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現行の年金制度では、厚生年金加入のサラリーマンなど2号被保険者の妻、いわゆる専業主婦は第3号被保険者と呼ばれ、保険料を支払わないで国民年金を受給できる。これに対して、働く女性や国民年金1号被保険者で、国民年金保険料を支払う自営業の妻などから、不公平だとの批判の声がある。確かに年金制度が始まった1961年当時と今は、社会環境が変わったので、改定をすることは必要だとは思う。
この第3号被保険者制度について、小宮山厚労相は「本当におかしな仕組みだ」と批判したが、肝心の厚労省役人による改定案については、全く無知である。先々週の本欄で紹介したように、厚労省の改革案では、3号被保険者の妻は、夫の給与から支払ったと「見なし」て、年金給付を夫と妻で【二分二乗】するというものである。専業主婦が1円も保険料を支払わないことに変わりはない。何が不公平解消だ。
その代わり、厚生年金の受給額が減る。年金受給額は、夫婦が健在の間は現行と何ら変わらない。だが、夫が先立つと、妻に給付されている夫の厚生年金の四分の三の遺族年金が消滅する。逆に妻が先立つと、夫の年金は大幅に減額する。その減額幅に個人差はあるが、概ね最低でも3割、多い場合は4割強が減る。国民年金での、一部女性の不公平感解消の問題を、厚生年金の給付を減らす案にすり替えたのだ。
この【二分二乗】という誤魔化しの改革案に続き、先週、厚労省は厚生年金の支給開始年齢を、2030年に68〜70歳にする案を、社会保障審議年金部会に示した。現状は、60歳になるといわゆる年金の2階部分に当たる厚生年金の比例報酬部分を受給し、1階部分の国民年金に該当する定額給付と加給部分は、受給者の誕生年によって、61歳から順次65歳に給付年齢が引き上げられている。
現在60歳から給付開始のこの比例報酬部分についても、昭和28年(1953年)4月2日生まれ以降の人からは61歳となる。その後、次第に引き上げられ、昭和36年(1961年)4月2日生まれ以降の人への給付開始は、65歳となる。なお、女性はこれより5年遅れることになっている。この65歳からの給付給開始を、さらに遅らせて68〜70歳にすると云うのが、今回、厚労省が示した案である。
厚生年金の給付開始年齢を60歳に引き上げた当時は、日本経済も活力があり、労働力の絶対的な不足もあって、多くの企業は順次60歳定年に移行した。だが、今は違う。07年に団塊の世代が定年を迎え、彼らの年金の一部が63歳以降の給付になることから、政府は、定年の引き上げか定年の廃止、あるいは再雇用制度の導入のいずれかの措置をとることを企業に求めた。だが、その実態は無残なものである。
「よくわかる継続雇用制度導入の実務と手引き」川端重夫著によると、10年6月現在、社員30人以上の規模の会社で、定年を廃止したのは3%弱、定年を引き上げたのは14%、対していわゆる再雇用制度を導入した会社は83%だそうである。再雇用制度を導入している企業では「希望する者全員を雇用」しているのは31%。残りの多くの企業は「本人が希望し、会社が必要と認めた者」だけを再雇用している。
つまり、60歳で定年を迎えた者の5割以上が、自ら新しい仕事を見つけるか、或いは65歳までは減額された年金での生活をすることになる。再雇用された者の年収は当然減額される。半額ならば「御の字」であろう。中には、年収が定年前の5分の1になったというケースもある。時給制の場合は、ほとんどが最低賃金だそうだ。
一方、国家公務員は2013年から10年かけて段階的に定年が延長される。筆者は寡聞にして知らなかったが、人事院勧告で本決まりとなったそうだ。つまり、年金給付が65歳からになる2025年に先立って、国家公務員だけは65歳定年となる。また、60歳以上の年収は、60歳時の3割カットになるそうだ。国家公務員の60歳時の平均年収は1000万。つまり年収700万となる。
このような恵まれた制度に守られ、しかも定年後の天下り先に事欠かない官僚に、国民の痛みが分る訳がない。そういう官僚に操られているのが、今の政務三役。そして政権交代の一つのエネルギーであった「消えた年金」問題の幕引きを始めたようだ。17日の毎日朝刊のトップ記事は「年金確認第三者委を廃止」。解説記事は「宙に浮く年金記録 幕引き図る厚労省」である。ミスター年金長妻君どうしたのだ!
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=116074
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