news/2011/1016hokoku
報告 : 「反貧困世直し大集会2011」被災地から当事者が発言
10月16日、「反貧困世直し大集会2011」が東京・千代田区の法政大学市ヶ谷キャンパスで開かれ、約620人の参加者が真剣な議論に加わった。2008年以後4回目の開催になる今年。集会を主催した実行委は、3月11日の東日本大震災を受け、「震災があぶり出した貧困」と副題を掲げた。開会直後の全体会リレートークでは、被災地から当事者が次々と発言。上映されたビデオからも熱いメッセージが寄せられた。(写真下=反貧困ネットワーク代表・宇都宮健児さん)
舞台に掲げられた二つの巨大スクリーンに映る男性は、東電の汚染対策の弱さを非難しつつ、「あくまで福島県産の魚にこだわり、漁業を再構築していきたい」と決意。
岩手県で老舗の飲食店を営んでいた男性は、震災被害で200万円の借金を抱えながらも、仲間たちの励ましに奮い立った。「若者が戻ってくるような町にしたい」。しっかりと今後を見据えつつ、「TPPや消費税が復興の足かせになるのでは」と率直な不安をにじませた。二本松市で農業に従事する女性は、質問形式のビデオ取材に答えた。土壌の放射能汚染や風評被害にさんざん苦しめられた。このまま農業を続けていいのか、葛藤があったという。それでも周囲の人々の支えで少しずつ生活の改善を実感。「日本の農業の特色を生かす。この土地の良さを発信していく。可能性のある地域づくりをめざす」ときっぱり。そして「福島の現状は、決して福島だけの問題じゃない」と結んだ。
国交労連東北ブロックで活動する男性は、津波で家と母親を流された。職場はハローワーク。避難所に入りきれない被災者が職安を訪れる。非正規労働者を相談窓口で迎える職員自身も、非正規だ。「被災企業の雇い止めが相次いでいる。公務職場はこれまでもひどかったが、震災でさらに悪化した」と報告した。
大震災は、高校生の就職活動にも暗い影を落としている。企業の採用枠が極端に狭まり、これまで問題とされなかった生活態度にまで、厳しいチェックが及ぶという。大きなステージで、障がい者、シングルマザー、学校事務職員など、さまざまな被災者が、それぞれの現実を淡々と語った。
南相馬市に住む男性は、義援金を受け取ったことで、これまで支給されていた生活保護費をあっさり打ち切られたという。あまりの衝撃、行政への怒りに、言葉も途切れがちだ。
民間企業に事務職として採用された女性は、リーマンショック以降、社内の階段やトイレ掃除までさせられた。「会社が危機だから」と諭され、理不尽な人事異動にも耐え抜いた。だが震災当日の余震のさなか、印刷機の電源を切ったことを理由に解雇された。常識では考えられない仕打ちである。
会場となった外濠校舎は、ホールも分科会の教室も、広大で近代的な設備が整っている。「貧困」と相反するようでどこか違和感もあったが、快適ではあった。
昼食休憩をはさんで、午後1時から12の分科会が開かれた。筆者が参加した「貧困と原発労働を考える」(写真下)では、全体会で実体験を語った原発労働者Aさんを中心に、ジャーナリスト、労組幹部そして参加者が意見交換をした。そこで明らかになったことは、会社側の労働者に対する被ばく量管理のずさんさ、そして労働者自身がいかに重要な情報から隔離され、無知の状態に置かれているかという実態だった。
筆者はこの集会に毎年参加してきた。3月の大震災は、それ以前から格差と貧困にあえいでいた人々に一層の打撃を与え、さらに深い絶望のどん底へと突き落としている。政府の無策が、それに追い打ちをかけている。
巨大津波と原発災害は、運動のこれまでの成果まで押し流してしまうかのようである。意識ある人々の地道な努力によって、ようやく可視化された人々が、「復興」から取り残され、社会から排除されるようなことがあってはならない。課題がさらに大きく、重くなったと痛感した集会だった。(Y)
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