http://www.asyura2.com/11/senkyo120/msg/702.html
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投稿者msehi関口博之
現在の日本の農家個別補償制度はドイツなどの制度を外見的に真似ているにも関わらず、長年食管制度で甘い汁を吸ってきた官僚に丸投げであることから、既に私の農的暮らしを踏まえて述べたようにお金のバラマキ以外の何者でもない。
それは公表されている茨城県職員組合の報告レポート「新政権の主要農業政策の新捗状況検証と地方行政の課題」のアンケート調査でも、とても評判がよい(10パーセント以下)と概ね良好とポジティブに考えている農業者は3分の1しかいないことが物語っている。
http://www.jichiro.gr.jp/jichiken/report/rep_aichi33/08/0806_jre/index.htm
そして農業者自体が国民のバラマキ批判を重く受け止め、何か頑張れば得られるものが(インセンティブ)がなく、後ろめたさ感じていることを訴えている。
また全国一律で農家個別補償政策を市町村に丸投げして押し付けているため、現場での事務業務は膨大となり、従来通り農協に依存する実態が浮き彫りにされている。
日本の農家個別補償制度が農業の再生として機能せず、お金のバラマキとなるのは、政府が農業者を一人一人を補償するという驕りがあり、その制度の真髄である「市民と連帯する農業政策」であることが全く理解されていないからだ。
「市民と連帯する農業政策」という視点に立てば、ドイツの環境保全型農業におけるように環境に貢献する様々な耕作項目が必要不可欠であり、報酬を増やすためにできるだけ多くの項目を採りいれようとするインセンティブも働き、その報酬を受け取る際も正当な対価であると胸を張れるだろう。
さらに日本の農家個別補償が致命的なのは、気候、土壌、風土などの地域特色を無視して、全国一律の枠組みで現場に丸投げしていることである。
ドイツのように州単位で、地域に相応しい環境保全農業政策を競わせることが、活力を生み出すためにも必要不可欠だ。
そのためには、全ての権限が地方政府に委譲されなくてはならない。
地方政府は、これまで蓄積してきたデーターに基づき創意工夫で地域独自の環境保全型農業政策を作成し、他県と競い合うことで農家個別補償制度を生かして農業の再生を図って行くべきだ。
しかしながら地域の現場では、環境保全型農業に精通した指導できる農業技術者は皆無と言っても過言ではない。
それ故ドイツから技術者を招聘して学んだ明治のように、地域が海外から環境保全型農業の農業技術者を招聘し、地域に相応しい様々な農産物栽培のノンハウを学べば、地域は活力を取り戻すだけでなく、自ずと都会からも多くの若者が志願してこよう。
事実韓国では、そのようにオランダからパプリカ栽培技術を学び、日本のシェーアの7割を輸出するまでに飛躍的成功を収めており、手本として学ぶべきである。
またドイツの多くの農村では豚が飼育され、連邦農業省が毎年全国バイオマスコンクールを開催することもあって、糞尿のバイオマス発電で電気や給湯を自給するだけでなく、残った堆肥や液肥は有機肥料として農地に還元され、新しい環境保全型農業のシンボルとなっている。
日本においてもこのようなドイツの先進的な取り組みを見習って、既に全国172の市町村でバイオマスの構想が湧き上がってきており、大分県日田市などのように実現しているところも出始めている。
しかし従来の化学肥料業界、農薬業界、そして原発維持の電力業界による利権構造が大きな障害となっており、農業の再生には利権構造の解体及び脱原発が必要不可欠である。
また現在日本の農業を壊滅させる自由貿易協定TPPが、官僚支配政府、産業界、そしてマスメディアによって強力に推し進められようとしている。
これらは新自由主義の教義に則って、農林水産業のGDP比は1,5パーセントであり、たとえ農業を犠牲にしても98,5パーセントの産業のために参加すべきだと主張している。
そこでは安い海外の農産物を買えば消費者に大きな利益があり、日本の輸出産業が潤えば国民にも利益の雫が毀れるといった甘い話がばら撒かれている。
しかしこれまで1970年代以来の世界各国の新自由主義政権で、一部の人たち(企業)が益々富みを蓄えても、一度もその富の雫が零れ落ちたことは聞かれない。
現在のTPPが実現すれば、農業が壊滅するだけでなく、企業が賃金や設備投資のより安い加盟国に移転することから、国内の空洞化による失業パニックが加速されていくことは必至である。
また農産物などの食料品も遺伝子組み換えで悪名高いモンサント社の世界支配が進行し、さらに中国やブラジルなどの新興国の人口増大を背景に世界のマネーが食料に投機されることから、輸入だけに依存すれば逆に価格が上がる可能性は極めて高い。
さらに地球温暖化の進行で益々異常気象が激化することが予想され、世界飢饉で食料が日本に入って来なくなる可能性も高い。
産業輸出国ドイツが食料自給に拘るのは、過去の歴史のなかで飢饉に遭遇してきたからだ。
しかし現在のドイツは農業を単に食料を守るだけの産業として位置づけているのではなく、未来を切り開く希望溢れる産業として考えている。
すなわちドイツでは10年ほど前から、太陽光を世界のすべての地域で発電(太陽光発電、風力発電、波力発電、潮力発電、バイオマス発電)できるものとして、そして農業の未来を切り開く無尽蔵のソーラー資源(植物化学原料)として位置付けている。
現在世界で年間に消費される化石燃料は80億トン弱(石油35億トン、天然ガス20億トン、石炭25億トン)であり、太陽光の光合成によって生産される植物(食物を含む)や木材の年間で2200億トンに較べて驚くほど少ない。
そして現在消費されている化石燃料をすべてソーラー資源で賄うには、1200万平方キロメートルの森林もしくは耕作地が必要であり、現在の世界の森林4000万平方キロメートルと殆ど利用されていない乾燥地4900万平方キロメートルの一部を使用すれば十分可能であるとしている。
何故なら殆どの乾燥地で植物(干草で1ヘクタール当たり12トンから18トン、麻で10トンから12トン、ススキで30トン以上、ユウカリで35トンから40トン)による開墾は十分可能だからである。
このように農業の未来は決して暗いものではなく、未来を切り開く希望溢れる産業なのだ!
日本の農業に未来はあるか。第1回身勝手なハンメルの笛吹きたち(『日本は世界5位の農業大国』などの世評が物語るもの)。
http://www.asyura2.com/11/senkyo120/msg/567.html
日本の農業に未来はあるか。第2回理想とすべき農業(市民と連帯するドイツの環境保全型農業)ーTPPを許すな!
http://www.asyura2.com/11/senkyo120/msg/620.html
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